図書館の外は嵐 穂村弘の読書日記

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 632
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163913223

作品紹介・あらすじ

エッセイや評論、絵本や翻訳など幅広く活躍している、歌人・穂村弘。
「週刊文春」の好評連載「私の読書日記」3年間分が書籍化です。

絵本、歌集や句集、名作文学に、ミステリ、SF、漫画まで。
幅広いジャンルから選ばれた本を丁寧に読み解きます。

穂村弘の手にかかると知らなかった本も、繰り返し読んだ本でも、
その文章、そして言葉一つひとつが輝き、魅力的に光り始める——。

読み終わったとき、きっとあなたも本への愛を誰かに語り出したくなる。
本への愛、言葉への愛にあふれた読書日記です。

感想・レビュー・書評

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  • 「週間文春」に2017年7月から三年間にわたって連載された日記体の書評集です。

    主な書評はやっぱり、句集や歌集が多かったです。
    SF小説が多かったのは意外でした。
    そして、少し古い時代のミステリー作家の初期作品。
    中井英夫、泡坂妻夫、連城三紀彦、竹本健治など。

    連城作品は初期のものは一時はまってほとんど読みましたが、『連城三紀彦レジェンド』『連城三紀彦レジェンド2』は知らなかったので読んでみたいです。
    綾辻行人、伊坂幸太郎、小野不由美、米澤穂信の四人が編者として熱いコメントをよせているそうです。

    漫画も多かったです。萩尾望都、大島弓子、内田善美、つげ義春などの漫画がお好きな方には懐かしい本でもあると思います。

    やはり穂村さんは歌人なので、半分近くが句集、歌集の各句、各歌の説明で占められていました。
    清張が二十代の頃から俳人の手ほどきを受けていたなんて初めて知りました。

    いろいろなうんちくも知れて、書評集ではありますが、短歌や俳句の好きな方にもお薦めの本です。

    • 5552さん
      まことさん、こんばんは。

      読まれたのですね!
      私も『連城三紀彦レジェンド』は気になりました。この四人の作家さんが編者というのが強力で...
      まことさん、こんばんは。

      読まれたのですね!
      私も『連城三紀彦レジェンド』は気になりました。この四人の作家さんが編者というのが強力ですよね。
      大島弓子さんは大好きなので、もっと取り上げて欲しかったです。
      2021/03/05
    • まことさん
      5552さん。おはようございます!

      おかげさまで、読了しました。
      楽しい読書でした(*^^*)
      ありがとうございました!
      『連城...
      5552さん。おはようございます!

      おかげさまで、読了しました。
      楽しい読書でした(*^^*)
      ありがとうございました!
      『連城三紀彦レジェンド』は早速ポチリました。伊坂幸太郎さんとは、お会いしたときに、連城三紀彦さんのお話をできたとても嬉しい思い出があります。(もう15年くらい前です)
      大島弓子さんがお好きなのですね!
      私も大島弓子さんの漫画は処分せずに、まだ残っている数少ない少女漫画のひとつです。
      2021/03/06
  • 少しづつ味わおうと思っていたのに一気読み。素敵な装丁。今までより穂村さんの妄想度が低いのは文春連載で広い読者層を想定したため?未読のジェフリー・ユージェニデス、山田正紀、リチャード・ブローティガン、佐藤究、歌集は本多真弓読みたい。

  • ブクログの新刊案内を見て、読みたいなーと思っていたら、最寄りの図書館が入れてくれました。ラッキー。しかもたぶん私が最初の読者。嬉しい。

    さて、こちらは歌人でエッセイストの穂村弘さんが雑誌『週刊文春』に2017年7月20日号から2020年7月9日号まで連載された読書日記である。

    最初は、一冊一冊の本の紹介の文章の長さがバラバラで、「もっとこの本のおはなし読んでいたかった」と思うこともあり、ちょっと物足りないかな、と思ったのだが、読み進むにつれ、どんどん楽しくなってきた。

    そして、ブックガイド・ハイ(ブックガイドを読んで読みたい本がものすごく増えること)に陥り、憑かれたようにブクログの‘読みたい’に放り込んでしまう。あちゃー、またやっちまった。

    紹介される本は、絵本、昭和のミステリ、そして歌集が多い

    中井英夫、泡坂妻夫、連城三紀彦、竹本健治といった作家が好きな理由について「作中の謎が解けることによって平穏な日常が戻ってくるのではなく、世界そのものが鮮やかに反転して未知の次元が開かれるからだ」p147と、書かれている。そこからのミステリ論は、展開がなかなかスリリングでワクワクした。
    穂村さんの選ぶ本は、全般的に、言葉への、世界への違和感がキーとなっている気がする。
    そしてそれは私が穂村さんが気になる理由のひとつでもある。

    最後に。
    (ある作家さんの本を思い出し、その本の中に出てくるバンドの名前の由来となった本を購入する穂村さん。)‘「好きな人が好きなものに近づきたい」の法則である。本の世界(に限らないが)って、そんな風にどんどん繋がってゆく気がする。(略)’p157

    憧れの穂村さんもそうなのね、と急に身近に感じた。

    どこかレトロな装丁は大久保明子さん。
    不気味かわいいイラストはヒグチユウコさん。

    • まことさん
      5552さん。おはようございます!

      レビューありがとうございます。
      とてもわかりやすい親切なレビューで、私も読んでみたくなりました。...
      5552さん。おはようございます!

      レビューありがとうございます。
      とてもわかりやすい親切なレビューで、私も読んでみたくなりました。
      自転車に乗れるようになったら、図書館にリクエスト入れてこようと思います。
      2021/02/26
    • まことさん
      5552さん。

      やっぱり、早くよみたいので買って読むかもしれません。
      5552さん。

      やっぱり、早くよみたいので買って読むかもしれません。
      2021/02/26
    • 5552さん
      まことさん、こんにちは!

      たしか、雪国なので4月まで図書館にいけない、と書かれていましたよね。
      私の住む地域は数センチの積雪でハラハ...
      まことさん、こんにちは!

      たしか、雪国なので4月まで図書館にいけない、と書かれていましたよね。
      私の住む地域は数センチの積雪でハラハラするところなので、雪国の方の苦労は想像するしかないのですが、大変ですね。
      この本、面白かったですよ。
      ところどころハッとする表現があって、やっぱりほむほむ好きだーとなりました。
      まことさんが、楽しんで読まれますように。
      2021/02/26
  • ほむらさんの読書日記。
    鉛筆で描かれた不思議な雰囲気の絵、それを惹き立てる落ち着いた赤いカバー、紺色の帯と標題紙。
    それになんといってもこのタイトル。ああ…すてきだ…。

    短歌や俳句、ミステリーやSF、日記に童話集に漫画に絵本。
    この本を読んだらあの本のことを思い出して本棚から引っ張り出し…。
    本から本へ、ほむらさんの読書が繋がっていく様子を味わえるのが魅力的でした。

    自分が読んだことのある本も、ほむらさんの感想を読むとまた読みたくなります。
    特に『蕎麦湯が来ない』(せきしろ、又吉直樹/著、マガジンハウス)についてのコメントが好きでした。
    「この人たち、こんなことばっかり考えているのか、と感心する。生の一瞬一瞬に引っかかり、立ち止まって混乱している。人生の効率を考えると無駄。でも、その無駄の中に命の味が詰まっている。」

  • 穂村弘さん、2017年7月〜2020年7月、3年間の読書日記。やはり面白かった!

    「すごく面白い作品に出会うと、その本の世界からいったん顔を上げてきょろきょろする癖があるんだけど」には、私もです〜と心の中で呟きました。

    あと、すごいな、とおもったのは"ぎっくり背中"という自身の状態から、シリアの小説の作家の書きたい内容をそのまま表現できない環境に共通点を見つけた「不可思議の理由」。
    身(?)をもって説明されたのでなんだかものすごい説得力。こんなレビュー書けるのは穂村さんだけだと思う。

    ミステリ、少女マンガ、句・歌集。
    穂村さんの書評は、様々なジャンルから新しい気づきをもたらしてくれて楽しいです。

    • 111108さん
      ほうじ茶子さん、こんにちは

      “ぎっくり背中”の所、私は普通に面白いと思って過ぎてしまってましたが、確かにこんな所からあの本のレビューになる...
      ほうじ茶子さん、こんにちは

      “ぎっくり背中”の所、私は普通に面白いと思って過ぎてしまってましたが、確かにこんな所からあの本のレビューになるってすごいですね、穂村さん!
      今また再読してしまいました〜
      2021/08/01
    • ほうじ茶子さん
      111108さん、コメントありがとうございます♪

      穂村さん独特の感性と表現は、短歌をする人ならではなのかなぁと思うのです。面白いですよね〜...
      111108さん、コメントありがとうございます♪

      穂村さん独特の感性と表現は、短歌をする人ならではなのかなぁと思うのです。面白いですよね〜
      「これから泳ぎにいきませんか」も読むのが楽しみです♪
      2021/08/01
  • 著者の読書エッセイ。

    ホンワカしてるのがなんか良い感じ。

    他のエッセイと違うのは短歌や俳句が入っている事。

    そういうのに詳しく無いけれど、

    なんだか短歌や俳句も好きになりそうです。

    著者のへだたりのない自由な本の選び方に憧れます。

  • タイトル通り、書評ではなく感想が綴られていて、すいすいと読んでいける。それでも穂村さんなので、ところどころで、お、と思う。

    ・松浦理恵子「最愛の子ども」について、「社会的にはほとんど価値を持たない小さな感情の襞が丁寧に描かれていて、少女たちの心をこの上なく大切に扱おうとする書き手の意識を感じる。」とあるが、これに続く一文に、はっとした。「我々の未来を変える価値観は現在の他愛なさの中にあると思う。」きっとそうなんだろう。それが何かは今見えないけれど。

    ・つげ義春について色々述べられている。
    「この『旅年譜』には『秘境』という言葉が何度も出てくるのだが、旅情を求めるという次元を突き抜けて、もはや異界への没入願望という印象である。考えてみれば、私がつげ作品に惹かれるのも同じ理由だ。いわゆるファンタジーとは異なる、現実の直下にあるマグマのような異界への憧れ。」つげ作品に感じるものをぴったり言い表していて唸った。

    また、つげ作品独特の印象的な言葉遣いに触れて、「作品自体が素晴らしくて、その中のいわゆる名台詞とか決め台詞が記憶に残るのは勿論わかるんだけど、つげ義春の場合は、それだけではないのが不思議だ。」とあるのも、まったくそうだと思う。「サンビスしますから」(リアリズムの宿)「テッテ的」(ねじ式)「キクチサヨコ」(紅い花)などなど、妙に忘れられない言葉が次々浮かんでくる。

    作品からうかがえるつげ義春の生き方を「ラディカルな自己放下」と穂村さんは言う。これもすごく腑に落ちた。
    「このとき(『旅年譜』を読んだ時)以来ボロ宿に惹かれるようになったが、それが自己否定に通底し、自己からの解放を意味するものであることはずっと後年まで理解が及ばなかった。」なるほど、「自己放下」「自己からの解放」というとらえ方は実にぴったりくる。

    ・鳥飼茜の「前略、前進の君」では、非常に繊細な心理描写がされているとした後、こう書かれている。
    「自分にもかつてそんなひりひりした思いがあった。というのは錯覚だ。どこまで時を遡っても、私はこんな気持ちを抱いたことは一度もなかった。ただどんよりしていただけだ。それなのに、いや、だからこそなのか、鮮烈な描写に惹きつけられる。」
    そう、10代の心情を描いたものを読んで、自分もこんな風に感じていたと思うことがあるけれど、よくよく考えてみると「ただどんよりしていた」り、むやみに焦っていただけというほうが正しいのだなあ。

    ・あまり知られていない歌人らしいが、鈴鹿俊子の「蟲」という歌集が取り上げられている。「日常を詠いながら独特の危うさがある」と穂村さんが評する短歌と、実人生に強い印象をうけた。

  • 小説、詩歌、コミック、絵本…。読みたくなるものがたくさん!

  • タイトルに撃たれて手に取った。
    紹介された本に対する思いだけでなく、穂村弘さんの詩歌に対する思い、読書に対する情熱を感じた。
    一冊目に紹介してある「おなみだぽいぽい」…。素晴らしい。購入して手元に置くことにした。
    穂村さんが相手にする質問もよい。
    「最近何かいい本あった?」
    「好きな作家は?」
    私も周りにしてみよう。
    !紹介されている佐藤究さんが、直木賞受賞!

  • お天気のわるい日に、だらだらとめくりたいような。

    表紙画はヒグチユウコ。

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

穂村弘の作品

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