- 本 ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163913902
作品紹介・あらすじ
【第165回 芥川賞受賞作!】
記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。
感想・レビュー・書評
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一面に咲き乱れる彼岸花の中に倒れている真っ白なワンピースの少女。
オープニングからもう幻想的で、引き込まれます。
記憶を失くした少女が打ち上げられた島は、ノロと呼ばれる女性たちが統治していて、さらには二種類の言語があり、そのうちの一つは女性だけが使う言葉で男性に知られることは禁じられている。
また、海の向こうにあるという“ニライカナイ“という楽園。
おとぎ話のような、童話のような展開に私の中の(羽生結弦くん風に言えば)“9歳の自分“のワクワク感が止まらなくなってしまいました。でも一方で大人の私は、どんな着地点に行き着くのだろう?と思いながらページを捲ります。
‥‥後半が本当に、心が締め付けられる展開で、この島の謎が解けていきます。
昔話や古くから言い伝えられていることって、こういう風にできていくのかなぁ、と思いました。ずっと大事に語り継がれていることって、やっぱり意味があるんだなぁと思います。
若きノロたちの決断に明るい未来が見える気がしました。
とても良かった!大満足の一冊!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
芥川賞受賞からずっと気になっていた作品。
なかなか機会がなくやっと読みました。
独特の言語での会話になかなか馴染めず
最初は苦労(笑)しながらも、
最終的には作中の雰囲気に入り込んでいる自分に驚きました。
評価は☆3.5の4になります。
4にするにはメッセージが弱く
3にするのは美しい世界観がもったいない
といったところです。
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第165回芥川賞受賞作。
著者の李琴美さんは台湾出身の方。
日本への眼差しが、決して敵対的ではない突き放し方、というか、ちょうどよい客観性がある。
この小説の舞台は沖縄を彷彿させる架空の島。島外から流れ着いた少女・宇美と島で育った少女游娜が、島のまつりごとを司る〈ノロ〉へと成長していく物語。
ノロに男性はなれない。つまり男は島のまつりごとに参加できない、歴史も知ることができない。
小説の終盤でその理由が明らかになるが、納得。
やっぱり、政治は女性にお願いした方がいいのだ。
人によっては少し読みづらい部分があるかもしれないけど、日本語のおもしろさに気づかせてくれる小説です。 -
うーん…
私には合わないかな?
読んでたら、そのうち面白くなるかな?と思ってたけど期待外れ
飛び飛びで読んでしまった
一体、何を伝えいのか?何の話なのか?よく分からないまま終わってしまった
日本のようで日本でない話
にほん語と女語を話す国…
よく分からなかった… -
台湾の作家さんが芥川賞を受賞されたと聞いて興味を持ち読もうと思った。ただ、私は純文学がどうも苦手だ。過去に受賞作を数冊読んだことあるが、よくわからなかった。だから自然と遠ざかってしまってたが、今回は挑戦しようと思った。
宇美、游娜、拓慈の三角関係の話なのか?絶対に最後事件が起きるとか、ゴシップを少し期待して読んだが、違った。こんな汚れた気持ちで読んでごめんなさい。すごく綺麗な世界で、人間も綺麗。でも、こんな世界になるには壮絶な過去があり、もう二度と過ちを犯さないためにノロが誕生した。ノロになった宇美、游娜には立派なノロになってほしい。まだ幼い二人だが重責に押し潰されないように強くなってほしい。そして、拓慈にも頑張ってもらいたい。二人を支え、優しい男になってほしい。
恒川光太郎さんの世界観に似てると思った。異次元の世界の話と思ってるとたまに現実の世界との繋がり出てくる。
最初は夢の世界みたいな話だと思いながら読んでたけど、最後の方でいきなり現実に戻された。コロナ、戦争、暴力、男女平等など。そして嫌な気持ちになってしまった。
読み終わって、「またよくわからなかった。」で終わるかと思ったけどそんな事はなかった。平和ってなんだろう?、どうやったら平和になるんだろう?と考えさせられる一冊でした。
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こんにちは湖永さん。
こちらこそ、いつもいいねありがとうございます。コメントありがとうございます。
私なんて全然上手ではないです。逆に湖永...こんにちは湖永さん。
こちらこそ、いつもいいねありがとうございます。コメントありがとうございます。
私なんて全然上手ではないです。逆に湖永さんがすごいといつも思ってます。湖永さんが書くレビューは、暖かくて優しさを感じます。フォローしてる方でもう一人そういう優しいレビューを書く方がいらっしゃるんですが、どうやったらそんな風に書けるんだろうと思います。私なんて誤字脱字も多いし、まとまりもないので恥ずかしいです。
実は昨日私は誕生日で、湖永さんのコメントがすごく嬉しかったです。とても良いプレゼントをもらえたと思います。(年齢は聞かないで下さい)
これからもよろしくお願いします。
m(__)m2022/05/31 -
こんにちはメイさん。
昨日って5月30日が、バースデーなんですね♪
おめでとうございます♪
私も昨日は、結婚記念日でしたわ。
すっかり忘...こんにちはメイさん。
昨日って5月30日が、バースデーなんですね♪
おめでとうございます♪
私も昨日は、結婚記念日でしたわ。
すっかり忘れてましたけど…。
もう、何十年一緒にいるのか、わからなくなるくらいで。
まぁ、いっさいお祝いなんてしないもので。
私は、年齢表記しているのでご存じとおもいますが、皆さん若い方ばかりですよね。
なので、この歳でこんな程度のレビューなのかと恥ずかしい気持ちが爆発してますが、スルーしてください。
でもブグログで、読書の幅も広がり、読みたい本が、次々と登場してきます。
また、メイさんのレビューも参考にさせていただきます。
こちらこそ よろしくお願いします。2022/05/31 -
湖永さん、おめでとうございます。すごい偶然ですね。
私もブクログ利用し始めたら、いろんな作家さんを知る事ができ楽しみが増えました。今まで片...湖永さん、おめでとうございます。すごい偶然ですね。
私もブクログ利用し始めたら、いろんな作家さんを知る事ができ楽しみが増えました。今まで片寄った読書をしてたのがよくわかります。
今度、絵本も読んでみようと思っているので、湖永さんのレビュー参考にさせていただきますね。2022/05/31
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とても閉鎖的な「島」。そこに流れ着いた少女が「島」に住む人々に支えられながら言葉や風習に順応し、新しい居場所を見つけていく物語。
今まで読んだことのある芥川賞受賞作は、正直意味がわからないものが多かった。なんだこれ、みたいな。
だけどこれは読みやすかった。今の社会の悪い部分を全て排除したら「島」のようなくらしになるのかな。
でも「島」の歴史や外の文化を知る者が、それを限られた人にしか伝えないのはどうなんだろう。それが平和を保つためだとしても。 -
2021年7月の165回芥川賞受賞作品。
まず、作者が日本語を母国語とする人でないことに驚きました。
台湾生まれで中国語を母国語とする31歳の女性の方。
日本語を習い始めたのは15歳の時で、翻訳者でもあるようです。
いやいや、13歳 (今はもっと早い?) から英語を習っている私たちが
英語で小説を書いて受賞なんて、ありえないでしょう?!
赤一面に咲き乱れる 彼岸花の島の砂浜。
記憶をなくした白装束の少女が漂流して倒れていました。
色彩が素敵!
浜辺に彼岸花を採りに来た同い年の少女ヨナ(游娜)が発見します。
少女が流れ着いた島には独得のルールがありました。
島を仕切るのは、ノロと呼ばれる特別な女性たち。
女性だけが使うことのできる女語(じょご)があり、
島の歴史を学ぶことができるのも女性だけ。
家族という制度はなく、
子どもは2歳まで学校の乳児部に預けられます。
2歳になると、養育希望者が子どもを引き取って育てます。
子育ては島全体でするのです。
子どもは16歳になると成人して自分の家を持ち、独立します。
漂流した少女はウミ(宇実)と名付けられ、
島で暮らすかどうか、決断を迫られることになるのですが…。
188ページ。
決して長い小説ではありません。
でも、半分くらいまで、読み続けられるかどうか不安でした。
読んでいて、ワクワクできなかったのです。
ところが、四分の三くらいのところで、前のめりになりました。
そういうことを訴えたかったのね。
誰もが平和な理想郷を夢見ます。
私たち人間が、それに見合う英知を身につける。
いつか そんな日が来るといいな、と願って本を閉じました。 -
色彩豊かな表現だった。
真っ白なワンピース、長い黒髪、翡翠色の海、黄色い砂、薄藍の空、赤一面の彼岸花。
冒頭から引き込まれた。
独特な文化と言語、信仰をもつ架空の島のお話。
なんとなく沖縄の離島をイメージしながら読んだ。
(と思ったら、参考資料に与那国島関連の資料が多数あった)
日本語と中国語のようなものが混ざったオリジナルの言葉と用法。
島の歴史を受け継ぎ伝え続ける者は女しかできないというしきたり。
あったかくておおらかな島の雰囲気。
きつく聞こえるけれどやさしい意味の台詞。
わからないようで、だけどわかるような、そんな言語感覚だった。
島を統治する「ノロ」は女だけがなれる職業だ。
終盤、なぜそうなのか、島の歴史が明らかになる。
島の外を「ニライカナイ」(理想郷)と呼んでいるが
もしかしたら、ある特定の人にとっては
この島がニライカナイなんじゃないかなと思った。
ウミたち3人が、これからも末永く仲の良い関係であることを願った。 -
日本語と北京語が混じった言葉を話す人々。期待感いっぱいで読み始めた。私の感性の問題かなかなか理解できない世界観についていけず、楽しめなかった。残念!
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李琴峰の作品





