香君 上 西から来た少女

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 305
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163915159

作品紹介・あらすじ

遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神〈香君〉の庇護のもと、帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。
時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。

『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』の著者による新たなる代表作の誕生です。

感想・レビュー・書評

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  • オーディブルで読む初上橋さん。
    苦手なファンタジー小説だけど、人並外れた嗅覚を持つ少女と植物と香り〈匂い〉の関係性が面白くすぐ引き込まれた。会社の部下の読書好き20代女子によると下巻から俄然面白くなるんだという。
    しかし、続けて下巻を読もうとしたら、オーディブルで聴けるのは4月7日以降だという。
    えー、聞いてないし、そんなに待ってらんないよ…

    仕方なく図書館で借りようと検索。
    会社のそばの図書館では所蔵数÷予約数で約半年待ち予想。しかし、地元では、なんと図書館に在架しているという。さっそく確保を依頼。
    やっぱ、住むのは都心ではなく郊外だな。

    というわけで、下巻に続く

  • 初めは登場人物たちの関係がなかなか理解できず(この人は味方?敵?など)読み辛かったけれど、慣れたら一気に物語にのめり込めた。
    久々の上橋ワールドにわくわく。やっぱり面白い。

    生き物の発する〈香りの声〉を敏感に感じ取ることのできる少女・アイシャを取り巻くファンタジー。
    上橋さん、今度はそうきたか…と関心しきり。

    「我が身を喰われた草木は、香りを発して、その虫の天敵を引き寄せる。草木の香りが虫を誘い、草木によって土も変わる。無数のものたちが行っている、そういう、眩暈がするほど複雑なやりとりが、いまこのときも、この世界では起きている」

    香りから万象を悟り、植物や虫たちの声・想いを理解するアイシャ。こういう特殊能力を持つ少女がいれば、当然利用しようと企む輩も出てくるのが世の常。
    アイシャのキャラといい物語の内容といい、このままジブリ映画になりそう…と思いつつ、下巻へ。

    昨年末にNHKの特別番組で、植物同士のお喋りや植物と昆虫との駆け引きついて観て、興味を持っていた。その内容と今作の内容が重なる部分もたくさんあり、そういった面からもとても面白く読めた。

  • 今回の上橋作品は農業ファンタジー!?

    本作で鍵を握るのは神郷からもたらされたという奇跡の稲「オアレ稲」
    奇跡、そして最強のオアレ稲
    痩せた土地でもぐんぐん育つ
    冷害にも干害にも強い
    病虫害につよい
    栽培地では雑草が生えない
    連作障害もない
    味も良い…
    などなどとにかく良い事づくし!

    唯一、海のそばでは作れないそうだがそんなことは問題ないみたいw
    (農家さんはこんな稲があれば絶対に欲しいよね)

    しかし、そんな奇跡、最強、虫もつかないはずのオアレ稲に虫害が発生してしまう…
    なぜ!?



    そして、主人公は人並外れた嗅覚をもつアイシャ
    彼女らは生き物が発する香り〈香りの声〉を感じることができる
    植物たちが何を感じているのどう思っているのかがわかる素晴らしい能力!
    (現実社会にこんな能力があれば小さな子どもや農家さんは大喜びするだろう)
    けど…、アイシャにはその植物たちの発する〈香りの声〉がうるさい騒音に聞こえるみたいw
    木が虫に食われて発している香りは「痛い、痛い、痛いって」とか植物が枯れてくると「土が合ってないよー」とか植物の愚痴が心に障るみたい…
    特に昼間より夜がずっとひどいらしいですw
    特殊能力を持った人はその人なりに苦労があるんですね…

    けど、その特殊能力〈香りの声〉がオアレ稲の虫害被害を助け、オアレ稲に秘められた奇跡と謎を解く鍵になっていくんだろうな


    さぁ、下巻へ行ってみよう!


    なんですが、手元に無いんです…^^;
    図書館へ予約していた下巻の順番がまわってきたのでまずは取りにいかないと
    (((((((((((っ・ω・)っ ブーン

    • 1Q84O1さん
      「鹿の王」「獣の奏者」最高です!
      ほん3さんが読んでなかったらおすすめしようと思ってましたが、やっぱり読んでましたね(^_^;)
      さすがです...
      「鹿の王」「獣の奏者」最高です!
      ほん3さんが読んでなかったらおすすめしようと思ってましたが、やっぱり読んでましたね(^_^;)
      さすがです( ̄ー ̄)bグッ!
      ちなみに「守り人シリーズ」もやっぱり読んでますか?
      2023/01/31
    • 1Q84O1さん
      十数冊ぐらい出てるんじゃないでしょうか(^^)
      長いシリーズですね
      私は昔になりますが全部読みました!
      やっぱり面白かったです♪
      ちょっと前...
      十数冊ぐらい出てるんじゃないでしょうか(^^)
      長いシリーズですね
      私は昔になりますが全部読みました!
      やっぱり面白かったです♪
      ちょっと前に文庫本で「風と行く者」が出たと思うんですが、それはまだ未読なので是非読みたいです!
      2023/01/31
    • 1Q84O1さん
      シリーズ本を一気読み!
      そんな贅沢もいいですね~!(^o^)!
      シリーズ本を一気読み!
      そんな贅沢もいいですね~!(^o^)!
      2023/02/01
  •  『鹿の王』以来の上橋菜穂子さん。相変わらず上下巻と長く(失礼)、気になっていながら時間がだいぶ経過してしまいました。
     しかし読み始めて、すぐに物語にぐいぐい引き込まれてしまいました。スケールの壮大さと著者特有の世界観は見事で、人物設定は勿論、殊に見えない「香り」の表現の豊かさや生態系の変化が人間にもたらす影響・特徴の迫力に圧倒させられます。
     香りで万象を知り人々を導く〈香君〉、帝国繁栄と藩王国支配に繋がる奇跡の稲・オアレ稲、とあるきっかけによる飢饉と帝国存続の危機…。ここに、〝漂ってくる香りが言葉のように意味をもつものとして感じられる〟主人公の少女アイシャが関係し、物語が展開していきます。アイシャの人並外れた嗅覚が、多くの人や国を救うのでしょうか? 
     この後どうなるのか、下巻が気になって仕方がないです。

  • 面白かった。やっぱり面白い上橋設定。ポストアポカリプス、過去に寒冷化に伴い食料大災害が起き、その時に異国からもたらされた”オアレ稲”というミラクルグレインによって飢餓から救われる。が、その”オアレ稲”が、もうヤバイ代物。中毒薬マフィアとX国のパソダ商売を思わせるというか、どうやっても一人勝ちできるやつ。が、ゆうても自然のもんで、しかも経年によって元々の厳格な仕様がねじ曲がっていく、この持って行き方がウマい。そして、怖い。
    そこでまあ、主役のアイシャとマシュゥ、そしてオリエが読みやすく好人物たち、ヴィランがおらんので(今のところ)とても優しい、話は怖いが。異能は『オルファトグラム』に感情が乗ったような、目新しくはないが、使い方が非常に面白い。オオヨマは蝗害でもなさそうというか、ヨコバイとかカイガラムシ的な?なんやろかねぇ、というと、今後さらに災厄がやってくるか。ウルド先生の顔を思い浮かべてしまう。下巻がとても楽しみ。

    どうでもええことなんだが
    ”こうくん”と、音だけだと
    どうしてもあの腸詰香薫しか頭にでてこない(笑)
    上巻の最後まで、アイシャが香薫に手足がついた
    ソーセージ会社のキャラみたいなヴィジュアルが頭に出てきて(笑)
    下巻で払拭されるんだろうか、、
    それとも、フランクフルトキャラのままで行くんだろうか、、
    (あくまでも私の脳内の話です)

  • 冷害にも干ばつにも強く、虫もつかず、普通の稲が育たないような場所でも、豊かな収穫が確保できる。
    ウマール帝国の要である、奇跡のオアレ稲に、虫害が発生して……。

    ファンタジー。

    静かなはずの植物が、こんなにも表情豊かに主張していく。
    〈香りの声〉を聞きとれる、というアイシャの感じる世界が独特。

    常人が感じ取れないものを感じられるからこその、行動や工夫がおもしろかった。

    マシュウ、オリエといった味方たちも魅力的。
    それぞれの能力や立場を活かした、おのおのの活躍の仕方がよかった。

  • まだ上巻しか読んでいないですが、ウマール帝国のオアレ稲を使った支配の仕方がえげつない。

    オアレ稲、オオヨマ、アイシャのもつ特殊能力について、随所に生物学が散りばめられていて、読んでいて楽しい。

    そして、アイシャの行動力に脱帽。下巻も楽しみです。

  • 2022年3月文藝春秋刊。書き下ろし。匂いから意志が読める異能力というアイデアが秀逸。始まりからどーなる感満載の物語世界は、帝国の礎となっている主食のオアレ稲が持つ謎を秘めて変遷する。次巻へ。

  • 感想は後半に書きましたが、ひとつ書き忘れたこと。

    装丁がすてき!

    最近は二の次になってたけど、装丁が美しい本を手にして読むのはやっぱり気分が上がる。
    久しぶりに装丁フェチの自分を再確認。

  • 遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神〈香君〉の庇護のもと、帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。

    待望の上橋さんの新作が出た。カタカナ名で登場する人物が多く関係性が込み入っている。人物一覧が掲載されているが自分専用を書いた方が理解しやすかった。添付された地図も見ながら本文と照らし合わせて読み進んだ上巻。ファンタジーの形をとりながら底辺に流れているのは現代の国家体制の不安定さを浮かび上がらせてある怖ろしいSFファンタジーだろう。

    オアレ稲が帝国を揺るがす。
    『オアレ稲は豊かさだけでなく従属ももたらすわけだ。君もよく知っているように、その米を食べることは出来ても、収穫した稲籾を種籾として使うことは出来ない。種籾として蒔いても芽は出ない。だから人々は毎回帝国から支給される種籾を蒔かねばならない』
    種籾ができないってありなの? オアレ稲に虫唾が走った。絵空事でなくどこかで聞いた話、遺伝子組み換え種子とネオニコチノイド農薬ー、もっと詳しく知る必要がある。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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