ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパークXVIII

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 146
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163915913

感想・レビュー・書評

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  • 長く続くシリーズの、登場して日が浅い単行本である。
    連番が付いているシリーズの「18」だ。文庫化された「16」を「発見次第に確保!」と入手して読了した。そこから程無く「17」の単行本を読む機会を得て、そちらも速やかに読了した。機会が生じる時は続くものだ。「17」の単行本を読む機会を得た時に「少し前に最新のモノが登場したばかりであった筈…」と判り、直ぐにそれを読む機会も設けることが叶ったのだった。
    2020年に出逢って一気に文庫本を入手して読み、以降は順次文庫化されるモノを入手する等してこのシリーズとの“付き合い”は続いている。序に2020年12月に東京で少し時間を過ごした際、シリーズ作中で「ウエストゲートパーク」と呼ばれている<池袋西口公園>に立寄るということもしてしまった。
    シリーズが登場した頃の公園は現状とは様子が異なっていた。少し大規模な改修が施されて最近の様子になっている。旧作では工事が進んでいるというような様子への言及、新しい様子になったという言及も見受けられるのだが、極最近の作品では最近の様子の描写が自然に為されている感だ。更に言えば、2020年に制作されたこのシリーズの各篇を原案とするアニメ作品では、作中の公園については最近の様子を基礎とする作画になっているようだ。
    勝手な思い入れも生じている、気に入っているシリーズな訳だが、本作でも定番化した様式は踏襲され、安定した愉しさが溢れている。
    1冊に4篇が収まっているが、各篇は主要視点人物(主人公)であるマコトの「一人称の語り」で綴られている。各巻で順序は一定しているのでもなく、厳密でもないが、概ね4篇に四季が割り振られている。本作では「秋・冬・春・夏」という感じになっていた。(最初の篇は寧ろ「秋の終わり頃」という感で、2つ目の篇は「年末」という感だ。)
    主要視点人物(主人公)であるマコトというのは、池袋駅西口の一番街で母親が営む果物屋を手伝っている。そして雑誌のコラムを綴るライターという細やかな副業も在る。更に持ち込まれる様々な問題の解決に向けて奔走する“トラブルシューター”という顔も在る。この“トラブルシューター”というのは生業というのでもない。独自の義侠心や人情に駆られて奔走する感でもある。本作、或いはシリーズの各巻に収まった各篇は何れも、“トラブルシューター”として関わった事案に関して、マコトが振り返って語っているというような体裁になっている。このシリーズは、そういう体裁なので「少し変わった見聞をした人の経験談に耳を傾ける…」という様子に近い気分でドンドン読み進められる。
    本作の各篇も、最近の話題を取り入れた様々な出来事を題材とする物語で、何れも興味深く、少し考えさせられる。
    今作の各篇の中では、マコトが夜遅くに或る店で出逢った若い女性が実は未成年で、深刻な個人的事情を抱えていたということを知ってしまうことになるという物語、“ヤングケアラー”という問題に纏わる物語が深く記憶に残る感だった。女性に絡まるややこしい連中を懲らしめるというような経過も在るのだが、そういうのはそういうのとして、かなり考えさせられた。踏み込み過ぎると「迷惑なネタばれ」なので、これ以上は言及しないが…
    このシリーズに親しんでいると、「如何してこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もする。本作でもそこは健在だ。
    移ろう世相の中、最近は益々「人生を見詰める材料」または「“材料”になり得るかもしれない何か」を色々と求めたいような気がする。このシリーズの投げ掛ける何かでもあると思うが、今後もこのシリーズが読みたい感である…

  • 秋といえばIWGPの季節。
    今回も安定感抜群のラインナップ。
    特に表題の【ペットショップ無惨】は涙なしには読めなかった。
    オトラジを観ていると「あの時、石田さんがお話ししていた本が物語のアイデアのつながったのかな~」とか想像が膨らみ、二度美味しい。

  • IWGPも18弾目。いつもながら今の時代の問題をテーマとして事件が起きている。今回の魂マッチングで、ゼロワンの恋?の話が面白かった。ペットショップ無惨は、現代のペットの在り方を本当に考えさせられるものである。いっそのことペット禁止にすれば良いのでは?と思う。

  • 毎年楽しみにしてる一冊。
    テンポ良く読むことができて、爽快感に満足

  • まだ営業終了する前の池袋マルイの話が出てきた。
    常に変わる池袋を扱う石田さん。
    マコトは青果屋を営んでいるが、石田さんはそれこそ鮮度の高い池袋を常にマコトの視点で描いている。

    『ペットショップ無惨』は想像より残酷な殺処分が描かれている。ここまで書いちゃっていいのかなと思うほど、「生」にフォーカスした石田さんとマコトの熱を感じた。
    また来年。

  • テンポの良い展開でやはり一気読みさせられる。信じられない残虐なニュースが後を絶たない現実社会を想うと、WGPで描かれる一話一話も、自分が知らないだけで確かに起こっているんだろうと思う。ペット売買の裏側…キツかった。

  • 【動物の命を犠牲にする大人たちに、マコトの怒りが爆発する】ヤングケアラー、外国人労働者、マッチングアプリ…いま池袋で起こっているトラブルにマコトが立ち上がる。大人気シリーズ第18弾。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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