それは誠

  • 文藝春秋 (2023年6月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (184ページ) / ISBN・EAN: 9784163917214

作品紹介・あらすじ

第169回芥川賞候補作に選ばれた、いま最も期待を集める作家の最新中編小説。修学旅行で東京を訪れた高校生たちが、コースを外れた小さな冒険を試みる。その一日の、なにげない会話や出来事から、生の輝きが浮かび上がり、えも言われぬ感動がこみ上げる名編。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

青春の一日を描いたこの物語は、高校生たちの修学旅行を舞台に、友情や成長を鮮やかに描写しています。主人公の佐田誠は、自由行動の日に生き別れの叔父に会うための計画を立て、仲間たちと共に冒険に繰り出します。...

感想・レビュー・書評

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    1.感想
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    ちょっと、私にはあわなかったです。
    非常に読みにくいし、少年たちの会話の流れがとてもわかりにくく、178ページがとてもながく感じました。

    冒険感もよくわからず、何がしたいのかもよくわらず、とにかくストーリーに入り込めませんでした。
    もう、純粋さとかわからないから、入り込めなかったかもな…

    ざんねん。


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    2.あらすじ
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    修学旅行で東京に行くことになった佐田誠は、自由行動の1日を利用して、日野に住むおじさんに会いに行く計画を立てる。
    最初は反対していた3班の男子メンバーが、行動を共にすることになっていく。


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    3.主な登場人物
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    ■3班
    佐田誠 目立たないキャラ

    井上奈緒
    班長、

    蔵並研吾
    勉強できる、まじめ

    大日向隼人
    スクールカーストで上位キャラ、サッカー部、王妃

    松帆一郎
    松、なんらかの障害持ち

    畠中結衣
    おとなしい

    小川楓
    明るい、リーダー的キャラ、人気女子

    ■先生
    名取先生 担任
    高村先生 細くて美人、女子生徒に人気

  •  『旅する練習』以来、乗代雄介さん2作目でした。4度目の芥川賞ノミネートも、結果的に受賞に至らず残念でしたが、『旅する練習』の清々しさは好みで、本作は先入観なしに読みました。

     物語の語り手は、高二の佐田誠。回想する形で綴られています。複雑な家庭環境の佐田こと〝僕〟は、修学旅行のグループ別自由行動から抜けて、生き別れの叔父に会う計画を立てます。
     登場人物も、高二の同じ自由行動グループの男女が中心で、青春群像劇になっています。
     
     元々仲がよかったメンバーではなかったのですが、佐田の生い立ちや過去を知り共有することで、心情が変化していきます。
     結果的に男子3名が佐田の傍に寄り添い、女子も協力(口車を合わせ)し、読み手もスリルと背徳感を味わいながら、メンバーに不思議な友情が芽生えていく、その変容が読みどころと思います。

     叔父さんの扱いやかなり大胆なことをしている割に軽い(青い)高校生に、少々響いてこない面もありましたが、若者の瑞々しい会話・心理描写は、改めて上手だなあという印象を強くしました。

     まだ2作品しか読んでいませんが、乗代さんは登場人物(主人公)に「書かせる」ことにこだわりをもっているのでしょうか? 他作品も読みながら、今後も注目していきたいと思います。

  • 揺れ動く青春時代だなあ

  • 現代版stand by me。
    友達もなく、欠席気味の男子高校生が主人公。修学旅行の班分けでも寄せ集め的な班に入れられる。班での自由行動日の出来事を描いた感動の青春小説。169回芥川賞候補。お勧めの一冊。
    いつもの小さな図書館のお勧めコーナーにあって、タイトルと装画に惹かれて手に取りました。芥川賞候補作と知って、最初ビビりましたが、素晴らしい作品に出会えました。

  • こういう冒険譚好きだ。
    高校の修学旅行で東京に行くことになった、誠は
    ある人に逢いたくて、密かにある計画を自分の中で考えてた。その計画を班員とともに実行していく。教師たちには、バレずに日野市に住む叔父のもとへ。班員たちの絆に涙するし、叔父に逢いたいかった理由とは。第169回芥川賞候補作となっている本作は、心に残る傑作となっています。

  • 修学旅行の自由行動を友達と抜け出して、生き別れたおじさんに会いに行く。
    簡単に言ってしまうとそれだけのことが、それがこんな青春小説に仕上がってしまうのはさすがだなと思った。
    高校時代の笑いや、クラスメイトとの距離が縮まるきっかけってこんな感じだったなと思い出しながら読んだ。
    こういう出来事って、大人になっても不思議と鮮明に覚えている。
    誰しもが持っている感覚を呼び起こされる小説だと思った。

  • 主人公だけでなく、登場人物たちがそれぞれの何かを抱えて、なんらかのこじらせぶりがあるところを描くのが上手い。登場人物たちが少しずつ歩み寄っていくのを、保護者のように息を詰めて見守りつつ読む。挿入された宮沢賢治の話が、後から実際の話にリンクした時、泣けた。

    芥川賞の選評で、「話を作った感がある」というのを読んだので、先入観ありありで読んでしまった。豊崎由美はこの小説を高く評価していてその選評に対してとっても怒っていたので、どっちかな?と思いつつ読んだ。そういう読み方は正しくないかもしれないが、こういう読み方もまあ面白いかなと思って。
    で、読んでみたら、どっちもありでした(笑)

    確かに、こう持って行きたい、という作者の意図を感じるんだよね。それは、前回も芥川賞の候補になった「旅する練習」にも感じた。確かにその仕掛けのせいで、最後には泣かされるんだけど。作者は、そんな気はないんですけどね、ってそっけない書き方をしてるところが、なかなか憎いというか、そこが鼻につくっていうか(笑)今回は、はなっから、たぶんここは伏線で泣かせるんだろうなと、わかって読んでたから、予定調和というか、そんな感じだった。
    豊崎さんは、創作なんだから、そういう仕掛けはあるだろうと言ってた。確かにそれもそう。
    そして、その仕掛けが鼻についたとしても余りあるくらいの出来でもある。
    仕掛けはいくつかあるのだけど、その一つは、吃音で病弱な松くんの存在。種明かしに至る最後まで、この存在が効いている。
    この松くんの存在感たるや!
    (でも、松くんみたいな存在を持ってくるの卑怯だろうという見方もおそらくあるだろうと思う。障がい者を「善なるもの」として配置することに対して、安易じゃないかという見方もよくわかる。)
    でも松くん魅力的で泣かされちゃうんだよね。

    ということで、正月の読書小説の在り方について考えることができて、楽しめました。
    この小説自体も好きですし。

  • 高校の修学旅行で、東京に行くことになった佐田誠たち。友だちがおらず、目立たない佐田の主張に班員たちが示すさまざまな姿が興味深い。

    ただ、高校の出欠は結構シビアなので、そんなに休めるのかなという現実的な疑問は……野暮なのだろう。

    饒舌体というのか、切れ目のない文体は苦手なので、読むのが辛かった。途中でやめようかと思ったほど。『旅する練習』の著者なので、なんとか読んだ。

  • 乗代さん、やっぱりめちゃくちゃ好きかも…
    去年読んだ『パパイヤ・ママイヤ』は、実は去年のベスト3として本屋大賞に応募したんだけど、この作品も、青春のまばゆさが溢れていてすごく好き。

    高校二年、東京修学旅行の自由行動をめぐる、佐田くんの手記。
    冴えない男子とキラキラ女子たちの班行動、なにかが起こりそう…なんてことは全然ないんだけど、そのやりとりは青春としか言いようがなくてまぶしい。
    もったいをつけるような、照れ隠しのような、本当はとても大事に思っていることをさもなんてことないかのように書く、ユーモアの織り込まれた佐田くんの文章。
    可笑しくて、好きすぎて、胸がきゅっとなりました。

  • 旅する練習でもそうだったけど、この人の作品で出てくる土地とかをストリートビューでつい調べてしまう。誠たちがピザ食べながら会話した八ノ上横穴墓群、おじさんと会った後、みんなで線路沿いの道を歩きながら金網越しにみた西の空など。そこにいるはずもない彼らの影を見てしまう。高校生のこの時期にしかできない同級生とのやりとり、ちょっと踏み外しちゃいますか!的な冒険心、めちゃくちゃ貴重で尊くて今風にいうとエモい時間だなと思いながら読んだ。でも自分たちが当事者だったときはこのエモさになかなか気付けないなあとか。宮沢賢治の一緒に溺れるという話から蔵並が感化されたんだという場面が好きだ。最後の誠と小川のやりとりもとても良かった。

  • 人によって心を動かされる部分は違うことを改めて感じた作品だった。
     癖のある文章だなと思っていたが、最後まで読むとその癖があるから良いと感じた。
     最後になぜおじさんに会いたかったのかや松くんなどの対応などわかった時満足できる。
     溺れている人がいたら、助けることができる人間が理想だが、一緒に溺れていく覚悟ができる人間も必要だと感じた。自分も惚れた友達、女性には一緒に溺れる覚悟を見せれる人になりたいと思った。

  • 修学旅行を抜け出して親戚のおじさんに会いに行く話。
    前半が読みづらいのは、ワザとなのかも知れない。後半一気に引き込まれて、自分も日野にいる気分でした。
    斜に構えてる主人公が魅力的だし、周りの友達と打ち解けて行く様子が蒼くて、こそばゆく感じました。

  • 乗代雄介さん、とても良い。「皆のあらばしり」がとても好き。
    青春だと思う。高校生のリアルな感情がよく書けていて、共感できる。
    おじさんがよく歌っていた曲に出てくる歌詞。ギターを弾きながら歌う。「それは誠」タイトルの意味を知る。
    学校にバレたら特進解除。ハラハラする。
    大冒険で、先生にバレないように、作戦を練って?
    修学旅行の班行動を抜け出す男子4人。
    はじめは、全く仲良しとはいえない雰囲気だったのに。
    でも女子を含め、班の連携が良かった。
    警察と話したときもドキドキした。
    こんな修学旅行は、絶対に忘れないよね。
    松くんのお母さんも素敵。
    じわじわくる(泣)
    背伸びして成長するのだと思った。
    いい話だった。
    芥川賞は残念だったけど、これからの乗代さんの話も楽しみに待ちたい。

  • とてもよかった。高校生たちの距離の変化、何気ないしぐさの描写、最後に感動の波がくるその展開。最初は時系列がバラバラで無秩序な感じがあったが、それも構成の巧みさと思えた。主人公佐田誠による修学旅行記は、まず班決めからスタート。メンバーのクラスでの立ち位置、背景、すべてがさまざまだ。そんな彼らが佐田の「おじさん探し」を通して少し近づく。佐田のために学校側に嘘をついて修学旅行の自由時間に「別行動」をとる男子4人。女子メンバーと口裏を合わせる様子にはチームワークの良さを感じてしまう。最初には予想もしない光景だった。

    松くんのお母さんと佐田の電話でのやりとりが、私の中では特に印象が強い。吃音をもつ松くんから、いつも優しくしてくれる佐田のことをきいていたと、母親が感謝の言葉を伝える場面だ。佐田にとってみれば思いがけない展開だった。そしてわざわざ街角ピアノの話題を出して自分を「悪く」表現しようとするが、松の母親にはお見通しだ。互いに人の気持ちがよくわかるのだ。

    そうそう、おじさんの話題だった。夕方に近づいていく日野の光景は忘れられない。

  • 学校をサボりがちで友だちのいない高二の僕は「東京修学旅行の思い出を忘れないうちに書き留めておこう」とパソコンに向かった。佐田誠の語り文は荒くザラついている。『旅する練習』と同じ著者なのか?と初めは違和感を覚えたが、(p.38)で一気に物語に引き込まれた。
    自由行動の希望地を「佐田くんの行きたいところ」と書いた松くんの思いに心揺さぶられた。

    三年前の代が勝ち取った「修学旅行二日目の全日自由行動」についてクラス担任が語り始める。生徒の権利を認める学校側。その裏に隠された"大人の事情"を生徒らはよく見ているなぁと感心した。
    と同時に「まるまる一日が自由行動になったんだから別によくない?」と今どきの子らしいドライな面も垣間見れて微笑ましかった。そういえば、私の高校の修学旅行先も東京で、当時の自由行動が2時間だったことを思い出した。

    一日目の夜、宮澤賢治の「イギリス海岸」の話をしてくれた美人教師、高村先生。「川で溺れてる時に、一緒に溺れてやろうって人と、助けてやろうって人がいたらきみならどちらに来てほしい?」かと聞かれた誠は「二人ともそこにいたら、溺れている人はきっと助かる」と答えた。
    この言葉が特待生、蔵並くんの気持ちを動かす。「松はお前と一緒に溺れてやろうと思っている。それなら僕は・・」
    生き別れたおじさんに会いに日野に行く誠、松と大日向と共に蔵並もついてきたのだから、言葉の力って凄い。
    父もなく母もいない。物心ついた時からずっと泳ぎながら溺れていた誠の心にしっかり届いたのだから! 

    著者は風景描写も上手い。
    低い宙を舞うケヤキの葉が、陽光を受けてきらきら光る。女の子はしゃがみこむと、両手に落ち葉を山と盛り投げ上げた。強い輝きが目の前で滝をつくる。

    枝を離れた葉は誰にも踏まれないまま積み重なり、日の光を浴び、時々の雨に洗われ、また天日干しされを何度も繰り返して、豊かで清潔な厚みをつくった。ここでは人も風も水も、ただ通り過ぎるだけなんだ。

    誠と3人の男の子たちが行動を共にした一日が見事に描かれている。
    無機質なパソコンから打ち出された名前には表情がない。それぞれが書いた名前の残るしおりを手にした時、思い出が輝く光のように浮かび上がってくるのだと思う。表紙には浅黄色の夕日が広がり、坂道を歩く4人の後ろ姿を包み込んでいるようで温かい気持ちにさせられた。

  • 乗代さんの「旅する練習」を数年前に読んで好きだったので、こちらも手にとってみた。どちらも「旅」がテーマにあるところもいいなと思うポイントで、日常から少し外れた冒険が誘う感傷に浸りながら心地よく読んだ。

    内容は東京への修学旅行、終日自由行動の日に予定から外れて主人公の叔父に会いに行くというシンプルなもの。その旅行の班分けから予定の組み立て、当日の一部始終を主人公の視点から一緒に振り返る中に、高校時代のこのときしかきっと経験できなかった一つ一つの場面が深い印象を残す。
    GPSで大人の庇護下に置かれつつ、自らの責任で決まったコースを外れてみる。大人と子どものあわいにある高校生たちの何気ない会話や、寄せ集めの班が次第に距離を縮めていく過程がなんともよかった。こんなクラスメートがいてこんな修学旅行の思い出があったら、きっともう孤独じゃない。

  • <トヨザキ社長の鮭児(けいじ)書店>乗代雄介「それは誠」 知的な筆致 胸震わす:北海道新聞デジタル
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/954341/

    乗代雄介さん「それは誠」インタビュー 子どもたちに伝えたい“確かに在る”青春「この世界は捨てたもんじゃない」|好書好日(2023.09.23)
    https://book.asahi.com/article/15004269

    『それは誠』乗代雄介 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917214

  • 読み終わると、とても好きだった。

    序盤は“なんだか面倒だな、、”と感じてしまう言い回しも多かったけれど、高校生たちの関係性の変化と共に徐々にそのような表現が削ぎ落とされていく。

    多様性なんてわざわざ声高に叫ばれずとも、他を知り共感し受け入れていくことはできるんだ。
    私たちも高校生の素直さを見習わなければ。

  • こんなにも真っすぐな青春を描いた小説は久しぶりだった。周囲の同級生→友人・仲間となる子たちのセリフから、主人公の人となりが自然と浮かび上がってきて、とても魅力的な青年が浮かび上がる。眩しい1日をわくわくしながら体感した。

  • 高校生の青春小説と一言でいってしまうとそれまでだけれど、読了後も心に余韻を残す秀作だ。
    タイトル名、装丁の夕日の色と4人の姿も。

    芥川賞には毒が足りないのかもしれないが、候補作になり、読む機会を与えてくれたことに感謝。

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著者プロフィール

1986年北海道生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒業。2015年『十七八より』で「群像新人賞」を受賞し、デビュー。18年『本物の読書家』で「野間文芸新人賞」を受賞する。23年『それは誠』が「芥川賞」候補作となる。その他著書に、『十七八より』『本物の読書家』『最高の任務』『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』等がある。

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