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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784163915395
作品紹介・あらすじ
大手出版社で校閲者として働く矢野聡には、秘密があった。横浜・黄金町のギャラリーで出会ったハンガリー製のラブドールを小春と名づけ、一緒に暮らしているのだ。毎晩、ベッドで小春のからだを弄びながら話しかけ、返事を聞き、愛撫されつつ眠りにつく日々。女性バーテンダー・鵜飼千賀子の部屋で快楽に耽るだけでは得られぬ安らぎを、小春はもたらしてくれたのだ。
そんな聡の人生に、1人の良い女が登場する。千賀子の店で出会った映像翻訳者の茜屋恭子は、知的な魅力の持ち主だった。
「これまで会ったことのないタイプだな。時々胸の鼓動が速くなった」と小春に話してしまったことから、聡の周辺でさまざまな事件が起こり始めて――
戦慄の長篇サスペンス!
みんなの感想まとめ
人間関係の複雑さと孤独を描いた物語が展開される中、独身男性の聡は、ハンガリー製のラブドール・小春との奇妙な生活を通じて心の安らぎを求めます。出版社で校閲者として働く彼は、女性バーテンダー・千賀子との定...
感想・レビュー・書評
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初読みの作家さん。
芥川賞、谷崎潤一郎賞など受賞されてる方。
何かで紹介されてるのを見て購入。
聡は出版社で校閲の仕事をする独身男性。
彼は密かにハンガリー製のラブドールを購入し、小春と名付けて毎夜弄び、話しかけ、これが精神衛生上とても良いと考える。
バーを営む千賀子とは定期的に会う。
千賀子はバーに現れた男が過去の秘密をネタに脅されている。
恭子は、一度見かけただけの聡に執着して彼を眺めることのできるマンションに引っ越し、双眼鏡で半年以上も観察し続ける。
正直言ってちょっとずつ変な人ばかりの物語で、文学や映画の蘊蓄もいっぱい出てくるけれど、どういうストーリーなんだろう...と思いながら読んでいた。
が、後半、急激におかしなことになっていく。
終盤、怖いけれどページを捲るスピードが上がります。
淡々とした文章で読みやすかった。
予想以上の怖さで楽しめました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
他の方も書かれてますが、街並やカルチャーのリアリティが荒唐無稽な設定に自然な粧いを施しています。流石の文筆力
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以下、ネタバレ含むので注意。
感想の書き方に悩む。
出版社に勤める聡は、見た目も、性格も、生活においても、恐らく申し分のない人なのだと思う。
彼の前に登場する第一の女性は、バーの女主人で、聡と月に一回の関係を持っている。
それは気持ちから成るものであるが、聡は彼女にお金を渡すことを常としている。
第二の女性は、ラブドール。
聡が一目見て、彼女と生活をしてみようと思えるほどに愛着を抱き、連れ帰る。
小春と名付けられた人形は、いつしか自我が芽生え、昼間の世界に出ていく。
第三の女性は、字幕を打ち込むストーカー。
一目惚れした聡の住処を興信所を使って突き止め、その向かいに住んで監視を始める。
そうして得られた情報を駆使することで、聡は彼女をファムファタルだと感じ、彼女と生きていくことを決心する。(……のだが)
という話で、人形が登場するホラーと片付けてしまうのも、なんだか違うような気がする。
安直にまとめてしまうなら、聡の、女性に対する信頼?の回復過程なのかなと思ったりする。
第一の女性に対しては、聡が部屋を訪ねるのみ。
だが第二の女性、小春に関しては、人形という設定上、聡の部屋(プライベート)が中心となる。
そうして、第三の女性、恭子になると、自分の部屋を出て、一緒に暮らすことを受け容れる。
けれど、聡が回復を試みる一方で、女性たちは聡に明かせない秘密を抱えていく。
そんなことなど知らず、恭子にハマっていく聡に、私という読み手は呆れてしまう。
終盤、聡が小春を捨てようとし、小春からある種の報復を受けるシーンで。
それでも、一人には戻りたくない、と言う小春の中にあった、これまでに生きてきた時間の流れがそのまま孤独に転化したような、切なさが際立った。 -
なかなか激しいラスト。
ラスト1ページまで結末がわからなかった。 -
やはり人形は怖い。途中までのスピード感のなさを補って余りあるほどのラストに向けての怒涛の展開。
「捨てないで、‥‥私を」と訴えかける小春のひたむきさが哀しい。主人公・矢野聡を取り巻く3人の女。誰も幸せにならない結末。矢野の身勝手さが際立つ終盤だけど、最後の最後で矢野を救って自ら火の中に戻っていく小春の愛が際立つ。
小説としては、実在する街の説明や、カフェの情報、映画や小説の情報が詳細に描かれすぎて、その度に物語の流れが止まるような印象。その手の解説本ならいざ知らず、ちょっと邪魔だったかな〜。
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だ、ダッチワイフにラブドール…すげえ久し振りに目にした気がする……
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辻原さんは芥川賞を初め文学賞総なめと言ってよい重鎮なのですが、やはり合わないようです。
主人公・矢野聡によって小春と名付けられたラブドールが心を持って行動し始める設定です。そういえば是枝監督作品に“心をもつことは、切ないことでした”というキャッチフレーズの「空気人形」という映画が有りましたね。
場所や食べ物、映画etcが出てくる度にその解説がストーリーに割り込んできます。情景とか心象表現は少なく”解説”と言うかほとんど蘊蓄です。教養小説と捉えることも出来ますが、ここまで来るとスノッブと感じてしまいます。
ストーリー的には気づけば既成事実のように小春が動き始めています。理由の説明も無く、主人公は何の戸惑いも見せません。まあ、下手な説明をするよりその方が良いのかもしれません。ただ最終盤に向けて、男の行動がなんとも情けない。会社でも一定の責任ある立場の人間とも思えない思慮の無さと責任逃れ。さらに廃棄されるのは明らかなのに素直について行く人形の心の動きもなんだか良く判らず、なんで?と思う様なサスペンス?でした。
ラブドールに付けられた小春という名前は近松の『心中天網島』から来たもの。他にも近松の話題は良く出てくるので、最後の流れも
何か近松の浄瑠璃を踏んだものかと思いますが、知識が無くて判りません。
と、ここまでは素直な感想なのですが。。。。
Amazonのでの評価に、ある人が
「"文学"が齎す怒涛のサスペンス小説と言っていいでしょう。」と絶賛した上で
「より洗練されたペダントリーの横溢を生み出し、東京・首都圏、大阪の土地のトリヴィアルを追い求めながら、」
ペダントリー=学問や知識をひけらかすこと。衒学な態度。
トリヴィアル=瑣末なさま。つまらないものにこだわるさま。
と有り、私がスノッブと感じたのは、むしろ文学性の為に敢えて取った手法という解釈のようです。確かにそうなのかもしれません。
辻原さんはこれまで5冊
改めてレビューを読むと『遊動亭円木』と『円朝芝居噺』という落語を題材にした作品は高評価なのですが、後の三作品はさほどでも無く。面白いのは、評価の低い三作品は何れも「玄人受け」とか「文学の匂い」と言った表現でフォローしています。
多分、私が読み手として教養不足なのでしょうね。 -
出版社の知り合いが薦めてくれた本です。タウン情報や本、映画が満載なので、神保町とか好きなら、この本も好きかも、と教えてくれました。確かに街のディテール、サブカルチャーの破片があふれんばかりに埋め込まれていて、そのリアリティがラブドールが意志を持つ、という荒唐無稽な設定を現実に定着させている、と思いました。1980年の「なんとなく、クリスタル」が当時、知らない固有名詞で構築された時代気分のシンボル小説であったことから42年、今は日常に散りばめられた固有名詞で時代気分ファンタジーを成立させています。なにしろレオパレスなんて単語、小説で出会ったのは初めてです。没後30年、松本清張のような暗い昭和の情念も令和の今に召喚されているし、もっとストレートに業田良家の空気人形の純愛も参照されている、と思いました。著者の作品は朝日新聞に連載されていた「花はさくら木」ぐらいしか読んだことがなく、最初、こういう小説書くんだ、という戸惑いもあったのですが、しかし、特異な趣味で物語を煌びやかに紡ぐ、というのは一貫しているのかな、と感じました。
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久しぶりの大家作品に気負ってページ開くと主人公はラブドール…。SFホラー、それとも穴場紹介?あまりに突飛な設定に最初は戸惑うも、豊富に繰り出される蘊蓄マッタリ楽しんでいるうちに怒涛のラスト。辻原さん、551のブタまんまでカバーしているとは。この春、大津SAで食べたシューマイ懐かしい。
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ホラーでミステリー
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【戦慄の長篇サスペンス】「捨てないで、……私を」ラブドールと暮らす男が、生身の女性と恋に落ちた。前途で男を待ち受ける危険と陥穽とは?
著者プロフィール
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