あきらめない男 重度障害を負った医師・原田雷太郎

  • 文藝春秋 (2022年4月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784163915357

作品紹介・あらすじ

 新潟県上越市にある介護老人健康施設「サンクス米山」で施設長を務める医師がいる。原田雷太郎。今年還暦を迎える内科医だ。彼は約100人いる入居者の健康管理を一手に引き受けている。地方にある老健施設の入居者は、持病や認知症の度合いが強い人が多い。また、退所して家族の元に帰る人も少なく、施設で看取られるケースが多いという。そういう環境のなか、一人ひとりの様々な状況を把握し、健康な日常、幸せな最期を迎えられるように、原田は毎日、真摯に患者と向き合う。
 これだけ聞くと、やさしい真面目な普通のお医者さん像が浮かぶ。たしかに原田は真面目でやさしいお医者さんだ。ある一点を除いては……。
 原田は13年前、46歳のとき、持病である糖尿病の合併症で突然意識を失い、自宅の階段から転落する。その結果、脊椎を損傷し、首から下が動かなくなる。わずかに動くのは右手の人差し指と親指だけという重度障害者となったのだ。今でも原田の首から下は動くことはない。
 普通なら、原田のほうが障害者施設に入所し、一生、寝たきりで暮らすはずだった。しかし、原田は「あきらめなかった」。原田は、重度の障害を負っても、社会人として生きること、そして、医師として生きることをあきらめなかった。幸いないことに、頭脳の機能は失われなかった。昔と違って、失われた身体の機能をサポートしてくれるテクノロジーはかなり進歩している。ハイテクの車いす、ノートパソコンなどを駆使すれば、内科医として生きていくことは可能なはずだ。
 原田は苦しいリハビリを乗り越え、医師として現場に復帰する。もちろん、介助は必要だ。ベッドから車いすに移るだけでも3人の力が要る。そうした援助には深い感謝の気持ちを持っている。しかし、患者さんにとってもっともよき医師となっている。これは奇跡の物語ではない。また、障害者と社会といった大きなテーマを扱ったものでもない。「あきらめない男」の努力のドキュメントなのだ。
  

感想・レビュー・書評

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  • 新潟県上越市にある介護老人保健施設「サンクス米山」で施設長を務める医師・原田雷太郎は首から下がほとんど動かない。わずかに動くのは右手の親指と人差し指だけという重度障害者だ。
    「劇症1型糖尿病」という持病と闘っていた彼は2009年8月、46歳の時に、突然、意識を失い、自宅の階段から転落し、脊髄を損傷した。
    普通なら障害者施設に入所し、一生寝たきりの生活になるはずだったが、彼は医師として生きることを「あきらめなかった」
    幸いなことに頭脳の機能は失われず、医師の友人の協力、スタッフの手厚い介護体制も得られた。
    苦しいリハビリを乗り越えた彼は、3人の介助でベッドから車椅子に移動、ノートパソコンを駆使して、100人近い入所者の健康を守り続けている。
    そんな彼の不屈の闘志、協力者
    への感謝がひしひしと伝わり、逆境を乗り越える勇気をもらえる本である。
    また、経管栄養や胃瘻を外した自分を顧みて、一般の患者の声にも耳を傾けるべきだという謙虚さも印象に残った。

  • 新潟県上越市にある介護老人健康施設「サンクス米山」で施設長をしている内科医の原田雷太郎。
    彼は46歳のとき糖尿病の合併症で突然意識を失い階段から落ち、脊椎を損傷し、首から下が動かなくなる。
    わずかに動く右手の人差し指と親指だけで、医師として勤務している。
    完全介護の施設に暮らし、そこから介護職の人の手を借りドクターの姿に着替え、運転手に今日履きたい靴を選んでおき、それを履かせてもらう。
    そして勤務先まで、特別誂えのワゴンで、特別仕様のハイテク車椅子で運転手に送ってもらう。

    頭の機能は失われていない、その点を使いリハビにはげみ、使えるものは何でも使い、人の助けも借りられるものは借りて、感謝し続けながら、仕事をする。
    人の助けを借りることができる人柄なのだと思った。
    ドクターから今まで診察後、ありがとうございました、なんて言われたことない。
    どうして、このように話すのかといえば、医師としての自分を信頼してくれ内面をさらけ出し話してくれる患者さんに感謝の気持から、だと。

    こんなドクターに診てもらいたいと思った。
    書いてあることが全てではないと思うが、私はこの本の内容をそのまま信じたい。

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