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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784163914107
作品紹介・あらすじ
史上初の直木賞&高校生直木賞をW受賞した『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』から2年。直木賞受賞第一作にして、『渦』の待望の続編がついに刊行。
江戸時代も半ばを過ぎた道頓堀には芝居小屋がひしめき合っていた。
近頃は歌舞伎芝居に押され、往時の勢いはないものの、「道頓堀には、お人形さんがいてこそ、や」
人形浄瑠璃に魅せられ、人形浄瑠璃のために生きた人々の喜怒哀楽と浮き沈み、せわしなくも愛しい人間模様をいきいきと描く群像時代小説。
感想・レビュー・書評
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妹背山婦女庭訓 シリーズ2
近松半二が鬼籍に入り、操浄瑠璃が、ますます尻すぼみになっていた。
それでも、浄瑠璃に魅せられた男たちが、ひたむきに、浄瑠璃に向き合う。
耳鳥斎が
近松徳三が
十返舎一九が
菅専助が
武内確斎が
畠中銅脈がいた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』の続編。語り手が異なる6つの話から構成されており、前作のスピンオフみたいなもんかな?と思いながら読み進めたのですが、全体を貫くしっかりとした筋があり、本作の真の主人公が見えてくる中盤あたりから先が気になって目が離せなくなりました。めちゃくちゃ面白かったです。
本作単独でも十二分に面白いのですが、前作を先に読むことで、登場人物への愛着が強くなります。順に読むのがおすすめです。 -
直木賞受賞『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』の続編にあたる。半二の娘のおきみや芝居小屋がひしめく道頓堀で文楽を愛する人々たちが描かれている。
専助は、きっと、どないかしてくれはりますやろ。あとは野となれ山となれ、や。『まあ、ええか。まあ、ええわ。花楓都模様、この芝居の幕はきっと開いてくれはりますやろ。愉快やなぁ、愉快や愉快や。まったく愉快な浄瑠璃地獄や。明るい闇に専助は包まれていった』と死の間際まで戯作に悩む。また一人は、“妹背山婦女庭訓”を見て人生を〝狂わされた〟平三郎。造り酒屋の跡継ぎだったが、稽古に通うようになり彼の義太夫節はプロ並みになり、寂物(さびもの)屋を開いて扇絵を売っているうちに耳鳥斎(にちょうさい)の画号を持つ絵師に。ほかにも、浄瑠璃作者を志して半二に弟子入りし、のちに歌舞伎作者となった徳蔵や、浄瑠璃作者から戯作者に転向して十返舎一九(じっぺんしゃいっく)として名をはせた余七など。
やはり、最後まで気になったのは半二の娘のおきみだった。近松加作はおきみしかいないだろう。
文楽に惹きつけられた彼らは地獄と喘ぎながらもその道を登っていくのが羨ましい。『この世の中にはなんとさまざまな人が生きているのだろうと、平三郎は感慨に浸り喜びにふるえる。さまざまな人がさまざまな思惑で、様々な事情で世の中を動き回り、こちやこちゃと生きている。平三郎は、この世は戯場だと思っている。あの世から眺めたら阿呆みたいなもんやけど、それなりの役回りで皆、一生をここで過ごしとるんやなと思って眺めている。かわいいもんやと思うのだった。なんちゅうかわいらしい生き物やろうか』。日々、こんなふうな視点で暮らせたらと羨望したくなる。
前作から受け継がれている小気味いいテンポと独特のあっけらかんさに、今回も魅了された。 -
直木賞の後日談みたいで正直読むのが怖かった。が、また新たな江戸期の文化を蘇らせてくれた。誰もが知っている戯作者の面々。涙なくしては読めなかった。好みによるけど、江戸期の文化に興味あるなら是非とお勧めしたい。
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浄瑠璃作者・近松半二の娘など浄瑠璃に魅せられた人達の縁が結ばれ、人形浄瑠璃のために生きていく喜怒哀楽と浮き沈みが生き生きと描かれていた。古典芸能の世界により興味が湧く。おきみちゃんのサバサバした感じが気持ちよかった。
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操浄瑠璃作者と歌舞伎芝居作者と黄表紙の作者と、自分の書きたいもの、世に出したいのにどれに乗せて発表するか悩む。同じに見えて微妙に違い、小屋元とのご縁もあって水のごとく自然と落ち着く処へと流れていく。
芸事にとって、なんの舞台に上がるかは非常に大事なことです。さらに作者にとって一番大切なことは、何を描くか、何を語りたいかで、ここでは、種、種、種と言われています。
芸事って、常に頭の中にあって、芽が出るのを、水をまき、日をあて、ひたすら待つ・・・この辛抱、根気、忍耐、が肝心なんですな。 -
『渦』の続編。大阪弁の語り口が心地よく、するすると読めてしまう。浄瑠璃の魅力、人間模様、生き方など、肩肘張らずに学び楽しみ味わえる。
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「渦」より読みやすかった。
登場人物に親しみが持てる。 -
操浄瑠璃も歌舞伎の舞台を観たくなる物語。
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人形浄瑠璃の世界に縁ある人々のとても人間くさい生き様が、飄々とした文体で描かれた、とても「粋な」小説でした。
魅せられるように浄瑠璃の世界に引き込まれていく人たち、訳あって離れていった人たち、浄瑠璃の世界のそばで芸を磨いていく人たち。
彼ら彼女らはそれぞれ気ままに、けれどきりっと自分たちの己を貫いて、世間の渦をうまく乗りこなしていく。とびきり秀才でなくとも、魅かれる長所ばかりでなくとも、憎めなく質感のある登場人物たちからは、ふと生活音を漏れ聞くような、温度のある身近さを感じていきました。
うまく実らなかった情の種もありましたが、そうであっても彼と彼女は末永く互いを大事に思って生きていくのだろう、ちらりと切なさを感じつつもそう思えました。
なにかに打ち込む日々はうつくしい。それが芸の極みであっても、幼子の成長であっても、なにであっても。
一日一日ちいさな渦に踏み込んでいく人々の小さなかけがえのない勇ましさを感じたお話でした。 -
江戸中期の大坂の人形浄瑠璃作家・近松半二の生涯を描いた直木賞受賞作『渦』の続編、というかスピンアウトもの。
各短編で主人公(視点)を変えて、浄瑠璃や歌舞伎に魅せられのめり込んで行く人々が描かれます。
絵にも浄瑠璃の語りにも才を持ちながらプロ化せず旦那芸として生き切る"松へ"こと耳鳥斎(にちょうさい)を描いた「水や空」。半二の弟子ながら歌舞伎作家に転向して才を伸ばす徳蔵(後の近松徳三)の「種」。一度は引退したものの次世代育成のために復帰する菅専助の「浄瑠璃地獄」。その専助の弟子ながら狷介さゆえに大阪でつまはじきされ、江戸で戯作者として成功する余七(十辺舎一九)の「月かさね」。おきみや専助の助けを受け人形浄瑠璃の作家として成功して行く柳(近松やなぎ)の「縁の糸」。そして大団円の「硯」。全編を通して絡んで来る、掴み切れない不思議な魅力を持つ半二の娘・おきみ(未完の半二作品を完成させた近松加作であるという設定)も魅力的です
『渦』を書く時に余りに魅力的な脇役が出来、『渦』の完成後も著者の中で彼らが蠢き続けた為に、書かれた作品だと思います。
『渦』と同じく全編大阪弁。水面を泳ぐ蛇のように滑らかに突き進む文体はますます磨きがかかって見事です。短編の為か"軽み"が増し、晴れ晴れとした自己肯定感も有って『渦』より好きかな。 -
直木賞受賞作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』の続編。
前作は、歌舞伎が台頭してきつつある時代の操浄瑠璃(あやつりじょうるり:人形浄瑠璃、文楽のこと)作者・近松半二を主人公とした作品だった。
半二が、『妹背山女庭訓』という、ある種、バケモノのような作品で、浄瑠璃の巻き返しに一役買うまでを描く。
本作では、半二ももはや晩年を迎えている。物語の主眼はむしろ、半二亡き後の世界となる。
半二の最晩年の傑作に『伊賀越道中双六』という作品がある。全十段で、渡辺数馬が姉婿・荒木又右衛門の助けを借りた実際の仇討を脚色したものである。伊賀を越える道中を双六に見立てて、ストーリーが進んでいく。仇討本懐がゴール=「あがり」である。
半二は実は、執筆途中に世を去っている。後を引き継ぎ、作品を完成させたのが近松加作。この人物は半二以上に謎の多い人物である。さて、これが誰だったのか、というのが本作の1つの目玉である。
著者インタビューによれば、前作で完了したと思っていた人形浄瑠璃の話だが、頭の中からなかなか彼らのことが去らない。けりをつけるためにすべて書ききろうと臨んだのが本作だという。
戯画作者の耳鳥斎(にちょうさい)、浄瑠璃から歌舞伎作者に転向した近松徳蔵、半二と同年代の菅専助、のちに意外な人物として戯作本で頭角を現す余七、徐々に力をつけていく柳太郎など、登場人物の多くは実在の人物で、前作での著者の下調べが生かされた形である。
それぞれ、生き生きとした人物像に仕上げられてはいる。
が、知名度が低い分、読者には「え、誰?」という戸惑いが生じる。取り上げられる数々の作品も物語を彩るが、文楽や歌舞伎をある程度知っていないと、読み手側としては少々厳しい。
一定期間、彼らを追い続けてきた著者には近しい存在だろうが、そうでないと、浄瑠璃に精通している読み手でないと、置いてきぼりをくらうのではないか。
浄瑠璃好きな人だけを想定読者にしているのならともかく、ここはもう少し、橋渡し的な工夫が欲しかったところだろう。
とはいえ、物語の軸はなかなか魅力的なストーリーラインなのである。
半二には史実の上でも娘が1人いる。本作ではおきみと呼ぶ。人物詳細についてはほとんど知られていないのだが、著者はこのおきみを、優れた浄瑠璃作者の父の血を引き、何より浄瑠璃が大好きで、見る目が肥えた、かつ一風変わった自立心を持つ娘として生き生きと描く。
葛飾北斎の娘の応為を思い出させるような。しなやかでものに動じない一個の存在として。
彼女が、史実の上でもある程度知られている登場人物たちをつなぐ鍵となる。
半二が近松門左衛門から受け継いだ形見の品が時を経て、次の世代へと渡される。それはまさに「結」というべきもので、もちろん、品物とともに渡されるのは、浄瑠璃という芸能の「魂」そのものともいえるわけである。そこにおきみが深く絡んでくる。
だが、全体に、魅力的な人物は多々いるものの、著者の熱量が少々空回りしているように感じる。
物語に入り込めれば楽しいのだが、そこまでの敷居が若干高いように思う。
浄瑠璃という芸能自体の魅力を語るのであれば、浄瑠璃初心者でもうならせるような、もうひと工夫が欲しかった。そう思うのはないものねだりだろうか。 -
渦の続編。
渦ほどの熱量はないが、色んな人達が思いを繋いでいく感じ。縁の糸を結んでゆく。「結」という表題が言い得て妙。
浄瑠璃をますます観てみたい気持ちが強くなる。 -
2022.12.25
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直木賞受賞作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』のスピンアウトと行った趣の連作短編小説.戯画作家の耳鳥斎と近松半二の娘おきみが進行役.「妹背山婦女庭訓」の著者,近松半二が亡くなってからの物語.人形浄瑠璃は少しづつ斜陽に向かい,歌舞伎が隆盛をむかえるという時代が背景である.
たぶん,文楽を見たことがなくても楽しめる佳作.江戸時代中期の上方の商人を中心とした文化の雰囲気が伝わってくる. -
続きはないなぁと思っていた話に続編があって嬉しい。「渦」で中心となった近松半二の次世代の話。操浄瑠璃の魅力に取り憑かれて、浄瑠璃地獄だと言いながらも、それなり楽しく生きている人たちの話。歌舞伎芝居や読本があり、素人義太夫や浮世絵があって、町民文化が盛りの、読んでいるだけで楽しくなってくる時代の話がまた読めて良かった。もちろん、のんびり楽しんでいるのは読者の私だけで、登場人物は、芸の道に苦しんでいる。
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半二の熱い人生も良かったけれど、おきみの飄々としながらも常に浄瑠璃と関わっている人生も良いなぁ(*´ー`*)おきみの回りの人達の方が熱いのも面白い(^^;)
著者プロフィール
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