世界が青くなったら

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163915098

作品紹介・あらすじ

もし朝起きたとき、大事な人が消えていたら?
もしあの時、別の決断をしていたら?
もしもう二度と会えないと思っていた人と会うことができたら?
人生で誰もが出会うifを問いかける物語

ある朝仲内佳奈が目を覚ますと、彼氏の坂橋亮が世界から消えていた……
LINEに履歴はないし、電話帳の中の番号もなくなっている。不安になって亮のマンションに行ってみるが、亮の部屋はずっと空室だという。親友に亮の話をしても「そんな人には会ったことがない」と言われてしまう。
自分の頭がおかしくなってしまったのか、それとも世界の方が壊れてしまったのか? 佳奈は混乱しながらも、亮の手がかりを探し始める――

『響け!ユーフォニアム』シリーズは累計170万部を突破、『愛されなくても別に』で吉川英治文学新人賞を受賞。人気、実力を兼ね備えた気鋭が放つ、ハラハラドキドキのファンタジー青春恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『本当なら絶対に会えない人に会わせてもらえる、「奇跡が起こる店」』に行ってみたいと思いますか?

    この世には『奇跡』という言葉があります。”常識では起こるとは考えられないような、不思議な出来事”を指すその言葉に、人は困難な状況に置かれている時ほどすがりたくもなります。それは、『奇跡』が起こったその先に今の現状を好転させる何かを期待するからだと思います。自分の努力だけではどうにもならない現状、そんな状況を一瞬にして解決してしまう『奇跡』。

    しかし、そのようなことはなかなかに起こらないのも残念ながらこの世の現実です。とは言え『奇跡』という言葉がある以上、それは全く起こらないことでもないはずです。そう、『奇跡』は現実に起こりうるものでもあるのです。そんなことを想像しだすと、あなたはどんな『奇跡』が起こって欲しいと思うでしょうか?目の前に大金が現れたとしたら!でも、警察にその出所はと問われたらどうしよう…と考えてもしまいます。どこかの国の王様になれたら?でも、暗殺されるかもしれない…と、考えてもしまいます。う〜ん、私のような小心者には、なかなか『奇跡』で夢を見ることも難しいようです(苦笑) 。

    さてここに、『本当なら絶対に会えない人』に会うことができるお店を舞台にした物語があります。ミヒャエル・エンデさん「モモ」に登場する亀の名前『Kassiopeia』を名前に冠した『奇跡が起こる店』の不思議の数々見るこの作品。そんなお店の店主が自身のお店のことを『自己満足を売る店』と言い放つ様を見るこの作品。そしてそれは、そんなお店に繋がる『平行世界』の存在を読者が目にするファンタジーな物語です。

    『ここ、何の店だった?』と訊くのは主人公の仲内佳奈。そんな問いに『分かんない。佳奈が歩いてて入りたいって言ったんだろ?』と返す亮は、店の奥へと進むと『すげぇ』と驚きの言葉を発します。そこにあった『巨大な鉄道模型』を見る佳奈は、一台の『ブリキの汽車の』『黒のボディの側面に、金字で「Kassiopeia(カシオペア)」と刻まれてい』るのに気づきます。そんな鉄道模型に夢中になる亮を置いて奥へと進んだ佳奈は、次の瞬間、『佳奈』と歩み寄ってきた亮に抱きしめられます。『俺、佳奈のこと幸せにするから』と言う亮。そして、『さ、早くここを出よう』という亮に手を引かれ、『店の内側と外側。その境界線を、佳奈は自身の意思で踏み越え』ます。『そして気付いた時には、世界から板橋亮が消えてい』ました。
    場面は変わり、『得体の知れない違和感』に襲われ『喉奥から』『せぐりあげる』感覚の中に、『大きさは五センチほど。トゲトゲしていて、青く透き通っている』物体を吐き出した佳奈。混乱の中に『吐き出す トゲトゲ 青い 病気』とスマホで検索するも何も情報は見つかりません。写真を撮り、恋人に聞こうとするも『LINEの友達欄に亮の名前が出て』きません。『アドレス帳にも』名前はなく、『交際一年目記念の旅行写真』からも姿が消えてしまった亮。『何かが起きている』と思う佳奈は亮の住むマンションへとでかけるもそこは空室でした。大学へと向かった佳奈は友人の土井茉莉と出会うと、気にかけてくれる茉莉に話を聞いてもらいます。しかし、亮の話をしても『初めて聞いたけど』と埒があきません。そんな中に、『実は私も、昨日不思議なことがあったんだよね』と語り出した茉莉は、昨夜、『本当なら絶対に会えない人に会わせてもらえる、「奇跡が起こる店」』について人から聞く夢を見たと説明します。しかも『簡易な地図と、「Kassiopeia」という単語が添えられ』た茉莉の筆跡のメモを見せられた佳奈。そして、『行ってみよう。その店に』と二人は地図に書かれたお店へと向かいます。『大学の最寄り駅から三駅先にある火良駅の近く』にあるそのお店へと行き着き、中へと入った瞬間、『私、この光景を見たことがあるような気がする』と思う佳奈。そこに『いらっしゃい』と現れた店員は『どことなく亮に似て』います。『あ、あの、板橋亮って人を知ってますか』と『勢いのままに』話しかける佳奈に、『ノーコメントだ』と返す店員。そんな店員に『この店では本当なら絶対に会えない人に会わせてもらえる…「奇跡が起こる店」だと聞』いたと話す茉莉に『この店は、並行世界の交差点。俺ができるのは、お客サンの望む相手に会わせてやること…』と語り出した店員は自らを店主のミツルと紹介します。そして、夢で招かれた茉莉が客で、佳奈は客ではないと言うミツル。そんなミツルに『私をここで働かせてください』と願い出た佳奈。そして、そんな『奇跡が起こる店』で働き始めた佳奈が、『本当なら絶対に会えない人に会うことができる』という奇跡を目にしていく物語が始まりました。

    “もし朝起きたとき、大切な人が消えていたら?もしあの時、別の決断をしていたら?もしもう二度と会えないと思っていた人と会うことができたら?人生で誰もが出会う〈if〉を問いかける物語”と思わせぶりに記された内容紹介がとても気になるこの作品。代表作「響け!ユーフォニアム」で”ザ・青春”をこれでもか!と見せてくださった武田綾乃さんがこの作品で見せてくださるのは、まさかのファンタジー世界です。全体が青基調で描かれたとても美しい表紙が読む前から期待感を上げてもくれるそんな作品は、〈プロローグ〉と〈エピローグ〉に挟まれた五つの短編が連作短編を構成しています。作品通しての主人公はあくまで仲内佳奈が務めますが、五つの連作短編には、それぞれの短編で光が当たる人物がそれぞれ登場します。そして、上記で触れた通り、友人の茉莉が夢で招かれたという『奇跡が起こる店』で働くことになった佳奈がそんな人物たちの前に起こる奇跡を目撃していく中に物語は展開していきます。

    そんなこのファンタジー作品の肝となるのが店主のミツルが語る次の言葉にヒントを見るものです。

    ・『この店は、並行世界の交差点。俺ができるのは、お客サンの望む相手に会わせてやること。ただ、その相手はここじゃない別の世界に住んでるヤツに限られる』

    ・『所謂パラレルワールドってやつだ。この世には無限の選択肢があり、無限に自分がいる』

    ・『並行世界の人間と会うだなんて、無意味で無価値な、ただ己を慰めるだけの行為だと皆分かってる。だが、それでも意外と需要は多い』

    なんだかわかるようなわからないような店主・ミツルの説明です。しかし、それは当然でネタバレを避けるために敢えて漠然とした抜き出し方をしているからです。でも、たったこれだけの情報でも、なんだか面白そう!、もっと深く知りたい!、そして、ご飯三杯は食べられる!という方(笑)には是非手にしていただきたい作品だと思います。そして、そんな代表格が私、さてさてだったりします(笑)。いずれにしてもこの作品は、『パラレルワールド』を作品の舞台背景に絡めた作品ということになります。”ある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界”とも説明されるその世界観。私が読んだ作品でこの世界観に触れた作品としては、七月隆文さん「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」や乾くるみさん「リピート」があります。どちらかというと”恋愛物語”色が強い前者、どちらかというと”タイムスリップ”色が強い後者ということで、それぞれの物語には複数の色彩が感じられもします。それに対してこの武田さんの物語では、より『パラレルワールド』に振っているところが特徴的です。お好きな方には是非おすすめしたいと思います。

    では、そんな物語の五つの短編についてネタバレにならない範囲で、簡単にその物語の背景をご紹介しましょう。

    ・〈第一話 自己満足を売る店〉: 大学の友人・土井茉莉が主人公。『私、小説を書いているの』と秘密を打ち明ける茉莉は、過去にもらった『ファンレター』の主に会いたいと希望します。

    ・〈第二話 君とは仲直りできない〉: 中学一年生の笹井湊が主人公。『俺はアイツに会いたくて』、『ぶん殴ってやりたい』と幼馴染の木村太一に会いたいと希望します。

    ・〈第三話 拝啓 大好きな恋人様〉: 『転職活動中の』鈴木文香が主人公。『私の会いたい人はね、恋人なの』と、『五十棲君っていう、二歳年下の男の子』に会いたいと希望します。

    ・〈第四話 優しい嘘つき〉: 『寝具メーカー』の営業・常和吉兼が主人公。『将棋が好きでね』という十年前に亡くなった『父方の』じいさんの常和吉郎に会いたいと希望します。

    ・〈第五話 世界が青くなったら〉: ネタバレになるので秘密(笑)。…絶対に予想できないまさかの存在がまさかの展開に!

    普通の連作短編であれば、それぞれの短編で主人公を務める人物は概ねその短編内に留まります。もちろん連作短編である限りは他の短編に登場することもあるかもしれませんが、それでも背景の一部に留まるのが普通だと思います。この作品が凝っていると思うのは、その短編に登場した主人公の話がその短編内で完結し得ないところです。次の短編の冒頭にも引き続き登場して最終的なオチはそこで決着をつけて次の人物の話へと移っていくという作りになっているのです。あまり他の連作短編で見たことのないこの作りの効果はかなり大きいものがあります。また、そんな人物たちのその後もさりげなくそれから先の物語に描かれていたりもします。これは他の連作短編でもよく使われる手法ですが、いずれにしてもこの作品は短編間の結びつきがとても強いということは言えると思います。この作品は「別冊文藝春秋」に2021年3月〜7月に渡って連載されていた作品でもあるようです。連載を読んでいらした方からすると、その号内で完全には物語の決着がつかない中で次の号が出るのを待たれていたイメージになると思います。この作品の続きを読みたいがために一ヶ月を待つ読者、なるほど、この構成にはそういったところを意図されたところもあったのかもしれません。

    そして、この作品には、それぞれの短編に登場する人物たちの物語、つまり基本的には一編ずつ解決していく物語とは別に主人公である佳奈に隠された謎を巡る柱の物語が存在します。

    『そして気付いた時には、世界から坂橋亮が消えていた』。

    昨日までは一緒に過ごしていた、佳奈にとって大切な存在だった坂橋亮、そんな亮が佳奈の前から忽然と姿を消してしまったという現実。もちろんそれだけであれば失踪した…といった普通に考えられる展開もあり得ます。しかし、坂橋亮の消え方は半端ではありません。

    ・『LINEの友達欄に亮の名前が出てこない』

    ・『アドレス帳にも坂橋亮の名前がない』

    ・『写真立てに飾っておいた、交際一年目記念の旅行写真…ピースしている自分の姿しか存在しない』

    ・亮が住んでいたマンションの隣人は、隣室がずっと空室だと主張

    そんなまさかの現実に『何かが起きている』と佳奈が確信するのは当たり前とも言えます。そんな中に友人・茉莉からひょんな話を聞いた佳奈。

    夢の中に出てきた人に『絶対に会えない人に会わせてもらえる、「奇跡が起こる店」があるって教えて』もらった

    そして、二人で訪れた店『Kassiopeia』で出会った店主のミツル。何かしらの謎を秘めたミツルの存在が佳奈の物語を大きく動かしていきます。五つの短編では、そんなミツルの正体と、『奇跡が起こる店』で何が起きているのか、そして坂橋亮の行方は?というこの作品に隠された謎が少しずつ、少しずつ明らかになっていきます。また、物語の展開において武田さんは物語の土台となる『平行世界』の考え方も決して疎かにされません。特に〈第五話 世界が青くなったら〉で遂に明かされる物語の全体像は、『平行世界』ならではの設定をとても上手く活かした、迫力ある展開を見せます。これから読まれる方にはそれまで”静”のイメージが強かった物語に一気に動きが出る展開に驚かれると思います。そんな物語の結末には、ちょっぴり切ない結末を見ることにもなりますが、最後に用意された〈エピローグ〉にはそんな読者が抱く思いを吹き飛ばすかのような極めて読後感の良い物語が描かれていますのでご安心ください。

    『人間っていうのは選択の積み重ねで出来てると思ってるの。一つでも違う何かを選んでいたら、それはもう別人なのよ』。

    『平行世界』の考え方を物語の土台に用いたこの作品。そこには、昨日までは恋人として同じ時を過ごしていた『亮の姿だけがどこにもない』という現実を前に戸惑う主人公・佳奈が真実を追い求めていく姿が描かれていました。ファンタジーが好きな方にはたまらないこの作品。数多く張られた伏線が丁寧に回収されていく構成の上手さにも驚くこの作品。

    『平行世界』を真正面から扱ったストーリー展開にとても魅了された、そんな作品でした。

  • 【ザ・インタビュー】人生決める決断の蓄積 作家・武田綾乃さん著『世界が青くなったら』 - 産経ニュース
    https://www.sankei.com/article/20220327-O563YMURJNJ35JOGB5E6BZ5EMM/

    自分の選択を後悔しない、その方法は?――『世界が青くなったら』 『世界が青くなったら』(武田 綾乃) | インタビュー・対談 - 本の話
    https://books.bunshun.jp/articles/-/7018

    『世界が青くなったら』武田綾乃 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163915098

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      <訪問>「世界が青くなったら」を書いた 武田綾乃(たけだ・あやの)さん:北海道新聞 どうしん電子版
      https://www.hokkaido...
      <訪問>「世界が青くなったら」を書いた 武田綾乃(たけだ・あやの)さん:北海道新聞 どうしん電子版
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/668014?rct=s_books
      2022/04/11
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      【ザ・インタビュー】人生決める決断の蓄積 作家・武田綾乃さん著『世界が青くなったら』 - 産経ニュース
      https://www.sankei...
      【ザ・インタビュー】人生決める決断の蓄積 作家・武田綾乃さん著『世界が青くなったら』 - 産経ニュース
      https://www.sankei.com/article/20220327-O563YMURJNJ35JOGB5E6BZ5EMM/
      2022/04/24
  • ──どの選択をしたとしてもそれは『私』なのです。

    読み進めて気付くのはある違和感でした。その謎めいた違和感は星の砂のように散りばめられています。純文学的要素とミステリアス要素が楽しめる。著者の『響け!ユーフォニアム』とは異なる世界観に浸れます。
    武田さんの想い描く世界が桁外れに魅力的で、ラストまで読む速度が落ちませんでした。

  • ファンタジーを読むのは久しぶりだったけど読むのがとても楽しかった!
    読み出すと先が気になってスルスル読めた

    今の自分があるのは選択してきた結果だ
    と見た時にこれまでの選択の中で何か一個でも違ったら今の自分とは違うと書かれていて
    今の自分は大好きだなって感じた。

    ただ、あの時こうしてたらって選択する時もあったので
    その先がどうなっているのかは気になるなって感じだ

  • 自己満足でも奇跡でもいいから、会いたい人がいる。
    執着は世界を歪ませて、選んではいけないと言われている選択をすることもある。
    佳奈から語られる亮との思い出も、ミツルさんから語られるカナとの思い出も、あまりに幸せすぎて今の状況がより苦しく切なくなる。
    何かを犠牲にしても叶えたいものがあって、それを人は執着と、そして愛と呼ぶのかもしれない。
    ラストに再会した2人が幸せに向かうのか、そのまますれ違っていくのかはわからない。
    だけど何となく寂しい気持ちがある。

  • 読みやすいし、面白かった。が、なんとなく、「ツナグ」や「くすのきの番人」を思い出すような…感じで。
    最後の方の展開は、違うけど。ね。

  • すごく好き。
    たぶん、そうなんだろうなと思いながら読んでいた。
    それでもあたたかい気持ちに包まれた。
    愛しさはあたりまえじゃないから、大切にしないと。
    愛しい人を、愛しい存在を、素直に心から愛そうと思った。

  • パラレルワールドの存在を前提にしたSFファンタジー小説です。
    パラレルワールドにいる、別の分岐を選んだ人物に会うことが出来る不思議な店を舞台にしています。
    恋人がある日、一切の痕跡も残さず世界から消えているというワクワク展開から始まります。自分以外の記憶からも記録からも、写真からも存在が消えている。もし自分にそんな事が起こったらどうなるだろうかと考えます。
    SF恋愛ファンタジーなので若者たちに楽しんで読んでいただきたい本です。

  • 主人公「佳奈」の記憶以外、世界から存在自体一切が消失した恋人「亮」を探す、並行世界の合流、分岐を描いたファンタジー連作短編集

    佳奈は彼の痕跡を求め、会えない人に会える奇跡が起こる店kassiopeiaで助手をはじめる
    徐々に明らかになる真相、そして結末は…

    ふんだんに散りばめられたファンタジーアイテム、多彩な個性が光る登場人物たち
    読み応えのある作品です

  • 響け!シリーズが好きで手に取りました。
    とても面白い設定のファンタジーの世界。結末は、ちょっと不完全燃焼というか、あまり理解できないところがありましたが、全体としては面白かったです。

    私自身、もし・・だったら、という場合の自分を見てみたいと何度も思ったことがあるので、興味深い話でした。
    学生の時、あちらの道を選んでいたら?子供を産んでいなかったら?などなど・・
    並行世界の自分を知らないからこそ、自分の選択を正解だったと思うことも、悔やむこともできるんだろうなと感じました。

    以下は内容に触れます。

    30代前半くらいの客、文香の、「大学っていうのはそういう(好きなことだから大変ではないが将来なんの役に立つのかなという)知識を得たい人が行くものなんじゃないの?実用的な知識だけが有益って思われるような社会って、窮屈過ぎて私は嫌だな。就活で役に立たないとしても、これから生きていく上で自分が勉強したことに支えられる瞬間ってあると思うよ。」
    は本当に真理だと思います。私も同じことを、同じ年代になって感じます。勉強する時間がある時にはわからないことだと。

    ミツルが急に佳奈に歩み寄るのがちょっと不自然に感じてしまいましたが、結末を知るとなるほどという感じでした。

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著者プロフィール

1992年京都府生まれ。第8回日本ラブストーリー大賞最終候補作に選ばれた『今日、きみと息をする。』が2013年に出版されデビュー。『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』がテレビアニメ化され話題に。同シリーズは映画化、コミカライズなどもされ人気を博している。2020年に『愛されなくても別に』が第37回織田作之助賞の候補に、また2001年には同作で第42回吉川英治文学新人賞を受賞。その他の著作に、「君と漕ぐ」シリーズ、『石黒くんに春は来ない』『青い春を数えて』『その日、朱音は空を飛んだ』『どうぞ愛をお叫びください』『世界が青くなったら』『嘘つきなふたり』などがある。

「2023年 『愛されなくても別に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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