透明な螺旋

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 643
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914244

作品紹介・あらすじ

シリーズ第十弾。最新長編。
今、明かされる「ガリレオの真実」。

房総沖で男性の銃殺遺体が見つかった。
失踪した恋人の行方をたどると、関係者として天才物理学者の名が浮上した。
警視庁の刑事・草薙は、横須賀の両親のもとで過ごす湯川学を訪ねる。

「愛する人を守ることは罪なのか」
ガリレオシリーズ最大の秘密が明かされる。

感想・レビュー・書評

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  • 東野圭吾さんのガリレオシリーズ最新話。
    やっぱり東野さんは話が面白いと思いました。
    毎回、読ませます。
    安定の面白さです。

    生花店に勤める島内園香23歳の同棲中の恋人、上辻亮太33歳、映像ディレクターが溺死体で見つかります。
    園香は上辻の捜索願いを出した後、行方不明になっています。
    そして草薙と内海が動き出します。

    園香は上辻からDV被害を受けていましたが、アリバイがあります。
    園香の母の千鶴子は40代でくも膜下出血で亡くなっていて千鶴子はシングルマザーで園香を育て、自らも『あさかげ園』という養護施設で育っています。

    園香は千鶴子が昔、世話になった70代の女性松永奈江という絵本作家と一緒にいるのではないかと草薙らは憶測します。
    そして、奈江とガリレオこと湯川学との過去の繋がりを知り、湯川に白羽の矢をたてようとしますが、湯川は連絡をとろうとはしません。

    そして、もう一人草薙の知るところの『ボウム』というバーの秀美ママ70歳が園香をホステスとしてスカウトしていたという話を知ると、湯川は態度を変えて、事件に乗り出してきます。

    この話では湯川の生立ちも明らかになります。
    湯川のこれからの活躍と生立ちが何か関係してくるのか、期待を持たせるような終わり方のような気がしました。
    ガリレオシリーズ、あと何回くらいあるのかと楽しみです。

  • ガリレオシリーズ10作目。

    私の中で加賀シリーズと混同しちゃって
    草薙さんのキャラが分かんなくなっちゃったりした。
    でも10作目にもなるからか、
    草薙さんも湯川教授もだいぶ年をとってるみたいで
    草薙さんは係長になってるし
    湯川教授は白髪だらけだとか言ってる。
    だから、かなり落ち着いているように見えて、
    キャラが違うように思っちゃったのかな。
    というと草薙さんが落ち着きのなかった人のように思えちゃうけど笑
    でも、加賀さんみたいなクールな鋭いタイプより人間味のあるような人だった気もしたんだけどなー。

    草薙のクラブ好きは有名、とかも違和感だった。
    あとで本人は否定してたけど。

    まー私の読みなんていい加減だもんな。
    うろ覚えだし。

    さて本作のタイトルは「透明な螺旋」
    螺旋といえば、あれ、と思い浮かぶものもあり
    ラストスパートで徐々に見えてくるけれど、
    まさかそういう設定があったとは、と
    かなり意外でもあった。

    でもやっぱり湯川さんは
    人情に厚い人物なんやなぁー。


    殺すまでの強い動機が感じられないなーと思っていたが、まあ確かに、そう言われるとそうかとも思えるが、
    でもやっぱり、殺しは行き過ぎのようにも思うなぁー。
    他の手段があったと思うからなぁー。
    うーん、ということで星4つ。

    子を思う母の気持ちというのは、
    ものすごく強いものなのだと思う。
    (まあそれがない人もいるようだけれど)
    私も息子が可愛くて可愛くて仕方なく
    この子を生み、育てられることを、
    すくすくと育ってくれていることを、
    本当に幸せだと思う。

    「もう少し大きくなったらママから離れてしまうだろうし、寂しいから猫でも飼うかなー」
    とぼやいていると、
    目を潤ませて泣くのをこらえながら、
    「ずっとママと一緒にいる、100歳になってもくっついてる」と抱きついてくる。
    愛おしいよねー!
    そんなマザコンは嫌われるから子離れママ離れしなきゃなと思うし、どうせ時期がくれば離れていくだろうけれど、

    いくつになっても離れていても
    子どもを思う気持ちは変わらないだろうなと
    本作を読んで改めて思う。

  • 母親がスマホの機種変更をしたいと言うので、付き合ってあげた。娘も私もiPhone13にしようかなー?と思っていたところだったのでちょうど良かった。
    iPhone13は入荷待ちになってしまったが、母のスマホは無事に機種変更することが出来た。

    無事機種変更を終え、データ移行の間少し買い物に出かけた。

    その日はたまたま私の47歳の誕生日だった。
    スポーツ店で、母は娘にパーカーを買ってくれた。それだけで母の優しさに私はほっこりした気分になったのだが、あんたにも何か買ってあげるよ?欲しいものないの?と訊かれた。

    何にも欲しいものはないなぁ?と思ったが、その時ちょうど書店の横を歩いていた為、じゃ、本買ってもらうかな?と言って、この本を買ってもらった。

    東野圭吾先生の作品は母も大好きなので、私が読んだ後、母も楽しめる。
    そして、母も私にプレゼント出来て満足できるだろうし、私も新作が読めてとても嬉しい(*^^*)

    この本は湯川先生、そうガリレオシリーズたった。ガリレオシリーズの登場人物たちも、私と同じでだんだん歳をとっている。

    プロローグは、とある女性が未婚の母になるところから始まる。子供を育てることが出来ず、施設の前にその子供を、手作りのぬいぐるみと共に置き去りにする。

    場面は変わって、今度は母1人、子1人の家庭で、母親がくも膜下出血で倒れる。この娘、園香が働くお花屋さんに訪れたお客と、園香が一緒に暮らすことになる。

    房総沖で男性の銃殺遺体が見つかる。
    それは園香と一緒に暮らしていた男だった。
    そして、遺体がみつかると一緒に園香も失踪した。彼女の行方を辿ると、関係者として湯川の名前が浮上した。


    加賀刑事のシリーズでも、次第に加賀刑事という人間が少しずつ何冊かに渡って明らかにされてきたが、今回は湯川先生のこれまで公表されていなかった事実が明らかになる。

    大きな事件という内容の本ではないが、湯川先生の生い立ちの秘密がわかる、ファンなら読んでなければいけない本かな?と思う。

  • ガリレオシリーズ 10
    南房総沖で漂流している男性の遺体が、発見された。背中に射創の傷があり、他殺と判明された。
    被害者は、同棲している・島内園香から、行方不明届が出されていたことから、上辻亮太とみられた。

    ところが、園香の行方がわからなくなってしまった。
    彼女には、被害者の殺害時間には、アリバイがあり、何故、行方をくらましたのか、謎であった。
    彼女には、共犯者がいるのではないかと疑い、捜査を進めるうち、絵本作家の・松永奈江と言う女性が浮かび上がった。

    久しぶりの湯川学先生。
    もう、大学教授になり、髪にも、白髪が…
    その、湯川先生と、絵本作家の松永奈江の、意外な関係が、解き明かされる。

    母親が、認知症になり、父親が一人で難儀しているというので、湯川先生は、両親の元に帰り、なんと、母親の"おむつ"を変えていると言う。

    草薙が、湯川先生の元を訪ねたとき、父親に「友人の草薙が来てくれました」と、紹介する。
    その言葉、その場面が、とても、素敵だった。

  • 東野圭吾さん、やっぱり、いい !
    今回は、人間 湯川が “溢れだす” ストーリーでした。
    これまでのガリレオ シリーズでは
    人間 湯川が “垣間見える” ところが魅力だったのですが。 
                                                                                                                                                             
    このストーリーでも、ひょんなことから
    草薙が担当する事件に湯川が巻き込まれます。
    ところが今回、草薙が訪ねて行ったのは
    研究室ではなく意外な場所でした。
    個人的には、ここは胸キュンポイント!
    いつものようにそっけない対応をする湯川でしたが
    草薙の口から出た ある名前 が湯川の心を捉えます。
    そして、事件に深く関わることになるのですが…。 
                                                                                                                                                                                                                                                                                          
    今までのガリレオシリーズとは ちょっと違う雰囲気。
    少しだけ『祈りの幕が下りる時』に通じるのかも。
    そして、結末に関しては
    『容疑者Xの献身』を経ての湯川学かな と感じました。
                                                                           
    読み終えて、タイトル『透明な螺旋』の意味に納得。
    そして、表紙の絵にも深く納得。
    粋ですね~。

  • ガリレオシリーズ10作目。
    今回は「ガリレオ先生」というよりは「湯川学」個人に焦点をあてた物語。
    冒頭の戦後間もなくの時代から現代へ。
    ひとりの男性の殺人事件から物語は進む。
    それぞれの過去と現在。その過去の後悔からくる現在の喜び。
    自身の愛を持って人を守る姿は「容疑者X」を彷彿とさせました。
    湯川自身のルーツも今回明かされていて。
    冒頭から終了まで一気読み。また次作が楽しみです。

  • ガリレオシリーズの最新作


    やはり読みやすく、
    あっという間に読めました
    さすがです




    今回はちょっと雰囲気の違う作品でした




    今までのように科学の力を使って
    事件を解決するような内容ではなく
    湯川氏の頭脳で解決される感じ。


    前回のようなどんでん返し!
    というような作品ではありませんでした




    湯川氏はどんどん丸くなっていくなぁ
    そういう湯川先生も好きです!

  • ガリレオシリーズ最新作。
    おもしろくなかったわけじゃないけどw、湯川先生、ほんとに性格変わっちゃったなーという…。
    今回は湯川先生の過去にもかかわりが出てきたりしたけど、この設定は絶対後付けなんだろうなぁ、とか。
    おもしろくないとは言わないけどw、もう物理学全然関係なくなってるし。
    やっぱりシリーズが長くなると、いろいろ大変なんだな、としみじみ思うことでした。

  • 射殺された身元不明の男性に該当しそうな、行方不明届。
    話を聞こうと、届け出た同居人の元へ行くと、彼女も失踪していた。

    ガリレオシリーズ第10作。

    湯川に、母親の介護問題が。
    作中時間の経過を感じる。

    文章は変わらずうまく、さらりと読めるし、犯人の心情も自然で、うまい。

    ただ今回は、湯川の事件へのかかわり方が特殊。
    科学者としての謎解きはなく、ミステリとして、ガリレオシリーズとしては、ややもの足りない。

    さらに、湯川のアイデンティティに関する秘密も。
    科学的要素のない警察小説で、親子問題が入ってくると、加賀恭一郎シリーズのよう。

  •  シリーズ第十弾と帯に書いているように、天才物理学者・湯川学も、著者としてキャラクターを始から作ることを思えば、書き易いのかもしれない。

     プロローグ・おそらくこの中に小説の根幹をなすと言ってもよい文章があると思いながら、慎重に読み進めた。

     湯川学と帝都大学で学友だった警視庁捜査一課・草薙と女性刑事・内海薫も健在だ。
     初めに事件があり、捜査一課は全力で捜査するも、先が見えてこない。そんなとき湯川に条件付きで相談すると、捜査ポイントが見えてきて解決する。というお決まりのパターンは今回も同じだった。でも読者は、そのお決まりのパターンを読みたいと思うのだ。今回は、どんな活躍をするのか?ということと同時に安心感もあると思う。

     しかし今までのシリーズで、湯川はプライベートを見せたことがない。一般人であり人の子という点で、何ら変わりがない。
    草薙は、相談をするため湯川の両親が住む実家マンションを訪ねた。

     以前に住んでいた家から、海が見えるマンションに引っ越していたのだ。元々一緒に住んでいなかったが…。
     草薙は湯川の両親に挨拶をした。何も気付かなかったのか?

     湯川は過去を吐露する「あそこにいた少年は、あの家(以前両親と一緒に住んでいた家)でとうに死んでしまっている。
     だからあの家には、その少年の見えない死体が横たわっているに違いない」と思っていたと書いている。続けて「でも大間違いでした。それから何十年も経ち、様々な人の様々な生き方を見てきた今は、あの時の自分が愚かだったことがよくわかります。人は誰も一人で生きられない。今の僕があるのは多くの人たちのおかげです」と。

     今更何を言うのか?事件とは関係がないが、「人間・湯川学」を垣間見た瞬間は興味深い作品だと思った。
     何が幸せで、何が不幸なのかわからない。嘘も方便という言葉がある。嘘を信じ込まされていたと分かっても、希望を持って生きることが出来るなら良し、相手に信じる余裕を持たせた湯川先生もそのことに確信を得たからだろう。

     「実におもしろい」←久しぶりに締めの言葉を書いてみた。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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