凍る草原に鐘は鳴る

  • 文藝春秋 (2022年7月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784163915661

作品紹介・あらすじ

草原に額縁を立て、その中で演手たちが鮮やかな物語を繰り広げる――。
遊牧の民アゴールは、その伝統を「生き絵」と呼んで愛していた。物語を作り、演出を手掛ける「生き絵師」のマーラは、若くして部族長たちの前で生き絵を披露する役目に大抜擢される。だが、その矢先に突然の悲劇が。“動くもの”が、全ての人々に見えなくなってしまったのだ。そんな世界で、もはやマーラの「生き絵」は無力なのか。そして、遊牧が困難になったアゴールの民の運命は。

現実が想像力を凌駕しても、芸術は無力ではない――東山彰良

多くの読者が、きっと自分の「今」を見いだせる小説だ――辻村深月

感想・レビュー・書評

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  • 【書名と著者】
    凍る草原に鐘は鳴る
    天城光琴

    【目的】
    自分ではまず読まないジャンルの本を読んでみようと思い、人から勧められたものを何も考えず読んでみた。

    【読後感】
    唐突に始まり、終わり、ポカンとした。
    主人公たちの生き絵等にかける思いにあまり共感することができなかったのが大きい。
    また、動くものが見えなくなるという設定がとても斬新に見えたのだが、描写される光景がなかなか想像しにくく、不完全燃焼。
    映像化されることがあれば見てみたい。

    【印象に残ったポイント】
    ・モデルの国
    モンゴルと中国がモデルの国なのか?と思った。
    隙あらば遊牧の民を平定しようという中華ムーブは微笑ましく感じた。
    ・想像できない世界
    コロナ禍に閃いたのか?今までと生活が全く変わってしまうこと。
    ないとは思うが、仮に今の日本で動くものが見えなくなると社会の働きはストップするなとほんのり恐ろしい気持ちがした。

  • 感情移入が難しかった。
    ストーリーは、なるほど、と思ったが、実際は違う混乱が起きるのではないだろうか。

  • 読書備忘録705号。
    ★★★★。

    多分読売新聞の小説エンターテイメントの書評を見て借りるリストに入れたんだと思います。
    面白っかった。

    物語を世界を少々解説。笑
    山羊を放牧し、季節の移り変わりと共に土地を移動し生きていく遊牧民アゴール。馬をパートナーに生きる。
    百ほどの部族にあって10万人の最大部族ダーソカ。部族長も束ねるダーソカの部族長は事実上のアゴールの長。
    一方、国境を設け、国としての体裁をなす「稲城」。
    稲城の国土、国境を我関せず移動し生活するアゴールを稲城は良く思っていなかったが、以前アゴールを従わせようとして手痛くやられた稲城はアゴールに手を出せなかった(アゴールの騎馬軍団の機動性に全く歯が立たなかった)。
    アゴールの娯楽「生き絵」。いわゆる演劇。草原に舞台は無いので木で作られた大きな枠を範囲に演手(えんじて)と呼ばれる俳優達が物語を演じる。
    族長直属として「集い」と呼ばれる部族長が集まる儀式で生き絵を披露する役目を担うのが生き絵師。
    若くして生き絵師の地位に上り詰めたダーソカの女子マーラが主人公。

    とある日、この世界を災厄が襲う。
    あらゆる人々の目に異変が起きる。動く生物が見えなくなる。止まると見える。動くと消える。自分の手も足も動かすと消える・・・。
    動きが表現できなくなることで、生き絵は死んだ・・・。
    機動性が命のアゴール騎馬も弱体化し、それに乗じてアゴールの民に対し町を住み税を払うように強要する稲城。
    生き絵師を解任されたマーラは、町に定住すること好まず他の土地に移り放牧を続ける家族と共に稲城の土地を出ていく事を決意する。
    引っ越しに先立ち、マーラは山羊を売ってお金に換える為に稲城の首都を訪れるが、追剥に合い無一文に。
    そこで、稲城の国王に使えていた奇術師苟曙に助けられる。苟曙もまた動きが見えなくなることで奇術が成り立たなくなり、王室を追放された身であった。
    苟曙の親身な助けもあり、引越しの元手を稼ぐために稲城に滞在して仕事をすることになったマーラは稲城の人々と交流を深めていく。
    そんな時、稲城の国王禾王がアゴールの町開きの催しに訪れることになったアゴール族長ザルクを暗殺する
    目論みを立てていることを知る。
    なんとしても謀略を防がないとならない。マーラと苟曙は作戦を立てる。マーラはザルクの元を訪れ謀略の事実を告げる。そしてそれを防ぎ、二度とこのようなことが起きない戦略を説明する。作戦は上手く行くのか?
    そして町開きの当日。驚くべき作戦が繰り広げられる!それは人々を襲った災厄を乗り越えた新しい生き絵の姿でもあり奇術の姿であった!

    という感じのライトなファンタジーノベルでした。笑

  • 変化が急な上に無慈悲で容赦が無い。その変化に対応しきれず人によって色々な反応をみせるけど、強制的な変化をそれでも人は飲み込んで生きていく。書き口は軽やかで読みやすく、その中で人の逞しさが垣間見える。

  • デビュー作で松本清張賞(2022)。凄く、良かった。受賞した時の天城さんのコメントを新聞で見て、読んでみたくなりました。「未熟な自分への無力感がなくなることはない。でも、自分の書きたいものは、まだこの世のだれも書いていないという確信がある。だれもが口をそろえるような圧倒的な才でなかったとしてもいい。わたしはこの確信にしたがって、小説を書き続けることに決めました。わたしのなかにしか存在しないものが、いつか、だれかのなかにも息づくことを願いながら」

  • ちょっと苦しかったけど
    良かったです。

  • 不思議な話
    動いてるものが見えないというのがイメージしにくい

  • Amazonの紹介より
    草原に額縁を立て、その中で演手たちが鮮やかな物語を繰り広げる――。
    遊牧の民アゴールは、その伝統を「生き絵」と呼んで愛していた。物語を作り、演出を手掛ける「生き絵師」のマーラは、若くして部族長たちの前で生き絵を披露する役目に大抜擢される。だが、その矢先に突然の悲劇が。“動くもの”が、全ての人々に見えなくなってしまったのだ。そんな世界で、もはやマーラの「生き絵」は無力なのか。そして、遊牧が困難になったアゴールの民の運命は。



    第29回松本清張賞受賞作。
    「ファンタジー界に新星誕生!」という帯の宣伝に惹かれて読んでみましたが、ちゃんと松本清張のテイストを入れつつ、ファンタジーに溶け込んでいて、今後が楽しみだと思いました。

    止まっているものは見えて、動いたものは見えなくなるという特殊な災厄が、主人公だけでなく、その地域全域の人にまで及ぼされます。前半では、その人達の不穏な雰囲気が、松本清張作品が放つ雰囲気と似ていて、「おっ」と思わせてくれます。

    物語の要となる「生き絵」。あまり聞いたことのない言葉で、ちょっと戸惑ったのですが、いわゆる舞台劇かなと思いました。
    舞台という「額」の中で繰り広げる劇を作・演出するマーラ。そのマーラが災厄に遭いながらも、どう生きていくのかが描かれています。

    登場人物一覧を見ると、カタカナ表記の人物が多く、覚えるの大丈夫かなと思いましたが、そんなに心配はなく、意外と数人ぐらいしか多く登場しませんでした。
    むしろ中国人?のような漢字表記の方が多く登場するので、そちらの方が戸惑いはありました。

    マーラだけでなく、部族全体が同じ災厄に遭い、どうやって回避していくのか。最初の混乱シーンは松本清張作品でよく見かける人間の掻き乱される心情がうまく描かれているのが印象的でした。

    また、描かれているのは想像上の世界なのですが、「今」に繋がる要素が多く見受けられました。負の感情をどう自分が受け止めていくのか。向き合っていくのか。そういった要素は「今」に通じるものがあり、ファンタジーだけれども現実感もあって、そういった面白さはありました。

    中盤までは、しっとりとしたり、不穏な空気があったりと割とゆったりとした流れでしたが、後半からは、スペクタクルな展開もあって、爽快でした。それは物語の要となる「生き絵」も登場し、うまく絡めているので、大いに楽しめました。

    「芸」は人々にどのような影響を与えるのか?困難に遭いつつも、ピンチをチャンスに、前向きに動こうとする展開は読んでいて、自分もやる気が湧いてきました。

  • 『静止していないものは見えなくなる』状況と思って読んでたのだが
    「あれ?動いてるはずなのに見えてるの?」とちょいちょい気になってしまう場面があって
    物語に没入できなかった。(自分の認識が間違ってる?)

    最後の「生き絵」も、想像力が追い付かず
    情景が想像しきれなかったのは残念。
    実写(+CG)で見たいかも

    関係ないけど「蒟曙」を”コウショ”と読むのをすぐ忘れてしまい、結果”コンニャク”さんで最後まで行ってしまった。

    ---
    ・「信じるというのは、相手の許しもなしに、期待という自らの幻想を人に託すことですから。期待の幻想が解けても、その人の本当の姿が見えるだけです」(p.24)
    ・「何を思って過ごしたって、同じ一日なんだから」(p.58)
    ・「無償で手に入ったものを、人は有難がらぬ。そのうえ、苦境がまた訪れると、今度も無償で米が貰えると考える。その期待に応えられなければ、却って不満を募らせるものよ。放出米に値を付けぬのは愚策だ」(p.84)
    ・あっさりと作り笑いが信じられたことに、複雑な思いを抱く。本心とは、表情が見えなければこんなに簡単に隠し果せてしまうものなのか。(p.247)

  • 動くもの が全ての人に見えなくなったら?
    突然の災厄のどう立ち向かうのか…

    無力さや困難があっても光は射す
    たくましく生き延びる
    前向きにいきましょう

  • どこに向かうのか、最後までよくわからないまま読了。どうすれば、こんな不思議なお話を紡ぎ出せるのだろう。今後に期待含めて4評価。「芸術が変えられるのは、人の心の温度だけ。行動が変わることなんてほとんどない」「人は見えるものを見たいと思う訳ではない。もう見ることが出来なくなったものを最も見たいと欲する」「生き絵」は背景画付き演劇?

  • 松本清張賞受賞の期待のファンタジー作家。これからもしかしたら他のジャンルにも果敢に挑戦するのかもしれない。
    動くものが見えなくなった世界で、芸能はどのように人々へ届けるのか、世界のいざこざと向き合いながらマーラは自国以外の人間と触れ合いながら答えを探す。遊牧民の設定など、著者の実体験から描かれているようで、動くものが見えなくなるという現象も神経学的なものから着想を得ているそうで、作家とは分からないものを調べながら描くこともあることを知った。かれから更に凄みのあるファンタジーを描いてほしい。

  • 遊牧民アゴールの伝統芸能「生き絵」が動きの見えない目のため亡びようとしている。生き絵師マーラと奇術師の出会いによって起こる化学反応。奇跡の復活の新しい生き絵と部族の未来に希望を捨てない人々のしなやかな強さを見た。

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