孤独の宰相 菅義偉とは何者だったのか

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914800

作品紹介・あらすじ

改革を目指した「政界一の喧嘩屋」はなぜ総理の座を追われたのか――。
安倍・麻生との確執から、河野・小泉との本当の関係まで、
担当記者だからこそ書ける菅義偉の実像。

「歴代総理の中で、菅ほど、その実像が伝わらなかった宰相はいなかったかもしれない。一体、どこで何を誤ったのか。この6年あまり、担当記者として菅の息づかいまでを間近で感じながら取材を続けてきた私だからこそ、その真実を探し出せるのではないかと考えたのが、この本を執筆した理由の一つである」(「はじめに」より)

感想・レビュー・書評

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  • 菅義偉氏の担当記者によるノンフィクション。「令和おじさん」での人気から、側近スキャンダル→コロナ禍での安倍氏との齟齬→安倍辞任・菅総理誕生→菅辞職までの浮き沈みが、密着取材に基づいて書かれている。ほかの政治家や官僚への批判(というよりも悪口)も結構記録されていることに驚く。

    もっとも筆者は、菅氏を改革志向として割と好意的に描いている。たとえば、脱炭素宣言や「1日100万回接種」は、賛否があるとはいえ、菅氏のトップダウンだったようだ。

    だがトップダウンの裏腹として、熟議の軽視や国民への説明不足があり、また官房長官時代のやり方を変えられなかった(スピーチの練習をしようと思ったが、結局やめたらしい)。これらが、内閣総辞職へと至る原因として指摘される。本書全体が詳細な取材に基づき、かつ菅氏に好意的なだけに、説得的な指摘である。

  • 表面的なマスコミ報道や内閣支持率に頼り過ぎず、もう少し腰を据えて菅総理に国の舵取りを任せるべきではなかったのかと思いました。

  • 今更ですが、菅さん本。
    菅さんが辞めてからの方がコロナ感染者は圧倒的に増えてるし(オミクロンの影響は大きいけど)、岸田さんよりは仕事してたよなとも思う。
    一方で、統一教会と菅さんの関係はどうだったんだろう?というのも気になる。
    しかし、かなり前の話な気がするけど、1年前の話なんだな。

  • 面白かった~!!菅さんみたいな叩き上げの人でないと、庶民の気持ちなんて到底できないし、世襲とか知名度だけで当選者できる人を外さないと日本が良い国に変わっていく気が全くしない…政策も中流家庭を具体的にイメージ出来る人に決めてもらいたい。ま、牛耳っている側に都合悪いことなので出自の良い人達がそんな法則を決断する日は来ない訳だが…残念。

  • 菅義偉前内閣総理大臣に食い込んでいた番記者がその実像に迫る。
    本書を読んで、菅前総理の政策実現に向けた思いや突破力、肩書きにとらわれないなどの人間性については見直したが、やはり国民とのコミュニケーションや周囲との信頼関係に難があったのだと認識した。

  • マスコミの菅義偉政権当時の表層的な報道ぶりとこの丁寧な記録との落差に日本社会の終わりの始まりを感じる。2030.40年ごろにはもっとマスコミも社会も劣化の度合いを増すと思える。

  • 『菅番は、政治記者としてのキャリアを傷つけるだけだ』
    『国民のみなさんが持っているつぼみを、大きな花として咲かせることのできる、そんな国を作っていきたい』
    『岸田はライバルであり、自分とは違う「戦わない政治家だ」と見下していた』
    『俺と河野と小泉で20年はできます』
    『自民党には世話にならないで当選した。だから、怖いものがなかった。内部から、自民党を変えてやろうと思ったんだ』
    『国会議員になって、まわりを見ると東大とかハーバード大を出たような経歴を持つ人ばかりだった。でも、自分の主義主張を最後まで貫く人はいないんだなと気付いた。最後は自分で判断できず、流れに身を任せる人ばかりなんだよね』
    『夜になると、宿舎にいても救急車のサイレンが聞こえてくるんだ。そうすると、もしかしたら搬送先がなくて、たらい回しになっているんじゃないかと不安で、眠れなくなってしまう。国民がそんな状況のときに、私だけホテルで休むなんてできないんだよ』


    総理就任からわすが1年で退陣に追い込まれた菅義偉総理大臣。
    秋田の農家の長男として生まれて、高校卒業後すぐに上京。たたきあげ、無派閥、不言実行、令和のおじさん。
    6年あまり、担当記者として間近に取材した著者が総理の肉声を書く。

  • 地味ながらも色々進めた実績が認められない不遇の総理、菅義偉の短い首相人生をまとめた良書。
    自らが支えた第二次安倍政権を参考とせず、他人を信用せずすべて自分ひとりでやろうとすればそりゃ失敗しますわな。
    大都市部に住む者としては、いかに優れた実績があろうとも「ふるさと納税」という税制度を破壊した世紀の愚策を推し進めた、歴代屈指のクソ首相ということに変わりはない。

  • 著者は元菅官房長官番の記者で、元号発表から総理退陣までの約2年半を、折々に本人から直接聞いた話も含め描写。
     各章の題名から大まかな流れは分かる。元号発表や異例の訪米での存在感から、菅原・河井の閣僚辞任ドミノ。安倍との亀裂を経て、その電撃辞任後の総裁選圧勝。コロナとの苦闘、都議選惨敗から衆院選を控えた党内の「菅おろし」、そして総裁選不出馬で終わる。
     著者は、現場の警官と気軽に会う、秘書官を気遣うなどの人間味にも触れる一方で、国民に言葉が届かなかったと指摘。その理由に、長官時代の鉄壁会見スタイルを変えられなかったことや、トップダウン型の政策決定の傍ら国民への説明を軽視したといった発信力不足を挙げている。

  • この本はいろんな読み方ができる。
    政権擁護の立場としても読めるし、逆に政権批判の材料としても使える。
    ただ、自身の学びを目的としたときにその読み方は適切ではない気がする。

    菅義偉をケースワークとして、彼なりの視点でタイムワープしてみることが自分としてはしっくりくる。
    その視点に立ったときいくつかの問いが浮かぶ
    「立場が変わった時、これまでのやり方、人材に固執していないか?」
    「自分の価値観(不言実行で成果を出せば認めてくれる)をどこまで大事にすべきか」
    「力を誇示することは物事をスピード感を持って進められるが、強い批判も受ける」
    「全て決めると、批判も全て生身にダイレクトに喰らう」
    「周りを蹴落としてでも大義を通すべきか?」
    「自分の身を守るために、力を誇示し続ける必要のある人生」
    「受動と能動のバランス」

    終わってみればいくらでも文句をつけることはできるが、いかにその瞬間に判断するか。多くの人にとって勉強になる問いが生まれる。

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