青春とは、

  • 文藝春秋 (2020年11月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163912967

作品紹介・あらすじ

コロナ禍のさなか、家でひきこもっていた女性が
棚のなかから見つけた古い名簿と本。
「今からすればーー」
記憶の扉が開き、昭和50年代に共学の公立高校で過ごした思い出が、
まるで映画を見ているかのようによみがえる。

『ラブアタック!』、ミッシェル・ポルナレフ、旺文社のラジオ講座、
そして夜の公衆電話からかけた電話……

胸キュンな恋も、打ち込んだ部活も、
そのうえスマホもなかった。でも確かにあれは――
大人のための、フツウな青春小説。

みんなの感想まとめ

青春の一ページを振り返る物語が描かれており、主人公の高校時代の思い出が、コロナ禍の現代に生きる彼女によって鮮やかに蘇ります。毒親に支配された日々や、恋や部活に燃えることのない地味な学生生活が語られ、普...

感想・レビュー・書評

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  • 2020年に東京のシェアハウスで還暦を迎えた乾明子が、借りっぱなしの本の持ち主から端を発して滋賀の公立高校時代の思い出を回想していく。全てを管理する毒親に自宅では支配され、恋をするでもなく部活に燃える訳でもないごく普通の地味な学生時代が語られるが、その普通が後から冷静に振り返るときらきら光る青春だった事が染み渡る。ミッシェル·ポルナレフやミュージックライフ、あさま山荘事件に重信房子、フィーリングカップルにパンチDEデートと当時の世相満載だけど世代がちょっとずれているのでそんな感じかー、位。しかしリアルタイム滋賀県人ならツボなのでは。この思い出があるからこそ現代での明子の「同窓会に来なくてもいいからいてくれ、いなくならないでくれ」の切実さが胸を打った。

  • 姫野カオルコさん、香山リカと混同してた。

    滋賀出身ということでめちゃくちゃ親近感抱きながら読了。当時の文化や風俗は全然分からんけど面白いし、紛れもなく青春。とくに3年7組なんてもう最高やん。一生物の思い出。フィクションとあるけど実話がベースなのかな?

    評価あんまり高くないみたいだけど個人的には良かった。姫野カオルコさんのユーモアセンスもわりかし好み。

  • いや~めんどくさい。でも、そのめんどくささを楽しむ本ですね。
    還暦を過ぎ、今はシェアハウスに住む天涯孤独な女性の高校時代を追想です。高圧的で異常に干渉する父親、無関心な母親、田舎の緩い校風の高校と数少ない男女の友人、変わった先生たち。まとまった一つのストーリーというより場面場面が点描され、そのなかで主人公の想いや考えが書き込まれて行きます。
    これが片っ端から曲がっているのです。そう、タイトルの『青春とは、』でストレートで爽やかな青春を思う人が多いでしょうが、ここに描かれるのはどこか鬱屈して思うに任せぬ事が多い青春です。最初は重さばかり感じていたのですが、途中からその曲がり方を楽しめるようになって面白くなりました。
    主人公と同じ世代ゆえ、懐かしい文物、風景(秋吉久美子、ミッシェル・ポルナレフ、ラブアタック!、フラップで回転する文字盤の時計、ラジオの深夜放送)が目に浮かびます。
    物語の終盤、現在に立ち帰った主人公が過去を認め、愛おしみながら「クラス会にも学年同窓会にも来なくていいよ」「でも、いてくれ。いなくならないでくれ」と旧友達の事を思います。なかなか爽やかなエンディングでした

  • 私が過ごした高校時代より少し前の話ですが、もちろんスマホはなく連絡は家電で家族に相手もバレバレ、個人情報ダダ漏れの名簿、ミュージック・ライフにFMレコパル、英単語連想記憶術に試験に出る英単語、リーダー・グラマーと分けられていた英語の授業など、理解できることも少なくなかったです。
    自宅を出たかった気持ちも、家庭環境は違いますが理解はできます。

    でも、この本を読んだからといって自分の高校時代を思い出す、という感じにはなりませんでした。

  • 昭和33年生まれの女性が、令和2年に自分の高校時代を振り返る。
    この主人公は、私の母とほぼ同年代だ。
    主人公は滋賀県の公立共学校だったけれど、私の母も、東北の公立共学校でこのような青春を送っていたんだろうか・・・と、当時の流行り物やテレビ番組などの記載があるたびに、なんとなくおかしくて楽しく読みました。
    この主人公がさっぱりした性格で、感傷的でなくいところも良かった。

    「今なら・・・、誰だろう、たとえるなら。小松菜奈か。彼女はちょっとふしぎでかっこいいと、異性よりも同性から高い人気があるが、私が青春に在った時代、その立ち位置は秋吉久美子だった。」(13ページより)
    私はこの文章で心を射抜かれてしまった。
    私が生まれる前の時代にも「若者」はいて、若者に「推し」がいた、ということを、この文章を読んで、急に生き生きと感じられはじめたのが、この文章だった。
    少し脱線するようだけど、私は「堀北真希」が大好きだ。
    女性の私が女性芸能人を自分のミューズとして掲げることについて、なかなか異性からも同性からも深く理解されないんだけど、昭和50年代にも、秋吉久美子をミューズ視していた本書の主人公のような女性がいたことにすごく共感した。
    いつの時代でも、そういう人間はいるんだな・・・って。

    そして、最後の章も良かった。
    「これからいっぱい良いことある」とすら思わないのが青春真っ只中ということ。
    すごく共感した。
    なぜそれがそんなに面白かったのか、振り返ってみても分からないようなことの繰り返し。その毎日が青春なんだと思う。
    人生の中のそのような時間が、もう自分の後方に去ってしまった主人公の、軽妙な哀愁。
    まだ人生なかばですが、青春時代はとうに過ぎ去った私の心にも、しんみりと染みました。

  • よくここまで青春時代の追憶ができるなと思い、自分も振り返ったが、大した思い出もなく、思い出せず。平凡な日々が充実していた頃が懐かしい。

  • 年をとってから、シェアハウスでの生活を始めた、乾明子が主人公。
    どんな展開かと思いつつ読み進めたが、主人公の高校時代を振り返る話が続きます。何が起こる訳ではないが、なんか良かった。

  • 序盤,期待したほどじゃないなぁという感想だったけど,途中からどんどんはまってきて,理由は分からんけど何度も泣きそうになった。私もおんなじだな助けられてたなって思う。
    知らない固有名詞が多くて,何度か検索した。同世代の人はもっと分かるんだろうな。羨ましい。

  • この本は私にとって特別なものになりました。なぜ特別かと考えると以下の三つのことが挙げられます。
    ①主人公メイコと年齢がさして変わらぬ自分であること(ほぼ同年代)
    ②滋賀と兵庫の違いはあるが同じく田舎(農村地帯)に生まれ育ち高校まで過ごしたこと。なおここでの田舎は「ムラ」社会の因習崩壊せんとする時代の水田地帯であることがポイントです。
    ③私は大人になって甲賀地域と多少関わって仕事したことがあって鉄道や川や土地のにおいを懐かしく感じれること(身近に思う)

    もちろんぐいぐい惹きつける、みずみずしく個性的な文章(多用される文章技術も気にならない。描かれる内容そのものの持つ力というか独自の解あるいは視点に気付かされること多い)が第一なのですが、上記のような個人的背景もあって更に郷愁も学びも多い特別な本になりました。手製の栞紐も付けたしこれから時々気分に応じて読み返したい一冊です。友達の日記みたいな感じで。「フィクションです」と作者は書かれていますが。

  • 著者の自伝的青春小説。ということで、いつものあの「家の人」も出てくるが、存在感は控えめ。今作では主役はやはり学校(の人々)であり、そこに悲喜こもごもそれぞれの普通な青春が、当時の世相と共に展開される。百田尚樹ラブアタックの章が最高。

  • 世代は違うけど、10代を複雑な思いで懐かしむ気持ちとその貴重さにじわっときた。

  • こんな女子いた!(笑)
    今思えば、羨ましい立ち位置だな。
    少しだけ上だけど時代は一緒。
    懐かしく、忘れていた青春···ってものも悪くないかなと思える歳に。

  • 私より一世代上の青春だが
    なかなかの共感の嵐。

    なんだかちょっと歪な学園物の
    ドラマ風だなとは思ったが。

    ラストに作者の想いがいっぱい詰まってて
    なんだか胸が苦しくなった。

    歳をとるってことは切ないね。

  • 淡々と明子の高校時代が回顧されていく。10年ほどズレてはいたけれど、公立で共学という共通点だけで、じゅうぶん自らの高校時代がオーバーラップした。下校後の友達への連絡は、家の電話しかなかった、あの時代。

    回顧の終盤でこんな文章が出てくる。

    ーーこんなことのなにがそんなにおもしろかったのだろう。ーー

    淡々と語られていくだけだけど、この一文にもってかれる。あの頃は、やたらめったら爆笑していた。みんなが楽しそうだと自分も楽しかった。ほんと、なんであんなに笑ってたんだろう。別に答えはいらないけど。

    ラスト、はからずもボロボロと泣いてしまった。別に大きな事件が起こるわけじゃないけど、これまたもってかれる、短いふたつの文を読んで。それから、ほんとにラストの一文を読んで。

    姫野カオルコの(決して爽やかとは言い切れないところが魅力の)青春モノは『終業式』が大好きなんだけど、これも大切な一冊になった。

  • 正月に帰省しないなら、この小説がオススメ。

    小説としては「彼女は頭が悪いから」(2018/7/20文藝春秋)以来2年振りの作品。
    内容は、タイトルの通り、青春とは何か、を描いたもの。
    著者と同年齢に設定された主人公が、家で見つけた古い名簿をきっかけに、高校時代の出来事を思い出す。

    直木賞受賞作の「昭和の犬」(2013/9/10幻冬舎)は、主に家庭内の狭い世界を描いたものでしたが、その中で高校に通う級友と言葉を交わすシーンが印象的でした。
    異様な家庭内の狭い世界とは別に、普通の高校生として生きる世界もある、とわかる効果的なカットでした。
    本作も、主人公の設定自体(異様な親に一人っ子)は同じなのですが、高校生活を主体に描きます。
    序盤は、各章を同じ学校に通う一人一人にスポットライトを当てながら。

    よく「人の良い面を見なさい。」「人の悪い面で無く」と言われますが、この小説を読むと「良い面」ではなく、ニュートラルに人を理解すれば良い。と教えられたように思います。
    社会人とは違って、高校生と言うのは、往々にして、人に接して横柄だったり、ぞんざいだったり、雑で、配慮が足りないものです。と言うのは、自分が高校生だったときのことを振り返って、自分や、他の人もそうだったと記憶しているからです。とても、そのまま社会生活はできないし、非難しようと思えば、いくらでもネタがあったように思います。
    しかし、高校生の時の、そんな細かなことを根に持ってあげつらう事は無用で、許し、思い出として語る事ができる成熟さが大人には求められると思います。
    と、言うよりは、思い出にすることによって、若かった頃の自分や級友らと和解することが、現在を豊かに生きる工夫だと思います。

    文章表現がうまくできませんが、そういうことが、なんとなくわかってもらえる人には、穏やかな幸福感が得られる、素敵な小説だと思います。
    僕も、自分の高校時代の事を語りたくなるんだけれど、こんなふうに小説にできそうもないので、なるほど直木賞作家が書く小説なのだな。と買って読んだ自分の幸運が身にしみる次第です。

    この小説は、もし正月に帰省しないなら、ゆっくり読むと良いです。
    僕は、ちょうど年賀状を買ってきたところなので「心置きなく年賀状が書ける」と思いました。
    つまり、古い友人へのクリスマスプレゼントに良いと思います。
    いろいろ気を遣わなければいけない昨今の世知辛い世の中にあって、一服の清涼剤となると思います。

  • 小っ恥ずかしいくて泣きたくなる、穴があったら入りたいと思うのは、あなただけじゃない。
    子供/若者/大人/年寄……
    そんな大まかな分類にも故意に抜かしてしまいそうな青春時代のアレコレ、よくもよくも、こんなにも思い出させて下さってありがたいやらイタイやら。
    カオルコさんの毒親の話は以前から随分聞かせていただいてましたし、同級生の方々のことも『ツイラク』で。たぶん。
    他の誰にも著せない小説、有無を言わせぬ表現力でイタイ過去を炙り出されて快哉を叫ばねば。

  • 正直言って高校生の頃はあまり考えていなかった。最近になり、当時を真剣に取り組んでいた人は、やはり自分より大人だったのだなと思う。
    そう思うようになったという事は自分もある程度は成長できているのだな。少し懐かしさを思い出す話だった。

  • 昭和33年生まれの女性が青春を回想。

  • 年や県は違えど、同じく県立の共学クラスの共学高校に通っていたわりに、高校時代を振り返ったとき、こんな風に濃密な思い出はないんだよなあ・・・とちょっと寂しい。

  • 一回りほど上の世代の青春。
    じっくり世界に入れず途中挫折。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『純喫茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

姫野カオルコの作品

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