マンモスの抜け殻

  • 文藝春秋 (2021年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784163914756

作品紹介・あらすじ

ニッポンの介護は限界だ!

アフターコロナの介護業界の闇に迫る社会派ミステリー。
高齢化が進んだ団地は、都心の限界集落といえる。ここでは、独居老人の孤独死も多発している。そんななか、この場所で、介護施設経営者が殺害された。
殺人事件を担当することになった警視庁の刑事、介護施設で働く男、被害者と会っていた美人投資家。事件をきっかけに、かつて団地で育った3人の幼馴染が再会。容疑者となった旧友を救うため、刑事が駆ける。

感想・レビュー・書評

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  • 巨大団地で殺人事件が発生する。
    そこの団地で育った刑事が、事件を解決していくというミステリー。
    だがそれだけではない。
    高齢化が進んだ今では、介護施設はなくてはならないが果たして満足のいく場所なのか…
    働いている者たちの勤務体制は…
    刑事の母親が認知症では…と思い始めたことにも繋がり介護業界の闇にまで迫っていく。
    同じ団地で育った幼馴染の2人が、介護施設に関係してたこともあり、最後まで目が離せなかった。

  • 推理小説の形をした介護関連の問題提起作品とでも言えるような内容でした。
    かつて同じ団地で育った子供達が長じてそれぞれの道を歩んでいるのだけど、その今は寂れ果てた団地の一角で殺人事件が起きる。そして殺された人物はあまり褒められない高齢者で且つ長じた三人に縁あるのです。
    介護施設の内情や実態をキチンと書いてあって違和感なく読めます。昨年末の出版作品なのでリアルタイムな環境や背景がかなりよく分かります。

  • 介護や過疎化団地などの社会問題を題材にしていて、今後どうしていくべきなのか考えさせられる内容ではあった。40年前に何が起こったのかを最後まで引っ張る割には大した衝撃もなく、ミステリーとしてはイマイチだと思う。昔団地で仲良かった3人が別々の立場で展開される点は良かった。

  • 介護の仕事の大変さがリアルに伝わってきた。
    ただ今まで読んだ著者の作品と比べると、少し勢いがないような?

  • 毎回、様々な社会問題を描く作者。
    今回のテーマはアフターコロナの介護業界の闇。
    巨大団地で起きた介護施設経営者の殺人事件。
    捜査一課でかつてその団地に住んでいた刑事と、経営者の施設で働くヘルパー、現在は女性実業家となった幼馴染3人を軸に事件解決だけでなく、介護の現場のブラックな勤務体系や診療報酬の水増し、昭和の時代にこぞって建てられたマンモス団地の現在から貧困の問題まで、盛沢山に描かれている。
    事件そのものは、犯人が明かされてみれば、もっと早い段階で気づかないものなのか・・・と思うぐらい、引っ張っている感は否めない。
    しかし、主人公3人の幼少期の貧困の様子は自分の幼少期に重なるし、巨大団地の過疎化は現代社会の象徴であり、介護の問題はもはや全く関係ない人などいないのではないかと思うぐらい、次から次へといろいろなことを考えさせられる内容だった。
    ベースを警察小説にしているので、最近の作者の作品の中ではページ数の割には読みやすかったけど、少し詰め込み過ぎだったかなぁ。
    もっといろいろ分けて作品にしても良かった気がする。

  • 殺人事件で背景は重い。
    老後の問題。
    それを食い物にしている人達。
    ミステリーの題材なんですけどね。
    背景が身に積まされます。

  • 説明
    ニッポンの介護は限界だ!

    アフターコロナの介護業界の闇に迫る社会派ミステリー。
    高齢化が進んだ団地は、都心の限界集落といえる。ここでは、独居老人の孤独死も多発している。そんななか、この場所で、介護施設経営者が殺害された。
    殺人事件を担当することになった警視庁の刑事、介護施設で働く男、被害者と会っていた美人投資家。事件をきっかけに、かつて団地で育った3人の幼馴染が再会。容疑者となった旧友を救うため、刑事が駆ける。





    高齢者が多くなってきて 介護施設で働く方達は大変だろうなぁと想像する。
    自分もいつか、お世話になるかもしれない場所。
    旦那さんの両親がお世話になっていたので 介護士さんには頭が下がります。
    医療の発達で 平均寿命は伸びて喜ばしいことなのかもしれませんが その後の事も考えないとね…
    健康寿命から 本当の意味での寿命までが 長ければ長いほどしんどい日々が続くんだよね。

    住んでいない家もあちこちに増えてきたと思ってた。新しい家もあちこちに増えてる。
    何が建つのかな?って思ってたら 戸建の家かマンションってことが多いように思う。
    人口は減ってるし 結婚する人達も減ってるだろうに 辻褄が合わないような…

    最後の方まで あまり犯人は誰か?って考えることなく読んでたように思います。
    推理小説というより 現在の日本のあらゆる問題を考えさせられる内容だったなと思いました。

  • 真犯人が浮かび上がってから一気に真相に迫ったせいかそれまでの大半が色褪せてしまったような気がする。どうしてチェリーホームじゃないとダメなのかという理由も描かれてはいるが薄く、いっそのこと環の意地と言ってもらった方がスッキリする。熊谷の脅しにも屈しそうになって、最終的ににはクビにしたが初期の時点で不正の証拠も掴んでいたのだから強請られる前にさっさとクビにできたと思う。介護問題と貧困問題を組み合わせる点は素晴らしいと思うが、筆者にしては構成が雑で期待したほどではなかった。

  • 老いには誰も勝てず、死の前に、老いてどうなるのかという漠然とした不安で馬齢を重ねていく日々。当初は希望に満ちていた団地が、経年で高齢化していく様子に人生を重ねて、介護の現実と希望を描く作品。幼なじみが偶然すぎる感があるが、真犯人に辿り着く過程とその意外さには、読みごたえあり。主人公が小学生の頃、運動会で失敗したことに対して、父親がいう一言がしんみり。

    負けても立ち上がればなんとかなるさあ

  • 骨太な捜査モノというだけではなくて現実世界の社会問題が根底に横たわっている点が読ませる。犯人やトリックがメインでは無い新ジャンルの警察モノとしてシリーズ化を望む。

  • 刑事物+高齢化社会、介護問題、認知症、貧困…社会問題を絡めて読みごたえあった。

  • 死体発見というミステリー推理に、介護問題、介護ヘルパーの低収入、戦後に建てられ取り残された団地、社会問題てんこ盛りのなかで、進められていく捜査。
    刑事自身もまた、母親の介護というこれから起こりうる問題が頭にちらつきながら捜査をすすめていく。

    担当する刑事もこの団地で育ち、この事件を機に幼馴染二人と再会する。同じ団地で育った三人が、当然だが今はまったく別の人生を歩んでいる。

    どこで、どちら側に、どんな状況に陥るか、自分を振り返らずにいられなくなる作品。
    読めば、どれか一つの社会問題に自分も足を突っ込みかけている、そういう違った恐ろしさを感じます。

  • いつものようにスイスイ読めたが、終盤、何となく読めてやや期待ハズレでした。

  • なかなかの頁数だったが それを感じさせないくらいあっという間に読んだ。
    映画になってもいいかなとも思えた。

    犯人を見つけるだけのストーリーではなく、社会保険制度、介護制度の限界や闇、診療報酬水増しがはびこる実態。それを食い物にする裏社会。

    介護が近づく親をもつ世代として考えさせられる作品だった。

    環が推進する人工筋肉をもちいた介護スーツ。
    高齢者が自立を目指す社会設計。こういったものが現実の社会でも発展していったらいいなぁと感じた。


  • 今のご時世と高齢化社会、認知症とうまくからめたサスペンスでした。最近、認知症とからめてる小説が多い気がしますがいつも『なるほど』と考えさせられます。サスペンスだけど大変勉強になりました。

  • 超高齢化社会の日本で問題になっている介護業界の闇に迫る長編ミステリー。高齢化の進む巨大団地で、介護施設経営者が殺されて、その犯人を追う話なのだが、事件が進むにつれて介護業界の闇(水増し請求、雇用のブラックっぷり)の話が絡んできたり、介護をテクノロジーで解決しようとする投資家も登場し未来の介護も垣間見れる奥深いストーリーとなっている。タイトルのマンモスの抜け殻は、40年前のマンモス(かつての巨大団地)が高齢化で活気がなくなってしまった様を指す。人生100年時代、今を生きる全員にオススメしたい一冊。

  • 相場英雄の最新刊ですが、相場英雄らしい社会派サスペンス作品でした!昔は活気があったが、最近は高齢者中心の老朽化した団地問題やその高齢者が抱える介護問題をうまく殺人事件に絡め、非常に考えさせられる内容の作品に仕上がっており、さすがの面白さでした!
    ハイテク技術が介護問題の解決の光明になるというのも、面白い視点でした!

  • 時代考証がもう一つピンとこないことろもあって、社会派小説として読むにはかなり違和感があった。
    そして、これからの介護への明るい未来が見える展開とは・・・

    今回はアウトローな作者が見えなかったかも。
    とはいえ、これからも社会の歪に真摯に向き合った小説を独自の視点で発信して欲しい。

  • 最近、何作品か読んだ作者の作品で、少し気になって入手した。紐解き始めてみれば、何か夢中になって、素早く読了に至った。
    題名は物語の冒頭寄りの様子から採られている。作中、「マンモス団地」と呼ばれていた集合住宅の集まった団地で事件が発生し、その団地で育ったというベテラン捜査員が最初に現場を訪ねた時に呟いた表現だ。高齢化が酷く進んで閑散とした様子の団地を視て、様子を「抜け殻」と評する訳だ。
    この「抜け殻」のようになった場所で何が起こったのか、主要人物達の人生と共に描かれるのが本作の物語である。作中世界の“現場”は新宿区内の古い団地をモデルとしているが、架空の地名としている。が、作中の新宿区内の地名、その他の都内の地名は実在するモノが使われている。極々個人的なことだが、自身は新宿区内に在った経過が在り、その当時に少し馴染んでいたような地名が頻出する関係で、何か酷く手近で起こっている実際の出来事の物語を読んでいるかのように入り込んで夢中になった面が在る。
    冒頭にプロローグが在る。1980年の夏の或る日、大きな団地での様子が描かれる。子ども達が遊んでいて、親が帰って来て声を掛けてというような、往年の団地の賑やかな様子が在る。その中に勝也、尚人、環という2人の少年と1人の少女が出て来る。
    本編に入ると、プロローグの3人の子ども達が長じた姿が現れる。1980年の夏の或る日から40年程を経ている。
    仲村勝也は警察官だ。警視庁の捜査一課の捜査員である。妻と高校生の娘が在り、父が他界した後に団地から近所に引越して来た高齢の母も在る。
    松島環は投資会社を営んでいた。外資系の会社を経て独立し、新規に起業をする会社への出資等を手掛け、国外の投資家ともやり取りが在り、なかなかに成功している。
    石井尚人は高齢者施設に勤めていた。施設入居者の食事を用意する等、施設内で色々な仕事をし、デイサービス利用者の送迎を行う等していた。
    この3人は、或る事件を契機に暫く振りに再会―5年程以前、仲村勝也の父が他界した際の葬儀に、松島環と石井尚人が顔を出している…―し、事件と向き合って行くことになる。
    その事件というのは、3人が育った団地で藤原光輝という男が殺害されたという事案だった。団地の高層部分、建物の12階に在るバルコニー状の通路から地上へ突き落されたと見受けられる状況であった。そしてこの藤原光輝という男は古くから団地に縁が深い男で、3人も子どもの頃から見知った人物である。
    捜査一課長は仲村が事件現場の団地で育っていて土地勘が在ることを勘案し、牛込署に設置された特捜本部に参加するように命じる。仲村は牛込署の関刑事とコンビを組んで、事件関係者の人間関係等を調べる「鑑取り」に参画して行くことになった。
    藤原光輝が最後に会った可能性が在る人物を探ろうとすれば、そこに松島環が浮上した。事件現場に近い喫茶店で会っていて、話し合いが口論のようになっていたことが判ったのだ。仲村は松島から事情を聴く。何を話し合っていたのかは、投資案件に纏わる守秘義務が在るので話せないの一点張りだった。が、仲村は松島が藤原の事件に関係していないと感じる。
    というようなことから展開して行くのだが、話は意外な方向に展開して行く。目が離せない物語となる。
    本作は「同じ団地で子ども時代を過ごした3人」が各々の人生を経て、また邂逅し、過去の深い傷を乗り越えて「時代の課題」に向き合うことになるという物語であるように思った。同時に「時代の課題」の際たるものである「高齢化と介護」という事案を巡る問題提起も含まれている。
    他方で、刑事の仲村勝也が何か惹かれる。機動捜査班を経験していて様々なノウハウを持っているベテラン捜査員としてブレることなく捜査に邁進し、上司である“若様”ことキャリアの管理官に食って掛かることも厭わない硬骨漢である。他方、負傷で不自由になってしまったことを契機に認知症の症状が散見するようになった80歳代に入った母を案じ、その世話を主婦の妻に任せざるを得ない状況を少し心苦しく思い、同時に娘を見守る優しい父親である。また、捜査で出くわした旧友に、友人としての想いを奥に、寧ろ職業刑事として真摯に接している。
    こういう仲村刑事が向き合う事案の物語は広く御薦めしたい。
    更に言えば、「大都市圏で70年代に開かれ、80年代頃に酷く賑やかな団地が、何十年かで著しく高齢化して人口も減り、閑散とした地域に色々と課題が在る」という様子は、個人的にも「非常に身近な話し」でもある。正しく「時代の課題」ということで、それを真正面に捉えた作品だった。

  • 157マンモス団地も徐々に建て替えが進み出でその一方で放置された抜け殻の地域もある。階段のない5階建てのスチールドア。子供達の賑やかに走る足音。もうあんな時代は遠い昔になった。介護が儲かる仕組みを作って海外に輸出できないかなあ。

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著者プロフィール

1967年、新潟県生まれ。専門学校卒業後、時事通信社へ。経済部記者を務める。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。『震える牛』がベストセラーに。『血の轍』『ガラパゴス(上・下)』『不発弾』『トップリーグ』他、映像化作品多数。主な著書に『ファンクション7』『偽金 フェイクマネー』『復讐の血』『共震』『アンダークラス』『Exit イグジット』『レッドネック』『マンモスの抜け殻』『覇王の轍』がある。

「2023年 『心眼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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