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Amazon.co.jp ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784163918051
作品紹介・あらすじ
トヨタ最大の秘密を知る男の「告白」
企業人の“業”を描く児玉博さんの今作は、トヨタの中国事務所総代表だった服部悦雄氏が主人公です。服部氏は、「低迷していたトヨタの中国市場を大転換させた立役者」であり、「トヨタを世界一にした社長、奥田碩を誰よりも知る男」であり、何より「豊田家の御曹司、豊田章男を社長にした男」として、自動車業界では知る人ぞ知る人物です。トヨタをモデルにしたベストセラー小説『トヨトミの野望』の作中にも、服部氏は「中国の怪人」として仮名で登場します。
服部氏は戦争中に生まれ、27歳まで家族とともに中国にとどまりました。毛沢東の大躍進運動、文化大革命では、一羽の腐った雀を家族で分け合うような飢餓や、零下20度の小屋での一人暮らし、原生林での強制労働と、日本人ならではの苦難を体験します。 帰国後、トヨタに入社。アジア地域の担当を命じられ、トヨタ中興の祖である豊田英二と上司の奥田碩の目に留まり、服部氏はみるみる頭角を現します。
実はトヨタは、中国への進出が遅れたために中国政府から自動車生産の許可が下りず、90年代に世界の他メーカーに大きく引き離され、ドン底の状態に陥っていました。奥田碩会長は、創業家御曹司の豊田章男を中国本部本部長に据え、中国市場の建て直しを命じるのですが、そこには章男が失敗すれば、豊田家をトヨタの経営から外すことができる、という奥田の深謀遠慮がありました。
「章男君程度の社員はトヨタにはゴロゴロいる」、「社長になれるかどうかは本人のがんばり次第だ。創業家に生まれたからといって社長になれるものではない」と公言していた奥田。 そこで、豊田章男が頭を下げたのが服部氏でした。奥田の最側近でもあった服部氏は、トヨタ中国事務所総代表としていかなる決断を下したのか……。
服部氏の初のロングインタビューを元に、トヨタの中国進出と、豊田家世襲の内幕を赤裸々に描いた圧巻のノンフィクションです。
みんなの感想まとめ
企業人としての苦悩と成長を描いた本書は、トヨタの中国事務所総代表である服部悦雄氏の壮絶な人生を通じて、歴史とビジネスの交錯を鮮やかに描き出します。服部氏は、戦中の中国での厳しい生活を経て、トヨタの中国...
感想・レビュー・書評
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「文革を中国で乗り切った日本人の話」というだけで興味深い壮絶なドラマなのだが、それを挿話として、トヨタ社内の政治劇、中国の自動車産業の黎明期を描き切る本書は、筆力もテーマも圧巻だ。ページを捲る手が止まらない。一気に読み切った。しかし、どう表現して良いか迷い、中々レビューは書けなかった。
ー 服部が売ったエンジンを積んだ違法コピーの車は、売れに売れた。浙江省を中心に爆発的に売れたのだった。「そんなに売れたんですか?日本のパクリ自動車が」「セールスマンが良かったんだよ。なにせ今をときめく習近平だったんだから」
服部は笑った。李が吉利汽車を浙江省に起こしたのは1997年。その5年後、同省共産党委員会の書記となったのが、習近平だった。浙江省の実質的なトップになった習は、地元・浙江省発の自動車メーカーを手厚く保護し、育てた。
また、そこまで昔の話でもなく、手の届く範囲の話。その生々しさも臨場感を掻き立てる。
ー 服部は、生きることが当たり前ではなかった時代に、生き延びてきた人なのだ。初対面の時、服部は箸袋の裏側にこんな中国語を書いた。「好死不如懶活」。「児玉さん、これが中国人の本質だよ」
と言って、次のように解説してくれた。中国人はきれいに死ぬより、恥をかこうが辱めを受けようが、生きることを望む、と。服部はこの言葉に、自らの生き方を重ね合わせていたのかもしれない。温泉施設「ラクーア」にあるいつもの居酒屋だった。薄茶色の館内着からは、服部の両腕がのぞいていた。
好死不如懶活。ノンフィクションだが、小説としても、ビジネス書としても楽しめる。また、副作用として、久々にラクーアに行きたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
章男会長が社長の頃からトヨタイムズを見たり、豊田章男の本を読んだりしていた。章男会長は親の七光りに見られがちだが、私は章男会長は意外と苦労人だと思っていて、そんなところに惹かれた。本書はそんな「豊田章男を社長にした男」というサブタイトルがついていたので読みたくなり買った。
ところが豊田章男が社長になっていく過程が描かれているわけではなく、そのタイトル通り豊田章男を社長にした「人」の話(そらそうか。。。)
でも面白かった。あれだけトヨタイムズを観ているのに服部悦雄という方のことを知らなかった。なんと壮絶な生い立ちを経て来られた方なんでしょう。。。
本書の半分くらいは、戦中〜戦後にかけての中国共産党支配下での人々の暮らしの話。それが惨過ぎて途中読むのがつらかった。驚くことと言えば、殺戮された、傷つけられた、強制労働させられた、人達のその数の多さだ。全ての単位が◯千万人。あり得ない。しかも笑けてくるほどに信じられない中国共産党のとんでもない政策のオンパレード。よくもまあそんな子供騙しのような政策を掲げて人々を振り回すことができるなあ!と読んでて「怒り」さえ覚えてきた。
そんな惨い時代を27歳まで中国で過ごしてきて、トヨタの経営陣まで上り詰めた服部悦雄という人物のお話。面白くない訳がない。しかもドキュメントなのだが書かれているタッチが軽いタッチなのか重たくなく小説を読んでるみたいで読みやすかった。そしてなぜだか爽やかな読了感でした。 -
「トヨタ 最大の秘密を知る男の『告白』」という帯のついたトヨタの中国進出の立役者、服部悦雄氏についての1冊。本好きの先輩からお借りして、ほぼ一気読みで読了しました。
なかなかイカツい表紙で、豊田章男さんの表情もなんか怖い(笑 これはオススメされなかったら読まなかったなぁ。(しかし、豊田章男さんと奥田碩さんが並ぶ表紙というのも味わい深いし、この3人の位置関係もなかなかですね)
本著、4割くらいはトヨタとは関係のない、服部氏の戦後中国での生い立ちが語られるのですが、強烈な印象を残すのはむしろこっちだなぁと。
「あまり話したくないんだ」と服部氏が著者に言いながら、それでも著者が引き出した(と思われる)大躍進政策に文化大革命。後者は『三体』でもその異常さが描写されていましたが、本著の切り口でもやっぱり凄まじい。政治で人は死ぬんだなぁ。
しかも、服部氏はそこに「悪質分子」とされる日本人として生きてきたというドのつくアウェー。。
「日本人は中国人をわかってないんだよ」という服部氏のセリフ。本著を読むと腑に落ちます。
トヨタに入って奥田碩さんと出会ってからの服部氏は、中国を中心に活躍し、特に豊田章男さんの下では異世界転生小説バリの無双をしていくのですが、辛い若き日とのコントラストがより際立つようにも感じました。
しかしこれだけの大仕事を成し遂げながら、最終章で「中国人になりきれない中国人で、日本人になりきれない日本人」と自らを評する服部氏。切ないなぁ。。
本著、インタビューと回想、史実の記述を上手く組み合わせて飽きさせない、魅せる1冊でした。
著者の「主な著書」で紹介されているものだけでも興味ある人物が複数挙げられていて、この筆致で読めるならぜひ読んでみようと思いました。本著内でも、さりげなく著者の別作品の紹介がされているのが上手いなぁと(笑 -
トヨトミの野望も面白かったですが、この本は実在の人物に話を聞いて書かれたノンフィクションなのでリアリティがあり、中国やトヨタの実状がわかり興味深かった。
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トヨタでの勤務よりも、中国での子供時代に体験した飢えと恐怖が惹かれる。
服部さんは、永遠に自分の部屋から望遠鏡を使って、トヨタの社長室を覗くのだ。 -
トヨタが苦戦していた当時の中国進出の状況と、そこでのキーマンである服部さんの活躍がよく分かる。奥田さんや章一郎さんの思惑、章男さんの置かれた立場なども興味深く、一気に読めた。
また、服部さんが体験した中国近代史が詳しく書かれているので、当時の厳しい状況が実感を伴って理解できる。隣国中国に興味があればおすすめです。 -
こんな背景があったとは知らなかった。リアルだから、大変興味深く読めた。やっぱり血筋は守る民族なんですね。五兆円の利益を上げる企業はもう公でしょう。 馬鹿では勤まらないよね。
しかし服部さんはスゴイ人間だ。ここまでの生きる事&這い上がる野心があるのが素晴らしい。ひとは生きる環境で変化し、やり切るパワーが生みでるんですね。 中国 -
これは面白い。
トヨタ自動車の中国市場を取り巻く歴史とそこに関わる歴代の社長陣を、服部悦雄という中国育ちの日本人で中国トヨタの立役者となった人物への対話から描いている。
ストーリー展開が秀逸で、あっという間に読み終えてしまった。
服部さんの生い立ちにも関わる、かつ、中国市場を語る上で欠かせないポイントが多いため、本の前半は満洲国解散〜近代における激動の中国近代史が記載されている。
その中で、中国人はどんな思いでどんな生活をしていたのかを服部さんが見た世界も含め記載されている。
何度も中国史は読んで来たがこんなにわかりやすく、イメージしやすく理解できるものは初めてだった。
後半ではトヨタ自動車の中での出来事が記載されている。
以前中国で働いていた経験からも、中国でのビジネスや中国人らしさというものには思い当たることが多かったが、特に服部さんが中国人らしいとして周囲の日本人から敬遠されるシーンもありありとイメージがわいた。
本書の中でも紹介されていたが、トヨタ自動車をモデルにしたトヨトミシリーズと、本書の作者である児玉さんが書かれている テヘランから来た男 西田厚聰と東芝壊滅も読んでみようと思う -
[図書館]
読了:2025/5/11
めちゃくちゃ面白かった。トヨタ歴代社長のルポも読んでみたい。
p.237 東北地方の雄である第一汽車の徐といい、中国経済の要である沿岸地域を牽引する広州汽車の張といい、服部はキーパーソンを抜け目なく押さえていった。こうした芸当ができたのは、服部の語学力はもちろんだが、中国社会を動かす原理を服部自身が皮膚感覚で知っていたこと、そしてそうした彼らと、ほぼ同時代的な体験を共有していたことが、大きかったのではないだろうか。
服部の人脈は、トヨタにとって途轍もなく貴重な財産だった。なぜなら、東京からやってくる駐在員が築こうとしても絶対に築けない人脈だったからだ。
→他社と比較しても、トヨタ内でも、代替不可能なとてつもない「優勢」な資源だったのだな…。しかしそれでも、当時のトヨタ本社からの評判は良くなかった(経歴が異端、会社に抵抗するため)というから、フィルタを外して資源を見抜くというのがいかに困難なことか、というのが分かる。
p. 243 豊田達郎社長以下、中国進出を任されていた副社長横井明、同じく副社長の高橋朗らの幹部が顔を揃えた。服部から、機械工業部幹部の発言、天津汽車の実情などについて、報告が行われた。服部は言葉の端々に、天津汽車はトヨタが組む相手にあらず、というニュアンスを込めた。それを聞いた社長豊田達郎の反応は意外なものだった。
「(天津の)事務所の費用は随分と高いな…」
出席者は顔を見合わせた。中国から来ていた服部ら中国事務所の面々も一様に怪訝そうな顔をした。それはそうだろう。悲願だった中国進出の是非を問う重大な会議にあたり、社長がまず問題にしたのが、新たに開設された事務所の費用なのだから。
中国事務所の面々の、困った様子に助け舟を出したのが高橋だった。
「社長、今の中国は何でも高いんですよ」
「そうなのか…」
達郎はつまらなそうに答えると、天津汽車との合弁の是非を問う資料に目を落としてペラペラと捲り、
「横井君、これよろしく頼むよ」
と言って、横井に資料をホイと手渡すのだった。中国に進出したいと言いながら、まるで他人任せのような態度に、服部は驚いた。
「豊田の家は、天皇家みたいだ」と。
→トヨタほどの規模と品質の会社でも、最上位の意思決定でこんなことがあるんだ…とやたら印象に残った場面。
p. 253 (プリウス開発の2年前倒しを決めた奥田に現場技術者から異論が出た時)
「君らはいつもそうじゃないか。排ガスでホンダに負けたときだって、そうじゃないか」
(1970年の排ガス規制法をクリアするエンジンをトヨタは開発できず、“バイク屋”と見下していたホンダが世界でただ1社成功した。トヨタはホンダに莫大な金を積んで技術供与の契約を結ぶしかなかった)
奥田の前に居並ぶ役員たちは皆、その当時それぞれの現場でその屈辱を味わった面々だった。奥田から“屈辱の歴史”を持ち出された技術陣は黙るしかなかった。
奥田は現場に発破をかけ、開発を急がせた。言葉で圧力をかけるだけではなく、現場に何度も足を運んだ。開発幹部の誕生日には花を贈り、現場の技術者と車座になって酒を飲むこともあった。そうしたときはウイスキーといわず、飛び切りの酒を用意した。こうして奥田は、今までのトヨタの社長が見せたこともない行動で現場の心を掴み、やる気を起こさせた。
p. 269 「服部さんにすべて任せる」
上司であるアジア本部長の章男は、父章一郎から言われていたように服部に信頼を置き、できうる限りの裁量を与えた。章男自身が差配するには、あまりに中国のことがわかっていなかった。
p. 271 また服部の提案は、徐の政治的思惑にも合致するものだった。WTO加盟によって、自動車業界も淘汰が必然と思われていた。そうした状況下にあって、天津汽車の2000億円もの負債処理には、国のメンツがかかっていた。そこで、倒産ではなく第一汽車との合併という体裁が取れれば、国の傷は最小になり、自動車産業を抱える“機械工業閥”も傷口を広げずに済む。
→相手の利になることが何かを読む。それまでに相手を知らなければできないこと。知るために服部氏は会食や会談を重ねていた。
p. 278 (2002年8月)第一汽車とトヨタの合弁に先立ち、同様に重要な合弁事業が実現していた。(中略)四川トヨタを第一汽車に身売りする、この構想も服部が描いたものだった。広州自動車の張が指摘した「トヨタは四川とも合弁をやっている」という危惧に対して、「大丈夫だ」と服部が太鼓判を押したのは、こうした背景があったからだ。
(中略)2004年には満を持して広州汽車との合弁を実現し「広汽トヨタエンジン」、「広州トヨタ」を相次いで誕生させる。これでトヨタは、南の大経済圏に大きな橋頭堡を築くことになった。これも、四川トヨタを第一汽車にいち早く身売りしていなければ、“2社ルール”に抵触し、実現できなかった計画だった。そこまで見通していた、服部の功績は計り知れない。
p. 281 服部が描いた秘策ーー第一汽車による天津汽車買収、四川トヨタの第一汽車への身売り、そして広州汽車との合弁設立、この3点セットが成功したからこそ、トヨタは反転攻勢に出ることができたのだ。服部というまれに見る戦略家なくして、トヨタの中国市場での成功はあり得ず、豊田家の血の継承もなかったかも知れない。
p. 289 (章男氏から突然のリタイア勧告「もう何もやらんでいいですよ。僕がいる限り役員待遇ですから」、人生の最後は中国で終えようと中国に帰化しようとしたが)結局、北京市からその認可は下りなかった。市民になる場合、所属する団体からの推薦などが必要だったが、トヨタの中国事務所は、頑として服部に協力しようとしなかった。筆者が当時の話を聞いたあるOBは、「絶対に協力したくなかった」と、吐き捨てるように言った。
→、「トヨタでは粛々と仕事をする人間がよいとされる。「俺がやった」と公言して憚らない服部氏への怨嗟の思いはトヨタの中国事務所に充満していた。服部に対する嫉妬も凄まじかった。」と、トヨタの謙譲の美徳と服部氏の中国的価値観の相容れなさが理由と書かれているが、推察だが、「人にかわいがってもらうことはできるが、人をかわいがることは出来ない」人だったんじゃないだろうか。それも厳し過ぎる生い立ちによるのだろうけれど…。
あと、トヨタの中国進出の立役者たち(第一汽車の董事長、広州トヨタの代表董事長)の「腐敗」による逮捕が相次ぎ、服部氏が連座して逮捕されるようなことがあればトヨタの歴史に汚点を残すことになり、服部氏が中国に残るという選択それ自体が、トヨタにとって大きなリスクに他ならなかったという理由もあるようだ。
p. 302 (中国トヨタOB会の挨拶にて)「第一汽車、広州汽車と、僕が合弁をやったけれど、果たしてそれで皆さんが幸福になったか、不幸になったかはわこりません。でもね」服部はここで言葉を切り、息を溜めた。
「だけどね、トヨタという会社は幸せになったこれだけは間違いない。僕らが苦しめられていた、天津汽車との関係を終わらせて、第一汽車、広州汽車と組んで、間違いなくトヨタは幸せになった」
そして悪戯っ子のような表情を浮かべ、こんな言葉を投げかけて挨拶を終えた。「皆さん、幸せになりましたか?僕はそうでもないです。こんなもんです」
→会社のために、人生をかけているであろう人たちの顔が何人か浮かんだ、印象的な場面だった。 -
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題名が宜しくないと思います。トヨタ中国の設立と事業を軌道に乗せるのに多大な貢献をしたが役員にはなれなかったのはおそらく自己主張が過ぎたのかもしれません。生い立ちから大陸で育った人は日本の会社でやっていくのは難しいのかもしれません。内容的には終戦後にそのまま大陸に残った日本人一家がいた事と文化大革命中の生々しい部分が非常に興味深い記述でした。
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トヨタにこんな方がいらしたのかと驚いた。
中国で満州国時代から大躍進、文革後まで27年間生き抜いた服部氏という方がトヨタでの中国ビジネスを築いたという。
この希有な半生をノンフィクションで読むことができてありがたいことだ。トヨタは中国で思うようなビジネス展開ができなかった印象があったが、その辺りの事情もよく分かった。
一方で本書は文革などの中国の悲惨な歴史をページを割いて綴っているが、それは本書で読まなくても良かったかな。
むしろトヨタの中国ビジネス、服部氏の中国での活躍、服部氏がトヨタでは好意的に受け入れられなかったようだが、それはなぜなのか。そんな点をもっと読みたかったな。 -
めちゃくちゃ面白くて一気に読破。
前半は中国での主人公(?)の過酷な生活、やはり毛沢東時代の中国は狂ってると思ってしまう。
直前に百田尚樹の中国史の本で共産党の蛮行に関する記載を読んで、これマジ?って思っていたけど、図らずも答え合わせができてしまった感。
ゲームの王国のポルポトの恐ろしさが記憶に残ってるけど、やはり行き過ぎた社会主義はとんでもない。
後半はそんな経験をした主人公が、出遅れた中国市場の中でトヨタを建て直していく話。
全体通してかなり生々しい記載があり、臨場感がすごい。歴史+ビジネスの勉強になるし、トヨタ系民は必読 -
経済雑誌の内幕レポートとしては面白いが、評伝ノンフィクションとしては物足りなさが残る。
インタビュー中に何度も繰り返される、「児玉さん」との呼びかけ。
穿った見方をすると本書は、服部が社内で陰口を叩かれ、トヨタ公式記録からも消されつつある自身の功績に、光を当てさせるために書かせた自伝本のようにも見えてくる。
人物像へのアプローチは不完全で、中国での辛苦を極めた生活の実態はくわしいが、日本での私生活はベールに包まれたまま。
相手が語りたいこと、気持ち良く喋ってくれることだけを聞きとって、穿れば血が流れ出すような箇所は慎重に避けている。
それに「低迷していたトヨタの中国市場を大転換させた立役者」とか、「豊田家の御曹司、豊田章男を社長にした男」という評価も、両手を挙げては首肯し難い点もある。
確かに起死回生の買収・合併劇の絵図を描いて実現させた戦略はたいしたものだと思えるが、中国のWTO加盟による自動車産業の危機という追い風がなければ、あり得ない功績でもあった。
どんなにネイティブの会話ができ、中国流の商談が巧みでも、この風が吹かなければ、袋小路の状況の打開もできなかったはずだ。
それより興味深いのは、トヨタが中国市場で出遅れた理由の方だろう。
改革開放政策前からあれだけコミットしていたのに、ドイツなど他社の外国企業に遅れをとってしまった。
市場に残っていたのは部品供給会社としての役割だけで、手を組んだ会社も2000億円の不良債権を抱える破綻企業。
80年代から90年代は、米国市場対策でリソースを割かれたためだとの言い訳も出てくるが、それだけではきっとないだろう。
「中国人には買えないだろ」というより、「トヨタ生産方式を中国に根付かせるのは無理だ」との諦めがあったのではないか。
中国人は綺麗に死ぬよりも、惨めに生きたほうがマシと考える。
日本人とは真逆。
心の底では共産主義を嫌っていても、生き残るためにはどんな酷い帝王でも従う。
這いつくばってでも生きようとするのが中国人だと語る服部。
毛沢東が大号令をかけ始まった大躍進運動とその後の文化大革命を当事者として生きた日本人。
人類史に残るほどの餓死者を出した狂気と茶番の時代を、「日本鬼子」と差別され続け、中国時代は思い出したくもないと唾棄するほど嫌い抜いているのに、自分が知らず知らず彼らのように行動してしまっていることに気づき愕然とする。
「洗脳教育は、脳みそに中国共産党というシワを刻み込むようなものだった」と語るほど、自分の行動様式に染み付いてしまっていた。
他と交わらず、自分のみを恃みとし、夜な夜な政府高官や幹部を接待するだけでなく、他メーカーとも平気で情報高官を交わした。
陰口を叩かれる服部のやり口は、起死回生の秘策を成就する力ともなったが、習近平による汚職撲滅政策により、終の住処としようとした中国からも追い出される遠因ともなった。 -
トヨタ中国の怪物と言われた服部氏の壮絶な人生の物語と中国の共産党と自動車産業の歩み及びトヨタという巨大企業の闇が交錯しとても読み応えのある作品に仕上がっていました。
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これは面白い!
途中、満州建国あたりからの中国の近代史に相当なページが割かれていて、なるほどと思わせる内容でした。
ググってみた限りでは主人公の「服部悦雄」なる人のwikiページがなさそうで、現在存命なのかどうかもわからず。。
いずれにしても、この本がすべて実名で登場のノンフィクションである以上、トヨタの中国進出の立役者であることは間違いなく、恐らくこの本を読むであろうトヨタ幹部/社員の人たちはどう感じるのだろうか。往々にしてこの手の暴露(?)本は関係者が世を去ってから出そうなものだが、この内容はここ30年ほどのかなり最近な話であることもあり。 -
好 死 不 如 懶 活
hao si bu ru lai huo
きれいに死ぬよりも、惨めに生きたほうがまし -
2025/10/4 21:42 2025/10/8 0:00
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同じように育った人が何億人といるんだと思うと中国ってほんと
児玉博の作品
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