文学キョーダイ!!

  • 文藝春秋 (2023年9月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163917535

作品紹介・あらすじ

ロシア文学者・奈倉有里と、小説家・逢坂冬馬。
文学界の今をときめく二人は、じつはきょうだいだった! 
姉が10代で単身ロシア留学に向かった時、弟は何を思ったか。その後交差することのなかった二人の人生が、2021年に不思議な邂逅を果たしたのはなぜか。予期せぬ戦争、厳しい社会の中で、我々はどう生きるか? 
縦横無尽に広がる、知性と理性、やさしさに満ちた対話が一冊の本になりました。

◇目次◇
まえがき●逢坂冬馬
PART1 「出世しなさい」がない家 family
「さかなクン」になればいいんだ/天沢聖司と月島雫の姉弟?/古本屋をめぐって本を探しまくる姉/家から出ない弟/語学大好き人間の母、家じゅうの物に外国語を書く/ネコと呼んでいた猫と、出て行ったウサギ/新潟のおじいちゃんとトルストイ――平和主義の農業者/外国語をやるなら現地で好きなだけやった方がいい/学者になりたかったけど/君は永遠に若いわけじゃないだろう?/編集者より厳しい姉のダメ出し/女らしさ、男らしさを考えないでいられる環境/男子なのに『りぼん』なんか読んでるの?/いい作品にも変なところはある/周りに合わせると、一時的には楽だけど...etc
PART2 作家という仕事 literature
デビュー作の初版が、「さ、さんまんぶ⁉」/『同志少女』の作者は女性?/周回遅れになってしまうのが怖い/小説は自分の深いところに降りていくもの/ロシア語を使った仕事をしたくても……/どんなときでも安心して思いっきり勉強していいんだよ/姉は朝型、弟は夜型/作家の経済問題/将来どうなるかわからないほうが好き/直木賞と本屋大賞の違い/個人的なものと社会的なものを切り離さずに考え続ける/大学は、知的に独立した人間を育てる場である/文学は、非常に雑多なものの総称です/めざせ書籍化?/人間がSNSでバズる言葉を出力する機械に?/本を読める人生って簡単じゃないかもしれない/あらゆる職業において、プロで生きていくのは厳しい/生活に追われると本が読めなくなる/なんでなにかのためじゃなきゃいけないの?...etc
PART3 私と誰かが生きている、この世界について world
「戦争について書かれた本を体験した人」も一種の戦争体験者/自分ではない誰かについて/人間が武器と戦うのが戦争/本はどこかで平和とつながっている/良心的兵役拒否をしたのに奇跡的に生き延びた、北御門二郎/「仮面ライダー」のショッカーが語ったことは……/プーチンを支持するゲイのパレード?/独裁者をキャラクターとして消費する/古代ローマの「パンとサーカス」が現代でも起きている/戦争は避けがたいもの、ではない/自分のしていることは、なんに繋がるのか/デモにはもっと気軽に参加していい/小説も書くし、社会運動もやる...etc
あとがき●奈倉有里

みんなの感想まとめ

知性と理性、やさしさに満ちた対話が展開されるこの作品は、ロシア文学者の姉と小説家の弟による対談集です。彼らの家庭環境や学業の履歴を通じて、読書の重要性や反戦のメッセージが力強く伝わります。特に「本を読...

感想・レビュー・書評

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  • 本棚登録はだいぶん前にしていたのですが、そのままになっていて、111108さんのレビューで読みたくなり読んだ一冊です。111108さん、ありがとうございます。



    奈倉有里さんは『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』で紫式部文学賞。
    『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』でサントリー学芸賞受賞。ロシア文学研究翻訳者。

    逢坂冬馬さんは、デビュー作『同志少女よ、敵を撃て』でアガサ・クリスティー賞。本屋大賞を受賞した小説家。

    お二人は三歳違いの姉弟でこの本はお二人の対談集です。


    家族のこと。
    お二人の学業の履歴。
    読書遍歴。


    『同志少女よ、敵を撃て』で「戦争とジェンダー」という問題を書いた逢坂さんは女性だと思われていたそうです。


    「ゲーテとトルストイ」が好きという奈倉さん。
    「文學界」連載中という『ロシア文学の教室』を読んでみたいと思いました。
    奈倉さんの学生時代の夢の「本の読める生活」は私と同じだと思いました。
    バカ高い本は読めないけれど、図書館にある本はたいてい読めるから幸せかもしれないと思いました。

    この本のお二人の対談から一番伝わってくるのは「読書の勧め」と「反戦」です。
    私は最近短歌を詠み始め、読書の時間をもう少し削ろうかと思っていましたが、やはり読書は捨てがたいと改めて思わされる内容でした。

    • 111108さん
      まことさん♪

      読むの迷われてたけど、読みどき訪れたのですね!嬉しいです♪
      まことさんのレビューを読んで、物事に真面目に取り込む所や読書が本...
      まことさん♪

      読むの迷われてたけど、読みどき訪れたのですね!嬉しいです♪
      まことさんのレビューを読んで、物事に真面目に取り込む所や読書が本当に好きな所など、奈倉さんとまことさんに共通するものがあるなあと思いました。
      私もそのうちに『ロシア文学の教室』読みたいです♪
      2024/08/16
    • まことさん
      111108さん、おはようございます♪

      コメントありがとうございます!
      図書館で予約にすきまがあったので、早速借りました。
      反戦の...
      111108さん、おはようございます♪

      コメントありがとうございます!
      図書館で予約にすきまがあったので、早速借りました。
      反戦のことなどもありましたが、読んでいて読書がもっとしたくなる内容でした。ありがとうございます。読み時を逃していたので、111108さんのレビューがなかったら通り過ぎていたかもしれません。
      いつも読んでいるエンタメ系ばかりではなく奈倉さんの読まれているような本もたまには読んでみたいと思いました。(トルストイはともかくゲーテはちょっと無理かもしれませんが)
      『ロシア文学の教室』は私も近いうちに読みたいです♪
      2024/08/17
  • あの逢坂冬馬さんに3つ上の姉がいた。しかも同じ時期に作家デビューしているとか。
    名倉有里さんについては知りませんでしたが彼女の作品も読んでみたくなりました。
    対談形式で語られる姉弟の家庭環境とか興味深く、貧乏インテリの家庭に育ったとか謙遜してましたが清貧な学者の家系のようで、好きなことをとことん続けることに手間暇惜しまない精神があればこそなんだなって感じました。
    凡庸な者は生活に追われお金を追い求める暮らしを強いられるわけですが、抜け出した者はお金のほうが自然と集まるような仕組みで生きられるんだって感じました。

    冒頭にカラフトが島なのか半島なのか知るために一人は東、もう一人は西に歩いて再び出会えたら島だと解るとかの件がありましたけど半島なら出会えないけど探求心が半端なくってヤバイって思いました。

    • かなさん
      つくねさん、おはようございます。
      逢坂冬馬さんのお姉さんがいるんですね(*'▽')
      しかも、お姉さんも結構博識!!
      ちょっと調べたらお...
      つくねさん、おはようございます。
      逢坂冬馬さんのお姉さんがいるんですね(*'▽')
      しかも、お姉さんも結構博識!!
      ちょっと調べたらお父様もすごい方っ(゚д゚)!
      やっぱ、才能ある家系は違いますね~
      2025/07/18
    • つくねさん
      かなさん、こんにちはww

      そうなんです。サラブレットっなんですよぉ
      かなさん、こんにちはww

      そうなんです。サラブレットっなんですよぉ
      2025/07/18
  • 面白かった!小説を読んでるという自意識が消滅する読書、周りに合わせて自分の信念が死んでいく苦痛、冗談めかした迎合や思考しないで済むシステムになってる日本の現状に無力感でも風を吹かそう等、たくさんの言葉を姉弟からもらった。

    • 111108さん
      まことさん♪

      コメントありがとうございます!
      本当に、たくさん読みたい本がある中で何から読もうか考えちゃいますよね。この本は文学のことや戦...
      まことさん♪

      コメントありがとうございます!
      本当に、たくさん読みたい本がある中で何から読もうか考えちゃいますよね。この本は文学のことや戦争のことなどを2人の会話から考えることができました。
      まことさんはこの著書どちらかのを読まれたことありますか?私は姉・奈倉有里さんを読んでていいなぁと思ってたのと、いつも海外ミステリーなど現実逃避の読書をしてたのでこの2人の会話が現実に向き合うのもいいよ、と思わせてくれたので良い経験でした。私にとって読み時だったのかもしれません♪
      2024/06/09
    • まことさん
      111108さん♪

      お姉さんのことは全然知りません。
      弟さんの逢坂冬馬さんの、確か本屋大賞になった小説は読みました。
      現実的な話をしている...
      111108さん♪

      お姉さんのことは全然知りません。
      弟さんの逢坂冬馬さんの、確か本屋大賞になった小説は読みました。
      現実的な話をしているのですね。
      この本は、一度図書館に予約入れたけど、寸前になって解除して、他の本に変えてしまった、ご縁がなかったのかな~と思っていた本です。
      2024/06/09
    • 111108さん
      まことさん♪

      お姉さんのことを知って読むとより理解深まるかもしれません。ノンフィクションが読みたい時がきたら読んでみてください♪
      まことさん♪

      お姉さんのことを知って読むとより理解深まるかもしれません。ノンフィクションが読みたい時がきたら読んでみてください♪
      2024/06/09
  • この姉弟は普段はあまり交流せず、それぞれの道を探求して過ごしてきて、2021年に偶然にもそれぞれが著書を出版し、その後姉弟だということが世間に知られるようになったのこと。

    本書では対談形式で育った家のことから作家という職業、国際情勢のことまで話が広がっていくわけですが、両人とも「書くことが楽しい」「文学のありかた」という点で揺るがない信念を持っていて、それがしっかりしていて、しかも清々しくて。

    とくに奈倉有里さんの言葉のなかに含まれる奥深いところに共感する箇所が数多くありました。これから著作を読んでみたいと思います♪

  • 読み終わるのが惜しいくらい久々の大ヒット。
    「夕暮れに夜明けの歌を」のな奈倉有里と「同志少女よ、敵を撃て」の逢坂冬馬の姉弟が、忌憚のない意見をバンバン吐露してる貴重な対談本。互いに敬語を使うのに、(笑)、内容は忖度なしの言いたい放題で溜飲が下がること下がること!楽しい読書だった。

    どうやったらこんな姉弟が育つのか、「夕暮れ〜」でも登場した両親がやはりキーパーソンのようだ。丁寧に愛情込めて育てられたのですね。理3の4人の子供を育てた佐藤亮子さんもかなり子どもの教育に関わってたけれど、彼女と違って、子どもに学歴よりも教養を身につけさせることにシフトしている姿勢が潔くて清々しい!価値観が真っ当で柔軟性もある本当に強いご両親だ。

    逢坂さん曰く
    「高等教育のありかたって、言ってみれば国家から独立した人間を育てる過程でもあるわけですよね。一元的な教育から離れて、知的に独立した人間を作るという。でも、知的に独立した人間を作るという発想そのものを憎悪している節が、現在の日本には見られるように思います。単なる利潤の追求や実学志向とも違う、知性の自立を恐れるという。もっと社会に従順で、経済を発展させる方向にだけ行きなさいと。」

    まさしく!肘を打つ言葉。

    逢坂さんは、「現代日本についてガンガン言っていく」行動する作家でいたいと宣言する。

    プーチンをキャラクタナイズして茶化す風潮についての考えも慧眼だった。日本のオートバイ同好会がハーレーダビットソンに乗ったプーチンをもてはやしていたことに対して、安っぽいマッチョイズムの提示をしてプロパガンダをしているのに、それをまんま無邪気に受け取ってしまう現象に警鐘を鳴らしている。
    こういう風潮は確かにあると思う。上から目線にもなれるし、すぐに冗談だと逃げることもできるし、どちら方向からの非難も交わすことができるずるいやり方だ。(私もよくやる)

    つい最近、モディリアニ風に描かれたプーチンの絵画を見たので、あれはどうなんだろうと考えてしまった。風刺とキャラクタナイズとの線引きが難しとは思うが、「俺たちは本当はプーチンを崇拝しているわけではない」と言いつつ、プーチンの実際的な統治の方法には全く異論を唱えない、それを「冗談めかした迎合」として極めて危険な兆候だと逢坂さんは分析する。

    パンとサーカスの例も出してくれていたが、政治的関心を失った民衆には食糧と娯楽さえ与えておけば支配はたやすい。抗う作家たちの登場に拍手です。

    同じ土壌で育った二人だからこそ、何の遠慮もなく思ったままを開陳することができ、それを私たちは知ることができてラッキー。
    ああ、こういう人たちが存在するのだ、と心を強くできる一冊でした。

  • 戦争文学で反戦を伝えるには|逢坂冬馬×奈倉有里|コロナの時代の想像力
    https://note.com/iwanaminote/n/n09361e5477c3

    奈倉 有里 (Yuri NAGURA) - マイポータル - researchmap
    https://researchmap.jp/nagurayuri/

    逢坂 冬馬 | 明治学院大学 “Do for Others”
    https://www.meijigakuin.ac.jp/about/why/aisaka/index.html

    『文学キョーダイ‼』奈倉有里 逢坂冬馬 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917535

  • 『ことばの白地図を歩く 翻訳と魔法のあいだ』を書いた、ロシア文学研究・翻訳者の姉。
    『同志少女よ、敵を撃て』を書いた、小説家の弟。

    姉弟ふたりによる対談。

    おふたりの生い立ちから、反戦という思想まで、しっかり語られた一冊。

    『同志少女よ、敵を撃て』の制作秘話、テーマの掘り下げといった裏話がたくさん知れたのは、よかった。

    『りぼん』を読む前に両親のチェックが入り、許可が出てから読んだとか、親公認漫画がある、というのは衝撃。

  • 『夕暮れに夜明けの歌を――文学を探しにロシアに行く』の奈倉有里さんと、『同志少女よ、敵を撃て』の逢坂冬馬さんの姉弟対談。
    PART1 「出世しなさい」がない家 Family
    PART2 作家という仕事 Literature
    PART3 私と誰かが生きている、この世界について World


    おふたりの本はそれぞれ読んでいて、実は姉弟だったって知った時は、おどろいた!そういう方が多いようですね。
    どんな環境で育ってきたか、ご両親やおじいちゃんのこと、読んでいた本の話なども興味深く読んだ。尊重しあう関係性がすてきだ。

    作者の性別、「冗談めかした迎合」、デモ(集会の権利)、無力感、誤読、作家の政治的な発言について、、自分自身にも思い当たる節があり、考えさせられることが多かった。
    奈倉有里さんの言葉は寄り添ってくれるように感じられたし、逢坂冬馬さんの真摯な姿勢が熱量をもって伝わってきた。

    奈倉有里さんが翻訳したエカテリーナ・シュリマンの「戦禍に社会科学はなにができるか」は、岩波書店編集部noteにて無料公開中

    “ここ十数年のロシアを見ていても、国家権力が膨れ上がっていくプロセスには共通点が多いのがよくわかります。それを阻止しようと命をかけてきた人たちの言葉に学ばなきゃいけない。”

    “たとえ短い言葉でも、言葉を発するというのは本来、人間の精神にとって本質的な仕事なんだよね。本意ではない言葉を発し続けていると、結局は自分自身の心を傷つけてしまう。必ずしも内容が悪いとか攻撃的だとかそういうことじゃなくても、そのプロセス自体が自己を形成していってしまう。”

  • よかった!この2人が姉弟という事への興味で読み始めたが、成人してだいぶ経ってからこんなに深い話をする機会はふつうの家ではあまりないのではないか。長い時間をかけて何回も対談をしたものを編集の人がまとめたとの事。
    3つのパートに分かれていて、特にパート3ではまさに今、ロシアやウクライナの人々がどんな状況に置かれているのか、他人事ではない、関心を持ち続けて、考えることを手放してはいけないと、2人ともが話している。国民が賢くなるのを嫌がるのはどこの国でも同じなんだと。翻訳家としてロシアの学者の言葉を伝えたいとか、作家が政治的な発言をしてもいいんだ。自分の作品を誤読されたくない、など切実な話も出てきて、なるほどと思った。
    本を読むことが平和な社会を築くことにつながるのね。デモに参加出来なくても、自分の行動や発言の意味を考えることは出来る。たしかに。

  • 大変真面目な兄弟で頭が下がります。最後の方は、今のウクライナ戦争もからみ、特にいろんな示唆がある。

  • 生協の本のカタログで紹介していて面白そうだったので図書館で借りました。
    逢坂さんは知っていましたが未読。奈倉さんは失礼ながら知らず。海外文学にはなんとなく読みにくいイメージで手を出したこともないけど、解説からどんな家庭で育ったのか?気になりました。
    とにかく育った環境が素晴らしいなと感じました。
    日常の政治に対する考え方などはっとさせられるところもあり、本を読むことっていろいろ考えさせられると改めて思いました。
    逢坂さんの本、角田光代さんの「タラント」を読んでみたいと思いました。
    また読みたい本が増える読書でした。

  • 『同志少女』を読んで生まれた疑問(なぜロシア? なぜセラフィマ?)が、ぜんぶ解決しました。

    研究に熱中する父親とか、語学大好きな母親とか、トルストイが好きな祖父とか、なんかすごい。
    トルストイ読もう。
    というか奈倉有里(なぐら・ゆり)先生の本 読もう。
    有里先生(逢坂さんにそう呼ばれていた)の翻訳家としての心構えには痺れました。

    「これを翻訳することは、平和につながるかどうかということを考える。
    どんな言葉を拾っていったら平和につながるのかということを突き詰めていくと、翻訳したい作品も見えてくる」

    あと、
    「(開戦前に『夕暮れに夜明けの歌を』が書けたのは)平和について考え続けていた結果、ウクライナに問題が集中していたから。
    考え続けることが無力じゃないというのは、どこに問題があるのかがわかるようになっていくという意味でもある」
    などなど、最後のほうは太字のオンパレードで感心しきりでした。

    逢坂さんは「自分の意見を作品外でも言うしかないと決意した」と述べているように、本当に饒舌。
    台本無しでしゃべっているとは思えない。
    戦争に対する勉強量、知識量が新人作家のそれじゃない。
    戦争について考え続けてきた人、考え続けている人。
    こんな人が学者以外で日本にいたんだ?
    そこらへんのコメンテーターよりがっつりロシアとウクライナと小泉進次郎に言及する頼もしさ。
    そう、本当に逢坂さんの物怖じのなさは頼もしい。

    近すぎず遠すぎず。
    飾らずに言い合える姉弟対談、とてもよかったです。

  • 凄いキョーダイだな。色々と考えさせられた。ただ流れてくる情報に流される事なく広い視野を持つ努力は忘れないでいたい。

  •  たいへん面白かったです。注目のロシア文学者の姉と「同志少女よ、敵を撃て」の作家の弟。まさかの姉弟ですが、この本の対談で必然的な関係性も分かります。普段からこんな知的な会話をしているのでしょうか。
     翻訳するときに「これを読むことが平和につながるかどうか」と考える姉。読書するときに「自分はこれを好きでもいいんだって思えるのはすごく大事」と考える弟。その2人を育てた放任主義のジブリ映画「耳をすませば」のような家庭。
     今、話題の三宅香帆さんの新書「なぜ働いていると〜」の元ネタもありました。映画「花束みたいな恋をした」のくだり。三宅さんも奈倉有里さん大好きと言っていたので、ここから大ヒットのヒントをいただいたのかも…。

  • 『ことばの白地図を歩く』。若者向けにゲーム仕立てでおもしろく読みやすいけれど、内容は驚くほど専門的。書いたのはどんな人なんだろう?と気になって経歴をみると紫式部文学賞を受賞した『夕暮れに夜明けの歌を』の著者であり、あの『同志少女』『歌われなかった海賊へ』の逢坂冬馬さんと姉弟だと知り驚いたり納得したり。
    「有里先生」と「逢坂さん」。3歳ちがいのおふたりは対談の中でお互いをこのように呼び合い、「文学」「作家という職業」、「戦争や武器」について、専門家同士としてリスペクトしつつ、存分に語り合う。ご両親のエピソードも紹介されるがこれがまた
    言葉かけと言い距離感といい、「親の背を見て子は育つ」の諺どおり。さて、私達も感心してばかりではなく同じ時代に生きているものとして、こんな社会だからこそきちんと次世代に伝えていく努力をしていかなければ。

  • 逢坂冬馬さん『歌われなかった海賊へ』を読んだら
    この本に機械的に誘導されました。
    「あら、お姉さんも作家なんだ」
    他の本を読み始めていたので、
    その後に読む予定でした。

    ところが一昨日深夜、
    3年前書いた佐藤優さんの本レビューに「いいね!」
    そのかたのプロフィールを覗いたら
    お気に入り第一位が奈倉有里さんの小説だったのです。
    それがまた大絶賛!!
    うーむ、まず『文学キョーダイ!!』読むしかないな。

    part1とpart2で家族と作家という仕事のこと。
    非常に楽しく読みました。

    part3では戦争のことが中心です。
    たしかに『同志少女』も『歌われなかった海賊へ』も
    戦争の話でした。

    〈はっきり言えば、『同志少女』は戦争に反対するための小説なんです。ただ、エンターテインメント作品なので、まずは読者に楽しんでもらわないといけないという前提があるんですよね。これが戦争小説を書く最大のジレンマなんです〉

    逢坂冬馬さんはこうも言います
    〈近代以降、ファシズムが完成する時って、歴史上、圧倒的な独裁者が突如として君臨することはまずないんです。独裁者に対する異論を許さない体制ができあがるまでの過程で、やはりファシズムに迎合する市民層が確実に存在するんです〉

    そのことを考えると
    無力感にさいなまれます…。

  • 逢坂冬馬は「同志少女よ…」と「歌われなかった…」
    の2つの小説を、姉さんの奈倉有里のはエッセー「夕暮れに…」と「世界」臨時増刊のシュリマンの講演を翻訳したものの2つしか読んでない。が、注目しているキョーダイである。
    二人が縦横に語る本作は読めば読むほど素晴らしいと思えた。期待の1000倍以上の内容だった。なるほど育てたこの親にして育ったこの子。そうそうありそうな家族ではない。それにしても二人それぞれに見事な自立ぶりである。
    高校生や大学生にぜひ読んでほしい。自分が何者かになろうとすることをきっと支えてくれるぞと思った。
    子どもを育てる親にも必読だ。
    窮屈な世の中に倦んでいる大人にも今一度元気を掻き立ててくれること疑いなし。
    知的に独立した人間になりたいと私のような老人でも思った。

  • 実はお二人の著書をひとつも読んでいないまま、なぜかこの対談にたどり着いた。
    ある種極端な環境で育ったおふたりだからか、世の中をとてもニュートラルに見つめているように感じた。この価値観の人達が書く文章は読んでみたいと思ったので、近々手を出そうと思う。

  • それぞれロシアに関連する示唆に富んだ本を出されているキョーダイの対談本だが、両者の膨大な読書量、知識を貪欲に追求する胆力、知的な自問葛藤、根底に流れる思想に裏打ちされた洞察の深さに、いいとこどりのつまみ食い的な意見とは一線を画すキョーダイ同士の発言に何度も唸らされた。

    『同志少女よ敵を撃て』を読んだ感想として、ゴリゴリのフェミニズム!と思ったが、著者の育ったジェンダーギャップがあってはならないという価値観の家庭環境や、戦って勝って解決する少年漫画への違和感、男性社会に適合することの葛藤を知り至極納得。だから『同士少女〜』はフェミニズムというより、今までホモソーシャルすぎた戦争小説に対するカウンターであり、他国の過去の歴史を通して、自国の現在の有り様を反映させたものだと理解。

    〈なんでなにかのためじゃなきゃいけないの?〉の何にも還元されない読書時間の楽しさや、〈独裁者をキャラクターとして消費する〉の茶化して満足するだけの軽率さに対する考察等、読み応えある文章が多く、その知性の豊かさに圧倒される…。
    しかし知識階層とは無縁の、日々の生活を刹那に生きる人々への眼差しも忘れてないから、このキョーダイの作品は、本屋大賞や話題作として一般の人々にも届くのだと思うと、尊い。

  • 奈倉有里さん、逢坂冬馬さん、お二人の著書を読んでから読みたいと思っていた本。

    逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』がアガサ•クリスティー賞を取ってから出版に至る前に、奈倉有里さんがロシア考証をした、という話が出てきて、そうだったんだ!と、その裏話がとても面白かった。
    お二人のご家族の話もとても興味深く、好きなことを見つけなさい、というお家だったそう。
    戦争に対するお二人の話、作家という仕事に対する話、日本と世界の政治の話…どれもものすごく熱く語られていて、正直全部は理解できていない……もっと日本と世界に関心を持ち、自分で考えなければいけないことがたくさんあると感じた。

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著者プロフィール

1982年東京都生まれ。ロシア文学研究者、翻訳者。ロシア国立ゴーリキー文学大学を日本人として初めて卒業。著書『夕暮れに夜明けの歌を』(イースト・プレス)で第32回紫式部文学賞受賞、『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』(未知谷)などで第44回サントリー学芸賞受賞。訳書に『亜鉛の少年たち』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著、岩波書店、日本翻訳家協会賞・翻訳特別賞受賞)『赤い十字』(サーシャ・フィリペンコ著、集英社)ほか多数。

「2023年 『ことばの白地図を歩く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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