空と風と時と 小田和正の世界

著者 :
  • 文藝春秋
4.40
  • (11)
  • (13)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 132
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (632ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163917818

作品紹介・あらすじ

1970年のデビュー以来、伝説の10日間日本武道館公演などで知られるバンド「オフコース」として約20年間活躍し、その後、ソロとなり、数多くのヒット曲や心に沁みる楽曲を作り歌ってきた小田和正さん。「今年8月、史上最年長アリーナツアーの自己記録を更新。76歳となった今でも、ライブに駆けつけるファンは年間30万人を超え、広いアリーナを縦横無尽に駆け抜けながら3時間近くのライブを精力的に展開しています。ただ、そんな小田さんの人生について、これまで詳しく語られたことはありませんでした。本書では、著者が約20年にもおよぶ年月をかけ、小田さんの幼少期から現在までの76年の音楽人生を、本人インタビューを中心に取材。幼少期に出会った音楽、学校の帰り道、聖光学院の同級生だった鈴木康博さんとビートルズの歌をハモる楽しさを知り、音楽の道へ。13人しか観客が来なかったコンサートなど、二人のオフコースの下積み時代、五人のオフコースとなり、スーパーバンドに成長していく中での鈴木康博さんの脱退、そして四人のオフコースになるも解散……。当時のレコード業界やレコーディング風景から、「さよなら」や「眠れぬ夜」「YES-YES-YES」「ラブ・ストーリーは突然に」など大ヒットした数々の名曲の誕生秘話も明かされます。著者は元オフコースのメンバーである、鈴木康博さん、清水仁さん、大間ジローさん、松尾一彦さんに、バンド解散後、全員に取材。盟友・吉田拓郎さんから見る「人間・小田和正の魅力」や、初期のファンクラブ会員だった作家の川上弘美さんが見た2人のオフコース時代も読みどころの一つです。ストイックなまでに、自分の理想とする音楽を追求してきたアーティストの一大叙事詩ともいえる記録です。■著者の追分日出子さんより小田さんには2005年以降、繰り返しお話を伺ってきました。この約20年間の小田さんの言葉がずっしり入っています。さらに、親族、友人、音楽関係者、スタッフなど、50人を軽く超える方々に話をうかがいました。とくにオフコースメンバー全員と、一人ずつお会いし、じっくりお話をうかがったことは貴重だと思います。オフコースの〈光と影の歴史〉について、当事者たちが語る初めての本になりました。また1970年代、音楽の世界が大きく変わっていく現場にいた人々の貴重な証言など、〈時代の中の小田和正〉を意識しました。さらに2022年2023年の全国ツアーにはスタッフのようにすべて同行、ツアーコラムを評伝の間にはさみました。多くの楽曲について、その背景を知ったうえで、改めて味わっていただこうと、結果的に、60曲もの歌詞を引用しました。小田さんの歌詞は、ご自身の心のなかを見つめ、それを言葉にしています。改めて、小田さんの音楽人生とその歌詞を味わっていただけたらと思います。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 小田和正さんの生い立ちから高校生時代、オフコースの結成、鈴木康博さんとの2人オフコース、5人オフコース、鈴木康博さんの脱退、オフコース解散、ソロ活動、そして2023年のツアーまで、小田和正さんとオフコースについて関わった人たちにインタビューした内容を中心にまとめられた小田和正ファン、オフコースファンにはたまらない一冊。600ページにわたる大作。作家の川上弘美さんがオフコースの初期のことを書いているのも面白い。鈴木康博さんが脱退した理由もわかるような気がする。

  • <読んでみた>空と風と時と:北海道新聞デジタル
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/963107/

    小田和正が「自分の歌を聴くのが、しんどくなっちゃってさ」と感じた瞬間とは…激動の2010年代をふりかえる 『空と風と時と』#2 | 文春読書オンライン - 本の話
    https://books.bunshun.jp/articles/-/8464

    『空と風と時と 小田和正の世界』追分日出子 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917818

  • 小田和正のファンではないが、吉田拓郎の盟友なので読んでみたが私の音楽シーンが蘇って大変面白かった。
    昔はやはり女々しい感じがあって少し距離を置いていたが、今は好んで聴くようにもなった。
    オフコース解散の真相と小田和正の辿ってきた道が理解できた。
    吉田拓郎同様に引退が近いかもしれないが、もう少し頑張ってもらいましょう。

  • 読み応えありました。まだまだ現役で!!

  • 中学生の時からの筋金入りのファンである。5人時代の最後のコンサートにも行けたし、4人になってからのオフコースも大好きだった。だが、ソロになってからの小田さんには違和感を覚えていた。「クリスマスの約束」を見て、その神歌声に感嘆しつつも、なぜか昔ほど心が震えなかった。あれほどこだわっていた“オフコース”を簡単に捨て去ったように思えた。

    この本ほど、小田和正の人生を掘り下げているものはなく、これ以上のものはまたとは出ないだろう。長年のファンなので、知っているエピソードも多かったが、家系も含めここまで生い立ちを綴らせるとは。

    だが、私がこの本を購入した理由はただ一つ。
    4人時代のオフコースが解散した原因を知りたかった。

    小田さんは稀有なアーティストであるが、天才肌の人ではない。また性格もそれにありがちな「俺が俺が」では決してない。かと言って、圧倒的なエネルギーで周囲の人をまとめ上げるほどタフなチームリーダーでもない。むしろ気を遣い過ぎて疲弊する。
    (とは言っても、小田さんは大の“仲間”好きでもある。それが後の“クリスマスの約束”でのアーティストたちとのつながりに発展するのである。しかしそれは部活的な仲間意識であり、利害関係を伴わないことが前提ではなかろうか)きっと仲間たちは、彼がどんなことを考えているのか、思いを巡らせながら、その魅力に付き従うのだろう。小田和正は、ひたすらに考え続け、歩き続ける職人型の人なのだ。不思議なことだが、“天賦の才”の持ち主なのに、彼は自分が“必要とされているか?”いつも懐疑的で、自信がない。なのに努力しても及ばない人の屈折した気持ちが分からない。これが『実質上の解散』となるヤスさん脱退につながる。
    ただ彼の名曲が、自分を決して過大評価しない、繊細な感受性の賜物であるのも事実。
    この本のタイトルどおり、風のような人である。

    さて4人オフコースの解散の理由であるが、よく云えば音楽性の違い、平たく云えばコミュニケーション不足。後者の表現を採用するなら、原因は小田さんの自信のなさだと思う。皆、「俺についてこい!」と言ってほしかったのではなかろうか。
    この本は、登場人物の誰にも肩入れすることなく、元メンバーはもちろん、あらゆる人たちの証言を織り込み、客観的にまとめ上げている。
    寂しいが、手に取るように納得することが出来た。

  • オフコースのいや、小田和正の集大成の書。
    何年もの月日をかけてあらゆる人のインタビューも紹介されていて小田さんファンには嬉しい一冊。
    中でも、大間ジロー、清水仁、松尾一彦のインタヴューとヤッサンも今も現役で活動していると知って嬉しかったし、初期のメンバーの地主氏も建築家として事務所を構えてるとか(共に75歳!)
    解散に至った経緯とかやっさんの気持ちもなんとなく理解できた。けど、やっさんとも3人とも解散後、一回も会ってないってのがすこし淋しいね。決して円満な解散ではなかった。音楽性の違い。当時の社長が変わってシステムががらりと変わり小田さんはあまり事務所に来なくなり(当時の社長に自分がいたらやりにくいだろうと気を使って)圧倒的にコミュニケーションが足りてなかった。と。
    今になればわかることだけど、仕方ないよね。
    5人になってヒット飛ばした功績は武藤敏史氏の手腕が大きかったみたい。
    小田さんはお母さん似だね。(写真が幼稚園の頃の、めっちゃ可愛い)
    お母さんがよく働くし人格者だったよう。
    この本よんだら無性にまた小田さんの歌が聴きたくなった。
    ”クリスマスの約束”もまた見返したい。(特に初期の)
    小田さんのライブにも行きたい。(抽選がなかなか当たらないんだよね)
    とくかく元気でいて欲しい。

  • これを待ってました。「僕等がいた」の真相と経緯が…そうだったのかと

  • 鈴木康博と袂を分って以後、二人で会ったことはない、という事実にビックリ。また、小田さんによる名曲のいくつかが彼と過ごした時間や二人の関係性をモチーフにしたものであろうことも新鮮でした。これまで単に美しい旋律に添えられていた”女々しい”歌詞としてしか認識していなかったものが、当時の出来事や背景を知ることで、そういうことだったのか、、と。

    小田さんが歳を重ねて、変っていったことと変わらないこと。50代、還暦を超えてもなお、人々に求められる作品を作り続けるパワーに圧倒されます。

  • 大作だ。600ページを超える。人一人の歴史はやはりこれくらいは必要なのだ。
    初めて知ったことがいくつか。鈴木とともに栄光を落ちていた。そうなのか。親近感。。
    しかしオフコースからの鈴木の脱退からもう40年。再結成して欲しかった。

全18件中 1 - 10件を表示

追分日出子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×