中野のお父さんの快刀乱麻

  • 文藝春秋 (2021年11月10日発売)
3.46
  • (22)
  • (34)
  • (60)
  • (10)
  • (4)
本棚登録 : 479
感想 : 60
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784163914619

作品紹介・あらすじ

父と娘の“名探偵コンビ” 好評シリーズ最新刊!

出版界で起きる「日常の謎」に挑むのは、体育会系文芸編集者の田川美希と、抜群の知的推理力を誇る高校教師の父親――。

実家の掘り炬燵で繰り広げられる父娘の会話から、大岡昇平、古今亭志ん生、小津安二郎、菊池寛ら各界のレジェンドをめぐる「謎」を解き明かす……人気シリーズ第3弾。

【本書で描かれる6つの謎!】

■「大岡昇平の真相告白」
『武蔵野夫人』という題名に「夫人」と付けたのは誰か。編集者か、それとも……。

■「古今亭志ん生の天衣無縫」
“自由人”は表向きの姿? 「蚊帳売りの詐欺師」のエピソードから志ん生の意外な一面が明らかに。

■「小津安二郎の義理人情」
小津映画の原作者としても知られる作家・里見弴。しかし、原作と映画があまりに違うことに気付く。

■「瀬戸川猛資の空中庭園」
評論で鋭い著作を残した瀬戸川。彼が学生時代に書いた映画の評論と映像を比べて明らかになった事実。

■「菊池寛の将棋小説」
異色の作品で出会った江戸時代の棋譜の謎。先崎学九段と室谷由紀女流三段が読み解いていくと……。

■「古今亭志ん朝の一期一会」
落語「三軒長屋」のCDを探す未亡人が本当に聞きたかった音とは。音源を探って見えてきたのは……。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

日常の謎を解き明かす父娘の名探偵コンビが織りなす物語は、文芸や映画、落語など多岐にわたるテーマを探求します。主人公の美希が持ち込む問題に対し、知識豊富なお父さんが本から引き出した情報を駆使して、さまざ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 文芸の謎解き小説かな?
    短編連作で6篇。
    北村さんの疑問点を小説に借りて研究発表したような作品ですね。
    中野お父さんは北村さんの分身で、野球や将棋、落語、映画、近代文学を話題にして日頃の謎を解明していく物語です。
    正直、羨ましい本だと思います。大学の講義まではいかなくとも、こんなマイナーな疑問で小説が出せるのは北村さんならではかも。
    ちょっと誰も読まないと思う本を駆使して謎を解明していくのは好事家ここに極まれりの感がありますね。
    好奇心が大勢な為に嬉しく読み進めました。
    このシリーズは円紫シリーズの延長だと思って読んでいます。円紫さんから逸脱した感はありますが!

  • 中野のお父さんの本の知識量が、ただただすごい。主人公の美希が持ち込む問題を、本の知識で解いていく。美希の言ったワードからいくつもの関連本を自分の書庫から出してくる。お父さんの書庫ってどうなってるのか見てみたい。

    読んでると今話題になっている事とリンクしてるな、と思う箇所がいくつかあった。

    『大岡昇平の真相告白』  読んでて真っ先に思い浮かべたのが、週間誌と芸人さんの問題。はじめは気になって週刊誌を続けて読んでたけど、飽きて読むのやめてしまった。"これって書き手によって読み手に与える印象がだいぶ変わる"という事に気づいたから。

    『小津安二郎の義理人情』  原作とドラマや映画では話が変わるみたいな箇所があるんだけど、まさに今起こってる事だ。ドラマを毎週楽しみに観てた。なのに、一月に入ってから揉めてる事を知り、それに続いて原作者の訃報。ショックだった。私は漫画を読んでないので原作がどうだったのか分からないけど、原作者の思いを知り悲しくなった。

    あとは、私が印象に残ったのが、『瀬戸川猛資の空中庭園』。人の心を動かすのは人それぞれ違う、という事に改めて気付かされた。自分が面白いと思っても友達は「そう?」というのはよくある。押し付けてはダメだと思った。

    「古今亭志ん朝の一期一会』が一番好きだな。亡き夫を思う妻にジーンときた。謎を解いたお父さんは素晴らしい。

    全体的に私には難しかったです。

  • 帯に「本と日常の謎はコタツ探偵におまかせ!」とありました。しかしながら、読み終えて「日常」ってなに?と思ってしまいました。新聞に載ったりテレビに出たりという事件・謎は登場しないけど、私の周りではこんな謎に関わることはないとしみじみ考えます。探したり気が付いたりすると謎はあるのかもしれませんが、関わることはないなあ。この本の中で解かれていく謎は、少なくとも学術論文の一章に匹敵するもの、この謎こそは非日常。新聞やテレビに頻繁に登場する犯罪、かつて凶悪犯罪と言われていたものこそ、最近では日常なのではないか、などと、この本の本質とは全くかかわりのないことを考えてしまいました。
    お父さんの博覧強記、すばらしい。知識を蓄えておくだけでも素晴らしいのですが、それが整理され、必要な時にすぐに取り出される。知識に繋がりを付けることこそ難しいことなのに。
    作者の表現のうまさは、今作も変わらない。一ページに一か所は引用したくなる、日常の会話でちょっと話したくなるようなおしゃれなフレーズが見つかります。「そうそう、その通りに思ってたんだけど、うまく言えなかったのよねぇ」ということを、サラリとどのページにも忍ばせている。忍ばせているつもりはないと思うけれど、そんな表現に出会うと、そうか、そうきたか、とにんまりさせられる。これも北村薫の大きな魅力。
    太宰の名前が出てくると、なんだか登場人物の張り切り方が違うように見えるのは、作者の思い入れがあるのでしょうか。
    そして志ん朝の一編。人の心に寄り添うのは知識だけでは難しい。これまでの人との繋がり方が現れるのだと思う。お父さんのこれまでの人との繋がり方も思わせる心揺さぶられる一編でした。
    カバーにある現在の父娘、そして過去の父娘の様子に、毎回、心地よくなります。

  • オール讀物2019年9,10月号大岡昇平の真相告白、11月号古今亭志ん生の天衣無縫、20年6月号小津安二郎の義理人情、11月号瀬戸川猛資の空中庭園、21年2月号菊池寛の将棋小説、3,4月号古今亭志ん朝の一期一会、の7つの連載短編を2021年11月文藝春秋から刊行。シリーズ3作目。文芸探偵を自認する北村さんらしいお話。今回は興味を惹かれる話がなくて楽しめませんでした。残念。

  • 文宝出版(ぶんぽうしゅっぱん)で編集者を務める田川美希(たがわ みき)と、中野にある実家の、博識なお父さんとの交流を描く、第三弾。

    高校の国語教師をしているお父さんは、恐ろしく博識で、また、稀有な書も含むたくさんの本を持っている。
    今までは、美希が謎を持って帰り、お父さんが安楽椅子探偵を務める、その過程で豊富な知識が披露される、という運びだった。
    今回は、謎解きよりも、文献を詳しくあたった研究を発表されている気がして、小説というより学術書を読んでいるような印象だった。
    個人的に、落語も将棋も嗜まないので、なかなかに読了に至るまでがキツかったが、最後の一編は、謎解きらしいオチのある作品、良い雰囲気で終わった。

    小説や落語の、本当の原典はどこにあるのか、原作と映画や小説、落語との関係はどうなっているのか、といった話題が多かった気がする。
    一部アレンジから連想の連想・・・と次々に別の作品が出来上がって行った面白さも語られる。
    現代だったら、誰か一人が類似点を発見したりネットで何か見つけたりしたら、即、「見たことある!」「そっくり!」「パクリ!」と拡散されて大炎上、なんて展開になるかも知れない。
    通信の手段が文書しかなかった昔の不便は、逆に趣深いものでもある。

    また、録画がなかった頃の映画、現代でも舞台や寄席は、その時一回限りの感動であり、大切な思い出。
    この時節ならではの、パンデミックでエンタメの空間を共有できないことの残念さも描かれている。
    ここ最近の小説には、大体コロナのことが書かれている。
    後の世になって、この頃の小説はね・・・などと語られるようになるのだろう。

    『大岡昇平の真相告白』
    『古今亭志ん生の天衣無縫』
    『小津安二郎の義理人情』
    『瀬戸川猛資の空中庭園』
    『菊池寛の将棋小説』
    『古今亭志ん朝の一期一会』

  • 中野のお父さんシリーズ。
    編を重ねるにつれて、かなりマニアックに。

    今回は落語と将棋の話題で、ちょっとこれらに疎い私には少々難しかった。

    「大岡昇平の真相告白」がいちばんわかりやすく、面白かったな。

  • 今回もまた、中野のお父さんに文学の諸々ネタ教えていただきありがたい思いでいっぱい。
    北村先生の他のシリーズも大好きなのでこの本もまた再読候補として私の書庫へ。
    まさしく快刀乱麻の如き様々な謎をバッサリと心地好く解決して下さって、ただの読者のひとりとしての私もいっぱしの文学通になった心持ち。登場人物の皆様にははるか及ばないながらも、仕入れさせていただいたネタで周りを驚かせております。例えば「アノ作家さんとカノ作家さんは同い年なんですって!」もちろんこの本から~との紹介は忘れずに。
    まだまだ続いてゆきそうなシリーズなので、楽しみにしてます。

  • シリーズ3作目なんですね。
    知らずに初めて読みました。

  • 中野のお父さん、3作目。本だけでなく、落語や映画も名探偵だった。「オール讀物」連載のものなので、後半の作品はコロナの中の日常も反映している。
    やっぱりすごいお父さんだ。

  • 中野のお父さんシリーズ第3弾。
    中堅編集者の美希と元高校教師のお父さんの知的で暖かい交流が再び。
    小さな出来事が広く深く思いもよらないところへと繋がっていく楽しさがこの作品の醍醐味。
    大岡昇平から始まり、古今亭志ん生、小津安二郎、菊池寛など知らない作品やエピソードが満載。
    途中難しくなってくると、のほほんとした美希の性格やユーモアに救われながら最後まで読み通せた。

    感じ入ったのは、演奏も、落語も、レコードやCDでは感じられない唯一無二のその場の空気というものがあること。そこにいた観客が演者と一体となって作品を作り出しているのだということ。
    本当に好きなものは、直に足を運んで生で聞くに限るとしみじみ思った。

  • 【収録作品】大岡昇平の真相告白/古今亭志ん生の天衣無縫/小津安二郎の義理人情/瀬戸川猛資の空中庭園/菊池寛の将棋小説/古今亭志ん朝の一期一会
     ミステリといっても、本にまつわるあれこれがテーマ。様々な本が出てくるが、しれっとご本人の著書も挙げられているのが楽しい。「お父さん」はまさに著者ご本人と思えてしまい、会話部分はすっかり著者の声で脳内再生される(対談やサイン会に伺ったことがあるので)。
     それにしても博識だなあ。本どころかそこから派生する様々なことに興味が及び、深掘りされているのにただただ感心するばかり。

  • 「中野のお父さん」3冊め。さらにマニアックな内容になってきました。すべて北村さんが疑問に思ったことをご自分で調べて解決しているんですよね。文芸に関する探究心と推理力には頭が下がります。
    ブラックジャック、日本語であそぼ、鬼滅のことにも触れられていて、実際の講義で聞いたら興味も出て面白いと思います。
    ただ本で読むんだったら、六話中二話ぐらいは身近な謎解きを入れて欲しいのが正直なところ。そう考えると1冊目が一番理想的でした。

  • 「中野のお父さん」シリーズ3冊目。今作の途中から物語の中でも主人公の編集者がリモートで仕事をするのが当たり前になっているのだけど、現実の我々の生活様式だとか社会の常識や価値観はまだまだ更新途中なのか、右往左往しているようでもどかしい。
    ともあれ、落語や映画、将棋の小ネタ満載でなるほどの嵐…さすがの面白さで一気読みでした!

  • 謎というか話題に馴染みがなく頭に入ってこないのに読んでしまうシリーズ。この感じは吉野朔実さんの「本の雑誌」連載を思い出す。

  • いつもながらお父さんも作家の先生方も本のことが大好き!がよくわかる、嬉々として話をしてくれる様子がとても微笑ましい。
    昨今、パクリだとか盗作だとか騒ぎになることが多いが、昔も全く違う原作だの”語り手によって変貌する”だのいろいろあって、時代が違うというといえばそれまでだが、今だったらどうとらえられただろうと思った。
    毎回名作といわれる作品が多々でてくるが、なかなか実作を読むまでに至らないところが反省点。

  •  お父さんの知識の幅が凄くて、毎回脱帽です。

     お気に入りは「大岡昇平〜」。
     タイトル改変って中々奥が深いんですね。
     そして、買ってきたお弁当を娘と交換して貰うお父さんが可愛かったです。

     今回は落語の話が多くて、ちょっと難しかったです。

  • シリーズ三作目のほっこり博覧強記ミステリ。やはり知らない作品が多くて、世の中は広い、と感じ入るばかり。しかし知らない作品であっても興味は持てるし、面白く読めました。本当にこんなお父さんが欲しい、というかこのお父さんの授業を受けたいですね。
    お気に入りは「瀬戸川猛資の空中庭園」。なんだかいろいろわかる気がする、と思いました。好きな作品ほど、脳内で自分なりに美化というか、好みの展開に(無意識に)作り変えてしまっていることはあるのかもしれません。改めて観たり読んだりして、「……こんなのだったっけ?」って思うこと、あるものなあ。だけどその人それぞれの作品の感じ方があっていいってことかな。

  • 書くほうが楽しいんだろうと。

  • 志ん朝さんの大ファンだったので、懐かしく読みました。生でたくさんの演目を見られて、わたしはほんとうに幸せだったとあらためて思わせていただきました。
    中野のお父さん、ありがとう。

  • シリーズ3作目。もうコロナの時期が入ってて、そうかコロナってもうそんなに経つのかと思った。ちょうどあの客船のやつから5年って新聞見たしな。今回のは落語も入ってきて気になった。読んだ端から忘れちゃうけど、もう小説ではなく昔の文学や将棋や落語や音楽や、いろいろな文化の解説のようなものだ。ほんとこれを覚えていられるって、どういう頭の作りなんだと思う。前作で美希の恋愛が始まるんじゃないかと思ったのに、全然だった。美希、いくら何でも鈍すぎだろ。手塚さんが気の毒だ。

全53件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北村薫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×