八月の御所グラウンド

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163917320

作品紹介・あらすじ

死んだはずの名投手とのプレーボール
戦争に断ち切られた青春
京都が生んだ、やさしい奇跡


女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。


京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは--

今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない
青春の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る感動作2篇

第170回直木賞を遂に受賞!

感想・レビュー・書評

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  • 第170回直木賞受賞作。

    『十二月の都大路上下ル』『八月の御所グラウンド』の2篇収録。
    どちらも京都を舞台にした、ちょっと不思議な、優しくて切ない物語。

    『十二月の〜』は、高校駅伝の全国大会に挑む高1女子の話。
    スポーツ・友情・努力みたいな、どストレートな話に弱いので、胸にグッときた。
    振り返れば、一切の打算無しに「仲間のために頑張る」って学生だけに許された特権だったんだと思う。

    『八月の〜』も良い。就活をろくにしていない、すこし自堕落な男子大学生。彼が夏休みに、ちょっとおかしな草野球大会に参加する話。
    ゆっくりと過ぎていく京都の夏。不思議な出逢い。どこか懐かしさを憶える。そして、心に熱い火が灯る。

    貴方がもし元気がなかったり、後ろ向きになっているなら、ぜひ読んでみてください。
    もうちょっと頑張ってみよう、自分だけじゃなくて、他の誰かのためにも。
    そう思える、素敵な作品でした。

  • 直木賞受賞作であり、万城目さん作品を初拝読。
    京都を舞台にしたちょっと不思議なお話2作を収録。京都らしさ漂うファンタジー要素はあれど、どちらも大きく波風が立たない展開だけに、やや物足りなさも感じてしまった。それで手にとったわけではないが、帯にかかれている「感動&感涙の傑作青春小説」というのも、ちょっと違うかな・・と。結構、好評価の感想も多い中、こんな何も得られるものが無いような感想を残すのも気が引けるが、ここは自分の表現の場。こんな感想もあるということで。。 ★3.2

  • 第170回直木賞受賞作。

    京都を舞台にした、短編と中編が1作ずつ。

    「十二月の都大路上下ル」
    女子全国高校駅伝で、高校一年生の坂東がタスキリレーのアンカーを試合直前になって託されます。
    坂東は酷い方向音痴で曲がる方向がわからなくて困っていると謎の新選組のような集団が現れて…。


    「八月の御所グラウンド」
    京都の大学四回生の朽木は高校の同級生で五回生の多聞に頼まれて野球チームの一員として、多聞の研究室の教授のチームで教授の行きつけの祇園の芸妓さんの名を冠する「たまひで杯」という試合に出なければならなくなります。
    朝、5時半にモーニングコールで起こされ御所グラウンドで試合は始まります。
    教授のチームはいつも人数が足りなくても、当日の朝になると必ず助っとが現れてなぜか人数はちゃんと九人になります。
    ところが朽木に中国人留学生のシャオさんがおかしなことを言い始めます。
    野球の沢村栄治賞のサワさんとメンバーのえーちゃんがそっくりだというのです。



    二編とも京都という昔からの歴史のある土地で起こったちょっと不思議な青春ストーリーです。
    私も若い頃京都に住んでいたことがありますが、京都に何か霊がいるなんて想像したこともありませんでした。
    万城目学さん、初読みでしたが、他の作品もこんな作風なのでしょうか。

    • まことさん
      くるたんさん、おはようございます♪

      私は、万城目さん初読みでした。
      『鹿男あをによし』、登録して冬になったら読んでみますね!
      くるたんさん、おはようございます♪

      私は、万城目さん初読みでした。
      『鹿男あをによし』、登録して冬になったら読んでみますね!
      2024/05/12
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      まことさん、こんばんは♪
      便乗させてください
      私も『鹿男あをによし』がかなり好きです〜♡笑
      万城目学さんの魅力がいっぱい詰まった作品です
      是...
      まことさん、こんばんは♪
      便乗させてください
      私も『鹿男あをによし』がかなり好きです〜♡笑
      万城目学さんの魅力がいっぱい詰まった作品です
      是非読んで欲し〜い、です(❃´◡`❃)
      2024/05/15
    • まことさん
      K村さん、こんばんは♪

      K村さんも、お好きだということは、『鹿男あをによし』はかなり期待できそうです♪
      冬になって、雪で、図書館に行けなく...
      K村さん、こんばんは♪

      K村さんも、お好きだということは、『鹿男あをによし』はかなり期待できそうです♪
      冬になって、雪で、図書館に行けなくなったら文庫を買って読もうと思います。ありがとうございます。
      2024/05/15
  • 直木賞受賞作品
    京都を舞台にした二つの物語
    これが新しい万城目ワールドなのかなあ…?

    『十二月の都大路路上下ル』
    無慈悲な底冷えのする冬の京都
    女子全国高校駅伝に補欠登録されたサカトゥーが、急遽出場することになる
    大会中、彼女が見た不思議な光景とは…

    サカトゥーは「絶望的なくらい方向音痴」なんだけど、その音痴ぶりがまるで自分と同じで、そこ笑う所なんだろうけれど笑えなかった(^^;;

    『八月の御所グランド』
    殺人的な蒸し暑さの夏の京都
    御所グランドで、たまひで杯優勝に向けて朽木達は野球の試合をするのだが、いつも人数がギリギリ
    その場にいた三人に飛び入り参加してもらうのだが…


    まるで冬の京都と夏の京都に自分もいる様な気持ちにさせる描写は流石です( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )♡
    現代的な描写と京都ならではのファンタジーを織り交ぜた万城目さんらしい設定なんだけど…

    もっと来い!もっと絡んで!もっと暴れて!
    …欲しいんだよ〜ん٩(・̆ᗝ・̆)

    これはこれでいいのかもしれない
    サラッとしたティストで、ちょっと不思議な世界でありながら温かい
    でも直木賞もなあ…
    私はもっと面白い万城目さんの作品いっぱいあるのになあと思ってしまう
    ちょっと物足りないので、まだ読んでいない作品を読んで、万城目ワールドに浸かることにするッദ്ദി^._.^)

    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      へぶたんさま♪

      同じく寝落ち続きですZz◟(๑ᵕ⌓ᵕ̤)◞。o○
      何度も同じ所読んでます笑
      どうして本読むと眠くなるのでしょうか?
      うちの...
      へぶたんさま♪

      同じく寝落ち続きですZz◟(๑ᵕ⌓ᵕ̤)◞。o○
      何度も同じ所読んでます笑
      どうして本読むと眠くなるのでしょうか?
      うちの旦那が「プリンセストヨトミ」が大好きで、超すすめて来たのですが、私もなかなか読み終わらなかった記憶があります
      因みにこの本は、薄口なのでサクッと読めましたよ
      (⁎˃ᴗ˂⁎)
      2024/03/10
    • へぶたんさん
      K村さま♪

      そうなんです!同じ所何回も読むんですよ!そして進まない(笑)本から何かでてますね、きっと(^^;

      そしてこのお話、薄口なんで...
      K村さま♪

      そうなんです!同じ所何回も読むんですよ!そして進まない(笑)本から何かでてますね、きっと(^^;

      そしてこのお話、薄口なんですねー。なんか意外です(^^;
      2024/03/10
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      へぶたんさま
      本から見えない目潰し光線出てますよね〜

      そう、薄口ティストなんで、新しい万城目ワールドなのかなあ??と思ってしまったんです
      ...
      へぶたんさま
      本から見えない目潰し光線出てますよね〜

      そう、薄口ティストなんで、新しい万城目ワールドなのかなあ??と思ってしまったんです
      読んでみてくださいよ、ゆっくりお待ちしております♪
      2024/03/10
  • 第170回直木賞受賞作。
    2部作からなる小説で、短編の『12月の都大路上下ル』中編の『八月の御所グラウンド』の2作。
    両作共に読みやすかったです。ただ、設定は良かったのにファンタジーにする必要あった?っていう何とも腑に落ちない作品でした。私は短編の方が好き。
    青春スポ根系に一手間加えた作品に仕立てたのでしょうが、私はどストレートが好きでして、帯見て分かってはいましたが、途中から変化球だったので、どうせやるなら終いまで書き切って欲しかったかなぁ。これが万城目ワールドなのは承知ですが、好みの問題です。

  • ぜひとも映像化してほしい作品。
    一編目の「十二月の都大路上下ル」がとても良いプロローグ的な導入になっていて、次の表題作も同じように不思議なことが起こるのかな?と自然とフワーッといつの間にかあちらの世界に連れて行かれてしまったような、そんな感覚。
    八月に京都に残っている人は“八月の敗者“なのだそうです。八月の京都の暑さに勝てる者などいない。皆、実家に帰ったり旅行をしたりしているのに、彼女にフラれて何も予定がなくなってしまった、そして、就職活動もせず怠惰な生活を送っている朽木。就職は決まったけれど卒業できる見込みがない多聞。
    多聞は卒業させる代わりに、草野球大会で優勝しろ!と担当教授から仰せつかる。
    寄せ集めのメンバーで草野球をすることになった朽木と多聞。メンバーが足りなくて、その辺を歩いている人にまで声をかける始末。
    真夏の早朝、夜の仕事が終わったばかりの派手なスーツの金髪君や、工場の仕事に行く前の作業着君、はたまた、中国人留学生の女子まで。
    どうしても卒業したい多聞が一生懸命寄せ集めたメンバー達。
    何やってんだよーと読み進めるうちに、メンバー同様、ここまできたらぜひとも優勝してほしい!と思わせられるから不思議。試合の成り行きに夢中になっている私。
    でも、ここから不思議な世界になってくるのです。
    ここからはぜひとも読んで確かめてほしい。
    京都のうだるような暑さ。送り火。お盆。終戦記念日。映像が浮かび上がってきます。
    夏休みももうそろそろ終わりだなぁ、と感じ始めるこのくらいの時、やっぱり日本人には感じるものがある気がする。日本人特有の感覚が。
    とても良かった!

  • あり得ない設定ではあるが、楽しめた。もうすぐ8月15日。19歳、20歳で学徒出陣させられた若者のことを思うと、ちゃんと生きなければと思った

  • 夏の終わりの今にぴったりな、不思議なお話。
    駅伝もよかったけれど、やはり2作目の野球の話がよかった!

    なぜか揃ってしまう、朝6時からの野球。
    一緒に野球をしたメンバーの過去を思うと、つらいところもあるけれど、こうやって一緒に野球ができたことは心温かくなる。

    京都というのが、また雰囲気を出していますよね。

  • 第170回直木賞受賞作

    「まきめ」さんとお読みするんですね。万城目学さんの名前は度々お目にして気にはなっていたけど初読み。
    京都大学卒。
    2006年のデビューというからけっこうベテランさん。直木賞の候補に過去5回もなっていて、6回目の今回受賞。
    wikiによると「日常の中に奇想天外な非日常を持ち込むファンタジー小説で知られる」とのこと。

    今回職場の方にお借りしてお読みしました。
    中編2作?短編1作と中編1作?というボリュームで、文章も読みやすいので無理なく1日で読み終えられる。

    京都を舞台に、スポーツの中での歴史上の人物との幻のような出会い。

    「十二月の都大路上下ル」は女子全国高校駅伝。爽やかな心地よさに包まれてとても好きな作品。

    「八月の御所グラウンド」は真夏の早朝の草野球大会。
    京都御所内にあるグラウンドでレジェンドであるあの大投手との邂逅。
    「俺たち、ちゃんと生きているか?」
    思わず口に出た問い。

    優しい感動を与えてくれる良書。
    この本も疲れている時にいいんじゃないかな。

    ♫さらば碧き面影/ロードオブメジャー(2006)

    • Kazuさん
      どなたも訂正されないのでコメントします。
      「まぎめ」じゃなくて「まきめ」です。
      私もずっと間違えていたので気になるんですよね (^-^)...
      どなたも訂正されないのでコメントします。
      「まぎめ」じゃなくて「まきめ」です。
      私もずっと間違えていたので気になるんですよね (^-^)♪
      2024/03/10
    • たけさん
      Kazuさん

      コメント今気づきました。
      ありがとございます!

      そうですね。
      こっそりと訂正しとこっと笑

      ちなみに、僕はずっと「まんじょ...
      Kazuさん

      コメント今気づきました。
      ありがとございます!

      そうですね。
      こっそりと訂正しとこっと笑

      ちなみに、僕はずっと「まんじょうめ」だと思ってました。



      2024/03/12
  •  万城目学さんは、京都を中心にした青春小説で、非日常の万城目ワールドなる世界観で人気を博しているらしい。これまで未読でしたが、本作は如何に‥。

     表題作「八月の御所グラウンド」の他に「十二月の都大路上下ル」という短編が収録されています。率直に言って、本作は思いの外面白かったです。
     切なさと味わい深さという点では「八月の〜」、清々しさでは「十二月の〜」でしょうか。個人的には、後者の女子全国高校駅伝で都大路を走る女子高生の短編の方が、より魅力的でした。
     駅伝並走って、新撰組の応援?悪戯?(未読の方は意味不明でしょうが、是非ご一読を!)

     2篇とも京都の歴史と街並みを感じさせてくれる作品で、日常の中に非日常を取り込み、さり気なく読み手を前向きに、そして爽やかにしてくれる物語でした。
     いにしえの都人が暮らしていた京都。京都だからこそ成り立つ、生者と死者が交錯する無理矢理感のない展開に、心がじんわり温かくなる不思議な読後感がありました。

     万城目さんの瑞々しい繊細な感性が、程よい京都所縁の虚構世界を通じて見えないものを見えるようにしてくれ、更には忘れていた大事なことを思い出させ気付かせてくれている気がします。
     青春×スポーツ×京都の小説ですが、どこか静かで控えめ、ノスタルジーと爽やかさが共存する秀作だと思いました。

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著者プロフィール

1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。2024年、『八月の御所グラウンド』にて第170回直木賞受賞。ほか小説に『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』『偉大なる、しゅららぼん』『とっぴんぱらりの風太郎』『バベル九朔』『ヒトコブラクダ層戦争』『六月のぶりぶりぎっちょう』など、エッセイ集に『ザ・万歩計』『ザ・万遊記』『万感のおもい』などがある。

「2025年 『新版 ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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