ショートケーキ。

著者 :
  • 文藝春秋
3.71
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本棚登録 : 3073
感想 : 272
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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163915241

作品紹介・あらすじ

星の数ほどあるケーキの種類のなかでも、不動の人気を誇る「苺のショートケーキ」。「和菓子のアン」シリーズなど、甘いものを描いた作品に定評のある著者による、誰しも思い出のひとつやふたつはあるだろうショートケーキをめぐる5篇の連作集です。
大学生の<ゆか>と<こいちゃん>はどちらも、母との二人家族。父が出て行ってから買えなくなったホールケーキを求めて、ふたりは<失われたホールケーキの会>を結成、切れていないケーキを楽しんでいる。ある時、離れて暮らす父親から、「大事な話がある」と連絡があり……。(「ホール」)
俺が働くケーキ屋では、残りがちなホールケーキを予約なしに買ってくれるお客さんを天使と呼んでいる。天使の中には常連もいて、女子大生と思しきその二人組が俺は気になっている。どうやら彼女たちは、丸いホールのケーキにこだわっているようなのだ。(「ショートケーキ。」)
ケーキ屋で働く私には、嬉しいことがあったときにひとりで行う「趣味」がある。ケーキを冒涜しているようで人には言えないのだが……。
(「追いイチゴ」)
ママになった瞬間からさまざまなことがままならなくなった。大好きなショートケーキをもう一度ひとりでゆっくりと味わいたい。その願望を実現すべく、<あつこ>は二人のママ友と互助会を結成する。(「ままならない」)
央介の口癖は「嫁に行きてえ」、何事にも受け身で生きてきた28歳の会社員だ。ある時、領収書の不備を指摘されたのをきっかけに、会社の経理担当の女性のことが気になり始める。弟の学費を捻出するために倹約弁当を続ける彼女だが、どうやら本当はショートケーキが食べたそうなのだ。 (「騎士と狩人」)

感想・レビュー・書評

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    1.感想
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    1ページの文字数が少ないので、1日で読み終わってしまうようなボリュームですが、短編5作が繋がりを持っていて、読み応えがありました。

    初っ端から親が離婚した1人親の子供同士の話で、またか〜、という感じで、わりと重めなストーリーのものが多かったですが、登場人物が前向きな人たちなので、楽しく読むことができました。
    とくに、四話目の「ままならない」の話は、子育ての話なんですが、とても考えさせられます。子供を育てるのは大変ですから、出生率は下がっていくでしょうね。

    食べ物が表紙になってる小説を最近多く目にする気がしますが、とても興味を惹かれますね。食欲というのは、大きいんですね、きっと。
    今回のショートケーキ。この本もいちごのホールケーキが表紙にドン!!この絵と、ストーリーで、そんなにショートケーキ好きでない私でも、ショートケーキが食べたくなりました(^^)

    ホールケーキって、いいですよね。
    みんなで食べるのがいいんでしょうが、私の子どもがケーキ好きでないので、めったに買うことはなかったです。この先、ホールケーキを買うことはあるかな…
    そんな、状況もあって、今でもホールケーキには憧れをもっています。


    ━…━…━…━…━…━…━…━
    2.あらすじ
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    それぞれ順風満帆ではない人生をおくる登場人物たち。辛い時には、いちごのホールケーキが支えてくれる。
    ケーキに救われるその1日を糧にして、今日も一歩を踏み出して、前は進んでいきます。


    ━…━…━…━…━…━…━…━
    3.主な登場人物
    ━…━…━…━…━…━…━…━
    ホール)
    ゆか
    こい かわいい

    ショートケーキ)
    カジモト
    カジモト姉
    上田

    追いイチゴ)
    たぶん、上田さん

    ままならない)
    あつこ
    さとこ
    きみえ
    奈々 あつこ娘

    騎士と狩人)
    央介
    光春
    経理さん カジモト姉

    • ひまわりさん
      manideさん、たくさんのいいねを、ありがとうございます。
      時々、本棚にお邪魔させて下さいね。これからも、よろしくお願いします
      manideさん、たくさんのいいねを、ありがとうございます。
      時々、本棚にお邪魔させて下さいね。これからも、よろしくお願いします
      2023/04/24
    • Manideさん
      ひまわりさん、コメントありがとうございました。

      私も不定期にみなさんの本棚を巡回しているので、
      たまにお邪魔させていただき、勝手にコメント...
      ひまわりさん、コメントありがとうございました。

      私も不定期にみなさんの本棚を巡回しているので、
      たまにお邪魔させていただき、勝手にコメントしてます(^^)

      これからもよろしくお願いします。
      2023/04/25
  • 改めて考えてみたら、やっぱり数あるケーキの中で原点なのかなぁ、ショートケーキ。
    甘く、優しく、懐かしく、ちょっと哀しい…
    そんなショートケーキのお話。

    • なおなおさん
      koalajさん、こんにちは。
      フォローやいいねをありがとうございます。
      コメント欄でははじめまして…ですね。

      こちらの本、表紙から「美味...
      koalajさん、こんにちは。
      フォローやいいねをありがとうございます。
      コメント欄でははじめまして…ですね。

      こちらの本、表紙から「美味しそう♡」ですね。
      やはりショートケーキが原点かなと私も思います。
      そして最近はレアチーズケーキみたいなさっぱりした物が、胃に重くなく好みです^^;
      これからもkoalajさんの本棚を楽しみにしております(^^)/~
      2022/05/18
    • koalajさん
      なおなおさん こんにちは!
      コメントありがとうございます♪
      こちらこそ、いつもフォローして下さって励みになっています。
      ブクログに仲間入りし...
      なおなおさん こんにちは!
      コメントありがとうございます♪
      こちらこそ、いつもフォローして下さって励みになっています。
      ブクログに仲間入りして1年ちょっと。
      みなさんの本棚やフォローがあるので確実に読書量が増えました(笑)
      これからもどうぞよろしくです♪
      私もチーズケーキ大好きです〜!
      2022/05/18
  • コージーコーナーって良いよね!(突然何!?)
    ショートケーキも大好きだけど、コージーコーナーに行ったらついあのスフレのチーズケーキを買っちゃう。
    子どもの頃から母がお出かけした時のお土産があのスフレのチーズケーキだったのよね。
    でもショートケーキってなんか夢がある。
    昔ケーキ屋さんでバイトしてた時もチョコケーキよりもショートケーキの方がよく売れたし、売ってる方もショートケーキが売れた時のがなんか嬉しかった記憶があるなぁ。
    そんなショートケーキを中心にしたショートストーリー。ちょっとずつ登場人物が繋がってるのも面白かった。
    でも今回の一番は「ワキワキする」ですかね。
    ちょうど「キュン」のブックリストが始まったタイミングだからかな。
    「キュンキュン」じゃなくて「ワキワキ」なんだって笑笑
    ワキワキしながら見守ってる社員さん…想像すると面白すぎて!しかも一緒にワキワキしてる気持ちになっちゃって!楽しかったなー!!

    • なおなおさん
      翠さん、はじめまして。
      コージーコーナーのチーズスフレ、シンプルで美味しいですよね。うちの息子の誕生日ケーキは毎年こちらです。クリーム系より...
      翠さん、はじめまして。
      コージーコーナーのチーズスフレ、シンプルで美味しいですよね。うちの息子の誕生日ケーキは毎年こちらです。クリーム系より好きってことで、本人の希望なんです。安くて助かっちゃう^^;
      2024/02/03
    • 翠さん
      なおなおさん、はじめまして(^^)
      いつもありがとうございます♪
      息子さん、最高ですね!
      好きなケーキ食べるのが一番です(^^)
      あれをいつ...
      なおなおさん、はじめまして(^^)
      いつもありがとうございます♪
      息子さん、最高ですね!
      好きなケーキ食べるのが一番です(^^)
      あれをいつか独り占めして食べるのが私のちょっとした可愛い?夢です♡
      2024/02/03
  • ショートケーキをめぐるハートフル短編集ですね。

     倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使
                      岡野大嗣
    『玄関の除き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』
        (ナナロク社刊、木下龍也氏との共著)収録

    この短歌にインスピレーションを受けて、出来上がった物語だそうです。
    五作の連作短編集が、坂木さんの名調子で綴られています。

    私もショートケーキは大好きで、家族の誕生日は必ずケーキ屋さんを訪れて、あれこれ悩んで結局はショートケーキにしてしまいます。
    何歳になろうと、実はショートケーキを食べたい一途な想いからケーキ屋さんに佇む私は、この小説に限りない愛着を覚えました。

    坂木さんのスイーツ小説は良いですね。読んでいると、またまたショートケーキが欲しくなりましたが、糖尿の予備軍でもあるので、誕生日だけにします。(三人家族なので年三回ですが、寂しいので亡き父の誕生日と家族の記念日も……)
    今年初めて、ショートケーキの小さなホールを買って食べました。この小説にもその話が(ショートケーキのホール)出てきて、思わず感動を共有してしまいました。
    赤ちゃんの子育ての話も出てきます。私は赤ちゃんも好きなので楽しい時間を持てました。

    小説の感想が、後回しになっています。
    とにかく面白いです。人情感あふれるやさしい涙も誘う、心穏やかになれる物語です。


  • おもわず手にとってしまうほど美味しそうなケーキの表紙。
    そして、誰からも愛されるケーキをめぐる、甘くてキュンな5つの物語。
    今すぐにケーキを食べたくなること間違いなし!
    で、やっぱりいちごショートかな。

    「ホール」〜ゆかちゃんとこいちゃんの2人の大学生が、母子家庭では食べられないホールケーキをやりきれないことが起こるたび、2人で『失われたホールケーキの会』と称して食べる姿に元気をもらえる。

    「ショートケーキ」〜バイト先のコージーコーナーで働くカジモトくんは、ゆかちゃんとこいちゃんのことを先輩の上田さんが、「天使」と呼んでいるのを知った。残りがちなホールケーキを予約なしで買ってくれるお客のことだ。
    こっそり、フォークと紙皿に売れ残りのキャンドルまでつけてしまった。
    カジモトくんの家では、お姉さんが、授かり婚という嬉しい話もあり。

    「追いイチゴ」〜上田さんから見たカジモトくんのこと。2人の天使を見たとたんに彼のきらめく瞬間が目に入り、わきわきしてフラッシュモブを踊りたくなった件、もう笑かしてくれる。
    上田さんは、嬉しいときにイチゴショートケーキを買い、イチゴを買って追加トッピング。
    ケーキ味のイチゴにして祝祭感を出す。
    凄いな。
    まぁ、イチゴ一個じゃ足りないかも。

    「ままならない」〜子育て中は、なかなか思い通りにはならず。好きなものも我慢して、時間さえも気にしながらの毎日。
    それで、少し大きくなってもイチゴショートのイチゴは子どもに譲ってしまう。
    そういう時には、追いイチゴが良いよと教えてもらう。
    誰かと誰かが繋がってる幸せが感じられる。

    「騎士と狩人」〜経理の厳しめの女性が、実は、カジモトくんののお姉さんというふうに繋がっていて、これはとてもカッコイイ話。

    甘いケーキ堪能できました。
    ご馳走様でした。

  • 大抵のケーキ屋さんで
    当たり前のように出会えるのに
    特別感がある ショートケーキ
    少し辛い事 寂しい事
    がんばろうと自分を奮い立たせるときに
    ケーキの持つ癒しってあるよね
    ほっこりするお話を期待してドンピシャ
    著者らしい 励まされる短編集

  • 短編集。ショートケーキの甘さとふわふわ感が伝わる優しい物語。おいしいの定番であり特別な存在が、それぞれの日常に希望を与えてくれる。幼子を育てる母親たちの話にはもう共感しかなかった。みんな頑張っているんだよね。よしっ、おいしいものを食べて癒されよう。

  • ショートケーキに纏わる短編連作集。

    甘いだけではない話ですが、日常にあるモヤモヤ感をマイナス感情で終わらせないで書き上げています。

    共感できる部分も多く、ショートケーキ食べたくなります。
    我が家の長男は生クリーム系が苦手なため、我が家のホールの定番はフルーツタルトですが、「追いイチゴ」をすれば食べられるかも。

  • ショートケーキの可愛らしさと美味しそうな表紙に惹かれて読んでみた。
    ショートケーキにまつわる5つの短編集。各話が少しずつ繋がっていて、とても面白かった。
    読んでいてホッとできる優しい本。
    そして苺のショートケーキ食べたくなる(ノ≧ڡ≦)

    • ピンクのタコさん
      読みた~い (ノ≧ڡ≦)
      読みた~い (ノ≧ڡ≦)
      2024/03/25
    • 栞さん
      読んでると口の中がショートケーキ`,、('∀`) '`,、
      読んでると口の中がショートケーキ`,、('∀`) '`,、
      2024/03/25
    • ピンクのタコさん
      (⁠♡∀⁠♡)
      (⁠♡∀⁠♡)
      2024/03/25
  • いちごは生クリームの乗ったスポンジケーキの上に飾られる事を夢見て生まれてくるんだよね。
    甘酸っぱいイチゴはコクのある生クリームとふわふわのスポンジを従えて口の中でしゅわっと溶けていく。いや、イチゴは飾りじゃなく主役。

    飾りじゃないのよイチゴは フッフゥー♪

    なんて唄いたくなる。
    大福の中に閉じ込められてるのもいいけどやっぱり王道はショートケーキだよねって思えるお話でした。
    私はモンブラン派ですけど何かw

    5編がちょっとづつリンクしているなかで、結婚観に違いがあるとこも楽しめました。
    それにしても、2人の天使ゆかとこいちゃんの会話が可愛いなぁもうって、牛になってしまうっw
    こいちゃんマグロ漁船に売られなくって良かったね。
    きらめく瞬間に立ち会えた店長もハイテンションでイチゴましまし追いちごとか特別感に、美味しくなあれ萌え萌えキュンとか言ってそうっw
    ママ友達はオヤジ化しそうで、追いちごで子育て大変だけど食欲だけでも満たしてください。
    キハラさんは心の女子が目覚めてカミングアウトする前に、肉食女子に狩られちゃってくださいっw

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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