でぃすぺる

著者 :
  • 文藝春秋
4.06
  • (13)
  • (11)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 601
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163917498

作品紹介・あらすじ

『屍人荘の殺人』の著者が仕掛けるジュブナイル×オカルト×本格ミステリ小学校最後の夏休みが終わった。小学校卒業まであと半年。ユースケは、自分のオカルト趣味を壁新聞作りに注ぎ込むため、〝掲示係〟に立候補する。この地味で面倒だと思われている掲示係の人気は低い。これで思う存分怖い話を壁新聞に書ける!……はずだったが、なぜか学級委員長をやると思われたサツキも立候補する。優等生のサツキが掲示係を選んだ理由は、去年亡くなった従姉のマリ姉にあった。マリ姉は一年前の奥神祭りの前日、グラウンドの真ん中で死んでいた。現場に凶器はなく、うっすらと積もった雪には第一発見者以外の足跡は残されていなかった。つまり、自殺の可能性はなく、マリ姉を殺した犯人が雪が積もる前に凶器を持ち去ったはず。犯人はまだ捕まっていない。捜査が進展しない中、サツキはマリ姉の遺品のパソコンの中に『奥郷町の七不思議』のファイルを見つける。それは一見地元に伝わる怪談話を集めたもののようだったが、どれも微妙に変更が加えられている。しかも、『七不思議』のはずなのに六つしかない。警察がこの怪談に注目することはなかった。そして、マリ姉に怪談を集める趣味がなかったことをサツキはよく知っている。マリ姉がわざわざ『七不思議』を残したからには、そこに意味があるはず。そう思ったサツキは掲示係になり『七不思議』の謎を解こうとする。ユースケはオカルト好きの観点から謎を推理するが、サツキはあくまで現実的にマリ姉の意図を察しようとする。その二人の推理を聞いて、三人目の掲示係であるミナが冷静にジャッジを下す……。死の謎は『奥郷町の七不思議』に隠されているのか? 三人の〝掲示係〟が挑む小学校生活最後の謎。こんな小学6年生でありたかった、という思いを掻き立てる傑作推理長編の誕生です。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いわゆる王道ではないけど、すごいミステリーだった、その一言に尽きる作品でした。

    本作は怪奇現象に興味深々な小学6年生のユースケが、そのオカルト好きを発揮するため、学校新聞を作る掲示係になることから始まります。その掲示係には何故かお堅い優等生であるサツキも立候補し、加入することに。そして、偶然掲示係になったミナも含めた3人で、町の七不思議を題材に学校新聞を作ることにします。しかし、その七不思議は七つ目を知った者は必ず死ぬという言い伝えがあって…

    ざっとあらすじを書いただけではミステリー感あんまりないですが、とにかく謎がてんこ盛りです笑
    七不思議の謎だけでなく、町の謎、未解決事件の謎などありとあらゆる謎解きが絡まり合って、最後に1つの物語が形成されるのが素晴らしいです!

    さらに素晴らしいのは、推理が常に「オカルト説」と「人為的説」の2つの対立で進められることで、多重解ミステリーを想起させつつも、1本の結論に結びつけるのはさすがですし、結末が今村さんの作品過ぎて、もうたまりませんでした笑

  • 七不思議を調べながら事件の真相に迫っていく中で、怪奇現象なのか、推理でとける現象なのか、2つの視点の考察が、いい感じに楽しめた。主人公が小学生なので、子どもの世界で、どのように謎解きしていくかも、おもしろかった!

  •  正直、葉村剣持シリーズを待ちに待っており、とにかく彼らと班目機関の対決を進めてくれ!と祈りながら、一方で今村昌弘が全く違ったミステリーを描いたらどうなるだろうという好奇心もあった。プロットがとても面白い作家なので、今作はどの様になるのだろうと期待したが、完全に期待を裏切られ(笑)。脳が破壊された感じだ。
     とある作家のとあるシリーズが今作と似た構成なのだが(詳しく言うと完全なネタバレになる為、匂わせも出来ない)、僕達は忘れていただけで、いやいや、屍人荘はこのくらいインパクトがあったはずだぜ!!とぶん殴られた気分だ。
     小学生三人組が過去にあった女性の殺人事件を追いながら、被害者が残した「七不思議」を解き明かしていくストーリーで、ミステリとしての要素とオカルト、ホラーの要素が組み合わされて構成されている。僕はホラーオカルト系は読み慣れておらず得意では無いが非常に楽しめた作品だ。
     小学生三人の役割もよく、ユースケ、サツキ、ミナそれぞれのキャラクターがたっている。また、小学生にした事により、ホラーオカルト部分の印象、影響が上手く作用し、終盤、一体小学生達でどの様に立ち向かうのか、とスリリングな気持ちになれた。ミステリー部分では謎の「死」が幾つか発生し、怪しげな登場人物達も多く、フーダニットについて思考を張り巡らせたのだが。
    僕からのアドバイスは「肩の力を抜いて」読んだ方がいいといい事だ。
    章仕立てで進んでいくが、とにかく読んで欲しい。すまないがなにを描いてもネタバレになってしまうので。感想は短いが読めば理由がわかる筈だ!!

  • 『屍人荘の殺人』シリーズで知られる著者の新刊。小学生の探偵団が街に古くから伝わる怪談が絡む殺人事件の謎に挑むという「オカルト×本格ミステリー」の謳い文句通り明智小五郎シリーズを彷彿させる古き良きテイスト。作中に江戸川乱歩の名前が出てくるので完全にオマージュだろう。自分も図書館で初めてミステリー小説を読んだ頃の童心に帰ったようにワクワクしてしまうwミステリー小説に初めて触れてハマっていくキャラクターを置き、彼女にルール説明や推理の評価をさせる構造がニクい。ノックスの十戒やヴァン・ダインの二十則の説明まで!その中の「探偵方法に超自然能力を用いてはならない」に本作がどう挑むのか?が最大のポイント。登場人物はもうすぐ中学生になるという設定だが続編を期待しちゃうなぁ。小学生ゆえの行動制限も本作のフックになっているけど中学生の設定でもある程度は通じるはず(高校生になると厳しいかも)

  • こう言うジュブナイル系の話が好きなので楽しく読めた。主人公三人のキャラもいいし、関係性も近すぎず、遠すぎずで良かった。

  • 面白かった!
    続きが気になって一気読み。
    怪異なんてものは存在しないのでは?と思ったのに意外な展開だった。
    とはいえ、最後はちょっと拍子抜けというか、急ぎ過ぎた気がする。
    終わり方が続編があるのかと思わせる感じで期待してしまう。

  • はたして本格ミステリか、オカルトか?

    七不思議、小学生、表紙のイラストと文字・・・
    「まさか児童書なのでは?」と心配になった方、ご安心ください。ちゃんと今村先生の最新作でした笑

    夏、田舎、子供の冒険、六つの怪談など、素材は最高に好みでしたが、最後はちょっと駆け足すぎたかな?彼らが中学生へと成長した続編が出ることを期待したいと思います。

  • さすがですね。。
    学園ミステリーだと思って読んでたら、油断してました。
    しっかりとミステリーホラーでした。。
    でも、面白かった!さすが……!
    微妙に続きそうだなと思ったけども、どうだろう??

  • ど田舎の村の小学生。掲示係になり、壁新聞を作る。
    委員長と転校生と酒屋の息子の主人公。
    委員長の従姉妹が殺された。ノートパソコンには七不思議と題された6個のオカルト。

    それぞれのオカルトを解いていくと、怪異と戦うなずての会なるものが浮かび上がる。最初は敵かと思いつつ、本当は怪異と戦う人々だった。

    小学生目線で書かれるので、意外と面白いけど、ちょっと設定が複雑かなぁ…

  • 【ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ】雪密室で死んだマリ姉が遺したのは『七不思議』のファイル。死の謎はここに隠されている? 少年少女が挑む小学校生活最後の謎。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1985年長崎県生まれ。岡山大学卒。2017年『屍人荘の殺人』で第27回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。同作は『このミステリーがすごい!』、〈週刊文春〉ミステリーベスト10、『本格ミステリ・ベスト10』で第1位を獲得し、第18回本格ミステリ大賞[小説部門]を受賞、第15回本屋大賞第3位に選出。映画化、コミカライズもされた。シリーズ第2弾『魔眼の匣の殺人』も各ミステリランキングベスト3に連続ランクイン。2021年、テレビドラマ『ネメシス』に脚本協力として参加。いま最も注目される期待の俊英。

「2021年 『兇人邸の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

今村昌弘の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
斜線堂 有紀
夕木 春央
織守 きょうや
阿津川 辰海
夕木 春央
知念 実希人
阿津川 辰海
米澤 穂信
米澤 穂信
今村 昌弘
米澤 穂信
井上 真偽
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×