他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ

  • 文藝春秋
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感想 : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163913926

作品紹介・あらすじ

他者を学ぶこと、考えること、想うこと。
すべてはきみの自由のため。
ブレイディさんの熱い直球を受けとめろ!
――福岡伸一

差異を超克するすべを人類は持ち得たのか、
読み手の知性が試される一冊。
――中野信子

他者はあまりに遠い。“共感”だけではたどり着けない。
ジャンプするために、全力で「考える」知的興奮の書! 
――東畑開人

「文學界」連載時から反響続々!
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に次ぐ「大人の続編」本。

「わたしがわたし自身を生きる」ために――
エンパシー(=意見の異なる相手を理解する知的能力)
×アナキズムが融合した新しい思想的地平がここに。

・「敵vs友」の構図から自由に外れた“エンパシーの達人”金子文子
・「エンパシー・エコノミー」とコロナ禍が炙り出した「ケア階級」
・「鉄の女」サッチャーの“しばきボリティクス”を支えたものとは?
・「わたし」の帰属性を解放するアナーキーな「言葉の力」
・「赤ん坊からエンパシーを教わる」ユニークな教育プログラム…etc.

“負債道徳”、ジェンダーロール、自助の精神……現代社会の様々な思い込みを解き放つ!
〈多様性の時代〉のカオスを生き抜くための本。

感想・レビュー・書評

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  • ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の中で一番印象に残っていた言葉がこの「エンパシー」というもの。これ、私と同じような人が沢山いたらしい。

    英国公立校の7〜9年生で導入されるシチズンシップ・エデュケーション。試験問題に「エンパシーとは何か」というのがあって、息子さんの回答が
    「他人の靴を履いてみる」
    だった。

    エンパシーってまさにこれ。
    立場が違えば見えるものもまったく違う。
    戦争やテロリズムや人種差別やLGBT問題。例えればキリがない。
    結婚すれば強制的に改姓させられる制度だって、改姓させる側は改姓する側の苦しみに気づかない。立場が違うから。自分がその立場になるとは考えもしないから。

    大小なり誰もが自分の中に差別意識は持っている。
    エンパシーをもって見れば、自ずとそれに気づくはず。
    シンパシーじゃない。エンパシーだ。
    この違いもきっとこの本に書いてある。

     “エンパシー”
     “他人の靴を履いてみる”
    今の日本人にこそ必要な感覚だと思う。

  • 著者の言葉を借りれば「目の前に広がっているカオスから目を背けず、前に進むための叡智」が詰まった一冊でした。
    SNSにおける承認欲求についての言及は、ステレオタイプ過ぎるきらいもあるのだが...。自身のエンパシー力の低さを実感した。

  • エッセイ以外は止めておこうと思ったばかりなんだけど、本作の謳い文句、イエローの続編、みたいな感じだったんだもの。と書くのは、やっぱり本書は、著者の近著同様、ニッチな話題の深い論考、という体だったから。特に前半、ひたすら”エンパシー”が掘り下げられていく。とか書きながら、『でもこう書くこと自体、エンパシーを欠く行為かも』って、いったん立ち止まれるようになったことは実は進歩?あまりに繰り返し述べられるから、正直ちょっとげんなりもしたけど、おかげで感情たる”シンパシー”と、能力たる”エンパシー”の違いもそれなりに理解できたし、能力なら伸ばせるよな、と考えられるようになったのも進歩かも。というかそもそも、自分の読書欲求のうちのかなりの部分を、エンパシー入手欲が占めている気もする。是非身につけて伸ばしていきたいぜ、エンパシー能力。

  • 「他人の靴を履く」って? 福岡伸一×ブレイディみかこ:朝日新聞デジタル(有料会員記事)
    https://www.asahi.com/articles/ASMDN52VMMDNUPQJ00T.html

    『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』ブレイディみかこ | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163913926

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      コロナ社会で心が闇落ちする前に…分断と孤立に抗して生き延びるための「アナーキック・エンパシー」とは | 文春オンライン
      https://bu...
      コロナ社会で心が闇落ちする前に…分断と孤立に抗して生き延びるための「アナーキック・エンパシー」とは | 文春オンライン
      https://bunshun.jp/articles/-/47510
      2021/08/04
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      あなたは「自分の靴」を履けていますか? ブレイディみかこと考える、しなやかでやさしい「アナキズム」。 | Vogue Japan
      https...
      あなたは「自分の靴」を履けていますか? ブレイディみかこと考える、しなやかでやさしい「アナキズム」。 | Vogue Japan
      https://www.vogue.co.jp/change/article/anarchic-empathy-brady-mikako-interview
      2021/08/12
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      WEB特集 ブレイディみかこが読み解く「銃後の女性」~エンパシーの搾取 | NHKニュース
      https://www3.nhk.or.jp/n...
      WEB特集 ブレイディみかこが読み解く「銃後の女性」~エンパシーの搾取 | NHKニュース
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210814/k10013196701000.html
      2021/08/15
  • シンパシーとエンパシー。わかっているようで勘違い、捉え違いをしてしまう言葉を理解できた。エンパシーは学び、意識をして身につけることができるスキルであり、
    人には”エンパシーの闇落ち”という脆さ弱さもある。エンパシー×アナーキーではアナーキーとう言葉も改めて理解できた。
    ニーチェ他の思想・考えに触れる点も興味深く読んだが、少し引用が多いからか思ったより読み終わるのに時間がかかった。

  • ブレイディさんの過去作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の中でも出てきたエンパシー(共感)について語られた一冊。エンパシーというのは意見の異なる相手を理解する知的能力のことで、タイトル通り「他者の靴を履く」と表現できる。本書では、エンパシーについて政治・経済・労働・教育など様々な視点から(イギリスや日本の著書を絡めて)語られる。ビジネス本でよくある共感本とはやや異なる内容、わかりにくい部分もあったが概ね理解でき面白かった。

  • ”同情・共感”を意味するシンパシーが、相手の心情と同じベクトルを向くのに対して、”相手の立場・心情に対する理解心”を意味するシンパシーは、決して相手の心情と同じベクトルを向くわけではなく自分とは全く真逆の意見を持つ相手に対してこそ意味を持つ。英国での子育てを綴った前作でエンパシーという概念に興味を抱いた著者が、そのテーマを掘り下げた論考が本書。

    面白くないわけではないのだが、なんだかとっ散らかった印象の本、という感想をストレートに抱いてしまった。前作が英国での子育ての面白さという実体験を主にしたものに対して、本作はある概念を巡る抽象度が高い議論であり、それをうまく消化しきれていない感覚を受けた。例えば、古今東西の様々な著作物からの引用が本書は目立つが、あまりにも引用が多すぎるせいで、何を論じようとしているのかが曖昧になる場面も多い。もう少し地に足の付いた議論の方が、著者には向いているのでは、と思うし、読み手としてはそうしたものをやはり期待してしまうのが正直なところ。

  • ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルーという本でブレディみかこさんのことを知り、子どもとの関わり方にすごく魅力を感じた。視野が広く、謙虚で、あらゆる物事を決めつけずに受け入れて考える姿勢に憧れていた。その根幹にある考えが、他者の靴を履く、いわゆるEmpathyなのだと理解できた。

    Empathyについてはさまざまな人が良いとか悪いとか、いろんな意見をいうけれど、民主主義にも通づるとても重要な能力であり、元来持っているものではなく大人になるにつれて育っていくものだと。

    そう考えると、子育ての中で、自分が正解で自分の価値観を子どもに押し付けるのではなく、小さい頃から子どもの考えを尊重し耳を傾けることがとても大切なのだと改めて感じた。
    これは子どもへの関わり方だけでなく、新人や部下の教育、ひいてはあらゆる人間関係に通づるものなのだろう。

  • ほとんどがエンパシーなんだよなあ?

  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者が、その作品で注目され、日本ではまだ一般的ではない「エンパシー」という言葉について、定義も含め、様々な側面から書いた1冊。
    「自分のはいている靴を脱ぐことができなければ、他者の靴をはくことはできない」という言葉が強く印象に残っている。つまり、自分の地位とかにしがみつく人は他者の立場にたてないということ。アナーキーストであれば完全に自立して地位にしがみつくこともなく、逆説的にエンパシーを持っているというのは興味深い話であった。このコロナの時代だからこそ、書かれている内容もあり、そこが記憶に残った。特にエンパシーがなかったと言われるサッチャーについては、よく知らなかったのだが、サッチャーの行った改革によって失業者は激増し、もちろん良い側面もなかったわけではなかろうが、いまだにイギリスに暗い影を残していると初めて知った。そのサッチャーのやり方を踏襲しようとしている我が国の政治家たち……マジか。イギリス在住の著者が日本について思ったことは、自分にとっては新鮮に感じられた。トランプ元大統領の支持者の多さ、支持者の多くはエンパシーをトランプ元大統領に持っているということについて書かれた部分も興味深いなと思った。
    おばさんをladyを訳すという話は目からウロコ。ちょっと自分の中では結びついてなかった。

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著者プロフィール

ライター・コラムニスト。一九六五年福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校卒。一九九六年から英国ブライトン在住。二〇一七年、『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で第一六回新潮ドキュメント賞を受賞。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』がベストセラーになる。そのほか『ヨーロッパ・コーリング 地べたからのポリティカル・レポート』『労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱』『女たちのテロル』『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』など著書多数。

「2021年 『女たちのポリティクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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