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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784163913872
作品紹介・あらすじ
海賊”鄭家”の頭をつとめる母の迎えによって、平戸から大明国へ渡った福松。
鄭家は、割拠する海賊や東インド会社を下して東アジアの海を支配するが、清軍の侵攻により明は滅亡の危機に。
新皇帝と明の復興を目指す福松は、その功による名誉ある姓名を与えられ、さらに大きな野望に燃えるが――
明日をも知れぬ海賊が、どこにもいられぬ者たちのために戦う。
「国性爺合戦」のモデルとなった英雄・鄭成功を新たな形で描く。
みんなの感想まとめ
壮大な歴史の中で、海賊として生き抜いた母と息子の物語が描かれています。主人公の福松は、母の導きで海賊の棟梁となり、明の復興を目指して戦います。物語は、母と息子の微妙な関係を通じて、彼らが直面する困難や...
感想・レビュー・書評
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海賊〈鄭家〉の棟梁となった、松。
母と離れ、日本で育った、福松と次郎左衛門。
母と息子ふたり、2代を描く。
陸では居場所のないものたちが、海へ、自由な場所へと飛び出していく。
ただ略奪するだけの海賊ではなく、守るべき帰るべき場所、ひとつの家族としての魅力がある。
母の生き方と、息子の生き方で、がらりと印象が変わる。
前半の松の戦いは、引き込まれるものがあった。
息子たちは唐突かつ空回りしがちで、やや入りこみづらかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
明末から清初期にかけて、明の再興を掲げて活躍した海賊、国姓爺(こくせんや)・鄭成功(福松)の生涯を描いた歴史小説。
国姓爺という呼び名は、明滅亡後、明の皇帝の血族を頂き福州に大明国を打ち立てた時に、皇帝から姓を賜ったことに因むふたつ名。
元々、退廃しきった明の支配に飽いた民衆が清の支配を受け入れる形で行われた明清の政権交代。明から清へ天命が移る中で、時勢には抗えず、次第に清に潰されていく運命にある鄭成功の勢力だったが、明にも清にも身を置けぬはみ出し者を糾合してしぶとく戦った。最後は、台湾で道半ばで病に倒れたが、その活躍は浄瑠璃や歌舞伎の演目「国姓爺合戦」にその名を残した。
実の母親で海賊の頭(甲螺)、松と福松の関係が何とも微妙だった。松は息子を平戸に残して海賊業に専念。長じて再会し、母親の下で海賊業に身を投じた福松と松の関係は、普通の親子関係である筈がなく、路線対立から母親を追い落としてしまう。あっさりと身を引き行方をくらました松は、その後も息子を見守り、ピンチを救うこともあるのだが…。海賊として生涯戦い続けた福松は、結局、家族の温もりと安らぎを求め続けていたのかな? -
熱源に続き二冊目。
重厚で、波瀾万丈な人生を体験出来た。
予備知識が少ない分、先入観なく読めました。 -
中国名が読みにくく混乱した(登場人物一覧を載せて欲しかった!)が、1人の海賊の頭領が国を起す過程が波瀾万丈に描かれている。「なぜ明にこだわるのか?」への解答として大義名分が語られるが、最終的には「自分がきめたから」というなんとも心許ないものに思えた。途中から海賊であることのアイデンティティがうっちゃられて、物語への求心力が失われた気がする。むしろ、傀儡であったカウや施大宣の裏切りの方に魅了を感じてしまった。
自分の居場所や家族への葛藤などが描かれ、人間らしい主人公だが、圧倒的に神がかった母のカリスマ性の前に存在が霞んでいる気がした。
志が潰える過程にドラマを見出すのは面白かった。近松門左衛門の人形浄瑠璃の題材になっているらしく興味を持った。 -
『熱源』の作者なので期待して読み始めたが、正直、初めから馴染みのない中国の名前、漢字が多くて、読むのが大変だった。文庫は知らないが、単行本では登場人物の紹介もないし、地図もなかったので、なおのこと分かりにくかった。(名前は読みをメモ書きして読んだ)
鄭成功の生涯に、母を海賊に仕立てたり、父親に仕立てられた蚊の描き方も面白かったし、幼馴染の3人が最後まで運命を共にしながら福松と生きるのも良かった。武士のような日本人海賊、師事する銭謙益の癖の強さ、人物たちはどれも個性的で面白い。
特に、創作された母(実際は海賊ではなかった、と思う)松の姿は魅力的だった。史実にオリジナリティを加えて、こうして物語に仕立てていくのか、という痛快感があった。
検索した時、書影が文庫のものしか出てこなくて、やむなくそれで書いたけれど、読んだのは単行本なので、こちらと差し替えます。いいね!して下さった方、すみません。 -
「天地に燦たり」、「熱源」と魂を揺さぶられた川越宗一氏の新作とあって、期待して読み始めた。前2作も被差別民や生まれつきどうしようもないものを背負わされた人々が、諸々翻弄されながらも懸命に生きる姿が印象的な作品だけど、今回も基本設定は似ている。舞台は日本から台湾、中国へと移り、江戸時代初期、中国では明の末期頃というところ。読み始める。前半はいい。いろいろ絡み合って話しがコロコロ展開していく。が、後半は必然性が感じられない主人公の空回りがただ続くのみで、そこにドラマが感じられないのが残念。前2作で感じた読後のスッキリ感のない、尻すぼみな作品でした。
しかし、海賊稼業の戦闘シーンなどを盛り込んで作品の幅を広げようと試している感もあり、次作にまた期待したいと思います。 -
天は、人の中より有徳の人を選び、天下を統べよと命ずる。これすなわち天命。
天命は血脈によって継がれるが、もし徳を喪えば、天は別の人に命を下す。
天命の革まるを革命という。
世に名を成す者は決断の連続だ。
正しかろうが、間違っていようが、その決断は史実に残る。
幼名を福松、平戸で生まれ育った幼子は、ゆくゆくは倭寇の頭領、鄭成功として歴史に名を刻む。
明の滅亡に際し、清への抵抗勢力として戦ったのち、台湾を東インド会社から開放した海賊の親玉。
家を守るため、実母を放逐し、重臣に裏切られ、友を失い、元々の目的を果たせず葛藤するも、決断を重ねていく。
天命がなければ、ならば天を海が飲み込むまで。
天命に抗い続けてもなお、鄭成功が目指した国とは。
媽祖と呼ばれた海賊の女頭領がいた。
子を成した夫を殺し、福松と名付けられた子は平戸藩に出仕する田川家に預けられて育つ。
海ならば、どこへでも行ける。
まだ少年の福松を連れに来た母に従い、福松は大陸へと渡る。
海賊、鄭家の頭領、鄭芝龍の息子、自らを鄭森と改めた福松は、鄭家を守るためには政治の中枢に入り込まなければと考える。
しかし、明の世は終焉に近づき、代わりに清の革命が起きようとしていた。
鄭家を守るため、居場所がない人の拠り所となるために戦いの日々に身を投じる。
いくつもの決断の果てに、母と決別し、仲間に裏切られ、友を失うことになっても。 -
文句なし。一気に読んだ。
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波瀾に満ちた鄭成功の一生を母マツを孤高の海賊とすることで百倍面白くしている。とてもおもしろい。
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国姓翁合戦は昔耳にしたことがある。本書の最終章にある浄瑠璃の世界だ。母親の松から生まれた福松の一生だ。波瀾万丈の一生を描いた感動の作品だ。徳川幕府が出来て間もない時代壮大な一生を送った生きざまは凄まじいがこれもまた自分が選んだ道だ。良い作品に出会えて感謝❗️
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冒頭の海の描写からワクワクして一気に読み終えた。母はとことんカッコいいし、父はいきなりとんでもないことになっちゃうし、史実を基礎にしながらも随所で著者の想像力が炸裂している。そして、その創造部分が何より活き活きとしていて爽快!
これを読んでから史実に触れる方がワクワクするだろう。ドラマ性に溢れたエンターテイメント活劇。面白い。 -
明から清にかけての中国と海賊の話。
中華と夷。親と子。
実話がベースと知り、エンターテイメントとして成立させた腕に感服。 -
過酷な運命に読むのが辛くて断念しそうになったが最後まで読んでよかった。知らない歴史ばかり。
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【東アジアの海を舞台に描く、直木賞受賞第一作】明の海寇を父に、日本人を母に生まれた福松は、台頭する清に抗い、海に居場所を求めて闘い続ける。鄭成功の半生を新たな形で描く。
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慣れない中国名の羅列に戸惑いながらも、ひとりひとりのキャラクターが生き生きとしており、とても良かったです。
ただ、主人公に感情移入し、どうしたって、明るい未来が見えない中、読み進めるのがつらくて、時間をかけてしまいました。 -
「熱源」に続き。
物語としては濃厚なのに、スッキリと読み切れるのは、この作家さんだからなのかな。
物語と程よく距離を感じられて、爽やかな読了感。
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