薔薇色に染まる頃 紅雲町珈琲屋こよみ

  • 文藝春秋 (2022年10月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784163916033

作品紹介・あらすじ

一度は売ったものの手放したことを後悔していた帯留めが戻ってきたと、旧知の東京のアンティークショップから連絡をもらったお草。早速その店に向かうが、そこで耳にしたのは顔なじみのバーの雇われ店長が殺されたらしいという話だった。生前に彼と約束を交わしていたお草はそれを実行に移すが、その後、新幹線で何者かに追われている様子の母親と少年と隣り合わせる。そして、その少年を預かることになるが――。
殺された知人、生前の約束と怪しげな現金、最凶の男……。事件の全貌もわからぬまま少年と逃避行を続けるお草は、どこへ行くのか?

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりのレビューです。今後もペースはボチボチですが、よろしければお付き合い下さい。


    〈紅雲町珈琲屋こよみ〉シリーズ最新作。もう何作目になるのだろうか。

    今回はシリーズ中、最もサスペンスな話だった。
    何しろお草さんが新幹線で出会った少年と逃避行をすることになるのだ。
    お草さんとしては人助け、だが報道では高齢女性による少年連れ去り事件として扱われている。
    少年の味方であろう関係者たちが次々と姿を消す中で、お草さんは少年を追う者や警察から逃れて少年を救うことが出来るのか。

    これまでもちょっとした立ち回りや冒険はあったが、今回はその比ではない。
    だが一方でお草さんの味方もまた沢山いて、小蔵屋の久実とその彼氏・一ノ瀬、配送業者の寺田にお草さんの親友・由紀乃、器作家の丹山。
    また古い伝手を辿れば大物もいるらしい。お草さんの人脈の広さに改めて驚く。
    お草さんだけでなく、一ノ瀬の人脈もなかなかハードだ。探偵事務所を営む辺見なる人物は、彼の物語だけでも一冊出来上がりそうなほどハードボイルドだ。

    これだけの味方があって彼らがどんな活躍をするのかと思えば、意外な顛末。
    それもそうだ、これは〈紅雲町珈琲屋こよみ〉でありハードボイルドやサスペンスではない。

    冒頭と最後に出てきた〈牛亭〉『夫婦』の関係、久実と一ノ瀬の関係、辺見のアレコレ、そして少年ジュンとキョウカ、ユージンの境遇。
    この作品で描かれたのは、様々な人間関係や人生。
    一見平凡で幸せそうな家庭や家族にも様々な物語があり、さすがのお草さんでも踏み込めない親子関係もある。
    大人たちに愛され守られて安心して伸び伸び育つ年頃のジュンが、お草さんが想像もつかない人生を送りお草さんが知らないことを沢山知っている。

    自分が一生関わることがないだろうこんなハードなことが、実はごく身近にあったりする。
    取り戻した帯留を持って、アンティークショップから真っ直ぐ帰れば良いものを、いつものお節介で寄り道をしたがために巻き込まれたお草さんはともかく、本来行くべき道を一本間違えただけでそういうこともあるかも知れない。

    ただシリーズとしてはあまりに異質だったのと、結末がああだったので、読後感としては拍子抜けだったのが残念。
    今後も辺見は出てくるのだろうか。彼もまた紅雲町シリーズとしては異質だけど。

  • 【目次】第一章 長い約束/第二章 メジャーと竹尺/第三章 湖に降る/第四章 神様の羅針盤、くまの寝息/第五章 
    薔薇色に染まる頃

    小蔵屋シリーズ10作目。

    このシリーズは、登場人物や設定のわりには、ブラックな話が多いように思うのだが、本作はもう一段降りた感じ。裏社会との接点はささいなところにあるようで、怖い。小説なら探偵や警察官の知り合いがいる仲間の存在に助けられるわけだが、現実はそう都合よくは運ばない。

    草さんが年を取るにつれ、経験することがハードになっていくような…… 
    手放しでハッピーエンドとはいえないけれど、ベターな結末ではある。ほろ苦い読後感。

  • 吉永南央『紅雲町珈琲屋こよみ』シリーズ | 特設サイト - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/sp/osou?sp_banner

    『薔薇色に染まる頃 紅雲町珈琲屋こよみ』吉永南央 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916033

  • 2022年10月文藝春秋刊。書き下ろし。シリーズ10作目。今回は紅雲町を離れて、傷害、殺人、逃避行と草さんらしくない非日常な話の展開で、あ然となりました。ちょっとしたアクションサスペンスです。でまぁそういうとんでもな話だけどうまくまとめたというか、出来過ぎの感もある流麗な展開は、まるでパスティーシュのよう。ラストで、いつもの日常に帰着してしまうというアクロバチックな展開は、しかし、とても疲れました。

  • コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋(こくらや)」を営む、お草さんの周りで起きるあれこれの、第10弾。

    周りで起きる、というか、お草さんが自ら事件に首を突っ込むというか・・・
    今回は巻き込まれたのかも知れないが、その発端となり、彼らと関わりを持つに至った出来事は、やはりお草さんのお節介が原因だったと思う。

    杉浦草(すぎうら そう)、多分70代。
    老女が巻き込まれていい事件じゃない。全く、心配かけすぎ!
    今回はすこぶる犯罪性が高く、本当にヒヤヒヤものでした。
    2時間ドラマになりそうなサスペンス。
    非道な父親の元に生まれてなんとか生き抜いてきた男の、これは報復なのかな。
    壮絶でした。

    それと並行して描かれる、牛亭さんや、久実と一ノ瀬のカップル。
    人と人の関わり方は一対一ではなく、人はそれぞれ家族や事情や係累を抱えている。
    個人だけではなく、その背景とどのくらい関わるのか、関わらないのか。
    簡単には語り尽くせないことである。

  • シリーズ10

    一度は売ったものの手放したことを後悔していた帯留が戻ってきたと東京のアンティークショップから連絡をもらったお草さん

    さっそく京都へ商談に行く前に東京に寄り、買い戻すがそこからの展開があまりにもぶっ飛びすぎ、現実離れしすぎていて、???
    いくら物語といっても、80近いお婆さんが巻き込まれる事件じゃないだろうと、気持ちが冷めてしまった

    雑居ビルが立ち並ぶ一角のバーの雇われ店長が殺されたらしい
    その店長とは、アンティークショップによる度に何回か口をきいたことがある顔見知り
    ー俺が死んだら運んで欲しいものがある・・・ー
    と以前に渡されたメモ書きを頼りに、怪しげなバーが立ち並ぶ雑居ビル街、暴力や薬物の売買が日常茶飯事の裏社会へ首を突っ込んでいくお草さん
    挙げ句の果ては、小さい少年を連れての逃走劇

    いやはやこれはないでしょう

    いつもの穏やかなちょっとスパイスの効いた紅雲町の日常はどこへ行ったんだ

    最後、久実ちゃんや由紀乃さんが出てきた時はほっとした

  • 本を手にして、えっ?お草さんが少年と逃亡?何で?
    と、疑問を解決すべく読み始めたら、止まりませんでした。そりゃあ、お草さんの周りでは何時も何かしらが起こりますが、ここまで来ると単なる事件ではありません。何でこんなことに巻き込まれるの?どうやって、無事に逃げ切るの?
    お草さんの仲間と知り合いとその知り合いと、と繋がって助けられて、何とか逃げ切って。ホッとしたのもつかの間、えっ?こんな結末?
    まぁ全て丸く収まった?から良かったけど、お草さんも友達なくさなくて済んだし。
    それにしても、みんな無事で良かった。
    次は何が起きるのでしょうか?出たばかり、読んだばかりなのに、次がとても楽しみです。

  • いつも曇り空…という感じですが
    今回はスゴかった…

  • いつもの珈琲と和食器の小蔵屋のお草さんが、スーパーアクティブお婆さんになってる。
    キョウカさんとジュンの姿がいまいちイメージできず、最後まで感情移入できないままに終わってしまった。

  • 紅雲町珈琲屋こよみ シリーズ10作目

    曰く付きの帯留めを買い戻した先で事件
    幾重にも張り巡らせられた糸を辿る内に
    過去と今と未来に思いは行き来し

    薔薇色に映る景色で良かった

  • #紅雲町珈琲屋こよみ
    #薔薇色に染まる頃
    シリーズ中断トツでキナ臭い話だったような
    後味がいいのか悪いのか
    ただ、登場人物達皆が心穏やかに過ごせますように

  • 大好きな「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ。

    ただし今回は今までとはかなり違ってびっくり。
    違うというより、ハードボイルド過ぎ!!
    こういう世界もあるのかも知れないけど、お草さんが首を突っ込んでいいわけないでしょ。
    一ノ瀬さん、久美ちゃん、寺田さんと一緒に心配でハラハラのし通しでした。
    まあお草さんなら、ああいう行動をしそうではありますが…。

    いつもはいろんな事件や、やりきれない感情がもつれても、小蔵屋でお草さんが入れる珈琲の香りが皆を包んでくれる感じがあって、そこが好きなのです。
    今回は事件の当事者達が小蔵屋に来たことがない人達であること、その事件があまりに重く暗い事件だったため、珈琲の香りがあまり感じられなくて、それが少し残念でした。

    「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズファンとしては、次回はもう少し身近な出来事でのお草さんの活躍を期待します。
    そして、一ノ瀬さんと久美ちゃんの良い進展にも期待です。

  • いつも「お草さんが無理して怪我しませんように!」と願いながら読み始めるこのシリーズ(^^;)今回はいつもと違って、紅雲町を離れて京都へ行くのね(^^)♪と思っていたら、全然違った( ̄□ ̄;)!!「お草さん、闇社会&ハードボイルドの国へようこそ!」にいきなりなったら、読んでるこっちの心臓が持たないわ(T△T)最後はホッとしたけれど(*´-`)この先は久実ちゃんや由紀乃さんと小蔵屋でご近所トラブルを解決!にとどめておいて欲しい(>.<)でも一ノ瀬さん達が関わってくると、どうなんだろうか?(゜_゜;)心配

  • お草さんは年齢を重ねているせいか語られてない過去が沢山あるんだなと、いつもと違う展開にびっくり。とはいえ、お草さんの子供を見捨てられない所とかはいつも通りで、ハラハラする物語の中でもいつものお草さんが見えて嬉しかったです。一ノ瀬さんと久実ちゃんも上手くいくと良いなぁ。

  • 紅雲町珈琲屋こよみ、お草さんのシリーズも10作目。

    今回のお話は、シリーズで一番アクティブで、敵(ヴィラン)が出てくるというか…。でもなぁ、正直これをお草さんでやらなくてもいいように思うんだけど。

    風味が変わっただけで評価を下げるのは、固定ファンの悪癖なんだろうけど、こんな寄り道より一の瀬と久美さんの展開とか、前作まで張ってきた伏線を回収するなり、張りなおすなりを読みたかったなぁ。

    わがまま言うてすみません。

  • ん~、『見知らぬ訪問者』あたりから、なんか事件が大きく深刻になってるけど、今回は特に!
    ちょっとお草さん、ハードボイルドに寄りすぎ~(^^;

    半グレ集団のヤクザに殺されそうになっている男の子を押し付けられたお草さん。警察も頼れず琵琶湖付近を逃げ回る、モノホンのハードボイルド展開。

    ……もったいない。この設定、『紅雲町珈琲屋こよみ』シリーズでやる必要ある?
    紅雲町では知り合うはずもないてことで、最初にお草さんを巻き込んだのは神楽坂の骨董屋と青年だし。お草さんが、「親友と思ってた幼なじみ」である政治家に、警察とヤクザ集団に圧力かけてもらおうと考えるけども、その幼なじみも今回初登場だし。唐突感と無理矢理感がすごい。

    一ノ瀬くんが活躍してお草さんを助けに行ってくれるけども、警察時代の汚職の記憶がこれでもかと出てきて。警察を頼れない、という説明と、一ノ瀬さんの意固地な性格を補強するエピソードではあるけど、とにかく暗い。
    警察小説ばりのハードボイルドさと重苦しさ。この国の格差の底辺。
    こういうお話しも読むけれど。
    お草さんのシリーズにはそういうのは求めてないのになあ、と拍子抜け&残念だった(>_<)

  • シリーズ第10弾となる今回はミステリー長編の様相。
    彼らに幸多かれと願わずにはいられない。

  • えっ?私お草さんのシリーズ読んでるんだよね??って途中で思うくらい、シリーズ中では少し異質なお話だったかなと思います。最後、「薔薇色に染まる」のは良かったけど、いろいろ、結構もやもやするな…。そのもやもやこそが、作者が持たせたい感情なのかもしれないけど。

  • ずっと読み続けているシリーズですが、
    いやいや、お草さん!もうコーヒー豆と和食器を扱うお店のおばあさんどころじゃなくなってますやん!

  • 【シリーズもついに第10弾!】殺された知人、生前の約束と怪しげな現金、最凶の男――。お草は事件の全貌が分からないまま、追われる少年と逃避行を続けることに。

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著者プロフィール

1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。著書に「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ『誘う森』『蒼い翅』『キッズ・タクシー』がある。

「2018年 『Fの記憶 ―中谷君と私― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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