日暮れのあと

  • 文藝春秋 (2023年6月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163917047

作品紹介・あらすじ

過ぎてみれば、全部、どうってことなかった――
日々老いを感じつつ山裾の町で暮らす絵本作家の雪代。ある日やってきた植木屋の青年に興味を惹かれ話をしてみると、彼が結婚を望む恋人は、還暦を過ぎた現役の風俗嬢だという――。
生と死、そして性を描き、人生を謳いあげる短編集。名手がつむぐ至高の7作。

みんなの感想まとめ

生と死、老いと性、そして人との縁をテーマにした短編集は、日常の些細な出来事を美しい言葉で紡ぎ出します。読者は、登場人物たちの人生の深淵に触れ、切なさや希望を感じることでしょう。昭和の香りが漂う作品には...

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。2019年頃にかかれているけど、「今から25年前…」みたいな話がいくつかあり、読後はなんとなく昭和の話を読んだような気になった。全体的に死だったり、老の香りがして不幸ではないけど幸せ…なの…かなぁ…という感じの話が多かった。最後の表題の話は少しだけ希望を感じられた

  • 7つの短編集です。2021年〜2023年の作品集。
    良いわあ〜! やっぱり良いのですよ、小池真理子さん。絶品です!
    生きること、老いること、心と性、人との縁、そういう…人として生きていたら避けられない、ほんの些細なことも。こんなに美しい言葉で紡いでくれる。
    なんだか、切なくもウットリと読んでしまうのです。

    印象に残ったところ少し。
    ーーーーー
    今日のことしか考えない。明日を思い患わない。目の前に流れる時間だけを見つめて生きる。もらった給料分だけの生活をもくもくと続ける。欲を捨てる。未来を思い描かない。

    何もかもどうすることもできない、もうすべて、遅いのだ、遅すぎるのだ、と感じた。

    この人は、と多美は思った。あと百年生きて、百年分の人生を楽しめるに違いない。

    人間ってのは、自分のいい加減さに救われることも多いですからね。

    生きている、と多美は思った。これからも生きるだろう、と思った。

    私たちの人生は、ぐるぐる、ぐるぐる、巨大な輪になって旋回し続けているに違いありません。

    いいのです。ひと目、会えただけでいいのです。いつかまた、会えるでしょう。必ず会えるでしょう。百年後、千年後になるのかもしれないけれど、必ず。

    過ぎてみれば、全部、どうってことなかった。
    ーーーーー
    生きてると、辛くて絶望感にさいなまれることもあるけど、それもまた人生。一歩一歩進んで、また百年後、千年後に何か良いことがあるかも?なんて考えたりもしています。

  • 何とも言えない独特な世界観。
    淫靡なショート集の小説だった。
    先が見えない怖さ、しかしページをめくる手が止められない感じでした。

  • 2015年から23年までの7つの短編集。ほとんどが高齢期の女性が主人公。大きな出来事も山場もない淡々とした描写だが、物語丸ごと抱きしめたくなるような描き方が素敵だと思う。
    過ぎてみれば全部どうってなかったような、、、
    実感できるのは私が年とったせいかな。

  • 短編集。どの話も、最終的な判断は読者しだい、みたいなはっきり結末が分からなかった。想像があっているのかモヤモヤ。

  • 7つの短編集。

    ミソサザイ 佐知子伯母さんと武夫の話。夏の思い出がずっと武夫の心に残るのだろうと感じた。

    喪中の客 淡々と進み、最後は意外な結末。そうとは思ってなかったのでゾッとした。

    アネモネ こちらもサスペンス風。しかし殺人よりも、郁代の行動が彼女の過去を考えるともっともらしく見えるが、冷静になると怖い。


    夜の庭 亡くなった骨董屋を営む金持ちの還暦前の男。その亡くなり方は、あまり口に出して言えるものではない。
    家政婦の美津子の人生、悪いと思っていたら良いことが起こり、と思ったら無に戻り、良い出会いかと思えばそうでもなく、、、そして今に至る。成り行きに任せて行くとこうなるのかもしれない。


    白い月 亡くなってから、知りたくなる夫のこと。思い返せば謎が多かったが、最後に知った夫の言葉は本当のことだかわからないけれど、こうやって夫の死を受け入れていくのかと感慨深い。


    微笑み 20も歳下の恋人。70年も生きている中で、ひっそりと自分の胸の中にある特別な思い出。
    恋愛している時は年齢に必要以上に負い目を感じる必要はないけれども、人生の主軸はやはり普通が良いのか。

    日暮のあと 雪代の家にやってきた植木屋の三兄弟、末っ子の恋人は、64歳の雪乃。雪代は雪乃に嫉妬していたのだろうか。
    高齢の女性が40も歳下の男の子と恋愛関係にある。じゃあ自分にもそういう機会があっても良いのでは?と誰しも思わずにいられないのではないか。


    この本を読んでいると、年齢について考えさせられる。
    「年齢は関係ない」とは、単純に「歳をとっても若い人と変わらず魅力的だから自信をもちなさい」という意味ではない、と思った。

    人として魅力がある人は年齢を重ねても魅力があり、人生経験を積めば積むほど滲むものがある。
    その生き方そのものがその人を作る。そんな時に、数字としての年齢は歳をとるほど不利になるわけではないという意味で、「年齢は関係ない」のだ。
    逆に若い人でも、良くも悪くも中身や外見が実年齢以上に見える人もいるので、やはり「年齢は関係ない。大事なのはその人自身がどんな人物か」ということに尽きる。

    要は、歳をとってもモテる人は違うな、ということ。

  • 性や老いが描かれた短編の数々。

  • 全編 「死」「生」「性」が纏わる なんとなく不穏な感じの短編集。
    「白い月」「微笑み」が良かった。

  • ある程度人生が進んでから読むと見え方や感じ方が変わるかもしれないです。
    自分にはまだ早かった。

  • 齢五十を過ぎて、少しずつ体や気持ちの老いを感じ始めてはいるけれど、まだ死を近しく感じるほどではない。
    そんな私に、死ってこんな風に近づいてくるんだなと教えてくれたような一冊。
    死に近づくって、食べることや誰かと交わることや、そんな本能的な欲を若さという勢いに惑わされることなくリアルに感じるプロセスなのかもしれないと思った。

  • 主人公のほとんどが、もう若くはない女性で、おどろおどろしい話が多い。
    個人的には「白い月」が心に残った。
    赤の他人から知らされる、夫の心。奥ゆかしくて素敵。
    ひとりになった時の自分を、想像してみたくなる。
    とりあえず、次に「月夜の森の梟」を読みたい。

  • 7話からなる短編集。
    どの話も結末はさほどの内容で無くても静かな余韻の残る話だった。

    「ミソソサザイ」
    主人公の男性は家族が出かけ一人で過ごす時間に、自分が小学生の頃、胸ときめかせていた叔母の事を思い出す。

    「喪中の客」
    普段使わないブザーを鳴らして突然訪れたのは、亡くなった妹の不倫相手の妻。
    主人公の女性は彼女から衝撃的な事を知らされる。

    「アネモネ」
    かなり年上の女性のヒモをしている男性。
    彼女は以前、元夫からDVを受けた心の傷があり、主人公に女装をせがむ。
    最初は面白がっていた主人公も段々嫌気がさし、ついには女性を殺してしまう。

    「夜の庭」
    ひょんな事からお金持ちの老人の家政婦をする事になった女性。
    老人は彼女に手淫をさせるようになる。
    それを気持ち悪がりながら何となく受け入れた女性。
    しかし、行為の途中、老人が急死してしまう。

    「白い月」
    亡くなった夫の事を偲ぶ女性。
    夫には彼女と結婚する前にとても愛した女性がいた。

    「微笑み」
    以前付き合っていた歳の離れた若い男性の事を思い出す女性。
    彼は不思議で魅力的な微笑みを浮かべる人だった。
    その彼が画家になり、個展を開く事を知り、訪れるが-。

     最初、コロナの話で始まったのはこういう事か…と結末を見て思った。
    さすが、うまい。

    「日暮れのあと」
    庭師に庭の手入れを頼んだ高齢女性。
    やって来たのは若い男性で、彼は歳が大分離れた女性と付き合っていると言う。
    それに興味がわいた主人公はその話を聞かせて欲しいと男性に言う。

    どの話もオチというものがある訳でなく、それなのに短編の小説を読んだな~という気持ちになった。
    今、短編集というと、連作短編集が多いけど、そうでないのも良かった。
    あざとさのない、正統的な短編集だと思う。

    どの話も何となく悲しい、淋しい気持ちになる。
    だけどそれは静かなもので、老いる感覚に似ている。
    高齢女性と歳の離れた男性との恋愛という設定が多かったけど、それがギラギラしてないのも良かった。
    特に最後の話。
    若者と主人公女性の一時の恋愛に似たものを描いててらこの本自体が台無しに感じられたと思う。


  • 7篇の短編集ですがどのお話も印象的。生と死、愛、性が共通していて全く違う雰囲気なんだけど、どれもねっとりとした感じで読み応えあり。

    『喪中の客』は最後ゾクッとして印象に残りました。好きなお話は『アネモネ』『白い月』『日暮れのあと』

    中高年の女性とかなり歳下の男性との恋のお話がいくつかありますが、表題作の『日暮れのあと』はその中でも極めつけという感じでした。26歳の植木職人の男性が結婚したい相手は64歳の現役風俗嬢。なかなかあり得ないお話だけど、男性に興味津津で馴れ初めをを聞く72歳の雪代の気持ちはわかるなぁ。

  • 切なくてどことなく暗い短編集。
    「白い月」が一番好きかな。

  • 誰かの死と、残されたものの生と性、過去を思い出すきっかけとなったもの。それは鳥だったり花だったり月だったり音だったり。そういう過去への導き方が抜群にいい7つの短編集。

    どこかひんやりとした静けさ、背筋を冷たいもので撫でられるような感覚は小池さんならでは。そしてその静謐の世界を紡ぐ美しい言葉の数々。
    すっごく面白いとか、ハラハラドキドキとは対極にある、作品世界に没入し、しみじみと読後の余韻に浸れる作家さん。
    年齢を重ね、伴侶を亡くしてますます作品に深みが加わったような印象。
    人生を振り返る年代の自分には極上の短編集でした。

  • 一編一編の話が人情的でありまた含みのある終わり方で
    その都度そのあとどうなるのかなって考えさせられる内容だった

  • 「ミソサザイ」
    「喪中の客」
    「アネモネ」
    「夜の庭」
    「白い月」
    「微笑み」
    「日暮れのあと」
    七話収録の短編集。

    洗練された言葉で紡がれる七つの物語は、登場人物や風景が自然と眼前に浮かび上がる。

    生と死と性が共通して描かれている本作だが、最も心に迫って来たのは深い孤独感。

    時に淫靡で生々しさをを醸し出しつつも、そこに厭らしさは感じられず、老いて死へ向かう者達の寂寥感や悲哀が伝わる。

    ホラーテイストの『喪中の客』が一番インパクトが強く背筋が寒くなるが、どの短編もつ粒揃いで味わい深い。

    この静謐でしっとりとした世界観が堪らなく好き。

  • 全体的にどこかほの暗いような物寂しい雰囲気の漂う短編集。
    小池真理子さんらしい情緒的な文章で余韻が残ります
    「喪中の客」は怖かったけど
    「白い月」と最後の「日暮れのあと」が好みでした。

    「過ぎてみれば、全部、どうってことなかった」

    いつかこんな風に思えるようになりたいなぁ

  • 短篇7篇。それぞれに沁みる話だ。
    年代の近い作家さんの話はよく理解出来る気がする。

  • 平凡な人生をひっそり生きる人たちの人生の深淵をのぞくような、7つの短編。どの物語も心象風景が真に迫ってきて、静かな迫力がある。短編なのに深みと厚みがあって、長編小説のような読後感。それなのに短編ならではの余白と、読者にその先を想像させる広がりがある。短編の名手、小池さんにしか書けない世界だろう。不穏で隠微な世界に惹きこまれた「夜の庭」と、老婆が紡ぐ「過ぎてみれば、全部、どうってことなかった」の言葉が印象的だった表題作「日暮れのあと」が特に好き。老いてこそ見える風景がきっとある。20年後にまた読み返したい。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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