光のとこにいてね

著者 :
  • 文藝春秋
3.94
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本棚登録 : 11791
感想 : 950
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163916187

作品紹介・あらすじ

『スモールワールズ』を超える、感動の最高傑作


たった1人の、運命に出会った


古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。


運命に導かれ、運命に引き裂かれる
ひとつの愛に惑う二人の、四半世紀の物語

感想・レビュー・書評

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  • あなたには、『結珠ちゃんに出会って、わたしの人生が本当に始まった』、というような人との出会いを経験したことがあるでしょうか?

    この世には数多の人がいて、数多の人間関係があります。そして、その全てにそんな関係が始まる起点となる瞬間があったはずです。そんな始まりは学校での出会いかもしれません、会社での出会いかもしれません、そして、街中でのほんのちょっとした触れ合いの中に始まったものかもしれません。人と人との関係性の始まりというものは、思った以上に偶然という場合も多いものです。

    そして、そんな風にして始まった人と人との関係は単に長い時間を共に過ごせば良いというものでもありません。もし時間だけが全てであるのなら、大人なあなたの最も大切な人は、今日もあなたの前の席に座る会社の同僚ということになってもしまいます。『ふたりで体験した時間は夢みたいにきらきらしていた』。そんな言葉の先に紡がれる関係性というものは時間の長さだけではない、もっと別の何かによって培われていくものでもあるのだと思います。

    さて、ここに『果遠、校倉果遠』、『小瀧結珠、七歳、小学二年生です』、『果遠ちゃんは何年生?』、『結珠ちゃんとおんなじ』、『そうなんだ』と交わした言葉の先に繋がっていく二人の女の子が主人公となる物語があります。母親に連れられて出かけた先の、ある『団地』で偶然に出会った二人の女の子。『次の週の水曜日も、結珠ちゃんは5号棟にやってきた』と、続いていくその日常の中で関係を深めていく二人の女の子。しかし、そんな二人の別れは唐突に訪れます。

    この作品は、偶然に出会った二人の女の子が、その後の人生において、出会いと別れを再び経験する物語。そんな出会いと別れの繰り返しの中に、お互いがお互いの存在を強く意識していくのを見る物語。そしてそれは、『七歳の時も十五歳の時も、今も、彼女は一瞬で私の目を奪う』と、やがて大人になった二人がお互いの存在の大切さに気づく物語です。

    『二年生になってGWを過ぎた水曜日の放課後、ママに『突然「一緒に来なさい」と』言われ『制服のまま車に乗せ』られたのは主人公の小瀧結珠(こたき ゆず)。そんな結珠は『「団地」っていうの。ママの知り合いのおうち』と説明された『「504」という札以外は何もないドアの前』にママと立ちます。インターホンを押し、しばらくすると『知らない男の人が顔を覗かせ』ました。『鍵くらい掛ければ。不用心だよ』と『スプーンやナイフにくっついたいちごジャムみたいな声』で言うママに『こんな部屋から何盗るんだよ』と返す男。『ぼさぼさの髪や無精ひげや充血した白目』の男に『怖くて足がすく』む結珠。『ご挨拶しなさい』と言われ、名を名乗ると『ちっせえ声だな、ちゃんと食わしてんのか』と言う男。そして、ママは『ここでやることがあるから、降りた階段のところで待ってなさい。三十分くらい』と言うのに『ボランティア?』と訊くと『そう』と答えるママと『けたたましく笑』う男。仕方なく一階で待つ結珠は、『向かいの棟の』五階のベランダに『手すりから大きく身を乗り出している』女の子を目にします。『何をしようとしているの?』と思う結珠は、『目があった瞬間』『両手を目いっぱいに伸ばし』ます。そんな時、『おでこにぽつんと何かが当た』りました。『指で拭うと』『指先が赤くなっている』のを見ている中に、女の子はベランダからいなくなってしまいます。やがて、『ごめんね』『びっくりして、鼻血出ちゃった』と現れた女の子は校倉果遠(あぜくら かのん)と名乗りました。
    視点が変わり、『わたしの唯一の友達は隣の家の「きみどり」』、『お隣には女の人がひとり住んでいて』、そんな女性が飼っているインコを勝手に『きみどり』と呼ぶ『わたし』。女の人が『よく遊びにくる男の人と怒鳴り合ったり』して、ベランダに鳥籠が出された時、仕切り越しに『きみどり』と会えることを喜ぶ『わたし』。そして、今日も『きみどり』を観察していると下に『ぽつんとひとりで立つ』女の子がこちらを見ているのに気づきます。『わたしに向かってまっすぐに両手を伸ばし』ているのを見た時、『きみどり』が『「アイタイヨォー」と鳴』きました。それに驚いた『わたし』の鼻から『鼻血』が出て下へと落ちていくのを感じます。『いけない』と思い、大急ぎで階段を駆け降りた『わたし』は、『ごめんね』『びっくりして、鼻血出ちゃった』と言い、校倉果遠と名乗りました。すると、『小瀧結珠、七歳、小学二年生です』と答えた女の子。結珠と果遠の運命の出会い、そして、別れ、再びの出会い。不思議な糸で結ばれた二人のそれからの四半世紀に渡る物語が描かれていきます。

    2022年11月7日に刊行された一穂ミチさんの最新作でもあるこの作品。”発売日に新作を一気読みして長文レビューを書こう!キャンペーン”を勝手に展開している私は、先月も寺地はるなさんの「川のほとりに立つ者は」を発売日に一気読みしてレビュー済みです。ただ、一穂さんのこの作品は単行本で460ページもあり、流石に平日に読むには二日かかりました。秋は新米が美味しい季節ですが、読書の秋には小説も新作がやはり良いですね!このキャンペーン、やみつきになりそうです(笑)。

    さて、そんなこの作品、「別冊文藝春秋」に2021年5月号から2022年9月号に一年以上に渡って連載されてきたものです。”運命に導かれ、運命に引き裂かれる ひとつの愛に惑う二人の、四半世紀の物語”と内容紹介にうたわれる通り、二人の女性が等位の主人公を務め三つの章にわたってそんな二人の四半世紀の人生の歩みが描かれていきます。読みどころは幾つかあると思いますが、私がまず魅かれたのは、頻出する比喩表現の数々です。特に印象に残ったのが文字だけの小説の上で『声』を巧みに表現していく部分です。主人公・結珠は母親の声音の変化を聞き分けて、そんな母親の心を読み解いていきます。二つのシーンを取り上げたいと思います。まずは、9歳の結珠が、母親に連れられて『団地』に暮らす男の部屋を訪れる場面で母親が男と話す時の『声』をこんな風に表現します。

    『パパやお兄ちゃんと話す時とも、スイミングのコーチや宅配便のおじさんと話す時とも違う、スプーンやナイフにくっついたいちごジャムみたいな声だった。べとっとへばりついて残ってしまう甘さ』。

    母親から、男の部屋で『ボランティア』をすると言われ、外で一人待たされる幼き結珠。当該シーンでは、具体的な記述は登場しませんし、結珠も中で行われていることは理解していませんが、大人な事情がぷんぷんする不穏さが十二分に伝わってきます。そんな甘い『声』の表現が別のシーンではこんな風にも表現されます。『その日のママは、第一声から違った』という、その『声』。

    『いつもの声色が鉱物だとすれば、マシュマロ。ココアに入れればとろけるほどふわふわとやわく甘い』。

    ネタバレに直結するためどんなシーンかは伏せますが、母親にとってとても喜ばしいことが分かった、そんなシチュエーションで母親が出す『声』です。『いちごジャム』も甘そうですが、ココアにマシュマロが入っているって、想像するだけでお腹いっぱいになりそうです。しかし、こちらも読者の想像力を見事に掻き立ててくれる表現であることには違いはありません。文字の上で『声』を表現するのに、なんと味覚を刺激する!という一穂さんの表現手法。なんとも絶妙な描写だと思いました。

    そんなこの作品は、上記した通り、二人の女性が等位の主人公を務めますが、ここで、一穂さんから私たち読者に向けたこの作品のメッセージを引用させていただきたいと思います。

    “ちっぽけな、女の子ふたりの、「ただそれだけ」の物語です。問題提起も世情の反映もなく、とても個人的な、ちゃちな鍵の掛かった日記のようなものだと思って下さい。 そこに教訓や有益な示唆はありませんが、「何かがあったような気がする」とうっすら感じてもらえたら嬉しいです。”

    “ちっぽけな、女の子ふたりの、「ただそれだけ」の物語”と言い切られる一穂さん。しかし、一方で”「何かがあったような気がする」とうっすら感じてもらえたら”とまとめられている通り、私も読後に何か後を引く印象が残りました。物語は主人公となる結珠と果遠の二人に細かく視点を切り替えながら展開していきます。そんな視点の位置がわかりやすいようにそれぞれの視点に切り替わる冒頭にはそれぞれ”花”と”羽”のアイコンが記されています。ということで、この切り替えの数があまりに多いことから、こういうのを見ると数を数えなければいられなくなる さてさてとしては章ごとにその数を数えてみました!簡単な内容紹介と共にご紹介します。

    ・〈第一章 羽のところ〉: 7歳の二人、結珠が母親に連れられ赴いた『団地』で、果遠と運命の出会いを果たし、そして唐突な別れが描かれる物語
    → 結珠視点: 6、果遠視点: 6

    ・〈第二章 雨のところ〉: 15歳の二人、高校一年、S高でまさかの再会と別れを経験する二人の物語
    → 結珠視点: 8、果遠視点: 7

    ・〈第三章 光のところ〉: 29歳の二人、大人になった二人がそれぞれ全く予想しなかった未来の姿で再会、そして…
    → 結珠視点: 14、果遠視点: 14

    単行本460ページという分量があるとはいえ、55回も視点が交互に切り替わるというのはかなり多い印象です。その切り替わりは交互に切り替わりながら時間が進んでいくという手法をとりますが、注目すべきは最初の結珠と果遠の運命の出会いを描いた場面です。上記もしましたが、ここだけは全く同じシーンをそれぞれの立場から見る視点で順に描かれます。二人が等位の主人公であることを示す意図もあってのことと思いますが、同じ光景を二人がそれぞれの立場からどう見ているのかを具に見る場面でもありなかなかに印象深いものがあります。これから読まれる方にはこの冒頭からの展開にも是非ご期待ください。

    そんな物語は、お互いを強く意識し合う結珠と果遠の三つの章に渡った三度の出会いが描かれていきます。『団地の公園は私たちだけの秘密基地になった』という幼き日の運命の出会い、それは七歳という年齢なりの幼さの中にあるものです。しかし、幼いからこそ強いインパクトを持った事ごとというものは逆に強く心に刻まれてもいきます。『わたしに両手を広げてくれた結珠ちゃん。週に一度、短い間だけおしゃべりできる結珠ちゃん』という果遠の想い。『ママも知らない、果遠ちゃんという内緒の友達が今の私にはいる』という結珠の想い。そんな二人の運命の出会いを印象深く表現する一穂さんの絶妙な筆致もあって、読者は思った以上に、鮮烈に幼き二人の出会いが心に刻まれていきます。そこに訪れる初めての別れ。

    『そこの、光のとこにいてね』。

    そんな言葉の先にある別れ、書名の由来ともなるこの言葉は読書前に見ていた書名から受けた漠然とした印象が、白く眩しく、神々しい光を感じさせてくれるものに変化もしていきます。そして、そこには二人の間に繋がる絆の存在も見えてきます。物語は、そんな二人のそれからを章ごとに描く中に、その繋がりの意味を見せてくれます。そんな物語では、最終章で、三度目の出会いを果たした結珠の果遠を見る感情がこんな風に描かれます。

    『七歳の時も十五歳の時も、今も、彼女は一瞬で私の目を奪う』。

    『ずっと果遠ちゃんに会いたかった、でも叶わなくて、もう一生会えないだろうと諦めていた』という結珠の果遠への強い想いの先にある、言葉にできないその想い。こんな想いへと昇華していく二人の関係性、それが三つの時代に渡って描かれていくこの作品。それは、確かに一穂さんのおっしゃる通り、”ちっぽけな、女の子ふたりの、「ただそれだけ」の物語”と言えるものなのかもしれません。また、そんな再会を”出来過ぎ”という見方で切って捨てることもできるでしょう。しかし、そこには”「ただそれだけ」”だからこそ感じる、人と人との繋がり、言葉で説明できない繋がりに心を鷲掴みにされるような感覚に包まれる瞬間を感じる物語があったのだと思います。最後にそんな感覚を痛切に感じさせる一文を引用しておきたいと思います。ある場面で、結珠のことを思ってくれる友人に対して、逆に結珠の中に沸きあがる思いを赤裸々に表現するものです。

    『私は、ひどい人間だ。わかろうとしないで、と叫びたかった。私のことを知ろうとしないで。踏み込まないで。あなたが入る余地はない。本当の私を知っているのは、世界であの子だけでいい』。

    このような感覚、残念ながら私には経験がありません。また、もしかすると男性には感じられない感覚であり、女性の方が共感度の高いものなのかもしれません。600冊の小説ばかりを読んできましたが、こんな結論を感じることはあまり記憶になく、これから皆さんがお書きになるこの作品のレビュー、特に女性の皆さんがお書きになるレビューに引き続き注目させていただきたいと思います。

    『私だって知りたい。どうして果遠ちゃんはいちいち私の胸を苦しくさせるのか』。

    幼き日に運命の出会いを果たした結珠と果遠がその後の人生に再開と別れを見るこの作品。そんな作品では美しい比喩表現の数々で彩られた物語の中に、全く異なった境遇の元に生きる二人の女性の四半世紀の物語が描かれていました。まさしく”毒親”という言葉で表現される大人たちが主人公たちを苦しめる様を見るこの作品。それぞれに訪れるさまざまな苦境の中に、今の世の生きづらさも感じさせもするこの作品。

    とても繊細に描かれる心の機微の描写の中に、何もかもが正反対でいて、だからこそ惹かれ合う二人の想いが静かに浮かび上がるのを感じた、そんな印象深い作品でした。

    • さてさてさん
      hiromida2さん、ありがとうございます!
      そう言っていただけてとても光栄です。一穂ミチさんというと、BL作品で有名な方、「スモールワ...
      hiromida2さん、ありがとうございます!
      そう言っていただけてとても光栄です。一穂ミチさんというと、BL作品で有名な方、「スモールワールズ」が本屋大賞第三位になった方というくらいの知識しかなく、でも女性作家さんコンプリートの野望を抱く(笑)さてさてとしては気になる作家さんの一人でした。今回、この「光のとこにいてね」が新作で出ると知って、それが起点になりました。ただ、平日に460ページの単行本を読んで、土曜日に間に合わせるのは結構焦りました。初読みの作家さんって怖いですよね。どんな作風か分からないので、レビューの想定もできなくて。また、ブクログ上もそうですが、他のサイトもレビューがほとんどなくて、他の皆さんが読まれてどう思われたかという方向性もまだ存在しない、そんな中での新作のレビューは本当にドキドキします。また、先行レビューは他の方が”読みたい”に登録されるか、パスするかの材料の一つにもなると思うので後者を決める人が続出したら、一穂さんにも申し訳ないですし。なので、hiromida2さんからコメントをいただいてホッとしました。少しは役割が果たせたかなと。
      また、(懲りずに)新作探しをしたいなと思います。
      どうもありがとうございます!
      2022/11/16
    • hiromida2さん
      やっぱり、さてさてさんってスゴイです₍˄·͈༝·͈˄₎◞︎ෆ⃛̑̑ෆ⃛
      流石です!初読みでこんなレビューかけるんですから。
      尊敬の眼差し( ...
      やっぱり、さてさてさんってスゴイです₍˄·͈༝·͈˄₎◞︎ෆ⃛̑̑ෆ⃛
      流石です!初読みでこんなレビューかけるんですから。
      尊敬の眼差し( •ॢ◡︎-ॢ)-♡︎
      新作探しですって!(๑˃▿︎˂๑)
      私は女性作家さんの本なら、さてさてさんの本棚に
      探しに行きます!それが私の新作読みになるんです♪
      (୨୧•͈ᴗ•͈)◞︎こちらこそ、ありがとうございます♡︎
      2022/11/17
    • さてさてさん
      hiromida2さん、
      いえいえ、私は読書を始めたのが遅いのでようやく昨日600冊です。hiromida2さん、レビュー数でもその倍以上...
      hiromida2さん、
      いえいえ、私は読書を始めたのが遅いのでようやく昨日600冊です。hiromida2さん、レビュー数でもその倍以上でいらっしゃるのですごいです!年間に160冊ほどが限度なのでhiromida2さんに追いつこうと思ったら、あと四年はかかる計算。でもその頃にはhiromida2さんはもっと先に行かれているでしょうから、やはりこのボリュームはすごいなあと。多彩でいらっしゃるし。私ももっと幅を広げなければと思うんですが、ホラーだけは夜にトイレに行けなくなっては困るので読めないし…とかどうしても手に取れない作品もありますし。なかなか難しいですね。
      hiromida2さんからいただいた↑の可愛い顔文字を見て新年のレビューを準備しなければと思い出しました。起点をありがとうございます!
      今年も残された日数も少なくなりましたが悔いなき読書&レビューの日々を送れればと思います。
      よろしくお願いいたします。
      2022/11/17
  • 心の深いところで繋がる2人が、幼児、少女、女性と成長するに連れ、出会いと別れを繰り返す話。

    感想が難しい。
    自分に語彙力がないか、もしくは静かに衝撃を受けているか。
    でも一気に読んでしまい、このままずっと読み続けたいと思う本でした。

    2人の人生は激しく動いている感じなのに、読んでいる感覚はゆったりした穏やかな時間が流れている気分。

    でも果遠ちゃんはこんなに辛い決断をしないといけないのか、これだけははっきりと思った。

  • 水曜日に腰をやっちまった(>_<)

    年に数回はこうなる私。。。
    水、木と整骨院に通い、何とか歩けるようにしてもらうも、今日は雨ということもあり、一日安静を決め込んだ!
    いいんだ。たまには休む!今日は家事も適当にする!掃除もしない!というか出来ない!

    たまにはそんな日があってもいいはずだ!
    罪悪感はあるが、出来ないのだ!

    ってことで、午前中と、夜は読書の時間にする(*^▽^*)


    フォロワーの皆さんの評価が高かったので、こちらも新品を書店で購入。
    真新しいブックカバーをつけられた単行本を読むのはかなりテンションも上がる。


    時間軸は小学二年生。 

    結珠は母親に無理矢理手を引かれ、古びた団地に連れてこられた。
    団地の一階で暫く待っていなさいと。。。

    そんな時に果遠と出会う。
    同じ年の彼女は、結珠とは何もかもが違う。
    結珠は医者の娘で、大きな家に住み、身だしなみや躾に煩い母親が居たが、果遠はオーガニックに不自然に拘る母親と2人で団地暮らし。
    毎週同じ時間、結珠と果遠は時間を共有することができた。
    しかし自分たちにはどうにもならない理由で2人は会うことが叶わなくなる。

    時間軸は高校生に移り変わる。
    結珠は思いがけず、学校で果遠と再開する。

    お互いに過去に出会ったことがあることには触れず、また少しずつ近づいていく。。。



    あーーーー、感想難しいなーーー。


    一気読みできるほど引き込まれる本だったし、自分はとても面白いと思った。

    感情移入できる本とは少し違った^^;


    ただ、こんな風に心の奥底で信頼できる?いや、もう依存??そんな友達、これは恋??
    それともまた違うような、そんな複雑だけど思いやりに溢れた彼女たちの関係も悪くないなぁ〜と、映画を見終わったような満足感で本を閉じた。

    • bmakiさん
      naonaonao16gさん

      今日なんて、野球あるのに地獄なんかしてる場合じゃないですよね(笑)
      うちの会社もテレワークの人が若干...
      naonaonao16gさん

      今日なんて、野球あるのに地獄なんかしてる場合じゃないですよね(笑)
      うちの会社もテレワークの人が若干多い気が(笑)
      みんな仕事してないな(笑)

      文庫化されていない本、面白い本が多いですよね。私もまた数冊新品で購入してしまいました。
      最近ちょっと、本とビールにお金使いすぎかも(^_^;)

      お友達と遊ぶのいいですね!!
      私は22歳で結婚してしまい、24の時には既に子持ちだった為、友達がかなり少ないです^^;
      ↑この所為ではなくて、単に付き合いが悪かったからだとは思いますが(^^;;

      今48歳ですが、さぁ遊ぶぞ!!って思っても、友達はまだまだ子育て中だったりして、誰も遊んでくれません(^_^;)

      海外の作品、良いものはたくさんありますが、なかなか文化の違いか、感情移入し辛い時ありますよね(^^;;
      2023/03/22
    • naonaonao16gさん
      bmakiさん

      最近は、bmakiさんくらい早めに結婚出産を経験することが推奨されているみたいですね。
      推奨というのも変ですが、その時期に...
      bmakiさん

      最近は、bmakiさんくらい早めに結婚出産を経験することが推奨されているみたいですね。
      推奨というのも変ですが、その時期に結構出産することで、子どもが大学に入ったりする頃には親もまだ元気だから仕事に復帰して不足分の教育費を稼げる、という理論らしいです。
      まあ、bmakiさんはずっと働かれていたので関係ないですよね…笑

      あー、家が近所なら本当に週3くらいで飲みに通いそうです笑
      でもbmakiさんは旦那さまとも仲良さそうなので、わたしはそれが羨ましいなと思ってますよ~
      2023/03/23
    • bmakiさん
      naonaonao16gさん

      なるほど、推奨されていますか。
      私も割と早くに子育てを終えて、楽だった気がしますよ。
      体力のあるうち...
      naonaonao16gさん

      なるほど、推奨されていますか。
      私も割と早くに子育てを終えて、楽だった気がしますよ。
      体力のあるうちに子供と一緒になって遊んだり(^-^)

      若いうちは、若いだけあって生活費大変でしたけど^^;
      高卒の私の給料なんて、2人の保育園代より安くて、働く意味があるのか?毎日のように考えてましたよ(^^;;

      きっとnaonaonao16gさんとご近所だったら、今日一杯どう??って頻繁に誘ってましたね(笑)

      旦那とは仲良いですねって色々な人から言われます。
      確かに喧嘩しませんし、2人で何処でも旅行行きますし、仲が良い方なんだとは思います(^^)
      でも、結婚してからずーっと、共働きなのにほぼ私がほとんど全ての家事をやるスタイルで、私の方は不満もあります(笑)

      ま、旦那にも不満はありますよね(笑)
      何処の家庭もそれは一緒か(笑)
      2023/03/23
  • この作品はお互いに惹かれ合う二人の女性の物語です。

    小瀧結珠(こたきゆず)と校倉果遠(あぜくらかのん)はお互いに小学校二年生、7歳の時に出会い友だちになります。
    けれど果遠は「光りのとこにいてね」と言っていってしまいます。

    そして結珠は高校一年、15歳の時果遠に再会します。
    果遠は結珠の通うS女子高校に編入してきた特待生でした。
    そしてまた果遠は母親に連れられて夜逃げをし、ある日突然転校していってしまいます。

    そして、10年以上。
    結珠は小学校の教師を休職し、藤野素生と結婚しています。
    引っ越し先の家の近くのスナックで偶然、結珠は果遠に再度出逢います。
    果遠も消防士の海坂水人と結婚して娘の瀬々がいます。

    ー光りのとこにいてね、という言葉で私を縫い止め行ってしまったあの子。

    ー私は、ひどい人間だ。わかろうとしないで、と叫びたかった。私のことを知ろうとしないで。踏み込まないで。あなたが入る余地はない。本当の私を知っているのは、世界であの子だけでいい。

    ー何もいらないんだ。と私は思った。お菓子もココアも居心地のいいお店も。一緒にさえいられれば、他には何も。でもそのたったひとつが、いつだって私たちには難しかった。

    ーいつかまた、約束もなく会えるのを楽しみにしてる。次は三十年後とかかな?

    ー光りのとこにいてね。




    以下、個人的な打ち明け話なので、ご興味がない方はスルーしてください。




    私も1度だけ同性を好きになったことがあります。
    誤解のないように言えば私は同性愛者では全くありません。
    間違えたのです。
    小学校六年生の時、転校先の小学校で隣りのクラスの女子生徒を男子だと思い好きになってしまいました。
    中学も同じでしたが、また隣のクラスにしかなれませんでした。
    でも、彼女は何度もクラスが変わっても、休み時間になると私のクラスにやってきたのです。
    彼女は、中学校にスカートではなくスラックスを履いて登校してきていました。
    その時は昔だったので、そんな言葉はなかったのですが、今になって思えば彼女は性同一障害だったのではないかと思います。
    小学校の時はサッカースポーツ少年団に入っていたし、中学ではバスケ部で、運動神経がもの凄くよかったです。
    私のことも、名前を教えたことはないのに○○ちゃんと下の名前で気軽に呼ばれたときは驚きました。
    彼女は周りに友だちを作るのが非常に上手く、男子からも女子からも好かれる人たらしだったと思います。

    でも、私にはちょっとした自惚れがあります。
    私は、自分の大人しかった性格のせいで彼女と親しく口をきいたことがそれほどありませんが、今考えてみると、彼女の本命は私だったような気がするのです。
    彼女は何度クラスが変わっても私のいるクラスにやってきました。そして私が絵を描いていれば「○○ちゃん、何描いてるのみせて~」とかちょっとちょっかいをかけていってしまうのです。
    私の中3の時の転校で彼女とは何の連絡もとれなくなり、私と彼女には再会なんてロマンティックなものはありませんでした。
    ただ、大学卒業後、新卒で私は大手企業に就職したので、同期に中1の時の同級生がいて、彼女と私の話が流出したことがありました。何で今ごろそんなと思いました。
    でも、結珠と果遠のように偶然再会しても(あるわけないけど)今だったら、私は今の生活を手放すことはしません。
    でも、この作品を読んでいる間中、彼女のことをとても懐かしく思い出していました。

    私も彼女には光のところにいてほしいと思います。

    結珠と果遠は女性は男性より弱き故に強く惹かれ合いお互いを選んだような気がします。

  • 結珠(ゆず)と果遠(かのん)の幼少期から成人期の物語。友情よりも濃密で、恋とはまた違った愛情で、強い思いで互いに魅かれあっていきます。
    ふたりとも育つ環境は違うけど、親との愛着形成がうまく行くことがなかったことが共通しています。人生の節目でで別れと出会いを繰り返していきます。そんな二人の相手を思う強い意思、儚い出会いと別れに感動してしまいます。また、少しずつ解けていく謎がページをめくる手を止めさせません。
    えてして隣の芝は青く見えます。でも、数々の登場人物が実は現実に何も抱えてない人なんかいないことを教えてくれます。
    二人は互いに支え合いながら「光のところ」を見つけていきます。
    数々の人間が織り成すドラマ。
    人というもののリアリティー。
    心にビンビン響きました。
    そして、読了。二人がこれから「光のところ」で過ごせることを願っています。
    私も部活の仲間や大学の仲間に久しぶりに会いたいなぁと思いました。

  • みなさん明けましておめでとうございます!

    2023年1冊目の読了本は「スモールワールズ」の一穂ミチさんの最新刊。

    同い年の結珠と果遠がおもいあう長い年月を描く物語。

    金色のオビに「感動の最高傑作」とあるけど、評価するのが難しいなぁ、と思った。

    度重なる偶然があまりに出来過ぎていて、正直しらけてしまう、とか、
    関係が深まっていく過程が、フワッとしていて説得力ないなぁ、とか、
    二人の間にあるものが性愛でない方が自然な気がするなぁ…とか、(←これは、決して同性愛を否定しているわけではないです。ただ、結珠と果遠の間に性愛が生まれたことがしっくりこなかった、だけです)

    いろいろ突っ込みたくはなったけど、最後まで心を捻じくりまわされました。

    大切な人をおもうことの切なさをヒシヒシと感じさせる。

    タイトルの「光のとこにいてね」という言葉がとても美しく使われていて印象的でした。

  •  一穂ミチさんの作品で一番読みたかったのはこの作品、やっとすんなり図書館で借りることができました!

     この作品の主人公は、結珠(ゆず)と果遠(かのん)という2人の女性たち…。このふたりの関係性がまた運命を感じさせるような…お互いがお互いでないとダメな関係、離れることになってもまたいつか出逢うそんな不思議な関係性なんですね…。結珠も果遠も、それぞれが家庭環境が複雑すぎて…かなり重い内容です。

     正直、共感はできない感じ…でも、この先どうなるのか気になる感じで読み進めることができました。エンディングには驚かされましたが、でもその先も知りたいと感じてしまう内容でした。で、評価が難しい感じ…どうしようかな、星4でもいいんだけれど、一穂ミチさんの作品を何冊か読んで初めての長編であったせいもあって、期待値が高く、でも長かったなとも思ってもしまったので、星3にします。あ、でも果遠の娘の瀬々ちゃんは可愛いいっ!!瀬々ちゃんの視点から描いた「光のとこいてね」が、読んでみたいです。

    • かなさん
      ベルガモットさん、こんばんは!
      なんだか、嘘みたいな…受賞なんですけど、
      でも、ありがとうございます(*^^*)
      とっても嬉しいです♪...
      ベルガモットさん、こんばんは!
      なんだか、嘘みたいな…受賞なんですけど、
      でも、ありがとうございます(*^^*)
      とっても嬉しいです♪

      そうなんです、もともと一穂ミチさんの作品で
      一番読みたいなって思っていたのがこの作品で
      やっとすんなり借りられました!
      一穂ミチさんの他の作品も読んでみましたけれど
      どの作品も引き込まれるように読めちゃうんですよねっ!!
      2024/02/02
    • ☆ベルガモット☆さん
      かなさん、こんにちは。またお邪魔しまーす。
      受賞って急に連絡がくるものなんですか?!選考基準ってどんな感じなんだろうと思ってました。
      ブ...
      かなさん、こんにちは。またお邪魔しまーす。
      受賞って急に連絡がくるものなんですか?!選考基準ってどんな感じなんだろうと思ってました。
      ブグ友としても凄いなあ、お近づきになれて光栄だなあと誇らしく感じます。時々登場する娘さんとの会話も素敵♡カテゴリーわけも参考になります。様々な分野にお詳しくて読みたい本リスト増えまくりです。
      これからもワクワクするレビュー楽しみにしています♪
      2024/02/04
    • かなさん
      ベルガモットさん、遅くなってしまってごめんなさい…。
      いえいえ、前もっての受賞の連絡はなかったんです。
      だから、余計に信じられない思いで...
      ベルガモットさん、遅くなってしまってごめんなさい…。
      いえいえ、前もっての受賞の連絡はなかったんです。
      だから、余計に信じられない思いで…
      発表されたのが1/29で、何気にブクログのトップページで
      あ、今年のだぁ…
      私と繋がってくれているブク友さんもいるだろうなぁ…って
      開いてみてびっくり!!えっ?私??みたいな…。
      で、2/1に運営さんからメールが届くのか…やっぱり信じられず、
      で、私ったらメール設定をしておかずに(^-^;
      2/2に個別に問い合わせたら、
      受賞者専用フォームを送っていただけた感じです。
      そんな流れで、やっと信じられるようになりました(汗)。

      選考基準はよくわからないけれど、
      たぶん…私の場合は、レビューもそんなに上手じゃないし
      こうして、皆さんがコメントをくださることかなって…
      私は勝手に思ってますが、実際はどうなんでしょうね…。

      娘は私と同じく読書好きなんですが、
      息子は全く本を読まないんですねぇ…
      同じく育てたつもりなのに、まったく違ってて(^-^;

      ただ、これからも私のペースで好きな作品に出会うために
      読書を続けて、ブクログも楽しみたいです♪
      ベルガモットさんのこれからのレビューも楽しみにしてますね♡
      2024/02/05
  • 2023年本屋大賞ノミネート作品
    うぁ〜〜〜ってなりました。絶妙な付かず離れず感が最後の最後に何とも言えない感情となって押し寄せて来る凄い作品です。
    決してリアルでは無く、感情移入するでも無いのに、引き込まれてしまいました。
    ちょっとここ最近では感じることの無かった感覚で、もどかしさや焦ったさもあるけれど、この作品を読んだ記憶は暫くは消えないと思う。凄い。

  • 本屋大賞ノミネート作品ということで
    手に取りました


    とても好きな空気感の作品でした


    正反対の2人。
    結珠と果遠

    何度も出会い、別れを繰り返します。

    2人の関係は
    2人の気持ちは
    一体なんなんでしょう。

    結局最後までわからず、
    でも最後まで引き寄せられました。


    それだけに、
    違ったまとまり方があったんじゃないかなと
    思ってしまう、というか期待してしまいました。

    最後まで2人を理解しきれなかったってことでしょうか


    2人も2人の家族も含めて
    みんな幸せになるような終わりを
    読みたかったー

    瀬々ちゃんも、藤野も、水人も
    すごい好きなんで

    なので
    勝手ながら星は4つに。



    それにしても
    どちらの母親も
    なかなかでしたね

    読んでいて苦しくなりました

    母親の態度に対する
    子どもの反応とか、気持ちが
    すごくストレートに書かれていて
    余計に苦しくなりました


    私も人間なので
    イライラしてしまう日や
    子どもに怒り過ぎてしまう日も
    あるけど、
    改めて、子どもに
    大切だよって伝えたくなりました

  • 雨のところ

    音楽室で結珠ちゃんが果遠ちゃんに約束の曲を弾き始める。「遅くなってごめんね」と、二人きりの場所で。最初は一音ずつゆっくり。雫のように優しくパッヘルベルのカノンを弾き始める。雨の糸を束ねたようなメロディだった。通り雨を二人で見る。
    虹が二人の前に現れる。

    この場面だけじゃない。ふたりを細やかに丁寧に描き、引き込まれる。こんな繊細な心理描写を読むのは初めてかもしれない。

    ひっそりとゆがみを抱えている二人が、家庭の事情で置き去りにしたりされたりを繰り返す。別れというよりある種の運命によって引き離される。
    でも運命によってまた再会する。

    「光のとこにいてね」
    この言葉に希望を感じる。
    今度は自分の判断と
    自分の判断で
    道を決める。
    道が重なりますように。

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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