スタッフロール

  • 文藝春秋 (2022年4月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (472ページ) / ISBN・EAN: 9784163915180

作品紹介・あらすじ

戦後ハリウッドの映画界でもがき、爪痕を残そうと奮闘した特殊造形師・マチルダ。
脚光を浴びながら、自身の才能を信じ切れず葛藤する、現代ロンドンのCGクリエイター・ヴィヴィアン。
CGの嵐が吹き荒れるなか、映画に魅せられた2人の魂が、時を越えて共鳴する。

特殊効果の“魔法”によって、“夢”を生み出すことに人生を賭した2人の女性クリエイター。その愛と真実の物語。

みんなの感想まとめ

映画への情熱が交錯する物語が描かれており、特殊造形師マチルダとCGクリエイターのヴィヴィアンという二人の女性が、異なる時代にそれぞれの技術を駆使して奮闘する姿が魅力的に描かれています。アナログからデジ...

感想・レビュー・書評

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  • 特殊効果を思考錯誤しながら開発していた時代からCGへ。アナログからデジタルへと発展していった映画の世界を舞台に80年代の特殊造形師のマチルダとその30年後のCGアニメーター、ヴィヴィアンの活躍がそれぞれ描かれる。現実の映画や監督達の名が次々挙がっていて嬉しい。幼い頃に見た黒い犬の怪物に魅せられ、女だてらにハリウッドでの特殊造形師の道に進んだマチルダ。アニメーターとして天性の目を持ち、ロンドンのスタジオで仲間達と日々充実した日々を送るヴィヴ。二人が生き生きと描かれているので腕は評価されているのに個人名が出ない悔しさや、高評価に萎縮したりといった苦悩、新しい技術に慄いたり、新しい技術が世間に貶されたりといった感情のうねりが真に迫ってくる。マチルダ章が時代とはいえ色々じめじめしていたのでヴィヴ章になり二人が怪物“X”が橋渡しとなって交錯していく展開のスピード感や、素敵なラストはとても心地良かった。

  • 面白かった。初読作家。結構読みやすかった。ざっくり言うと特撮とCGの映画世界で活躍する2人の女性のバイオ風話。つながりのある二部構成で、前半が特殊造形、後半がCG、実在人物のバイオ小説風に実在作品も詳しく描かれていて、本当にメイン人物たちが実在するような楽しい錯覚を抱かせてくれる。前半の造形師マチルダは私の親世代、後半のCGアニメーターヴィヴは私の子世代で、登場する映画はほとんどがリアタイで鑑賞しているが、実際に映画館での公開時に見て、虜になっていたのがスターウォーズ、道との遭遇、ET。邦画だとゴジラのメカゴジラぐらいから記憶があるり、非常に興味のある分野なので、ある程度の基礎知識があることで、さくっと読めたが、SFX映画に興味のない、蘊蓄型の小説が苦手な人には少々しんどい作品でもあんではないかとは思う。無駄な恋愛沙汰とかしょうもないドラマはほぼないのが、非常に読みやすい(主観)。が、主役のマチルダとヴィヴのナイーブさが、天才的な”女性”のクリエイター的というか、ステレオタイプぽくてちょっと、まあ、めんどくさい感じ。あと、ファンがかなりエキセントリックというか、偏った感じに描かれている。私自身はどんなんでも良質SFXは全て好物なので、そこまで意固地になるかな?的なゴリゴリのファンにはいまいち共感できないが、そう言う人ほど、やたらとSNSで大騒ぎするからねぇ。まあ、どこの世界も偏った人というのは居るものだとは思うし、小説にしたらそういうのも入れたほうがええんかとは思う。まあ、色々と突っ込みどころはあったが、軽くて面白い、後味のいい作品。

  • 映画やドラマ、アニメを見終わったあとに流れるスタッフロール。
    作品を見終わったらスタッフロールは見ないで映画館の席を立ったりテレビのスイッチを消してしまったりする人もいるけれど、私は映画館でも家でも、わりとじっと見てしまう。見るたびにこんなにもたくさんの人がかかわって作られているのか、と驚く。
    そこに名前が載らない人もいたんだな、と寂しく思う。

    映画にくわしいわけではないから、専門用語がたくさんあるという前評判を聞いて、読めるかな?と不安だったけれど、そんなに気にならずに読めた。

    第一幕の舞台は戦後の映画界。男社会のなかで苦しみながら奮闘する特殊造形師のマチルダが主人公。第二幕は現代の映画界でCGクリエイターとして活躍しながらも葛藤するヴィヴイアンが主人公。

    第一幕のマチルダの苦悩が読んでいてつらい。ずっと暗かった。
    自分が信じて大切にしてきた特殊造形が、実はCGに飲み込まれてしまうかもしれないという不安。CGにはこんなことはできない、と思いたいのに、その進歩を突きつけられて絶望してしまう。残酷だけど、これが現実だよなとも思った。

    第二幕になると、男社会だった戦後の映画界とはうってかわって物語は明るくなる。そこに第一幕にでてきた人物たちが再び登場して物語がどんどん広がっていく。
    第一幕でマチルダを苦しめたCGの側にも、やはりCGなりの苦悩があって。
    あたり前だし何だか薄っぺらくなってしまうけれど、何を選んでも完璧ってないんだよな。

    映画界から姿を消したあとに評価されたマチルダ。時間は経ってしまったけれど、なんとかしてマチルダの名前をスタッフロールに載せようと動く人たちの姿がすごく良かった。
    やっぱり自分の名前がスタッフロールに載ることってとても意味がある。
    ラストのマチルダの反応については一文しか描写されていないけれど、その穏やかな表情がじんわり目に浮かんできて、良かったねと抱きしめたくなる。
    すごく良いラストだなと思った。


    「待っていますから。あなたの才能を信じる私を信じてください」

  • 文藝春秋|雑誌|別冊文藝春秋_1609
    https://www.bunshun.co.jp/mag/bessatsu/bessatsu325.htm

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    スタッフロール 深緑 野分(著/文) - 文藝春秋 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784163915180

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      『スタッフロール』深緑野分著(文芸春秋) 1870円 : 読売新聞オンライン
      https://www.yomiuri.co.jp/cultu...
      『スタッフロール』深緑野分著(文芸春秋) 1870円 : 読売新聞オンライン
      https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20220607-OYT8T50021/
      2022/06/10
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      【書評】『スタッフロール』深緑野分(ふかみどり・のわき)著 映画をつくる魔法と科学 - 産経ニュース
      https://www.sankei....
      【書評】『スタッフロール』深緑野分(ふかみどり・のわき)著 映画をつくる魔法と科学 - 産経ニュース
      https://www.sankei.com/article/20220612-FDYBFCADK5PIRND4DECCDREFS4/
      2022/06/13
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「スタッフロール」書評 映画愛する者たちの哀歓が暴発|好書好日
      https://book.asahi.com/article/1464225...
      「スタッフロール」書評 映画愛する者たちの哀歓が暴発|好書好日
      https://book.asahi.com/article/14642255
      2023/03/09
  • 1970〜80年代の特撮映画ネタがあれこれ出てきて懐かしい(笑)。
    特撮とCGのせめぎ合い(?)というか、CG側の後ろめたさ(?)が、なんとなくわかる(?)ような気がして興味深い。

    でも、ヴィヴがオスカー取り損ねてメンタルにきてる?というところは、正直、今ひとつピンとこなくて。

    そもそも、その映画のキャラクター造形を任されているとはいえ、勝手に一人でモデルを改造して、改造した本人は消えたのに置き去りにされたモデルがそのまま映画キャラクターとして採用されるとか、それが30年も経ってからリメイク版のスタッフロールに載るとか、映画作る現場って、そうなの?とその設定にピンとこなくて。

    映画好きなら楽しめる作品かな、と思いました。

  • 前半は戦後ハリウッドで奮闘した特殊造形師・マチルダ、後半は現代ロンドンのアニメーターでCGクリエイター、ヴィヴィアンの視点で語られる。
    創作者としての苦しみと性別ゆえの苦しみ。鑑賞者は勝手なものだなと己を棚にあげて嘆いてみる。当事者でなければわからない苦しみは何にでもあるもので、短絡的な批判者にはなりたくないものだが。

  • 書くお話がいつも海外文芸のようで、映画の様な深緑さんがついに映画の話を書いたのか…と言うのが第一印象。

    自分は単純に映画が好きだから、凄いCGとかを見ると別に深いことも考えず素直に凄い!!
    となるけど、映画への愛が深ければ深いほどCGに対する評価は色々とひねくれていくのだな…と思ってしまった。
    一から手作りしているジオラマやクリーチャーの方が意味があった。CGはマッドサイエンティストだなどなど…
    映画が好きで愛していると言う根底は同じなのにぶつかり合う。
    色々な沢山の人の思いがぶつかり合うことで映画も作品として奥が深くなっていくのかも。
    この本を読むと、いつも何気なく見ていた映画のスタッフロールがなんだか愛しくなってくる。

  • 映画の特撮から3D CGアニメーションに携わる女性たちが中心の物語。特殊造形士も、CGアニメーターも、イメージを形にする、非現実的なものを形にする、という共通点があり、自分にはない才能なので、感嘆するばかり。スター・ウォーズ、バック・トゥ・ザ・フューチャー、スリラーが登場する場面、そしてピクサーが特殊撮影を一気に上書きしていく場面は、その時代をリアルで過ごしてきたので、興味深く読んだ。

    さらに面白かったのは、3D アニメーターにはモデリング!関節や筋肉を作るリギング、演技をつけるアニメーション、最後にシミュレーションを経て、レンダリングが行われるということ。それぞれに違う才能が求められるようで、単なるコンピュータのオペレーターではない、技術と芸術性が求められる世界だと知ることができた。

    第一部の主人公は特殊造形士、メイキャップ・アーチストのマチルダ。舞台は1960年代から1986年のニューヨークからロサンゼルス。幼い頃に、ハリウッドで働く叔父に見せられた影絵の黒い犬を、見える形にしたいというマチルダ、次第に映画の世界に魅せられていく。大学を途中退学して、特殊造形士のヴェンゴスの下でキャリアを始める。女性が働くことが難しい時代、映画業界も例外ではなく、それでも努力して力をつけるも、なかなか表立って評価されず。最後に「レジェンド・オブ・ストレンジャー」という作品で、ついに黒いモンスター「X」を創り出したマチルダだったが、CGの台頭に絶望して、表舞台から姿を消してしまう。

    第二部はアニメーターのヴィヴィアンの物語、2017年のロンドン。伝説的な作品となったマチルダの「X」をCGリメイクする物語。第一部のマチルダ、周りの人たちも登場する。最後は、何か慌ただしくバタバタした感じになり、やや疑問な感じ。

  • 全470頁。それぞれが長編と言っても良さそうな2部構成の作品です。
    1986年以前を描く前編は映画の特殊造形師を、2017年以降を描いた後編は3DCGのアニメーター(動きをつける人)の二人の女性が主人公。どちらもかなりの能力を持っているものの自信がなく、制作陣の一員です。そうした現場でもがく主人公達の視点から垣間見られる映画製造の世界や、過去の名作/名監督の評価はなかなか面白く。後半に出てくるミステリー要素は、なかなか良いキャラが引っ掻き回して期待したのですが、竜頭蛇尾というか大山鳴動して鼠一匹の感があります。
    特に後半ですが、仲間内のやり取りを専門用語で説明している所が沢山あって、読み飛ばすしかなく、それが冗長感につながっているように思います。例えば主人公の傍に業界外部の人を配置し、そこに説明する形でも取ればもう少し読みやすかったのかな~と思います。とはいえ、なかなか読み応えのある作品でした。さらに映画好きなら堪らない作品でしょうね。

  • 映画の特殊造形とCG、そして戦後から現代のアメリカとイギリスの文化背景について、すごい情報量。

  • リーダビリティの高い良作。著者の新境地では? ミステリではない。

  • 妥協は死くらいの覚悟で自分が信じるものや愛するものに取り組む人々の物語。

    映画に限らず、音楽や文学、芸術作品を受け取る側としてこれからは製作者側の覚悟や意気込み、作品への愛情なども受け止めようと思わされました。

  • 0を1にする人はすごい。仕事ならなおさら。
    女性が映画業界で働くのが難しい時代に食らいついて弟子になり地道に努力を積み重ねていくマチルダ。
    自分の中に作りたい作品があり表現できるまで技術を磨く。しかし、CGという新たな壁が。
    CGを作るヴィヴも技術を高めるため努力を惜しまない。
    アナログとデジタルどちらがいいとかではない。どちらにも裏で作っている人間がすごいのだと思わせてくれる作品でした。

  • 第一部のマチルダ編は大変興味深く、感情移入しまくり。第二部に入ると専門用語が乱立してお仕事の内容も難しく、主人公にも肩入れしずらく、第一部で出てきたキャスト陣が悪役に見えてきて、滞ちがちになりながらなんとか読了。まさにスタッフロールありきのお話だった。ラストは感動したけどプロセス長すぎかな。

  • 1970年代アメリカ、映画の世界に夢を見て特殊造形の道に進んだマチルダ。一方で2017年ロンドン、CGクリエイターとして活躍するヴィヴ。世代も国も得意とするものも違う二人の女性が、しかしともに映画に魅せられ「魔法」を紡ごうとする物語です。
    特殊造形もCGもあまり詳しくなく、映画を観ても「なんか凄い」くらいしか思うことがないのですが。双方の蘊蓄部分も読み込めば読み込むほど興味が湧きました。でも思うことはやっぱり「なんか凄い」なのですが(苦笑)。これは本当に、センスというか才能がないとできないことですね。私は観て楽しめるだけで充分かな。
    時代の推移によって特殊造形が追いやられCGが席巻する映画界。現代のCGに慣れた目だと、たしかにアナログな特殊メイクなどはチープに見えてしまうこともあるのかもしれません。一方で昔ながらの造形が好きな人からすると、CGは味気なく見えるのだろうし。どちらがいいか、という問題ではないし、どちらにもそれならではの良さがあると思うのですが。共通するのは、それを作る人の熱意と愛情、なのでしょうね。むしろ魔法にかけられているのは、観る側よりも作る側の人なのかもしれません。大変そうだけれど、羨ましくもなりました。

  • 昔から好きなSF系の映画の話題が出てきたり、モチーフになっている監督を思い浮かべたりすることができ、ワクワクしながら読めたというのが読後の第一印象です。

    物語は映画づくりをテーマにして、自分が何のために仕事をしているのかということと、形(技術)が変わっても引き継がれていく想いが描かれていると感じました。

    映画自体にあまり関心がないと出てくる内容についていけない場面はあるかも知れませんが、私自身は楽しく読めたので⭐︎5にしました。

  • アナログからデジタルへ移行した映画の過渡期の物語。
    専門用語が多くて入り込めないところもあったけど、懐かしい映画のタイトルや人物名でしみじみ。
    読んでる時は着地点はどこ?と心配しながら読み進めていたけど、色々繋がってまあるくキレイに着地した!

  • 前半は面白く読めたが、後半、作者の熱に一読者である自分がついて行きにくかった。
    ヴィヴを中心とするマチルダの関係者の気持ちが先走りして、物語の中では盛り上がっているのだが、こちらが置いてけぼりになる感じ。
    直木賞の選評はいつもは当てにならないが、今回は同じ感想を持った。

  • そこそこ分厚いが一気に読ませた。
    そうややこしい話でなし、ミステリーでもなし、映画業界の歴史をたどるストーリー。

  • 2部構成のうち、第1パートは、60年代から80年代、ニューヨークからロサンゼルス、パペット(人形)や特殊メイク等、映像向けの造形を製作する特殊造形師、マチルダ・セジウィックの物語。第2パートは、それから約30年後、2017年のロンドン、3DCGのアニメーター、ヴィヴィアン・メリルの物語。30年の技術の進歩は凄まじいが、デジタル化されて、仕事が楽になった訳ではなく、アナログだった時代と同様、クリエーターたちの苦労は変わらない。特殊造形からCGへ、マティからヴィヴへ、引き継がれるクリエーター魂に胸が熱くなる。

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著者プロフィール

深緑野分(ふかみどり・のわき)
1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。その他の著書に『分かれ道ノストラダムス』『カミサマはそういない』がある。

「2022年 『ベルリンは晴れているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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