ものがたりの賊

  • 文藝春秋 (2021年11月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784163914534

作品紹介・あらすじ

一九二三年、大震災による未曽有の被害で帝都は壊滅状態にあった――。不安と恐怖から人心は乱れ、治安は荒れるばかり。さらに、その混乱に乗じて陸軍が胡乱な動きを見せる。果ては、致死の感染症の恐怖もひたひたと忍び寄り……。
今まさに瓦解せんとする首都を救うため、集められたのは……竹取の翁、光源氏、坊っちゃん、伊豆の踊子・薫、半人半虎の李徴ら、日本文学が生んだ名キャラクターたちだった⁉
決して交わるはずのない面々が、それぞれの物語世界から躍り出て、一致団結。絶体絶命の東京を舞台に大立ち廻り! 彼らは無事、帝都を守り抜けるのか?

奇想天外、摩訶不思議。圧巻の一大文学エンタテインメント

みんなの感想まとめ

壮大なファンタジーが展開される本作では、古今の名作文学のキャラクターたちが大正時代の関東大震災後の帝都に集結し、混乱の中で一致団結して帝都を守る姿が描かれています。竹取の翁や光源氏、李徴など、様々な文...

感想・レビュー・書評

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  • 古今東西の名作文学が、史実と虚実を交えて時空を超え交差する、壮大なファンタジー。
    物語の舞台は大正、関東大震災後の帝都。不気味な「纐纈布(こうけつふ)」を纏った真紅の軍団から帝都を守るため、竹取の翁を筆頭に、異能を操る名作キャラたちが縦横無尽に大立ち回り。

    本書の魅力は何と言っても、圧倒的なまでの文学オマージュとパロディ。
    名作のキャラクターや名台詞、象徴的なエピソードが「これでもか!」というほど随所に散りばめられている。既読の作品や、お気に入りのキャラが登場するたびに「あ、これはあのシーンだ!」とテンションが上がらずにはいられない。

    巻末には「特盛」状態の原典紹介と注釈が付いているので、未読の作品があっても大丈夫。ただ、注釈を確認しながらだと読み進めるのに時間がかかるのが、贅沢な悩みかも(笑)。読み進めるうちに日本の文学史をおさらいしている気分になり、原典を手に取りたい衝動に駆られてしまう。
    「ただの通りすがり」の人でさえ名作キャラだったりするので、一瞬たりとも油断できない。次から次へと現れる顔ぶれにワクワクしますが、あまりの熱量に最後は「満腹状態」で
    ( ゚д゚)ポカーンと。

    私のお気に入りは『山月記』の李徴。最後までとにかく格好よかった!
    ラスボスもあの物語の、まさかあのお方だったとは。歴史と未来が交錯する壮大で切ないラストですが、不思議と最後には希望が湧いてくる読後感。
    そして、最後に現れたあの「新入り」。
    ……もしかして、あの方なのでしょうか。

  • 登場するのは、
    坊ちゃん、伊豆の踊子の薫、李徴、高野聖の聖、六条院、机龍之介、竹取の翁、媼、大杉栄、崇徳院、赤ひげ先生他ら、多数。
    主な登場人物は、最初の七名。

    日本近代文学史が実際の歴史に入り込んでいます。

    P184より
    元基督教徒が駆け落ちした女を殺害するまでの回想録。客の喉を掻き切った床屋の剃刀。
    麻酔なしで外科手術を受けた夫人が自らを切り裂いたというメス。
    田舎に越したインテリ青年の描いた薔薇の挿絵。
    鉄道病なる神経疾患にかかった男の手記。
    血で描かれた掛け軸。
    火星征伐の建書。
    Kという親友の後追い自殺をした男の頭蓋骨。
    無人島に漂着した兄妹が瓶詰で流した書簡。
    自分はこの世を救済する弥勒菩薩だと気づいた作家志望の自伝。
    座敷牢に軟禁された青山半蔵と云う男がしたためた古歌。
    五、六尺はあろうかという長い鼻のホルマリン標本。
    レエン・コオトと歯車。
    陳列棚に入りきらないものとしては平安時代の絵師の手による娘が火焙りになるのを見ながら描いた屏風絵。
    三十二人の村人たちを猟銃と日本刀で殺した名家の当主が死亡時にまとっていた落武者の甲冑などの凄まじい化物を見ることができた。


    上記の文章を読まれて面白いと思われた方は、この作品を面白く読めるのではないかと思います。(全部注釈がついています)
    私は日本の近代文学や日本史にあまり詳しくないしいまいち楽しめませんでした(もちろん読んでいない作品のほうが多かったです)。
    ただ、図書館で、予約1番で借りられたのでもったいないから3日かけて頑張って最後まで読んだという感じです。

    あと、昔の活劇っぽいタイプの冒険ものがお好きな方にも向いていると思います。

    また登場人物同士の意外な組み合わせのカップルも誕生しています。

    全部注釈と原典解説がついているので、もちろん文学史に詳しくなくても読めますよ。

    坊ちゃんはいいキャラクターだと思いました。
    六条院は原典はほとんど知りませんが、変に女好きなところが好きになれませんでしたが、車の運転をしているところは笑えました。

  • 『ものがたりの賊(やから)』真藤順丈――立ち読み 電子版29号 | ちょい読み - 本の話
    https://books.bunshun.jp/articles/-/5188

    『ものがたりの賊』真藤順丈 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163914534

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      三浦天紗子が読む『ものがたりの賊』近代文学へのオマージュとパロディが炸裂 | 本がすき。
      https://honsuki.jp/review...
      三浦天紗子が読む『ものがたりの賊』近代文学へのオマージュとパロディが炸裂 | 本がすき。
      https://honsuki.jp/review/51026.html
      2022/01/07
  • 著者の日本文学における圧倒的な博学能文の能力が炸裂、それは読む側にも同じくそれを求められる。
    字画の多い漢字熟語を多用した格調高い文章(わたし的にいうと、小難しい言い回しにより難解)が読書スピードを著しく低下させる。
    文中に散りばめられた近代の文学の登場人物やエピソードもすごい。知ってる人が読むと楽しめるだろう。が、知らない場合は、本文を中断して巻末の注釈&原典解説のお世話になる。もちろん私は後者だ。
    そして注釈の項目を先読みすると思いっきりネタバレするという、ある意味不親切な体裁。ここでも読者をふるいにかけてるのかと邪推する。
    サクサク読めるシロモノではない。しかし奇想天外、壮大なスケール展開なお話なので、読了後には踏破した感が味わえた。
    乱暴な表現かもしれないが、本作は、もし夏目漱石が、山田風太郎の忍法帖シリーズ、荒俣宏の帝都物語、高橋克彦の総門谷シリーズあたりを、書いたらこうなる?的かなと。

  • 時は大正――関東大震災により甚大な被害を被った帝都を中心に繰り広げられる冒険活劇。主要なメンバーは竹取の翁、光源氏、坊ちゃん、伊豆の踊子(薫)などだが、それ以外にもあちらこちらの文学からたくさんの人物が参戦したり、覚えのある描写があったりという、本好きにとっては夢の共演とも言える一冊。ただ、面白いかと言えば……正直微妙だった。映像化したら楽しめるかもしれないなとは思ったが、文字を追っている間はなぜか退屈で、遅々として進まなかった。お気に入りは李徴と光源氏。しかし女性遍歴に理由がある光源氏が本作ではただの女好きみたいに書かれているのが、ちょっと可哀想でもある。

  • 『竹取物語』から『坊っちゃん』まで、日本文学に名を残す登場人物たちが日本の危機を救う血湧き肉躍る伝奇ロマン!
    文学の登場人物が多数集って危機を解決するといえば、映画『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』を彷彿させる。後半は『アベンジャーズ』だったが(笑)(どちらも原作は未読)。
    ただし、こんなメンバーでいいの?と思わなくもないし、読みにくいうえに展開もまどろっこしい。ブクログの登録数が伸びないのは、途中放棄した人が多いのではと勘繰っている。頑張って読めば報われる……かな?

  • 錚々たる日本文学の登場人物たちが織り成す冒険活劇譚。大震災による被害に打ちひしがれた帝都でひそかに進められているらしい謎の陰謀。暗躍する怪人たちと、恐るべき感染症。それに立ち向かう竹取の翁率いる「血の恩寵」による一派は、あまりにも有名なあの人たち。個々の能力を駆使し強大な敵と相対する彼らの姿は実に痛快です。特に能力としてはどうなのかと思うけれど、坊ちゃんの「無鉄砲」がひたすらにカッコよかったり。六条院の秘められた能力も凄いなあ。単なる色惚けの公卿ではなかったのか(笑)。
    案外と有名だけれど読んでいない文学も多いですが、ざっくりと知っているレベルでも充分に面白い。きちんと注釈がつけられているので安心です。むしろまだ読んでいないあれやこれやを読みたくなってしまいますね。とりあえず「神州纐纈城」は読みたいなあ。
    度重なる災害や感染症に翻弄されるという状況は現代にも通じるものがあるかもしれません。絶望しかないように見える時もあるだろうけれど。それでも未来があると信じたいです。

  • とにかく読み終えるのに時間がかかった。

  • 発想は面白いんだけど、個人的に如何せん文章が読み難くて面白さが半減した。

  • 【直木賞受賞作『宝島』以来の長編最新作
    日本文学至高のアベンジャーズ、爆誕
    】帝都、危うし! 待望の救世主は……えっ 坊っちゃん? 光源氏?伊豆の踊子? えぇっ 虎かよっ!

  •  いやぁ~読む前からそんな気はしてたけどやっぱりぶっ飛んでるな~。読んではいなくともどこかで耳にしたことのある物語の登場人物達が大正・帝都に蠢く陰謀に待ったをかけるドラマ。この流れを見るだけで数年に一回は年始に「あいつらが帰って来た!」って下りをやって欲しい。ま、この作品自体はきっかり単巻なのですが。

     内も外もガッツリ伝奇なのに注釈含めて語りが軽妙だからくすっときてライトに読める。文学系といっても幅広いから思わず見落としそうな小ネタの補足も完備されているのは助かる。それにしても総数と量だけで笑うけど。

  • 文学好きにはたまらないファンタジー。
    注釈まで、めちゃめちゃ面白い。
    京極夏彦さんの虚実妖怪百物語を思わせるところもあり。
    文章が巧みで、語彙が豊か。
    初見の言葉が頻繁に出てくるおかげで自分の物知らずを実感させられるのが気持ちいい。

  • 私には掴みきれませんでした。

  • ふむ

  • 翁つよいしなんでもありじゃん、と思いつつエンタメとしてぐいぐい読んでいけた

  • 関東大震災に見舞われた街で、ひとりの男が駆け抜ける。未曾有の災害を防ぐために、古典文学アベンジャーズたちの命懸けの戦いがいま、はじまる。

    竹取の翁にぼっちゃん、李徴に舞姫、と古典文学の主人公たちが怪異とも言える相手に死に物狂いで奮闘する話。ややこしかったり回りくどかったりするけど勢いで読める。あとあらゆる古典の登場人物たちが実際にそこで生きている、という小ネタがちりばめられてるので古典〜昭和くらいまでの文学大好きな人はめっちゃ楽しいと思う。残念ながらわたしは素養がないけど、巻末の解説と併読するのは楽しかった。

  • 序章ともいうべき「ある寵児」がそれっぽい文体だなあと思ったらそのままだったわけで。
    で、本編はじまったら・・なるほど。そういう。文学界のオールスターというかアベンジャーズというか。と、盛り上がってみたら別にその部分はネタバレでもなんでもなくて公式でちゃんと書かれてるんですね。
    いいですねえ。お祭り騒ぎというかエンターテイメント色がそれはすごいことに。
    まあ竹取物語と源氏物語は別にすると、基本的に日本の近代文学の面々なわけで。半分・・・も読んでないからなあ。読んでいたら「あのあいつがここに!?」とかいろいろ楽しめたんだろうなあ。まあ読んでなくても大体のあらすじやさわりくらいは知っていたりするので純分に楽しめましたし、逆に元ネタである文学作品に興味がわいたという側面も。

  • 不老長寿を得た竹取の翁の血を分け与えられた、「山月記」の人虎、「高野聖」の聖、「伊豆の踊子」の踊り子、「源氏物語」の光源氏、「大菩薩峠」の机龍之介、「坊ちゃん」の坊ちゃん。彼らが纐纈城から東京へと病原菌をまき散らしながら進軍してくる城主に立ち向かう物語。
    波瀾万丈すぎ(笑)
    坊ちゃんは元ネタより好感持てる熱血漢だし、光源氏はめっちゃマイペース。

  • はちゃめちゃで面白かった。
    久々にワクワク読んだ。
    出てくる名作を読みたくなる。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00618632

    一九二三年、大震災による未曽有の被害で帝都は壊滅状態にあった――。不安と恐怖から人心は乱れ、治安は荒れるばかり。さらに、その混乱に乗じて陸軍が胡乱な動きを見せる。果ては、致死の感染症の恐怖もひたひたと忍び寄り……。
    今まさに瓦解せんとする首都を救うため、集められたのは……竹取の翁、光源氏、坊っちゃん、伊豆の踊子・薫、半人半虎の李徴ら、日本文学が生んだ名キャラクターたちだった⁉
    決して交わるはずのない面々が、それぞれの物語世界から躍り出て、一致団結。絶体絶命の東京を舞台に大立ち廻り! 彼らは無事、帝都を守り抜けるのか?

    奇想天外、摩訶不思議。圧巻の一大文学エンタテインメント
    (出版社HPより)

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著者プロフィール

1977年東京都生まれ。2008年『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しデビュー。同年『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で第15回電撃小説大賞銀賞、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞をそれぞれ受賞。2018年に刊行した『宝島』で第9回山田風太郎賞、第160回直木三十五賞、第5回沖縄書店大賞を受賞。著書にはほかに『畦と銃』『墓頭』『しるしなきもの』『黄昏旅団』『夜の淵をひと廻り』『われらの世紀』などがある。


「2021年 『宝島(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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