ロータスコンフィデンシャル

  • 文藝春秋 (2021年7月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784163913940

作品紹介・あらすじ

外事一課の倉島は、「ゼロ」の研修帰りのエース公安マン。
ロシア外相が来日し、随行員の行動確認を命じられるが、同時期にベトナム人の殺害事件が発生。
容疑者にロシア人ヴァイオリニストが浮かび上がる。
一方、外事二課で中国担当の盛本もこの事件の情報を集めていることがわかる。
倉島は、ベトナム、ロシア、中国が絡む事件の背景を探るが……。

公安のエース、倉島警部補の活躍を描くシリーズ最新刊!

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは、エース公安マン倉島の成長と葛藤を描いた物語です。導入部から引き込まれ、倉島の慢心や周囲との関係が浮き彫りになります。普段の自分を見失った倉島は、先輩や上司からの指摘を軽視し、結果として信頼を...

感想・レビュー・書評

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  • 公安警察官・倉島警部補シリーズ第六作。

    今回のテーマは初心にかえる、だろうか。
    『ゼロ』の研修を受け『作業班』を率いるリーダーの役目も経験した倉島。白崎から『エースなんだから』と言われる度に謙虚に否定していたが、実際に『慢心』があったようだ。

    ロシア外相が来日中にベトナム人が殺害され、現場近くの防犯カメラに映っていたロシア人ヴァイオリニストが外相の随行員と接触していた可能性がある、という話を公安捜査機動隊の片桐から聞いても受け流してしまう倉島。
    白崎に『どうかしてるぞ』と言われても、『片桐は手柄を立てたいだけ』と取り合わない。

    確かにこれまでの倉島なら、僅かでもロシアに関係する人物や事象なら念のために調べたはず。結果関係なければそれで安心出来るのだから。初めから単なる殺人事件で公安事案とは関係ないと切り捨てるのは彼らしくない。

    結果、一人で調べると言って出ていった白崎は連絡が取れなくなり、慌てて話を聞くことにした別の公安警察官からは『信じられないな』『作業班は、もっと嗅覚が鋭いと思っていた』と呆れられる。
    さらには厳しい公安総務課長から『あなたは作業班に入り、慢心していたのです』と指摘され、頼りの上田係長からは『始末は自分でつけるんだな』と突き放されてしまう。

    パニック寸前の倉島だが、実はそれもこれも上田係長の愛の鞭。上田は安積班シリーズの安積とは違うタイプだが、これまた良い上司だ。

    おかげですっかり目が覚めた倉島はいつも通り公安に敵対心を持っている人たちとも粘り強く交渉し、情報を交換し人員を割いてもらい『作業班』での捜査を進めていく。
    案の定『公安事案』として見る殺人事件は全く違う様相になっていく。

    田端課長率いる捜査本部側が求めているのは殺人犯の『身柄を取る』ための『確証』。だが『なかなか確証が入手できないのが公安事案の特徴』でもある。
    倉島ら公安警察官が求めているのは『事件の背景』であり、日本国内で『何やらきな臭いことをやっている』『その落とし所』を見つけること。彼らにとってそれが日本にとっての重要事項であるかどうかの『根拠』こそが大切なことなのだ。

    このシリーズでの公安警察は暗殺部隊などという物騒な組織も人間もない。彼らの武器は情報であり、その情報をどう『外交カード』に生かすかということ。
    だがロシア側はそうではない。倉島の情報源・コソラポフによれば『ロシア人は怨みを必ず晴らす』とのこと。

    いまや数えきれないほどの国の人々が暮らしている日本。中には初めから邪な考えをもって入国して来ている人間も、邪な考えで人間を日本へ送り出している国もある中で、『弱腰』な日本なりの闘い方を倉島も上田も公安総務課の佐久良も必死に考えている。

    伊藤の不気味さが、倉島とは全く違うタイプだけれど実に公安向き。彼は『作業班』を率いるリーダータイプではないけれど、凄腕の諜報員になりそう。
    白崎は長年の刑事経験による刑事目線も交えた捜査が出来るし、片桐や松島はひたむきに、機動隊の副隊長・稲葉は面倒な上司の扱い方を心得ているし、盛本は協力者を大切にしているし、それぞれタイプが違って面白い。

    それにしても現実世界に倉島がいたら、現在のこの事態をどう見ているのだろう。コソラポフに何を言うのか。

    ※シリーズ作品
    (★はレビュー登録あり)
    ①「曙光の街」
    ②「百夜街道」
    ③「凍土の密約」
    ④「アクティブメジャーズ」★
    ⑤「防諜捜査」★
    ⑥「ロータスコンフィデンシャル」本作★

  • いやー導入部が素晴らしいです

    そしてこの導入部は倉島警部補シリーズじゃないとできないな〜

    「作業」を任されるようになり、それなりに結果も残している倉島ですが、いつの間にか慢心により自分を見失い普段出来ていたことができなくなったり、周りを軽く見るようになってしまいます
    なんとか気付かせてくれようとする先輩に対しても見下して重く受け止めようとはしません
    そのうちに見かねた上司にガツーンとやられてしまいます

    もう、本当にイライラさせられました
    何やってんだよ倉島!お前そんなやつじゃないじゃん!思い出せ!あの生死をかけた闘いを!

    もう完全に今野敏さんの手のひらw

    んでも、ガツーンとやられた倉島はちゃんと気付いて周りに謝罪し、信頼を取り戻そうとこれまで以上に頑張り事件を解決に導くのでした

    めでたしめでたし

  • 外事一課の倉島は、「ゼロ」の研修帰りのエース公安マン。
    ロシア外相が来日し、随行員の行動確認を命じられるが、同時期にベトナム人の殺害事件が発生。
    容疑者にロシア人ヴァイオリニストが浮かび上がる。
    一方、外事二課で中国担当の盛本もこの事件の情報を集めていることがわかる。
    倉島は、ベトナム、ロシア、中国が絡む事件の背景を探るが……。


    久しぶりの倉島シリーズ。
    読み始めてから何かいつもと違う違和感が…
    ん〜んっ… なんだろう?


    そうだ!倉島だっ!
    全くやる気が感じられない。いつもの倉島と違う。
    一言で「ポンコツ」。エースがこれでいいのかって感じ。上司にも愛想を尽かされるし…。

    まぁ、最終的には信頼を取り戻しいつもの倉島に戻り、事件も無事解決するから良しだけどね。

    今回も倉島の作業の手伝いをした伊藤はやっぱり役に立つし、頼りがいがあるね。
    また、作品の枠を超えて田端課長が登場したのは何か嬉しいですね。


  • 面白かったが、色々と疑問もあった。いくら情報源とはいっても、ロシア大使館のコソラポフがあんなに情報をくれるものなのかな…とか、公安の事案が意外とスムーズに解決するものなのか…。しかし、国を守るために頑張ってくれている公安の方に感謝。倉島のことを年下だろうが評価している白崎、頼もしい稲葉副隊長など魅力的な登場人物がいて顔がゆるんだ。

  • テンポよく読めて面白かったです。倉島警部補の仕事ぶりと彼を取り巻く個性豊かな人物がチームワークで難局を乗り越える様子が淡々と描かれています。フィクションですが、倉島警部補の仕事ぶりはとても参考になります。

  • 公安の倉島を主人公にしたシリーズの6作目。
    今野敏のシリーズ物は、ほとんどが年数を重ね、主人公が管理職になってしまい、それぞれのシリーズの色が薄くなってしまってきているが、この倉島のシリーズは珍しく公安ものであるせいか、主人公が自ら現場で活躍するのが楽しみなシリーズ。
    しかし、「ゼロ」の研修から戻った倉島は何だか冴えない。
    ベトナム人が殺害された事件が外事に関係しているのではないかと疑う部下や同僚の声に一切耳を傾けず、中途半端な態度を取っていた倉島は、上司から注意を受ける。
    一方でベトナム人の殺害に自分が担当しているロシアと関係していると独自で捜査をしていた倉島の同僚の白崎の消息が分からなくなる。
    白崎の消息を追っているうちに、事の重大さに気付いた倉島だったが、白崎は見つかるがマル対であったロシア人が殺害されてしまう。
    ベトナム人の殺害と、ロシア人の殺害、そこに中国が対象の外事二課も絡んで来て、やっと本来の公安小説らしくなってくるが、倉島自体が捜査する場面はかなり減っており、やはり今までのような派手さはない。
    各国の諜報合戦も何だかイマイチ盛り上がらないまま終わった感も否めず…楽しみにしていた分、ちょっと残念。

  • 倉島シリーズ第6弾。派手さはあまりないけど今回も楽しめた。自分の慢心によって信頼を失いかけたがそこから間違いを認めて謙虚さを取り戻し捜査に邁進する姿勢が清々しくて心地よかった。事件の謎も自分から情報を取りつつも関係部署とうまく連絡を取り合うところはリーダーに相応しい。

  • 読み応えのあるスパイ公安モノ。このテの話は裏の裏がありすぎて読者まで混乱させることも少なくないが本作はその裏加減が絶妙だった。登場人物のキャラも出てきたので続編にも期待。

  • <津>
    今作は本の中身に思い切り触れた読書感想文にする。けど安心召され,ネタバレになる様な無粋な事は書かないから。

    本書の前半にだけよく出てきた言葉 ”インテリジェンス” が凄く気になる。 調べると ”知能 知性 理解力” などと云う意味。僕もなんとなくそういう意味だと思っていた。が,敏之介殿は一体にどういう意味で使っているのだろう。僕にはちょっと理解できない。例えば一例を本文から引くと『情報収集活動の事を,公安では「作業」と呼ぶ。その言葉は特別な意味を持っている。命がけで行うインテリジェンスのことなのだ。』さっぱり分からない。また途中で全然使わなくなってしまったのも分からない。おかげで違和感は消えたが。
    そして本書題名 ”ロータスコンフィデンシャル” については端からもう全然手掛かりなしである。今は時間が無くこれ以上調べられないが,いづれ詳らかにしてみせる・・・ぜ!できたらいいな(笑う)

    敏乃介殿の警察世界物語は全部つながっている。いつからこういうまあ総合世界的繋がり物語達になったのかは分からない。でも警察の要人には必ず実物が居る。捜査一課長も現物がいるし刑事部長だってそうだ。そして多分その本物達は敏乃介殿の架空物語より概ね早く部署移動になり変わる。その現実程にコロコロと人が変わっていたのではストーリー展開や説明が大変なので今野敏之介殿の警察世界はこれでいいのだ。(再び笑う)

    さて,本書を今野敏之介殿が執筆していた時期からすると途中でコロナバイラス禍津蔓延があったはずだ。でもしかし今野敏之丞殿はその事には一切触れてはいない。おそらくストーリーの構成上コロナバイラス禍津社会を前提条件にすると成り立たなくなってしまうのだろう。(例えば『捜査本部』なんてのはどうなる? 密集とか密接な状態にならざるを得ないよな。さあどうだ!)
    「書き始めた時はまだコロナじゃなかった」というのはまあ正当な理由だろう。それで納得できるしそれ以上追及するのは詮無き事だろう。でも,逃げている,とまでは言わないが,いつかは向き合わなければならない現実だ,と言う事を敏さんには今から考えておいて欲しい。
    さて次作はどうであろうか。ま,面白ければ何でもありですので,敏之介殿よろしくお願いします。すまぬ。

  • 倉島警部補シリーズ第6弾で今回はベトナム、ロシア、中国が絡む殺人の話。倉島の行動や思考がエースとして物足りなく、いわゆる公安ものとしてはやや不満足であった。途中で犯人もわかってしまいどんでん返し感もほとんどなかった。好きなシリーズではあるのでやや甘めに3.5

  • 今野さんの小説はヒーロー視点のものが多いけど、たいていの場合は回りからの評価は高いのに、自己評価が低い系。今回は珍しく「増長している」主人公でした。いつもながら時間、ページ数を感じさせない作品でした。

  • 倉島シリーズ久々の新刊。公安ものは刑事小説とはまたちがった面白さ(刑事もののときは、ときに公安が悪者のように描かれることがありますが)。

    物語序盤、倉島のちょっとした感覚のずれからあわや、という展開がありつつも、ラストは容疑者を特定するあたり、さすがです。

  • 公安 外事一課の倉島警部補シリーズ第6弾。

    珍しく主人公が慢心していて、周りから指摘や注意、さらには制裁まで加えられてしまいます。
    ただ、立ち直ったらさすがの急転直下の事件解決でした。
    以下はメッチャネタバレなので要注意です。

    ロシア、ベトナム、中国が絡む事件ですが、外事二課のSらしき中国人が直接犯罪を犯すなんてありえない。
    主人公サイドでいえばロシアのSだが、そんなことするとは思えない。
    自分としてはむしろ外事二課の刑事が怪しいと思っていたのに、どんでん返しにもなってないので残念でした。

  • 追っかけているシリーズが多い今野敏の作品の中でも、隠蔽捜査シリーズの次に好きな倉島警部補シリーズ第6弾。公安もの好きには堪らない。

    今回の倉島はいつもと違う。ゼロ出身の公安のエースとして抜群の嗅覚と行動力で圧倒的な信頼感を勝ち得てきた彼が、まさかの慢心?
    同僚の刑事出身の先輩を侮り、後輩の進言を蔑ろにし、何かいつもと違って定時に帰るお役人のような有様にイライラが募る。

    そのために各方面から課される罰ゲームのような仕打ち。信頼って築き上げるのは大変だけど、失うのは一瞬なのよね〜。
    それでも最後には自ら反省し、いつもの姿を取り戻していく姿に安堵。
    それにしても、コンフィデンシャルな内容を仲間とはいえベラベラ喋り過ぎな気がするのは私だけ?公安っぽくない。

    次はいつものキレッキレの倉島に会いたいものです。

  • 2021/08/02 86読了

  • 今野敏著作の
    公安警察倉島のシリーズ
    オーディブルで一作目から聞いてたが
    今作以降まだオーディブル化されてないので
    本で読了
    読みやすいし面白い
    あと一冊あるのでそちらも楽しみ

  • 現在出てる中では最新の6巻目。最初の頃の派手さに比べて地味だし、多くの皆さんが書いてるように倉島さん、凡庸。伊藤の方が主役だね。さて、ウクライナ侵攻後のロシアとの戦いの最新刊は出ないのかな?

  • 序盤は今までの倉島と少し違う冷めた感じを受けました。しかし、中盤からはいつもの切れを取り戻したように思います。公安の仕事は地味ですが、スケールは大きいなあと毎度思います。

  • 私の好きな倉島公安シリーズ。
    なはずなのに前半は倉島がやる気がないように思えてイライラしながら読みました。
    後半はちゃんと盛り返して良かった。
    ロシアとウクライナが今取り沙汰されてるだけに
    なんかロシアが関わる事件ってだけで心がざわついた。

  • 倉島達夫は、公安部外事一課第五係所属の公安マンだ。そんな彼に片桐秀一からベトナム人が殺害された事件の被疑者がロシア人かもと連絡があったが不確かな情報だと真剣に取り組まなかったが、そん話を聞いた同じ課の白崎敬は気になるので調査したが、音信不通になり、倉島はそこで自分自身が慢心していた事に気付く。そして、無事戻った白崎らと共に作業を行う事になった。公安が出てくると政治絡みな事件なので緊迫した中で、事件解決の為、他の部署と連携しながら事件が解決して安心した。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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