カルト村の子守唄

  • 文藝春秋 (2021年11月5日発売)
3.58
  • (9)
  • (19)
  • (22)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 192
感想 : 30
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784163914657

作品紹介・あらすじ

自由だった村は、どうして「カルト」化してしまったのか?
村の過渡期を描く、人気シリーズのエピソード0!

親子が離されて別々に暮らし、子供も朝5時半起きで労働をさせられ、布団はふたりで一組、食事は1日2回のみ、すべての物は共有で服もお下がり、男子は丸刈りで女子はショートカット、お金を持っていたら即没収、ビンタ・正座・食事抜きなど体罰は当たり前……。そんな「お金のいらない平和な社会」を目指す「カルト村」での驚愕の日々を描いた人気シリーズの最新作。

今回描かれた時代は、著者が生まれてから小学校に上がるまでの幼少期。このころの村はもっとゆるくて、のちにNGとなる「お酒、タバコ、テレビ、漫画、ゲーム」はすべてOKで、村の外の温泉に行ったり、デパートにクリスマスプレゼントを買いに行ったり……なんて思い出も。
ところがある日突然「新しい世話係さん」が現れて、漫画やゲームは没収され、テレビも禁止になり、髪を短く切られて、両親に会える回数も減っていき……。
のんびりしていた村が、過酷で理不尽なカルト村に変化していく転換期のエピソードを、丁寧な絵と手書き文字で描いた「実録コミックエッセイ」。
両親がなぜ村に入って結婚したのかを、著者自らが探る「カルト村で出会いました。私の両親編」も収録。

みんなの感想まとめ

幼少期の自由な村から、徐々に厳しいルールが敷かれていく過程を描いた作品は、カルト村での実体験を通じて、個人の自由と共同体の矛盾を浮き彫りにしています。著者は、初期の緩やかな共同生活の記憶と、厳格な支配...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 幼少期のころの村のままなら
    そんなに悪いところでも
    なかったかな・・・と思うだけに
    余計に一作目の 初等科の締め付けの
    異常さを思い出させます
    カルト村も 段々締め付け 支配するのが
    目的になってきたんだろうな
    やっぱり 子供には
    伸び伸びと自由に
    育って欲しいって思いますね
    2世と言う苦しみもなく ね

  • 【感想】
    70年代学生運動の終了により、大きな社会から小さな社会の実現を目指した共同体(コミューン)が各地に発足される。本書の舞台である「カルト村」は、70年時点で発足から20年以上経っていた、日本最大の共同体だった。文中で名前はぼかしてあるが、「ヤマギシ村」のことである。
    村の経済基盤は農業による収入。基本的に物は共有であり、お金のいらない平和な社会を目指した人たちが共同生活をしながら暮らす場所だった。

    筆者の高田さんはそのカルト村で育った。本書では彼女が幼児だったときのエピソードが語られていく。

    「カルト村」というと、妙な戒律があったり社会から断絶されていたりと、とにかく自由が制限されているイメージだが、当時は村と一般の線引が曖昧で、普通に行き来することができたらしい。お金も自由に使えたし、お酒・たばこもOKだったとのことだ。
    保育施設の規律もだいぶ緩かったらしく、マンガを読んだり他宗教であるクリスマスパーティをやったりもしていたらしい。しかし、新しい世話係さんの赴任によって、テレビ禁止、漫画禁止、クリスマスなどのイベントが禁止され、男女問わず全員髪を短くされた。また毎週末親に会えていたのに、それが3週間に一回になったという。

    このあたりのいきさつ、高田さんの絵と語りが明るいこともあって、あまり悲壮感が伝わってこない。読む限りでは、「自然の中でのびのびと子育てできるなんていい環境だなぁ」と思ってしまったぐらいだ。
    しかし、実態は相当ブラックらしい。大人子どもを問わない重労働、体罰、村の調整役が決めた「調整結婚」など、とにかく閉鎖的な制度が推進されており、自由などまるでないとのことだ。

    ただ、こんな場所で暮らしたい、と思う人の気持ちは、なんとなくわかる。「幸福のための理想の暮らしをしたいから」「自然との調和を前提とした理想的な暮らしをしているから」という理由で入村する人が多いようだが、確かに俗世でのプレッシャーはなさそうだ。抑圧的な環境を「そういうものだ」と割り切ってしまえば、歪ではあるが衣食住は保証される。

    人は結局、「他人とのつながり」から逃げて生きられない。現代社会でもカルト村でも同じで、そのつながりの種類が違うだけだ。俗世での人間関係が嫌でカルト村に入村するものの、カルト村を抜けるのもやはり狭すぎる人間関係が理由なのだろう。

  • 「カルト村」シリーズ完結編。
    でもいちばん古い記憶になります。

    私のまとめ
    ・私の周囲にもヤ○○○に入った人がいる。自分の意志で入会退会できるので、そんなに酷い所ではないと思っている。宗教ではない。
    ・19年の間に辛いこともあったけど、これは一般社会でも言えること。(場合によっては一般はもっと悲惨。)その後彼女は結婚して幸せに暮らしていて、当時のことを後悔しているわけではないので、良かったと思う。
    ・では私が入れば良かったと思っているかというと、それはない。私も今楽しく暮らしているから。
    ・イジメ等で登校拒否ひきこもりの人は一度合宿に参加してみてもいいのではないか(現在どうなっているかわからないけど)

    今回ひとつ印象にのこったのは悪ガキのカズオくん。
    彼のお母さんは彼を産んだあと離婚して村に来た人で
    毎日かやちゃんをイジメていた。
    (パンツの中に毛虫をたくさん入れられた…)
    でも3歳位のころ、お母さんが村で再婚
    披露宴で村人が盛り上がる中
    カズオくんは黙ってポロポロ泣いていた
    その後彼が乱暴することはなかった

  • どんな理念や宗教もそうだろうが、最初の志は高くとも人が集まればルールが増え、世間とは常識がずれていってしまう。それがカルトというものだ。
    所有のない社会を目指し自給自足の共同体で生まれ育った著者。
    子供は明るく素直で元気でいなければならない社会において、そうなるつもりもない頑固さと意思の強さはご両親譲りだった模様。
    きっと著者はどんな育ち方をしても自分をきちんと持った人物になったのではないだろうか。
    子供は育った世界が基準になる。幼少期は楽しいこともたくさんあった、というのは良かった。
    それにしても、ご両親共に大学生時代に退学して村へ入ることを決めたそうだ。
    その親御さんたちからしてみればたまったものではないだろうな。
    この年になってみると、あの年代の世間知らずさと純粋さが危なっかしいことがよくわかる。

  • やっぱり、高田さんの絵可愛い。 この可愛さあるから、「カルト村」といった、ある種特殊な環境・経験もサクッと読めるのかも。 1作目から読みましたが、全て楽しく読めました^^

  • 図書館にて。
    カルト村のついての前作2作よりずいぶんと柔らかかった感じ。
    あまりこの宗教についてなるべく悪く書かないように気を付けた印象をなんとなく受けちゃったんだけど…
    自分の育った環境とか、生きてきた世界が必ずしも正解でこっちがダメだったとは思わないし、多数派が正義とも思わない。
    ただ、選択のできない子供の育つ環境は理不尽であってほしくないなと思う。
    それは実の親に育てられようがそうでなかろうがそう思う。
    同じ環境でもどう感じるかは人それぞれ、万人が幸せにはなれないのかもしれないけれど。
    私自身はまっぴらごめんではあるが、自ら考えることをせず言われるがままに行動し従うというのもある意味幸せなのかもしれないし、実際そういう人もこういう世界にたくさんいるのだろう。
    幸せとは、生き方とは…考えさせられる。

  • 高田かやさんの他のカルト村シリーズを読んで、特に小学生時代はさぞや辛かっただろうなぁと思っていた。なので、幼少期のエピソードが温かく幸せそうでホッとした。
    高田さんの本は全て文字も手書きなのだが、本当に読みやすい字だなぁと感心する。

  • 読了。他に2冊出ており、これで完結とのこと。調べればわりとすぐ分かる有名なコミューンで生まれ育った著者が過去を振り返って描くエッセイで、色々と衝撃的。
    このシリーズは著者がわりと「すごく嫌なこともあったけど良い思い出もたくさんある」というポジションで描いているために、いつも感情のやり場がない感じになる。「子供だった高田かやさんにひどいことしやがって…でも今の高田かやさんを作ったのはある意味コミューンでもあり…???」ってなる。あと著者の手書きの文字がものすごくきれいで読みやすいのも「なんてきれいな文字なんだ!きっとこれは…コミューンでさんざんやらされた何かの結果に違いないぐぬぬぬぬ」ってなる。
    アイデンティティに食い込むってきっとそういうこと。大変複雑な気持ちになります。ともかく良作であります。

  • 本書は「カルト村」のシリーズ最終巻として刊行されたものです。
    この著者独特の、物腰柔らかなのにこの上なく自我と意志の強さが漂い、淡々としているのに子細で赤裸々な語り口は本書でも健在です。
    今回は、カルト村は著者の幼少期は村外の一般社会の文化も自然に共存していたものの、ある時期から子供たちを厳しく管理するタイプの世話役が送り込まれ、外の文化の遮断も急速に進んだという話が語られていました。
    ただ、あくまで子供の目線での記憶(詳細な記憶力に驚かされます)に基づいて語られているので、「なぜそうなったのか?」の追究には至っていないのが残念です。
    せっかくご両親の入村のきっかけや結婚の経緯なども語られていたので、あの村の運営で、実際にその時期何が起きていたのか? という大人の視点での歴史解説があればもっと良かったのに、という隔靴掻痒な感が否めません。
    ただ、そうすると本当に「告発」になってしまい、それは著者の意図する所ではないため、そういう構成にはしていないのだろう、と推測しています。
    また、声高に語られていないからこそ、特に関係に問題のない親子を強制的に隔離し、兄弟同士でも共に過ごせず距離を埋められない状況にすることの怖さがひしひしと感じられ、ぞっとしたのも確かです。著者の実父はかろうじて肉親との交流を保ち続けていますが、親族や故郷との関係を破壊し尽くした上で入村した実母はそうではなく、子供世代である著者も未だに正式には親族に受け入れられないというエピソードも然りです。
    読後に心にずしりと重いものが残される一冊でした。

  • カルト村で生まれました、に続いて読了

    正直、1作目の面白さと比べると
    あまり興味を持てなかった

    ラストのご両親の結婚エピソードは
    とっても興味深かった

  •  ご両親の入村経緯と馴れそめ話が面白かった。武者小路実篤の『新しき村』が出てきたけど、時代だったのだな。
     一作読み飛ばしていたようで(お金さま?なんちゃら)急いで読みます。

  • マンガのタッチもうまくて、面白い、

  • 相変わらず字がきれいだな、と思い、そういえばこれも「村」の教育の賜物だったなと思いながら読みました。理想があり、その理想の具現化として発生した「村」。それを正しい正しくないは置いておいて、フラットな視点で知ることのできる良い本だと思いました。

  • 最初の作品を読んだ覚えがあり、まとめて置いてあったのが目に入ったので借りてきた。

    やはり異文化、宗教はおもしろい。著者の姿勢もわりとフラットで批判本ではないので読みやすい。

  • 担当者が変わってからどんどん厳しくなるカルト村の幼児預り施設
    父親の方はいちおう親族と連絡取れる
    母方の方はいまも絶縁
    なんかなー、という感じ
    宗教二世といい、カルト村といい、子供は大変だ

  • 理想を追い求めた団体が、次第にカルト的な要素を帯びていくのは何故なのか?それが知りたくてこのシリーズを読んでいます。
    比較的自由だった幼年時代。しかし、養育係さんが変わると生活も変わって行く。
    人をコントロールしようとするという事に何か良くないものが芽生えるのだろうか?
    さほど悪いイメージの生活ではないものの、著者が子供は産まないと決めている事、妹さんに対する冷淡さに何か根深いものを感じてしまうのは穿ち過ぎなのだろうか。

  • カルト村シリーズ最新刊。著者が幼少期の頃の話。
    まだこの頃は村としての人数も少なく、規律も穏やかで後にNGとなる酒、タバコ、テレビ、漫画、ゲームもOKだったし、近くの温泉や、クリスマスプレゼントを買いにデパートに行ったりしていた。
    新しい世話係がやってきて、段々と規律が厳しくなり、異常な集団へと移っていく過程が描かれている。

    温泉でお父さんにおしるこ缶を買ってもらい、また飲みたいと思っていたら時期外れで飲めず、また次回と思っていたらその後温泉に行くことができなくなった話は、読んでいてこの先を知っているだけに辛いしやるせなかった。

    両親がなぜ入村したのかや、結婚の話も載っていた。
    両親が両思いで結婚したがっているのに、周りの人達は父親がまだ若いからと受け入れず、もっと年配の人と結婚させようとしている描写が、怖いし気持ち悪かった。
    個人の幸せがなくて、なにが幸せな村なんだろう。
    たまたま、父親を気に入ってくれていた長老に相談したら二人の結婚を認めてくれて結婚できたらしいが、もし、相談する前に長老が亡くなっていたら・・と思うと。

  • 今回も興味深く読めた。
    カルト村の話と高田さんのかわいいイラストとのギャップがまた、カルト村と俗世とのギャップと重なり、えもいわれぬ気持ちになる。

  • イラストや絵も大好きだし、エピソードも興味深いものばかり

  • 普通の暮らしってありがたい。

全25件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

唐戸俊一郎(からと・しゅんいちろう)。1949年、福岡県生まれ。1968年、東京大学入学、1977年、東京大学理学博士。1989年、アメリカに移住。ミネソタ大学教授を経て、現在イェール大学教授。地球惑星物質の研究を通して地球や惑星の起源やダイナミクスを理解することを目指し、ミクロとマクロを結ぶ学際的な研究を続けている。専門論文の他に『レオロジーと地球科学』(東京大学出版会)、“Rheology of Solids and of the Earth”(Oxford University Press)、“Deformation of Earth Materials”(Cambridge University Press)など編著書多数。日本学士院賞、ラブ・メダル(ヨーロッパ地球科学連合)、レーマン・メダル(アメリカ地球物理学連合)などを受賞。

高田かやの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×