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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784163917221
作品紹介・あらすじ
転んで泣く小さな男の子をみて、「泣くな、男だろ」と小声で呟く。そして、立ち上り駆け寄ってきた子を、「よしよし、偉いぞ」と頭を撫でてやる。強くあれ、雄々しくあれかしと、日本の男の子は育てられてきた。
いつからか。
日本の古典を紐解くと、英雄豪傑ほど派手に泣いている。「男泣き」という言葉もある。
そして、「なく」ことを示す字の多いこと多いこと。
啼、泣、号、呱、嘹、噭、欵、慟、啾、喞、これらはすべて「なく」ことを著わした字である。悲しくて泣く、大声を出して泣く、子供が泣く、遠くまで聞こえるほど泣く、声が出ず涙を流して泣く、さらにいえば,涕泣、慟哭、嗚咽、泣血、哀慟、歔欷、さめざめと泣く、めそめそと泣く……。
本書は、古典に見える泣く男の姿百態を辿りつつ、「男泣き」の実相に迫ろうという試みである。
材は主として、記紀、万葉、古今の歌集や、伊勢、平家、太平記など文学史書の類から採った。
トップバッターは須佐之男命! そして倭建命、大伴家持ときて、やや色好みの涙、在原業平、源頼政、泣きそうもない木曽義仲を経由して、楠木正成と豊臣秀吉、最後は吉田松陰でしめる。
もう、全編泣いてばかり。そう、男だって、いや、男だからこそ泣いていいんだよ、という本なのである。
みんなの感想まとめ
男性が泣くことの意味や価値を古典から探求する本書は、古来からの「男泣き」の姿を多彩に描き出しています。著者は、スサノオやヤマトタケル、大伴家持などの英雄たちの涙を通じて、彼らが抱える感情や背景に迫りま...
感想・レビュー・書評
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※本稿は「北海道新聞」日曜版2024年12月22日付のコラム「書棚から歌を」の全文です。
・昨日より涙おちそふ杣河のけふはまさればくれもさはらじ
源頼政
男子たるもの、人前で涙は見せてはならない―こんな言葉を子どものころによく聞いた。戦時中の価値観のなごりだったのだろう。
一転、近年の少年マンガでは、特にスポーツの場面などで男子が大泣きし、成人男性も大粒の涙を流している。大正期の小説でも、武者小路実篤ら「白樺」派の作品など、男性が涙を流す場面が少なくない。
さかのぼると古典でも、英雄豪傑たちの涙には感動的な場面も多い。そんな古典作品にみられる「男泣き」「男の涙」を掘り下げた寺田英視の著書「泣く男」を、興味深く読んだ。スサノオノミコトに始まり、ヤマトタケルノミコト、大伴家持、木曽義仲ら、泣く男たちの理由や背景もさまざまである。
趣のある「涙」としては、恋にまつわるものだろうか。平安末期の武士で、歌人としても知られる源頼政も、女流歌人との贈答歌で涙を流していた。
「平家物語」等で知られる小侍従と、約束を守れず会えなかった頼政。小侍従に使いをやると、あなたの愛が薄いので川の水が少なく、筏【いかだ】が動かない(ので会えなかった)のですね、という歌が返されてきた。掲出歌は、それに対する返歌。いえいえ、昨日から流した涙で川の水は増えているので、筏はきちんと行けますよ、と。
実は当時、頼政は60歳過ぎ、小侍従も50歳前後だったとか。優雅な涙もあるものだ。
◇今週の一冊 寺田英視著「泣く男 古典に見る『男泣き』の系譜」(文藝春秋、2023年)
(2024年12月22日掲載)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【男だって、泣いていいんだよ!】「泣くなよ、男だろ」は正しいのか? スサノヲをはじめとした古典に見える「泣く男」の姿百態を辿りつつ、「男泣き」の実相に迫る!
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