- 本 ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163917986
作品紹介・あらすじ
「弱くなりたいと思うのって、そんなに悪いことですか?」
若い世代から厚い信頼を集める著者が、〈弱さ〉アピールのはびこる現代のリアルを優しくあぶり出す会心の一作!
■あらすじ
ある日、知らない間に “チワワのピンバッジ” が付けられていたという呟きがネットに溢れた。
その数、なんと800人以上!
主人公・琴美の想い人も、被害者のひとりだった。
〈チワワテロ〉と呼ばれるこの奇妙な事件の直後、彼は姿を消してしまった。
「僕のことはもう信じないで」とメッセージを残して――。
どうして彼は姿を消したのか?
琴美は、親友で「全肯定インフルエンサー」のミアとともに、彼の失踪とチワワテロの謎を追いはじめる。
炎上時代の本音に迫るリアルタイムストーリー
感想・レビュー・書評
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平安時代の合間に現代物を並走するつもりで読み始めたのだが、装画を見て最初からあわない予感。
やはり半分過ぎに挫折してしまいました。
(σ´□`)σ・・・・…━━━━☆ズキューン!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
繊細さんの話かと思ったら、ミステリー寄りの話だった。
知らないうちにチワワのピンバッジを付けられる、チワワテロ。
ピンバッジを付けられた或る人物が失踪し、インフルエンサーでもある親友・ミアと行方を追うが…。
おもしろかったんだけど、弱さアピールして同情を誘うのとか、「弱くて可愛いよ」って肯定してくれるインフルエンサーに心酔するの、私にはよくわからない…。時代…? -
人の強さや弱さは何を持って判断するんだろう。
著者の既読作品『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』『きみだからさびしい』でも感じた孤独と生きづらさ。
本作でもSNSに翻弄され人との関係性に葛藤する人達が登場する。
主人公は大手人材サービス会社の人事部で働く田井中琴美。
尊敬する親友の穂波実杏は「ミア」の名で活躍するインフルエンサー。
親友とは言いながらも琴美はミアに庇護されているような存在だ。
チワワを弱く可愛いものの象徴と捉えたエモーショナルな作品だが、チワワだって時に牙を剥く。
読みながら自立の文字が何度も浮かんだ。 -
チワワと聞いて、何を思い浮かべる?
ふるふると小さく震えながら
うるうるの目を見開いて
こちらを見上げる小さな小さな犬
琴美は採用担当の仕事をしてる
いろんな人に会い
いろんな人の人生の岐路を見る
私は大した人間じゃない
たまたま
たまたまこの仕事に就けただけだ
マッチングアプリで知り合った新太さんとは
ゆっくりゆっくり関係を育んでいる
と、いっていいと思う
彼のシャツの袖口に何かついてる
チワワ?
採用面接に来た学生さんのカバンに何かついてる
チワワのピンバッチ?
「新太さんにもついてましたよね、チワワ」
と口にしたら
新太さんと連絡が取れなくなった
琴美は嫌われた?一緒に旅行に行こうって約束したのに??
あっというまに
チワワのピンバッチをつけられてしまう
チワワテロが発生した
チワワ?
琴美に救いの手が現れた
高校時代の友達で、今はきらきらしたインフルエンサーのミア
「大丈夫、私がそばにいるよ」
そういって、琴美をいつも安心させてくれた
でも、ミアに頼り切っていいんだろうか
「琴美だけはいつまでも、弱くてかわいいままでいてね」
何か、何か、これに甘えるのは、なんか違う気がしている
弱さが、同情を集めれば、もう誰にも攻撃されない
チワワみたいに弱い存在であれば
濡れた瞳を震わせていれば
「かわいそう」
という同情のコメントを集めることができる
弱さこそが、この世界に生きていく強さだ
謎解きもあり、インフルエンサー、ユーチューバーもあり
ツイッターはXと記載され
就活でもSNSは大切なツールになる
とても、今どきを反映しているように思って読んだ
大前粟生さんは「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」や
「きみだからさびしい」を読んだ。
もっと線の細い人かと思っていた。
トークイベントでとつとつとしゃべる姿は
小説を書くのは当たり前、それ以外のことはいらない
そんな風な方に見えた
サインしていただいた。
「きみだからさびしい」がとても好きだということをお伝えした
もっとほかの本も読んでみたい作家さんだ -
個人が己の弱さとどう付き合うかは自由だけど、そこに他者が関わってくるとどうしても危うい方へいってしまうよなと思った。
気質としての弱さはいったん置いておいて、傷の原因やきっかけのみに焦点をあてることができたら、少しは違うのかもしれない。
もがいている若者たちがもがいたまま眼前を通り過ぎていったようで、なんともいえない読後感。 -
キャッチーで読みやすいけどミアの設定がふわふわしていてしっくりこない終わり方だった。すぐ忘れそうな内容。
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2024/06/13
なんか先が読めちゃうのがあれだったかも -
弱くなれば批判もされないし、たたかれなくて済む。だからみんな弱さを求める。弱さは恥でも何でもなく、生きていく術なんだとこの本を読んで強く感じた。一方で弱さを演出して周りから心配され自己肯定感を高めたり進んでポジション取りしようとする人もいる。なぜなら弱い事がメリットになるからだ。チワワシンドロームが社会を蔓延させたら一億総弱者の時代が到来すると思った。
"弱いもの勝ち"なんて言葉も生まれるだろう。
著者プロフィール
大前粟生の作品





