TOKYO REDUX 下山迷宮

  • 文藝春秋 (2021年8月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (440ページ) / ISBN・EAN: 9784163914237

作品紹介・あらすじ

 横山秀夫氏、感嘆。

やられた。英国人作家が書いた「東京」 に迷い込み、気がつけば、心はあらかた 「占領」 されていた。
すこぶる付きの闇と謎と情念。
しかも、 小説としてべらぼうに面白い。
――横山秀夫 (作家)

1949年、7月。GHQ占領下の東京で、国鉄総裁が出勤途中に姿を消し、深夜の鉄路で発見された。列車にはねられた無残な轢断死体として――。

戦後最大の怪事件、「下山事件」。その闇にイギリス作家が挑む未曾有のミステリー大作。

下山国鉄総裁、変死体で発見。おりしも国鉄は、GHQの方針により大規模な人員整理に着手したばかりで、労働組合や左翼分子による犯行が疑われた。

GHQ上層部のウィロビーらの命で捜査を担当することになったGHQ捜査官スウィーニーは、裏社会とのコネを手がかりに占領都市の暗部へと潜ってゆく。総裁の死は他殺か自殺か。警視庁捜査一課と捜査二課が対立し、マスコミや世論も揺れる中、スウィーニーの捜査線上にGHQの謀略機関〈本郷ハウス〉の影が見え隠れし、彼は徐々に戦後の〝黒い霧〟に呑み込まれてゆく……。

1964年、6月。初のオリンピックを目前にする東京で、下山事件に関する作品の取材を進めていた探偵小説作家・黒田浪漫が失踪した。編集者を名乗る男の依頼で黒田の行方を追うことになったのは元刑事の私立探偵・室田。だが消えた作家の足跡を追ううちに、室田は東京の暗い半面にひそむ黒い黒い迷宮に少しずつ踏み込んでゆく……。

そして1988年、12月。病床に臥せる天皇の容態を憂えて沈む東京に、翻訳家ライケンバックはいた。かつてCIA工作員として日本に派遣され、やがて日本文学の研究者として東京に住むことになったライケンバックのもとに、戦後の忌まわしい事件の亡霊がやってきた。彼の運命を狂わせた下山事件。その亡霊が、今、ここ、昭和の最後の年に。あのとき、いまだ復興していない占領下の東京で何があったのか――?

あの占領下の黒い霧を清算するときが来た。

戦後最大の怪事件「下山事件」にブリティッシュ・ノワールの鬼才が挑む。あの〝黒い霧〟を追い、狂わされ、追いつめられ、破滅していった者たちの姿を描く切迫の新文体。

もはや読むべき「下山事件」はないと思っていた。挑んだ筆者に敬意を表したい。
異形の「シモヤマ・ケース」をありがとう。(横山秀夫)

犯罪小説史に異形の刻印を黒々と刻む〈東京三部作〉、完結編にして最高傑作の誕生。

みんなの感想まとめ

戦後最大の怪事件「下山事件」をテーマに、東京の闇に迫る異色のミステリーが描かれています。物語は三部構成で、GHQの捜査官や探偵作家の視点から展開され、外国人作家による日本の事件の新たな解釈が魅力的です...

感想・レビュー・書評

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  • 下山事件といえば日本史の教科書にも載っているような有名な事件。不謹慎だが、あまりにドラマチックな謎のため、フィクション、ノンフィクション問わず、たくさんの作品が発表されてきた。ご多分に洩れず、私もそれらの数冊を手にし、ああでもない、こうでもないと、いろいろ想像を巡らせたクチである。

    本書はその下山事件をテーマに、戦後日本の、東京の闇に潜っていく。3部構成となっていて、おもしろいのは第一部がGHQの捜査官ハリーの視点で語られること。外国人を主人公に下山事件を扱った作品を私は寡聞にして知らない。

    第二部には江戸川乱歩がモデルと思われる探偵作家も登場する。実際、事件後、乱歩はじめ当時の探偵作家たちが下山事件を推理した文章をこぞって発表していることを興味深く思い出した。しかし、これを海外の作家が書いたとは、驚きでしかない。

    ただ、とても評価の高い本作だが、私は読むのに難儀した。文章は「、」で延々と続けられ、「。」で区切られることがあまりない。会話も「 」で括られることなく、地の文に組み込まれる。文章が途切れることなく続くので主語も判然とせず、また場面も唐突に変わる。原文は読んでないが、おそらく、これに近い独特の文体で、訳者の方が工夫を凝らしたのだろう。それも含めて評価が高いのだが、私には読みにくかった。

    正直、もっとノンフィクション寄りの内容かと思っていた。ただタイトルにある迷宮感は大いに味わえた。陶然と、惑わされた。本作は〈東京三部作〉の掉尾だとか。前のニ部作は…どうしよう。

  • 初めて出会う文体。点で動く視点が畳み掛けてくる。文体に叙情性はないのになぜどろっとした暗さがあるんだろう。ストーリーに入り込めず半分で脱落。長い。

  • 下山事件,および,それに翻弄される人々を描く.
    下山事件をリアルタイムで描く第一部,その約20年後を描く第二部,そして昭和天皇の崩御が近い1988年を描く第三部.全く関係のない出来事を描くようで,実は少しずつ登場人物が共通しており,ドロドロとしたTokyoの暗部が40年の時を超えてつながる.

  • Tokyo Redux
    David Peace, 2021
    下山迷宮

    英国人の描く戦後ゴタゴタの東京で実際に起きた未解決殺人事件が土台のアメリカンなハードボイルド。あなたも下山事件に取り憑かれます

    全文はブログで
    www.akapannotes.com

  • 消化不良。どうしても、「ミステリとして」読めなかった。
    前提知識が足りんかね。
    「闇の奥」読んだうえで、もう一度第1作目から読み直すかな。

  • 読みにくいなあ

  • なんか、大変な作品。
    文体も大仰だし、かなりおどろおどろしい。
    エルロイ、乱歩のイギリス人版。

  • 下山事件は中学生の時、松本清張の「日本の黒い霧」になぜかハマってしまい、戦後日本のドロドロの原形質に触れた気がして、ずっと心の底に沈殿している謎でした。時々、この事件、出版物として目の前に現れるのですが、なぜか積読のままに放置してしまっています。例えば柴田哲孝「下山事件」もその一冊。「日本の黒い霧」のインパクトが凄かったからかな…そんな中、あるTV番組でで直木賞を取った佐藤究が超おススメしていたので、「テスカポリトカ」よりも先に読んでしまいました。たぶん、真相解明の本ではなく、フィクションだったので気易かったのかもしれません。でも、1949年、1964年、1989年、つまり事件発生、一回目の東京オリンピック、昭和天皇崩御、昭和の歴史の特異点で蘇る下山事件は、戦後日本の奥底を流れる誰も見ることのできない地下底流と化している気がします。その闇への好奇心はまったくリアルタイムでもなんでもない自分の深層にも入り込んでいる気がして、それが怖くなりました。本書に描かれる下山事件に関わった人々のモヤモヤ感への共鳴が、ちょっとだけ起こってしまいました。この小説をデイヴィッド・ピースという英国人が書いていることにも驚愕。出口のない気持ち悪さが、ノワールと言われるジャンルなのであると思いますが、訳者のあとがきで語られる日本文学や歴史上の人物、さらには自著も巻き込んだ気持ちいいまでの緻密な構成…この作者の只者でなさ感にさらにびっくり。今回、初めての作家ですが、これは本書を完結編とする三部作の第一作「TOKYO YEAR ZERO」第二作「占領都市」にも遡らなくちゃいけない、と思いました。また積読?

  • 2022/01/10 20:48
    読了 図書館借り出し

    下山事件という事件があったことは多分日本史にも出てきたように思うから、知らなかった訳ではないのだが、帝銀事件の方が馴染みがあったくらい、この事件については良く知らなかった。
    かなり独特の文体で、結局のところは自殺ではなく他殺なんだなと思わせるストーリーなんだが、なんというか、いわゆるノワール調とでも言おうか。
    途中途中で、あれ、俺は今なんの話を読んでいるんだったっけと思ってしまうことしばしだったんだけど、そう思うくらいのタイミングでちゃんと本筋に戻ってくるから、結構分厚かった割には、また、翻訳物だった割には、結構読みやすかった方かもしれない。
    ただ、この本は三部作の最終なのだそうだが、TOKYO YEAR ZERO(小平事件)、占領都市(帝銀事件)を読むかどうかは、わからないかな。

  •  国鉄三大事件のひとつ、初代国鉄総裁の下山定則の轢断死体が発見されたが他殺説、自殺説まみえて解決に至らなかった下山事件を扱った小説。
     なのだが、昭和の東京で起きた事件を扱った三部作の最後ということは知らず、最後から読むことになってしまった。

     三章構成になっている。
     第一章の語り手はGHQの情報将校により、事件前、事件発生、そして事件後が語られる。
     そして第二章の語り手は元刑事の探偵、下山事件を追っていた作家の行方を追い、事件から20年後の東京が語られる。
     第三章は下山事件発生当時に対日工作のため来日し、現在は翻訳家のアメリカ人が、昭和天皇崩御の昭和の終わりとともに下山事件の真相にたどり着く。

     二段組でページ数450弱。
     気合い入れて読まなきゃ終わらないのに、まぁ文体が重苦しい。
     繰り返しの描写表現からは、東京の昭和という時代と事件の重苦しさが伝わってくるが、頭に入ってこない。
     特に第三章は、何が何やら。。。

     下山事件を題材にしているが、各章の語り手たちには下山事件を通して、更に二重三重の事件構造が重なっているから、話がややこしくなってくる。
     下山事件そのものよりも、昭和という時代の重厚感を感じる一冊だった。

     古い町並みを残すロンドンやパリ、アメリカンドリームと近代が共存するニューヨーク。
     世界の大都市と比較して、東京には一貫性のある街がない。
     明治維新、関東大震災、太平洋戦争、高度経済成長、そのたびにスクラップビルドを繰り返してきた東京。
     層が折り重なった歴史は可視化されず、ふとその片鱗を街にのぞかせる。
     
     本書の最終章が昭和天皇の崩御で締めくくられるのは、昭和の終わりの象徴に他ならない。

  • 一つの高みに達した感。

  • GHQ占領下の1949年に国鉄総裁であった下山定則が失踪し、礫死体で見つかり未だに未解決の下山事件。数万人規模のリストラを目前に控えて労組などから脅迫されていたことから、そうした心労が苦になっての自殺説、共産党などによる他殺説、ひいては”反共主義”を日本でも広げるためにGHQが起こした陰謀論的な他殺説まで、この事件は昭和史に残るミステリーの1つとなっている。

    そんな下山事件を題材に、日本に在住する英国人作家が英語で描いた犯罪ノワールとも呼ぶべき小説が本作である。事件が起こった1949年から、昭和天皇が崩御する1989年まで、幾つかの時代を舞台としながら、その死は自殺だったのか、他殺だったのすれば首謀者は誰なのかを実在の人物たちを作品内で動かしていきながら暴いていく。

    著者が日本人ではないということだからだろうか、占領下の日本や、昭和天皇の崩御などについても、一切の感傷を挟むことなく極めてドライに描かれており、その雰囲気が犯罪ノワールである本作には非常にフィットしている。日本人の作家であればこうはならなかっただろうし、まるで東京という既知の街が見知らぬところであるかのように見えてくるのも面白い。

    本書は趣向は違えど、ノワール小説という点で趣味を同じくする『テスカトリポカ』で直木賞を受賞した佐藤究が絶賛していたことから手に取った。犯罪文学、ミステリーなどが好きな人であれば間違いなく楽しめる驚愕の一冊。

  • 【ノワールの鬼才が挑む戦後最大の怪事件「下山事件」】一九四九年、国鉄総裁が轢断死体で発見された。謎を追うGHQ捜査官に戦後日本の闇が迫る。英国の鬼才が昭和の魔を描く戦慄の傑作。

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