からだの美

  • 文藝春秋 (2023年3月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (128ページ) / ISBN・EAN: 9784163916699

作品紹介・あらすじ

魂は身体の細部にこそ宿る
隠された美を掬い取り、やわらかに照らし出す。極上の随筆16篇。

イチローの肩、羽生善治の震える中指、ゴリラの背中、高橋大輔の魅惑的な首、ハダカデバネズミのたっぷりとした皮膚のたるみ、貴ノ花のふくらはぎ、赤ん坊の握りこぶし――身体は秘密に満ちている。
「文藝春秋」大好評連載を書籍化。

みんなの感想まとめ

身体の美しさを多角的に探求するエッセイ集は、著者の独自の視点によって、私たちが普段見過ごしがちな魅力を再発見させてくれます。様々な生き物や人間の身体の特徴を、科学者のように観察し、詩人のように表現する...

感想・レビュー・書評

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  • 6ページの文章と1枚の写真から成る16編のエッセイで、それぞれが完全に独立しているので好きな所から読める。
    文章は短いけれど視点が鋭くて無駄がなく、エッセンスがギューッと濃縮された感じだ。

    最初は「外野手の肩」…外野手とはイチローのこと。
    外野からホームベースへの返球を見て、これだけの表現ができるのかと驚いてしまう。

    2番目に読んだのが、最後の「赤ん坊の握りこぶし」。
    ネタバレになるが、一部分を少し要約して紹介する。

    生後二、三カ月の赤ん坊が、片手を上げ、自分の握りこぶしを真剣に見つめている。
    (どうやら、この赤ん坊は小川洋子さんご本人のようだ。ここから話が始まる。)
    赤ん坊は生まれた時、自分の身体について何も知らない。
    ある日、枝分かれした棒状の五本が、折れ曲がりながらいろいろな形を生み出している、手、というものの存在に気づく。
    それが自在に動き、姿を変える過程と、自らの意志との間にどうもつながりがあるようだと感じるのも、不思議な体験に違いない。

    こんな感じで、全16編で「何と、そこを見ているのか!」という新鮮な発見に巡り合える。
    同じものを見ていても物理的な形や姿だけでなく、小川洋子さんにはその内面にある本質まで見えていることが伝わってくる。

    小川洋子さん、情報の input 能力も凄いが、それを既知の知識と融合し、的確に分析し伝える output 能力にも長けている。

    有名なアスリートや芸術家を取り上げたものが多いのだが、一般人の営みを題材にした「レース編みをする人の指先」も良かった。

  • しばらく小川洋子さんは満腹気味でゲップでそう。「オ」の棚を通り過ぎるときは迂回したり背表紙に視線あわせないように通るのですがそうなると必然的に小川糸さん、恩田陸さんもスルーしてしまうので残念に思ってしまう。
    後ろ髪引かれながら奥に進むとあまり目立たない場所なんですが本殿の裏にあるお稲荷様のように新刊のラックが置かれているのです。覗いてみるとなんと小川洋子さんの新刊が立てかけてあって開いてみよやと言わんばかりに鎮座していらっしゃるではないですかぁあww
    妖狐かぁああ!!
    って、叫びたくなるのを抑えて、神託に「謹んでお受けいたします。」と柏手を打つよりほかありませんでした。(てへぺろ)
    とゆうことで読んでみました。今回はエッセイだったので気楽に読めてホッとしました。しかし流石は小川洋子さん時には解説者のように、時には生物学者のように観察し、詩人のように優雅な言語を使い絶妙の表現を駆使して絶賛褒めまくる。決して凄いとか綺麗とか可愛いとか日常にありふれた言葉を用いない。イチローの肩に始まり赤ちゃんの握り拳に至るまで。舐め尽くすようにいじり回して的確に表現している。写真も掲載されているのですがあわせて見入って納得してしまう。ゴリラの背中に、バレリーナの爪先立、高橋大輔の天を仰ぐようにのけぞる首、かと思えばハダカデバネズミの貧相にたるんだ皮膚にまで美を感じてしまう。これは行き過ぎではありませんかと否定したくなるのだが、高橋大輔のカラー写真の後に紹介されればマインドコントロールされそうでした。しかも、デバネズミもカラー扱いっw イチローや石川佳純は白黒写真だとゆのに。
    カタツムリと赤ちゃんのこぶしもカラーでしたが他の12項目は白黒なんです。
    で何が言いたかったんだろう。ふと思うと、推しのいいとこ褒めまくりじゃないですかぁあww
    もうこうなったらピンポンダッシュして逃げ去る悪ガキの如く振舞いたくなってしまいました。

  • しじみさんの本棚からメモメモ
    そして、本を借りるためだけ(笑)に通っている整形外科医院の本棚からお借りしてきました

    おー、さすが小川洋子さん!
    エッセイってこうなきゃ

    有名人やふつうの人、またマイナーな小動物にまで
    科学者の目で細やかな観察
    そして詩人の目で掬い取る
    むむむ
    やっぱ好きです
    小川洋子さん!

    興味深くため息をつきながら本を閉じました

    ≪ 魂は からだの細部に やどるのね ≫

  • 『からだの美』小川洋子 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916699

  • スポーツ選手、将棋の棋士、俳優、文楽の人形遣い、赤ちゃんなどの体の一部に焦点を当てたエッセイ。他にもレース編みをする人の指先、とか、動物の体に着目したものも。「ハダカデバネズミの皮膚」っていうのが面白かった。それぞれ写真が添えてあり、「外野手の肩」のエッセイではイチロー選手が遠投しているときの写真が載っている。本当に、美しい。「力士のふくらはぎ」では、もうほぼ、後ろに倒されているのに、それでも相手より持ちこたえようと、ひざから下の力だけで自分の全身を支えているありえない写真が。
    「その時」体の一部がどうなっているのか、なぜこんなにも美しいのかと、小川洋子さんにしか綴れない言葉で綴っている。本当に、小川洋子さんの表現は素敵です。
    ハダカデバネズミはその名の通り、裸で(毛が無い)、歯が出っ張っている。何とも言えない外見なのだが、それを「美しいと表現しても何の不都合もない」と小川洋子さんは言う。
    鍛え抜かれたスポーツ選手や芸術家、その道を究めた人たちの身体の細部の美しさや、進化を究めた動物たちの身体のつくりがなぜ美しいのか独特の言葉で、ユーモアもたっぷりに書かれていてとても面白かったです。

  • 体の一部分をただ描写しているのではなく、スポーツ選手や動物の動き、虫の一部などについて細かく独特な視点で語られていて、視点がとっても素敵でした。まさに、からだの『美』で、小川洋子さんによってあたりまえの体の一部分が、特別で美しく感じられます。

    私が特に好きだったのは『ゴリラの背中』です。
    ゴリラの背中ってこういう時に見せるんだなぁとか、単に生物学的な学びもたくさんある本でした。
    ハードル選手についての記載も、ハードルに関して水平移動と縦移動の矛盾が一つの種目の中に共存している…そんな視点は小川洋子さんにしか描けないと思います。
    読んだ後に何かを観察したくなりました。
    ただ見る、のではなく、そこからどんなふうに想像を含ませていくのか、私もそんなふうに何かを観察できるようになりたいです。

  • もしも私がこの本に解説をつけるとしたら
    「作家のペンをもつ手」というタイトル
    そして小川洋子さんの写真を載せるかな。

    薄くて文字も多くないけど
    中身が濃く、文章がとても上手く、
    的確な言葉を使っていると思いました。

    スポーツもボードゲームも芸術なんですね。

  • からだのパーツに注目して書かれたエッセイ。
    観察眼が素晴らしく、自分が今までに美しいと感じていたもの(イチロー選手の肩とか)を言語化するとこうなるのか!と感心した。
    また、見過ごしてしまいそうなものにも美を見出していて、興味深く読んだ。

  • 細部に宿った魂について書いたエッセイ。バレエダンサーの爪先、力士の膝、シロナガスクジラの骨……それぞれに細部に込められた魂や芸術がある。

  • 現代の作家で、言葉の使い方が、最も好きな作家さん

    一つ一つのテーマに対して少し冗長になるとことがあったのが残念

  • 身体の一部にまつわる丁寧な考察エッセイ。
    スポーツ選手からカタツムリまで。筆者の柔らかく深い考察で読み解かれる“からだの美”に強く引き込まれて読了。

  • 16篇のお話が入っていますが、シロナガスクジラのお話が好きでした。一度その大きさを体感してみたいなぁ。

    目に見える姿形の美だけでなく、その奥深くにある美しさにも目を向けることで得られる愉しさもきっとある。

    生き物の身体の細部を観察して愛でてみたくなるような、新しい視点を分けてもらいました。

  • ちょっとひとつひとつの話が濃すぎる感じかしましたが、写真とバッチシで良かったです。

  • スポーツ選手、芸術家、はたまた動物たち…。彼らの美しい瞬間は、周りの音がすっと消えて静けさに包まれる。

    どの章も筆者の胸の高鳴りが伝わってくる。丁寧な観察に基づいた穏やかな文章だけど、触れると熱い。心が震えるものに出会った時、その感動を自分もこんな風に表現できたらいいのになぁと憧れる。

  • 野球で投げる肩をみるとき、木を削る手の運びをみるとき、体操選手が空中で描く弧みるとき、画家が描く筆をみるとき、その人の意図を超えた様な、神聖と無心の宿りを感じる。この世の全ての造形は神さまが創ったのだと思い知る。小川洋子さんが綴られた物語の世界では、どれも朝露や波打ち際の泡のように、儚く美しく、得た感動は長く細く、わたしの奥底に息づく。

  • 身体の細部についての随筆16篇。
    いつもながら観察力と表現力に驚く。
    スポーツ選手や動物などの説明だけではなく自身のエピソードも折り込まれており気軽に楽しく読める。
    バレリーナの足の指、赤ちゃんの手の指、なぜそうなったのか。
    考え出すと眠れない。

  • 小川洋子さんのフィルターを通して生身の「からだ」を観察すると、「人間と人間以外」を分けて考えることは無意味だな、とつくづく思わされる。超一流のアスリートから生まれたての赤ちゃんまで。文章も写真もすべて美しい。

  • 野球選手(例えてイチロー)のその時々に使われる筋肉、フィギュアスケーター(例えて高橋大輔)のうなじ、ヨット選手の体の動き、などなど。

    ありありと目に浮かぶがごとくの素晴らしい描写。
    さすがにプロの文筆家だな(当たり前だけど)

    イチローにしても高橋大輔にしても小川さんは熱烈なファンなんだろうな。
    そうでなければここまで細かい観察はできない。

    ふふっと笑ってしまったのは、外野手のたたずまいの説明というか、外野手の心の内を想像して書いている下り。
    タイムを取ってマウンドのあたりで数人が作戦会議をしたり、はっぱをかけてる時の外野手の疎外感・・・って。
    仲間の声より、スタンドの観客の声の方がよく聞こえるだろう・・・って。
    そんな外野手でも、いつ、どんな球がどんなふうに飛んできても対応できるように、体は万全にスタンバイしている、とちゃんと締めくくっててよかった。

    今シーズン、ヤンキースとの試合で、あわやホームランかと思われた大谷の打球をジャンプしてキャッチした、ジャッジ選手。
    まさにこのことだった。

  • これが感性というものか。
    何気ない身体の一部分に“美”を見いだす。
    ある種のフェティシズムだ。
    おそらく自分が同じものを見ても、こんな風に感情が湧き上がることはないだろう。
    それが少し悔しい。
    多くの人が見逃してしまうであろう細部に反応し、そこに尊さを感じられる筆者を心底素敵だと思った。

  • ●なぜ気になったか
    羽生善治さんの「勝ち手が見えたときの震える手」をみたとき美しいと思った。著者が美を感じた「からだ」に関する随筆集で、羽生さんの手の美しさはどう表現されているのだろう?

    ●読了感想
    やはり芥川賞はじめ、さまざまな賞を受賞している作家さんだけのことはある。着眼されたものに対して、よくぞこんな豊かな表現を生み出せるものだと凄ささえ感じた。「からだの美」という「言葉の美」

    #からだの美
    #小川洋子
    23/3/7出版

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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