辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿

  • 文藝春秋 (2022年4月22日発売)
3.71
  • (17)
  • (42)
  • (24)
  • (10)
  • (0)
本棚登録 : 549
感想 : 41
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784163915296

作品紹介・あらすじ

19世紀の偉大なる名探偵シャーロック・ホームズがもし、ビクトリア朝時代の英国人ではなく、清末の時代に生きた中国人だったとしたら……。
そして、彼が奇妙な事件を次々に解決したのが大英帝国の首都ロンドンではなく、東の果ての植民地香港だったら……。

ホームズとワトソンを彼らとまったく同じ時代に生きた中国人、福邇(フー・アル)と華笙(ホア・ション)とし、物語の舞台を香港にした極上のパスティーシュ作品。
正典ホームズ・シリーズからの換骨奪胎ぶりが絶妙だ。

1880年代の香港の様子が生き生きと描かれ、ミステリーであると同時に、歴史小説としても読み応え十分。

みんなの感想まとめ

名探偵の物語が清末の香港を舞台に展開され、福邇と華笙のコンビが奇妙な事件を解決していく様子が描かれています。シャーロック・ホームズのパスティーシュ作品として、独特の観察力や推理が光り、歴史的背景も豊か...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 名探偵シャーロック・ホームズのパスティーシュ。舞台は香港、時代は清末期。名探偵福邇(フー・アル)と、医師の傍ら福邇の助手をつとめる華笙(ホア・ション)。福邇の観察力の鋭さで、事件を解決に導いていく様が、面白かった。

    中国の人名や地名の読み方が難しいので、初めのうちは何度も確認した。そのためなかなかページがすすまなかった。慣れてくると読むスピードもあがり、面白さも味わえるようになった。中国の古典やことわざも、知ることができ、時代背景も知ることができた。私にもっと知識があれば、本当のシャーロック・ホームズとの比較ができて、楽しめたのにと思った。第2巻は、日本の読者にとって、特別な楽しみが用意されているようだ。

    「血文字の謎」「紅毛嬌街(フンモウギウガイ)」「黄色い顔のねじれた男」「親王府の醜聞」「ベトナム語通訳」「買弁の書記」

  • 清朝末期、アヘン戦争から40年後の租界地香港を舞台に、満人の辮髪ホームズと漢人のワトソンが活躍します。ワトソンは仕込杖、ホームズは鉄扇を持ったアクションもあります。推理小説はあまり読みませんが、いくら名探偵でも殺人が終わってから名推理を講釈するのは鼻白むものでしたが、未然に阻止するのはいいですね。何より租界地を支那人の視線で見るのが新鮮です。義和団の乱、安南を巡る清仏の攻防、アヘン戦争、太平天国の乱、米国の排華法など史実が背景に流れます。次巻は日清戦争もあるので期待が高まります。欲を言えば、メイドの鶴心ちゃんに活躍の場を!

  • 1880年代の香港を舞台にした、中国人版シャーロック・ホームズ。正直にいうと、恥ずかしながら歴史がきちんと頭に入っていない私にとっては非常に取っ付きにくかった..!注釈に細かな歴史的背景の説明があるものの、正確には理解できず。そのくらい歴史小説としての側面があるので、それが好きな方にはすごくワクワクする作品なんだろうな。それでも、ホームズとワトソンのコンビ、アイリーンやホームズ兄の登場にはわくわくしたし、一つ一つのお話は楽しめました。このシリーズは全4作になる予定だそうですが、続編を読むか悩ましいところ。。

  • アヘン戦争後、英国統治下にある香港を舞台にしたホームズパスティーシュ。
    ホームズとワトソンのキャラクターだけでなく、連作短編の全てが本家作品を下敷きにしている。
    でも、舞台を最大限に活かし、当時の香港の文化、政治情勢だから成り立つものに改変しているのが見事!
    私が本家に詳しかったら一層楽しめただろうと少し口惜しいけれど、ちょっと齧ったくらいの私でも、おそらく本家未読でも充分楽しめる。
    映像でも見たいなぁ!

  • 清朝の香港を舞台にしたホームズのパスティーシュ短編集。
    正典ホームズのガジェットを巧みに組み合わせているのが楽しい。正典も読み返したくなる。
    同時に当時の香港の様子が中国視点で描かれているのも面白かった。
    続編もあるようなので期待したい。

  • 目次
    ・血文字の謎
    ・紅毛嬌街(フンモウギウガイ)
    ・黄色い顔のねじれた男
    ・親王府の醜聞
    ・ベトナム語通訳
    ・買弁(ばいべん)の書記

    何も知らずにタイトルに惹かれて読みました。
    間違いなくシャーロック・ホームズのパロディだろうと思ったのですが、ちゃんとミステリになっているうえに、本家のホームズと同じ時代の香港の歴史までがふんだんに書かれていました。

    清朝末期の香港なんて全然知識がないもので、結構な量の原注を読んでもなお、よく分からない部分が多々ありました。
    いや、よく考えたら、現在の香港についても、よく分からないのだったけど。

    実際の中国語で書かれたホームズやワトソンの表記を、世界観に合わせてちょっとだけ変えているというのは、あとがきを読むまで分かりませんでしたが、漢字って便利なもので、なんとなく元の名前も浮かんできます。

    例えば福邇の家の住所は「荷李活道(ホーレイウッドウ)二百二十一号乙」。
    Bではなく、乙。
    艾愛蓮(アイアイリン)という女性の名前を見て、アイリーン・アドラーから取ったなということはわかりましたが、音だけではなく、漢字の意味もちゃんと理由があるのです。

    だからといって堅苦しいわけではなく、秘密主義でちょっといけ好かないホームズ(でも好きよ)と、#俺たちのワトソン感が、読んでいて楽しくて、歴史部分を調べながら読んだので時間はかかりましたが、それもまた楽しい読書でした。

    なんと全4巻のシリーズ物なのだそうで、次が出版されるのを楽しみに待つとしましょう。

  • BBCドラマのシャーロックと並ぶ高品質なホームズのパスティーシュ。ホームズファン必読。正典に忠実ながら巧みに翻案しているのは共通、舞台を現代ロンドンではなく19世紀末の香港に舞台を移した。
    香港ローカライズの特徴の一つが言語。英語と中国語、という単純なものではなく、広東語と北京官語、福建語、福は留学し英語はもちろんフランス語も操り、訛りで出身地を当てる、言語の天才でもある。
    調べてはいないがおそらく、実在の人物や歴史上の事実を時間軸まで忠実に反映している上に、もとの緩いプロットを現代的な問題意識も反映してきっちり練り直している。緻密な取材に基づく構成力が伺えるし、福も正典以上に知的。反面、華の語り口はむしろ単純で直情型。これは、ジョン・ワトソン的、さらに言えばコナン・ドイル的、連載の人気で少々の破綻や瑕疵は構わずどしどし書き綴った正典へのオマージュだろうから、その巧みさに感服する。続きがあるなら全部読みたい。

  •  いやあこれは楽しい。イギリス統治時代の香港に舞台を移したホームズ譚。登場人物も舞台も話の筋書きまでもが原典のホームズ譚を踏襲したパスティーシュだ。ただし単に換骨奪胎しただけの翻案物ではなく、ストーリーには工夫が凝らされていて、お、そうなるのかという意外性も十分。あれ、これはどうだったかなと原典を読み直したくもなる。舞台も習慣も異なるけれど、いかにも旧き良き時代というホームズものの雰囲気の魅力がよく描かれていて、読んでいるだけで懐かしい思いに満たされる。これまでどれだけ続編やらパスティーシュやらパロディが書かれてきたことか。あまたミステリはあれどやはりシャーロック・ホームズは偉大だよな。

  • おお、漢字が多い!
    本を開いて、まず思ったのが、これだ。
    それもそのはず、
    探偵の名前は福邇(フーアル)
    記録者の名前は華笙(ホアション)
    19世紀末の香港を舞台とする探偵物語なのである。

    福邇と華笙の出会いをはじめ、6編の話が集められている。

    『血文字の謎』
    『紅毛嬌街』
    『黄色い顔のねじれた男』
    『親王府の醜聞』
    『ベトナム語通訳』
    『買弁の書記』

    ん? と思われた方は多いだろう。
    しかも時は19世紀末。
    つまりは本家シャーロック・ホームズを、そのまま香港にもってきた趣向なのである。

    そのままといっても、まるきりそのままにするわけにはいかない。
    第一、舞台は香港なのだし、まるきりそのままではお話にならない。

    たとえば最初の話『血文字の謎』は、本家シャーロック・ホームズでは『緋色の研究』だ。
    探偵と記録者が出会い、同居し、捜査の依頼が警察によってもたらされ、探偵は勇んで、記録者は驚きながら、現場に駆けつけるのだ。
    そして、現場の壁には、血文字で、

    RACHE

    と書かれたのでは、しかし、お話にならない。
    それでは本家まるごとそのままで、パスティーシュでなく、パクりになってしまう。

    もちろんそんなことにはならず、事件も捜査も解決も、そこは香港らしいものに仕上がっているのだ。

    事件を持ってきた警官たちも、本家ではグレグスン刑事と、レストレード刑事だが、こちらでは、インド人グージャー・シンと、英国人の養子になった中国人クインシーである。

    え、どういうこと? と、思われる方も少なくないだろう。

    そこは、国際都市香港のありようということだ。

    全員に通じる言語がないとか、
    道に漢字名と英語名があるとか、
    朝はトーストでなく早茶(お茶と点心)がいいとか、
    華笙が行った戦争はアフガニスタンでなく、南疆(なんきょう ウイグル自治区南部)だとか、
    そろそろフランスの動向が気になるとか、  

    色々な香港事情はちゃんと説明されているから、安心してほしい。
    けれども、そういった当時の香港事情を、あまり説明されると、頭が混乱するのも事実である。
    人によっては、20ページの「科挙」が出てきたあたりで、早くも脱落してしまうかもしれない。
    このへんがいきなり峠だからだ。

    わかるところはわかって、わからないところは流して、読み進めていけば、きっと面白い。

    シャーロック・ホームズのパスティーシュで、香港歴史もので、武侠もので、冒険譚で、推理小説である。
    繰り返すが、きっと面白い。

    本家とは違って、現在と過去があっちこっちせず、時間どおりに進んでいく。
    嬉しいことに、著者は、着々と続きを書いているらしい。
    日本でも着々と翻訳が進んで、次々と出版されることを願っている。

    ※ シャーロック・ホームズ・シリーズは読んでおこう。
       この本が面白くなるのはもちろん、人生が、確実に、楽しくなる。

  • 読み出したものの途中で放ってしまっていたけれど再び手に取って読み終わる。
    かつて香港にいたという2人の男が難事件を推理で解決していくという話なのだけれども、名前やら時代背景が頭に入ってこなくて困った。
    とはいえ好きな香港の街が描かれていてちょっと楽しい。

  • シャーロックホームズの知見があったら面白かったのかもしれない。。。合間合間に1880年代の香港の情報がぶち込まれるので集中ができなかった。。。

  • 香港に何年も暮らしながら香港小説をあまり読んだことがないことに気がつき挑戦。
    清朝時代末期の香港を舞台にしており、歴史好きとしては堪らない。
    シャーロック・ホームズに詳しくなくても充分楽しめたけれど、ホームズを読んでまた読み直したいかも。

  • 快書なる哉!私は香港に一年だけ住んでいましたが、あの雑踏が懐かしく思われました。どうしても雨傘運動のことも思い出しました。

    翻案っぷりが素晴らしく、それによって香港の独自性が立ち現れてくる。

  • おもしろかった
    ただ人名や地名の字体になじみがないため、いちいち止まってしまい、せっかくの展開のスピード感に乗り切れず歯がゆさを感じた
    シリーズ物のようなので次回作は慣れてもっと楽しめるといいな

  • 面白かったー!!
    本家シャーロックホームズのお話は実は全然知らないんですが、なんとなく面白そうの予感が当たり〜。
    フー・アルとホア・ションの2人の友情やそれを取り巻く刑事、事件解決の経緯も楽しいのだけれど、何より1880年代の香港の煌びやかで玉石混同な街の様子が生き生きと書かれていて、読んでるこちらまで元気をもらう。
    歴史の勉強にも絶対オススメ!フー・アルが阿片を吸う箇所だけは避けてもらってw
    教科書にこんな物語が採用されれば歴史の勉強もきっと楽しいやろうなーとか思った。

  • おもしろかった!今も昔も香港のことは詳しくないけど、香港の歴史に触れていたり、表現も少し堅苦しく当時の感じがしたり、香港は元中国だったと思い出させるシーン、中華視線で西洋文化を語るところなどもおもしろかった。
    短編だったが、ぎゅっと濃密にお話が描かれており、入り込んで読めた

  • ホームズが香港へ?ホームズの新しい魅力たっぷり。

  • “香港版ホームズ”。1880年代の英国統治下の香港を舞台に、ホームズである“フー・アル”とワトソンである“ホア・ション”が活躍する短編集。この時代の香港の文化や地理はあまり知らなかったので難しいところもあったが、どの話も面白かった。「訳者あとがき」を読むと、『辮髪のシャーロック・ホームズ』は全4巻になる予定らしいので、続編が日本語訳されるのも今から楽しみ。

  • ごめん、20pでギブアップ。
    これは本当に自分に気力がないだけであって、落とし込み方や空気感はとても好き。もっと勉強が出来てたら、この本への理解度も面白さもきちんと感じられただろうな…

全36件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

翻訳家。東北大学文学部(フランス文学専攻)、慶應義塾大学法学部(政治学科)卒業。日経国際ニュースセンター、在日本スイス大使館科学技術部、「ニューズウィーク日本版」翻訳者などを経て、現職。
訳書に『7つの階級──英国階級調査報告』(東洋経済新報社)、『25年目の「ただいま」』(静山社)、『背教のファラオ──アクエンアテンの秘宝』(河出書房新社)など。全国通訳案内士(英語、中国語、フランス語)。

「2020年 『CHINA AND THE WEST 中国はリベラルな国際秩序に対する脅威か?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

舩山むつみの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×