パウル・ツェランと中国の天使

  • 文藝春秋 (2023年1月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784163916361

作品紹介・あらすじ

コロナ禍のベルリン。若き研究者のパトリックはカフェで、ツェランを愛読する謎めいた中国系の男性に出会う。
〝死のフーガ〟〝糸の太陽たち〟〝子午線〟……2人は想像力を駆使しながらツェランの詩の世界に接近していく。
世界文学の旗手とツェラン研究の第一人者による「注釈付き翻訳小説」。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

詩と小説が融合した独特な作品で、読者はパウル・ツェランの詩の世界に深く浸ることができます。コロナ禍のベルリンを舞台に、若き研究者と謎めいた中国系男性が織りなす物語は、ツェランの詩集『糸の太陽たち』から...

感想・レビュー・書評

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  • 多和田葉子が詩人のパウル・ツェランについてドイツ語で書いた小説を、ツェラン研究者の関口裕昭が日本語に訳したもの。

    なんと訳者がこの小説のエピローグを書いている。唯一無二の本だ。
    本書はツェランの最後の詩集『糸の太陽たち』からの多くの引用が埋め込まれた小説だ。小説というか、もはや詩だ。
    この詩集自体が科学書をはじめとするさまざまな書物からの引用によって成り立つ、「難解な」詩集だ。

    解釈するよりも、創作によってリアレンジしてしまうところがすばらしい。なるほど、その手があったかと感心。

    私はその詩集を読んだことがないので、どれが引用でどれが多和田氏の言葉か、判別がつかない。日本語になると、両者の表現は似ている。これは多和田葉子の言葉だろうと思ったらツェランだった、ということが何度かあった。

    こちらの教養のなさを、豊富な訳注がだいぶ補ってくれた。訳注を追うのも大きな楽しみだった。というのも、ツェランの詩の抄訳を読めるからだ。また伝記的事実も知ることができるからだ。

  • Yoko Tawada: Paul Celan und der chinesische Engel. Roman - Perlentaucher
    https://www.perlentaucher.de/buch/yoko-tawada/paul-celan-und-der-chinesische-engel.html

    『パウル・ツェランと中国の天使』多和田葉子 関口裕昭 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916361

  • 多和田葉子がドイツ語で書いた小説を、ツェラン研究者の関口氏が翻訳。日本人のテキストを日本人が翻訳するユニークな一冊で、詩人のツェランの解説含む分厚い訳注がついている、さらに訳者によるエピローグまでついている…が、自分には合わなかった。訳注が多すぎていちいち参照するのが面倒(どの本でも訳注はそんなに真剣に見ない)、そうなると多和田さんの作品は彼女の日本語センスに惹かれて読んでいるので、翻訳で興を削がれた。いやそこが面白いという人もいると思うので個人の感想です。

  • 多和田葉子さんが、パウル・ツェランの詩の世界をドイツ語で書いた小説の日本語訳。 闇の中を光を求めて彷徨っているような気分になった。 不思議な読書体験。 表紙の曼荼羅の意味を最後に感じる。 次に読む多和田作品は『百年の散歩』にしよう。

  • すごくいいんだけど最後のエピローグは必要だったのか考えてしまった。多和田葉子の本文自体は詩的でとても素敵。

  • 多和田葉子の小説かと思っていたら翻訳であった。パウル・ツェラン自体があまり日本では知られていない。詩集がもっとメジャーになってくれたらわかりやすい。註が多く、さらにツェランについての説明も丁寧であったので、ツェランについて知るには簡易な本であると思える。

  • 交差点にぶつかるたび、その患者はサイコロを持ちあわせていないことを後悔する。

  • 多和田葉子が独語で執筆したものを翻訳したもの。巻末の訳注は50P弱にもおよぶ。よって本文は難解。ツェランの詩を知らないので、ぼんやりとしたことしかわからない。それでも言葉や言語に対する並々ならぬこだわりを感じる。何よりユーモラスなところがやはり大好きな作家だ。

  • 短い作品ではあるが注釈を読まないとパウルツェランのエッセンスは到底わからない(個人差はありますが)と思う。私は詩を人生で堪能してきた人間ではないから、彼に触れるのはお薦めしないとご提言をいただいた反駁で手に取ったわけであるが、間テクスト性満ち溢れた本作はより彼について知りたいと思わせ、同時に多和田葉子という作家が積み上げてきたエクソフォニーを体感できるようなそんな作品だった。彼女の作品を関口さんが翻訳する。日本人のかいたドイツ語文学を日本人が翻訳する?不思議な試みだなと当初考えてはいたものの、同じ人間でも異なる言語に身をおいてみれば織り成す内容も形式も変わってくる。まさに「世界は言語によって構成される」を体現した作品だと私は思う。はじめは仕様もない動機で手に取った本作であるが、「言葉に身を置く」これぞ読書といえるような体験が出来る作品だった。

  • 【まだ歌える歌がある、人間たちの彼方に。】コロナ禍のベルリン。若き研究者のパトリックはツェランを愛読する中国系の男性に出会い、その詩の世界へ導かれる。注釈付き翻訳小説

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。小説家、詩人、戯曲家。1982年よりドイツ在住。日本語とドイツ語で作品を発表。91年『かかとを失くして』で「群像新人文学賞」、93年『犬婿入り』で「芥川賞」を受賞する。ドイツでゲーテ・メダルや、日本人初となるクライスト賞を受賞する。主な著書に、『容疑者の夜行列車』『雪の練習生』『献灯使』『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』等がある。

多和田葉子の作品

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