ついでにジェントルメン

著者 :
  • 文藝春秋
3.36
  • (9)
  • (30)
  • (53)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 1109
感想 : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163915234

作品紹介・あらすじ

編集者にダメ出しをされ続ける新人作家、女性専用車両に乗り込んでしまったびっくりするほど老けた四十五歳男性、男たちの意地悪にさらされたないために美容整形をしようとする十九歳女性……などなど、なぜか微妙に社会と歯車の噛み合わない人々のもどかしさを、しなやかな筆致とユーモアで軽やかに飛び越えていく短編集です。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 短編7編。

    1話と7話には、作家菊池寛が現れる。
    意外すぎて、ちょっとコミカルでユーモアもたっぷりで楽しめた。
    どれも一見して普通のおじさんのようでいて、いやジェントルマン風なのか…とにかく男たちが関わる物語なのだ。
    ちょっとというかやや癖もありというか…ズレているというか、それを当の本人が気づいていないのが面白い、思わずニヤリとしてしまう。

    Come Come Kan‼︎
    渚ホテルで会いましょう
    勇者タケルと魔法の国のプリンセス
    エルゴの不倫鮨
    立ってる者は舅でも使え
    あしみじおじさん
    アパート一階はカフェー

    エルゴと不倫鮨の赤子を抱いた女の食べっぷりが圧巻だった。
    次々と注文する細かな指示も嫌味を感じなかった。
    この女、何者ぞ!


  • 柚木麻子作品 2冊目。
    期待して読み始めた。
    7話の短編集で、ジェントルメン、というだけあってどの話にも様々な男性が登場する。

    1話目は、なかなか原稿を認めてもらえない女性が、何と文藝春秋社を舞台にし
    これまた何と、菊池寛との話・・・・・少し
    変わっているのだが・・・・・

    どの話も、もう少し続きが読みたい!
    やはり、短編集は“あらッ”という感じで終わってしまうことが残念。
    私は連作の方が好きかな?


    私に合わない!話があった。
    アニメ、ゲームものは申し訳ないが、
    遠慮したい。 (柚木さんごめんなさい^-^;)

    気に入った話も、もちろんあった。
    「立っている者は舅でも使え」と最終話の
    「アパート1階はカフェー」このアパート
    とは実在していた「大塚女子アパートメント」文京区大塚にあった。男子禁制で
    今では考えられない差別があったらしい。
    あ!忘れていた!この話は、どうやら
    昭和初期の設定だ。谷崎潤一郎が登場する。ここで再び菊池寛も登場。
    この話こそ、もう少し続きが知りたい!
    チョマ子ちゃんのことが・・・・・


    2022、6、22  読了



    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、最近よんだショートショートはダメだった。。。自分も長編がすきなんだなぁ、と思います。男子禁制アパート!面白そうだね。
      アールグレイさん、最近よんだショートショートはダメだった。。。自分も長編がすきなんだなぁ、と思います。男子禁制アパート!面白そうだね。
      2022/06/23
  • 梅雨空の日曜日にカラリと笑えた小洒落た今様の落語みたいな短編7篇の作品です♪
    菊池寛やら谷崎潤一郎やらも闊歩させてあるけど、とりわけの気に入りは、下心満々の男共が美女を連れてくるオシャレな会員制イタリアン創作鮨店に突然現れた卒乳したての乳飲み児連れの体格いい女性がカッコよく掻き回す「エルゴと不倫鮨」および、美容整形に来た待合室で出会った少女小説の世界名作全集で人生が思わぬ展開で拓けそうな若い女性の「あしみじおじさん」が美味しゅうございました!
    作者の知的な雑学や博識もあちこちで感じられて面白く読了しました。

  • 柚月裕子さんの短編集につづいて
    柚木麻子さんのを読みました。

    お名前がそっくりで「えーと、どっちだっけ」と思ったこともあるのですが、はっきりしましたね。

    どちらも面白かったのですが、タイプがちがう。
    柚月裕子さんが暗くて陰
    柚木麻子さんは明るくて陽
    だから夕と朝なんですね!

    『Come  Come Kan!!』
    『渚ホテルで会いましょう』
    『エルゴと不倫鮨』
    『立っている者は舅でも使え』
    笑いながら読みました。

  • 上野千鶴子×柚木麻子対談 直木賞候補作から見る「弱者」への抑圧(1/2)〈AERA〉 | AERA dot. (2019/7/7)
    https://dot.asahi.com/aera/2019070400023.html?page=1

    もし晴れの舞台で「夫の好きな料理は?」と聞かれたら――料理と食を通して日常を考察するエッセイ「とりあえずお湯わかせ」柚木麻子|本がひらく
    https://nhkbook-hiraku.com/n/n28549b9714d6

    『ついでにジェントルメン』柚木麻子 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163915234

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      無意識につけられる傷はこんなにもある! 柚木麻子氏が、性差による生きづらさを描いた『ついでにジェントルメン』 | ダ・ヴィンチWeb
      htt...
      無意識につけられる傷はこんなにもある! 柚木麻子氏が、性差による生きづらさを描いた『ついでにジェントルメン』 | ダ・ヴィンチWeb
      https://ddnavi.com/review/994737/a/
      2022/06/05
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「わたしはアンチ寄りのファン」「適当でチャラいおじさん」作家・柚木麻子が描き出す“菊池寛のイメージ”とは? | 文春オンライン
      https:...
      「わたしはアンチ寄りのファン」「適当でチャラいおじさん」作家・柚木麻子が描き出す“菊池寛のイメージ”とは? | 文春オンライン
      https://bunshun.jp/articles/-/54837
      2022/06/09
  • どうしてこんなに可愛い、おとぎ話のような表紙絵なのか考える。
    女の子らしい世界?
    同一のテーマでまとめられた短編集というのではなく、逆にとてもバラエティーに富んでいる。
    そして、女性はみんな頑張っている。

    一作目を読み始め、菊池寛の銅像がしゃべる?何これ、ファンタジー?ついて行けるかな・・・と思ってしまったが、菊池寛は距離感のちょうどいいおっさんであった。

    男が女に何か与えた時、見返りを求める、求めない、どっち?
    女性が頑張っているお話、と書いたが、登場する男たちを観察して比べてみても面白そうである。

    女は男が所有するもの、と思っている男どもの世界がガラガラ崩れていく瞬間が面白い。


    『Come Come Kan !!』
    石頭の担当編集者くんも、個人的には嫌いなタイプではないが。

    『渚ホテルで会いましょう』
    女性に本気でロマンを求めている、不倫小説で一世を風靡した老小説家と、老舗ホテルに子連れで宿泊するファミレス店長のパパ。

    『勇者タケルと魔法の国のプリンセス』
    この男だけは・・・キモい

    『エルゴと不倫鮨』
    ちょっと金のある男が不倫相手を連れ込む、会員制のイタリアン鮨屋。
    そこに、抱っこ紐で赤ん坊を連れた女が乗り込んできた。
    「エルゴ」というのはハワイ発祥のベビー用品ブランド。
    この女性の食べっぷり飲みっぷりが、素晴らしい。
    こちらまで血の巡りが良くなってくる。

    『立っている者は舅でも使え』
    このお舅さん、すてき。

    『あしみじおじさん』
    少女小説は子供の頃たくさん読んだ。
    女の子たちが幸せになるのがうれしく、援助してくれるお金持ちをいい人だと思った。
    素直な読者であった(笑)

    『アパート一階はカフェー』
    同潤会大塚女子アパート。
    高収入の「職業婦人」たちが住んだ。
    その一階に、女性が一人でコーヒーを飲めるような居場所をと、女性三人がカフェーを開く。
    菊池寛が出資してくれた。

    仕事に打ち込んだり、結婚しなかったりで自立している女性に対する、男たちの発言に、自分が若かった頃を思い出す。
    これは昭和初期のお話だが、昭和末期も、男どもの女を見る目は全く変わらなかった。
    「男のものになろうとしない」女に対して、病気なんじゃない?どこか欠陥があるんじゃない?と噂する、あるいは面と向かって言う。
    「病気」や「欠陥」は性的なことを意味している。

    女性問題もあったかもしれないがそれは別として、男女問わず、頑張る若い人を支援していた菊池寛は、なかなかありがたき存在だったようだ。

    そして、女の敵は女とよく言われるが、それは男の支配する世界で生きようとする場合である。
    男に支配されずに生きようと思う時、やはり女の味方は女しかいないと思うのだ。

  • 【収録作品】Come Come Kan‼/渚ホテルで会いましょう/勇者タケルと魔法の国のプリンセス/エルゴと不倫鮨/立っている者は舅でも使え/あしみじおじさん/アパート一階はカフェー 
     分かるし、刺さる…… 救われるかは?
     「勇者タケル…」はよく分からないというか、ちょっと気持ち悪い。あとはスカッとするけど、痛みは残る。「アパート一階は…」は、先人たちの生きざまに申し訳なくなる。

  • 短編集7作品。繋がりはないかも?
    ①菊池寛がTwitterで呟いて一晩で一万人フォロワーが増える事件。
    メガネの秘密が素敵。
    ④なんだかとても高級そうな寿司食べてみたい。
    ワインボトルを抱えた司令塔のママの知識が素敵。大葉で巻かれた炙った帆立!よだれが出る。
    食通!
    どれも本当に美味しそう。
    とにかくお寿司が食べたくなる。
    いい食べっぷりの人はカッコいい。憧れる。
    置いてかれたおじさんたちのショボくれた顔が想像できて、痛快だった。
    柚木さんの本なので
    他の話も読後感がスカッとして良い。

  • 「Come Come Kan!!」
    オール読物新人賞でうっかりビギナーズラック的にデビューしたものの、その後が続かない女子と菊池寛のおっさんミーツガールな物語。
    「渚ホテルで会いましょう」
    渡辺淳一的バブリー不倫小説作家の物語。
    「勇者タケルと魔法の国のプリンセス」
    ヲタが女性専用車両に乗り込んでプリンセスとともに女性たちのために立ち上がる物語。
    「エルゴと不倫鮨」
    不倫カップル御用達の意識高い系鮨屋に飛び込んできた子育て中のなりふりかまわず風な女性の本当に肥えた舌と食に関する深い知識に客のおっさんたちもシェフも吹っ飛ばされる物語。
    「立ってる者は舅でも使え」
    セレブ婚したものの夫の不倫で息子を連れて実家に戻ってきたら舅がなぜか追いかけてきた物語。
    「あしみじおじさん」
    整形してリッチな恋人つかまえようと思ってたけどハウス名作劇場的な児童小説を読んで自分もアンやハイジみたいに自分を変えないまま奇特な金持ちに支援されたい!と一念発起する女子の物語。
    「アパート一階はカフェー」
    一周回ってまた菊池寛が出てくる、大塚女子アパートメントの物語。

    エルゴが痛快だった。

  • 七編の短編をまとめた一冊。
    タイトルの英訳"Tired of taking a backseat to gentlemen"のように、主人公たち友人や仲間たちと過ごし、考える中で自立し、好きに素直に生きていく物語ばかり。

    「女性だし」という枕詞がつくケースもつかないケースもあるけど、「お前はこういうやつなんだ」「こういう風にされていい/言われていい価値なんだ」という外野の声をぶっ飛ばしてくれるパワフルな短編で、元気が出てくる。

    ただ、昔のドラマみたいと感じるくらい、描かれる男性が既存の価値を疑わない、他者を理解しようとしない人ばかりで、想像上の醜悪な男性とシャドウボクシングしている気がしてしまい、なんだかなという短編があったのも確か。
    しかし、それはおそらく自分の年代や環境にいなかった、あるいは無意識に避けていたから実感がないだけで、ある時代のある場所にはきっと似た人はいたのだろう。
    自分にとっては「平等のため」「女性を守るため」に女性専用車に乗り込む勇者タケルは実感のあるキャラクターだが、母親や兄弟、友人達からすれば、「あるある〜」となるキャラクターが他にいるはずだ。

    全体的に明るくポジティブなタッチかつ、読みやすいため、女性には是非お勧めしたい。
    男性は読んだら嫌な気持ちになるかもしれない。
    でも、自分が批判されているのではなく、そういうことをする人間が良くない(書かれていることは正直男女関係なくNG)のであって、そういう人たちを批判していく気持ちを持ってもらえればいいと思う。

全46件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2021年 『名作なんか、こわくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×