捜査線上の夕映え

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 267
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163914848

作品紹介・あらすじ

「臨床犯罪学者 火村英生シリーズ」誕生から30年! 最新長編は、圧倒的にエモーショナルな本格ミステリ。

一見ありふれた殺人事件のはずだった。火村の登場で、この物語は「ファンタジー」となる。

大阪の場末のマンションの一室で、男が鈍器で殴り殺された。金銭の貸し借りや異性関係のトラブルで、容疑者が浮上するも……。

「俺が名探偵の役目を果たせるかどうか、今回は怪しい」
火村を追い詰めた、不気味なジョーカーの存在とは――。

コロナ禍を生きる火村と推理作家アリスが、ある場所で直面した夕景は、佳き日の終わりか、明日への希望か――。

感想・レビュー・書評

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  • コロナ禍で起こる何の変哲もない殺人事件。
    容疑者は絞られており、監視カメラもある。
    華々しいものはないのだけど、火村とアリスによって、少しずつ確実に真相に近づいていく感じがとても好き。

    コロナで旅行もままならない中、2人で訪ねる小島のなんて素敵なこと。
    何故か2人で自転車レースしてるとことか、船に乗ってる描写とか、旅行気分も味わえてお得。

    ジョーカーの存在が明かされてから、読むのが止まらなかった。
    人が人を想う。それぞれ一方通行な想いが勢いあまって殺意となり、生まれてしまったような話だった。

    今回も、トリックを解くのは火村先生だったけど、犯人の動機を紐解くのはアリスで、そんな2人がやっぱり好き。テンポの良い会話も心地良い。

    そして火村先生の不織布マスクが黒ってのが素敵ですね。かっこいい。

  • わたしにとっては鍵の掛かった男以来の火村シリーズだったので、そもそも2021年にタイムワープしてる感がすごくて最初は戸惑いの方が大きかった。何しろ彼らとの出会いはもう20年も前に遡るからである。でも読み進めるうちにアリスが感じる「非日常への憧憬」みたいなものがジワジワ迫ってきて、なるほど先生が書きたかったのはこれなのかな、と思った。ミステリ的には「そんなトリックかよー」感は否めないけれど、表紙の写真と、瀬戸内や白神山地、なんでもない電車での非日常に少し癒されたし、何よりチャリンコ競争する火村アリス最高だった。早くコロナ落ち着くといいな。

  • 長年続く火村英生シリーズらしさはありながらも、コロナ禍で生きる火村やアリスの姿やトリックなどに現代を感じられ、
    火村やアリスが同じ時代を生きているようでなんとも言えない高揚感を覚えた。
    火村とアリスのテンポの良い会話が心地よい。

  • アリバイ崩しや物語後半で一気に明らかになるとある人物の過去も面白かったけど、何よりアリスも火村先生もコロナ禍を生きていることに何とも形容し難い安心感を得た。

  • 辛いことがあっても表紙の夕映えを見て、明日への希望を持ちたいです。
    火村先生とアリス。
    この二人のセットが私にとっての明日への活力です。
    そして読了した今、猛烈に阿闍梨餅と葡萄が食べたい。

  • 大阪のマンションで一人の男が殺された。お金の貸し借りや恋愛のトラブルで候補となる人物はいたものの、アリバイなどで捜査は難航していた。そんな時、火村と有栖川に協力のお願いをした。コロナ禍の中、二人は事件の解明に挑んでいく。


    火村&有栖川シリーズの最新作です。今回は「今」と同じようなコロナ禍を背景に事件を捜査していきます。
    事件の背景や状況なども会話の中に取り込んでいるので、基本的に会話劇となっています。会話劇を重視しているので、よりその場にいるかのような雰囲気・臨場感が維持されていて面白かったです。

    また、旅情サスペンスとしても楽しめました。大阪やある地方を舞台にしているので、電車の名前や地区名など関西地方の方には親近感が湧くかと思います。一緒に旅をしている感覚もあって、行きたい気持ちにもなりました。

    じっくりと様々な証言を得ながら、着実に解決へと導いていくので、推理していく二人のテンポは良かったです。
    言葉の一つ一つを巧みに使い、相手を惑わせながら、真相に近づいていくので、さすがという安心と信頼がみなぎっていました。

    真相としては、直球というよりは、ちょっと変化球的なトリックでしたので、意表を突かれましたが、ロジックがしっかりしているので、納得感はありました。
    それよりも、事件を惑わす「ジョーカー」の正体には驚きでした。

    それが後に大きな点と線となって結ばれていくのですが、ありふれた殺人事件からここまで発展するとは・・・。
    本格ミステリーで、安心感の漂う作品でした。

  • コロナ禍を生きる火村とアリスが読めるとは。
    簡易に見えて八方塞がりな事件。中盤驚きと共にどこに連れて行かれるのだと訝しると、不意に訪れる着地点の見事さにほうと唸る。
    嗚呼これぞ有栖川ミステリ。派手さはないが美しいのです。
    旅に出たいねえ。

  • 火村とアリスが自分と同じ時間軸にいるという不思議さを噛み締めながら読んだ。
    「捜査線上の夕映え」の事件が発生するのは2020年8月。火村とアリスが事件を追うのは9月。コロナ禍であの火村先生さえマスクをしている(やっぱり黒かー)。
    そこに感慨深さを感じるのは、私が作家アリスシリーズを長年読んでいて、気がつけばだいぶ2人の年齢を追い越してしまっているからだろう。初読が「朱色の研究」であり、そのとき私は彼らより年下だったのだ…。
    奇しくも「捜査線上の夕映え」はそのタイトルが示すとおり、「夕陽」が背景としてしばしば提示される(「朱色の研究」にも言及している)。
    それだけに内容はなかなかにエモーショナルである。トリック自体は完全に「?!」となったが、やはりそこは本格だからこそ、というか、単純そうに見えて混沌とした構図を「実はやっぱり単純だったんです」というのがとてもすっきりしている。
    私は有栖川作品の中でも「朱色の研究」が動機設定として「このうえなく壮絶に美しい」と思ってしまうタイプなのだけれど、本作の動機設定も負けず劣らずエモーショナルだな、と思った。そしてそのエモーショナルな部分を引き受けるのが、両作とも火村でなくアリス、というのがやはりよい。
    相変わらず有栖川有栖先生は日本語の使い方に繊細だな、と思わせる文が幾つもあって個人的には嬉しくなった。ちょっとくどいかもしれないが、味だ。
    しかしGoToトラベルがこんなに推理小説で生きるなんてびっくりだわ…

  • 1/11▶️1/13(長編)火村&有栖シリーズ27 最新!!

  • 【火村シリーズ誕生から30年!圧倒的にエモーショナルな本格ミステリ。
    】ありふれた事件のはずだった。「俺が名探偵の役目を果たせるか、今回は怪しい」。火村を追い詰めた、不気味なジョーカーの存在とは。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2021年 『こうして誰もいなくなった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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