娘が巣立つ朝

  • 文藝春秋 (2024年5月13日発売)
3.50
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Amazon.co.jp ・本 (392ページ) / ISBN・EAN: 9784163918396

作品紹介・あらすじ

どうしてなんだろう――
それでも人はつながろうとする。

高梨家の一人娘・真奈が婚約者の渡辺優吾を連れて実家に来た。優吾は快活でさわやか、とても好青年であることは間違いないが、両親の健一と智子とはどこか会話が嚙み合わない。
真奈は優吾君とうまくやっていけるのか? 両親の胸にきざす一抹の不安。
そして健一と智子もそれぞれ心の中にモヤモヤを抱えている。健一は長年勤めた会社で役職定年が近づき、最近会社での居心地が良くない。週末は介護施設の母を見舞っている。将来の見通しは決して明るくない。
智子は着付け教室の講師をして忙しくしているが、家で不機嫌な健一に辟易している。もっと仲のいい夫婦のはずだったのに……。

娘の婚約をきっかけに一家は荒波に揺さぶられ始める。
父母そして娘。三人それぞれの心の旅路は、ときに隔たり、ときに結びつき……
つむがれていく家族の物語。

みんなの感想まとめ

家族の絆と葛藤を描いた物語は、娘の婚約をきっかけに揺れ動く高梨家の様子を映し出します。快活な婚約者を迎えた娘・真奈と、経済的格差や家庭内の不満を抱える両親の心の旅路が交錯し、時に隔たり、時に結びついて...

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『婚約』をした娘からこんなことを言われたらどうするでしょうか?

     『私、向こうのご家族とうまくやっていく自信がない』。

    あなたは、『婚約』した相手に『男の子一人?女の子は?私は二人欲しいな』と話して次のように言われたらどうするでしょうか?

     『そんな、ピザの注文を取るみたいに言われても』。

    『婚約』から『結婚』に至るまでの日々にはさまざまな事ごとが待ち受けています。それまで、『好き』、『愛してる』そんな思いだけで突っ走ってきた二人が共同生活を見据えさまざまな事ごとを話し合っていく必要にも迫られます。そして、そんな当人を送り出す立場の両親も他人事ではいられません。子どもを送り出すという家族にとっての大きな節目だからこそ、さまざまな軋みも生じます。そう、『結婚』というのは、それまで赤の他人だった二人が、家族として新たな繋がりを持つ起点であるからこそ、さまざまな試練が待ち受けてもいるのです。『結婚』というもののある意味での怖さを感じもします。

    さてここに、半年後に娘の『結婚』を控えた家族三人を描いた物語があります。『結婚の挨拶』から始まるこの作品。そんな先に訪れるさまざまな試練を潜り抜けていく家族の姿が描かれるこの作品。そしてそれは、『子育てのゴールとはなんだろう?』という言葉に読者も思いを馳せることになる家族三人それぞれの思いを見る物語です。

    『お父さーん、そろそろ真奈ちゃんたちが来るよ。準備して』と『二階にいる夫に声をかけ』たのは主人公の一人・高梨智子(たかなし ともこ)。『歯磨きなどのマウスケア用品や洗剤などを作っている会社の総務課』で働く一人暮らし中の娘・真奈に誘われ、久々に『一緒にお茶を飲』んだ智子は『大学時代の同級生の渡辺優吾という青年と、結婚を考えていると打ち明け』られます。『旧財閥系の工作機械関連の会社』の『名古屋支社』に勤めているという優吾と、夕食をともにするためやってくるという真奈。そして、二階ではなく『門の脇に植えたピンクの椿の前に』いた夫に『そろそろ支度してよ』と声をかける智子。『自動車メーカーの関連企業に勤めている』『一歳年上』の健一は、『わかっているよ』とため息をつきます。しかし、『高速道路が混んでおり、予定より四十分ほど遅れる』と連絡があり、『まずは食事をしたほうがいいと考え』る智子は、『次々と料理を運』びます。そして、『ほとんどの料理を運び終え、水炊きの鍋を卓上に置いたとき、真奈と優吾が到着』しました。『名前の通り、優しげな雰囲気の大柄な青年』と優吾のことを見る智子。一方の真奈は『おいしそう!私の大好物ばっかり』と歓声をあげます。それに『お母さん、朝から張り切っちゃったんだから』と返す智子の横から『優吾さん、遠慮せず、つまんでください。君がまず取ってくれないと、こちらも食べにくい』と健一が『寿司の大皿を』すすめます。それに、『あの』、『すみません…僕…』と申し訳なさそうな声を出す優吾。『しまった』と『一瞬目を閉じる』智子は『優吾が魚が苦手なことを、夫に伝え忘れていた』と思います。『お父さん、言い忘れてた。優吾さんはお魚が苦手なんだって。だから、優吾さんの分はね、高梨家特製、炊き込みご飯を炊いてあるから』と説明する智子。そんな言葉を受け『優君、お母さんの炊き込みご飯、すっごくおいしいよ』と言う真奈の横で智子は『炊き込みご飯をおむすびにしたものを』『いそいそと運』び『皿をこたつ』に置きます。それを見て、『あっ』と声を上げた真奈は優吾を見ます。『本当にすみません』と頭を下げる優吾を見て『えっ?今度は何?』と『心のなかで』つぶやく智子に『僕、おむすびが苦手で。寿司もそうなんですけど、素手で握られたものが昔から苦手で』と説明する優吾。それを受け、『きちんと手は洗って結んだけど…そうね、最近はラップを使うんだっけ』と『思わず』『自分の手を見』る智子。それに、『すみません…あの、大丈夫です』と『炊き込みご飯のおむすびに手を伸ばし、勢いよく口にし』、『あっ、おいしい。うん、すごくおいしい』と微笑む優吾。『そう?お口にあってよかったけど…ほんと、楽にしてね』と言うも『必死の気遣いを感じ』る智子。そんな中に『こたつ初体験かもしれない』と言う優吾に『暖かいところのご出身?』と訊く智子。『いちおう東京…親は山梨に住んでいますけど』と答える』優吾に『私も今の部屋にはこたつもファンヒーターもない。エアコンと加湿器だけだな』と言う真奈。それに『エアコンだけだと、うちは寒いんだよ。隙間風も入るし、古いから』と健一がぽつりと言ったことで『場の空気が沈』みます。『何か、話題を振らなければ。楽しい話題を』と焦る智子は、『卓の上に飾った椿の花に、真奈の目が留まった』のを見て『そうだ、真奈ちゃん、その椿ね…』と語りかけます。しかし、その時です。『場の空気に耐えかねたように、花がぽとりと枝から落ち』てしまいました。そんな『結婚』の挨拶の場の先に次々と試練が訪れる高梨一家の物語が描かれていきます。

    “2024年5月13日に刊行された伊吹有喜さんの最新作でもあるこの作品。”発売日に新作を一気読みして長文レビューを書こう!キャンペーン”を勝手に展開している私は、2024年2月に阿部暁子さん「カラフル」、3月に柚木麻子さん「あいにくあんたのためじゃない」、そして4月には千早茜さん「グリフィスの傷」と、私に深い感動を与えてくださる作家さんの新作を発売日に一気読みするということを毎月一冊を目標に行ってきました。そんな中に、優しい眼差しから描かれた作品世界が特徴で、2021年本屋大賞で「犬がいた季節」が第三位にランクインした伊吹有喜さんの新作が出ることを知り、これは読まねば!と発売日早々この作品を手にしました。

    そんなこの作品は、内容紹介にこんな風にうたわれています。

     “高梨家の一人娘・真奈が婚約者の渡辺優吾を連れて実家に来た。優吾は快活でさわやか、とても好青年であることは間違いないが、両親の健一と智子とはどこか会話が嚙み合わない。娘の婚約をきっかけに一家は荒波に揺さぶられ始める。父母そして娘。三人それぞれの心の旅路は、ときに隔たり、ときに結びつき…つむがれていく家族の物語”

    このレビューを読んでくださっている方の属性はマチマチです。内容紹介にあるような娘の『婚約』という場面を経験された方もいらっしゃるでしょうし、いつかはそんな日が…と遠い未来を思われる方もいらっしゃるかと思います。この作品はそんな娘の『婚約』の先に巻き起こる家族のドタバタの半年を5つの章に分けて描いていきます。5つの章は主人公となる高梨家の三人に順番に視点を切り替えながら展開していきます。では、まずはそんな三人をご紹介しましょう。

     ・高梨智子: 53歳
       - 大学卒業後、生命保険会社の総合職として働いていたが、妊娠した際に体調を崩して退職
       - 中学生の通信教育の添削のパートをずっと続けている
       - 新宿で着付け教室の講師をしている
       -多摩市にある二十三年前に購入した中古戸建てに暮らす

     ・高梨健一: 54歳
       - 隣の市に本社がある自動車メーカーの関連企業に勤めている
       - 来年の誕生日に役職定年を迎える。給与が減額される前に転職をしようと何度か試みたが、うまくいかない
       - 昔は穏やかでユーモアがある人だったが、最近は常に不機嫌で、ため息をつくことが多い
       - 智子とは大学の映画サークルで知り合った先輩、後輩の仲

     ・高梨真奈: 26歳
       - 歯磨きなどのマウスケア用品や洗剤などを作っている会社の総務課勤務
       - 自分の能力は万事ほどほど。欠けてはいないが突き抜けてもいない
       - 実家までは電車と徒歩を合わせて五十二分という初台のマンションで一人暮らしを始めて四年
       - 結婚資金 → 『よくそれだけ貯めたね』

    はい、かなり詳細な設定がなされていることもあって読者の中に三人のイメージが鮮やかに浮かんでくると思います。物語は、一人娘の真奈が『大学時代の同級生』である優吾に『プロポーズ』されたことで、二人で両親の家に挨拶に訪れるという場面からスタートします。では、相手についても触れておきましょう。

     ・渡辺優吾: 26歳
       - 旧財閥系の工作機械関連の会社の名古屋支社に勤める
       - 名前の通り、優しげな雰囲気の大柄な青年
       - 魚が苦手。おむすびや寿司など素手で握られたものが苦手。潔癖症
       - 結婚資金 → 『結納したらほとんど貯金は残らない』

    冒頭に記した〈第一章 一月〉に描かれる通り、優吾はえっ?という一面を見せ読者をも驚かせます。『結婚』の挨拶に訪れた場で、『魚が苦手』、『おむすびが苦手』というドキドキハラハラさせられるストーリー展開ですが、このあたりは今の若い人はそうなるのかしら?と思われる方から、迎える側の配慮が足りないと思われる方まで価値観によって見え方が変わってくるかもしれません。とは言え、伊吹さん的にはこの先に巻き起こっていく価値観の違いによるぶつかり合いを暗示する場面として意味をもって描かれているのだと思います。

    さて、物語は真奈と優吾が『婚約』したことで巻き起こるさまざまな事態に対峙していく三人の姿が描かれていきます。上記した通り、各章においては三人に順番に視点が切り替わっていきます。このことによって三人それぞれの心持ちと、他の面々を見やるそれぞれの心持ちが鮮やかに浮かび上がってきます。26年育てた娘を送り出す智子と健一の心情は複雑です。冒頭に描かれる健一の狼狽ぶり、智子の不安感は、子どもを送り出された経験をお持ちの皆様には激しく同意される場面ではないかと思います。そんな中に健一はこんなことを思います。

     『子育てのゴールとはなんだろう?もしかしたら、今、この瞬間が、ゴールかもしれない』。

    『子育て』のゴールをいつと捉えるかはなかなかに微妙な問題だと思います。その先をご存知の方には、まだまだ甘い、とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

     『真奈が結婚し、目の前の家族と親子の関係になるのかと思うと実感がわかない。そして大事なものを取り上げられたような気分になってくる』。

    これは、まさしく娘を送り出す父親の心境ではないでしょうか?

     『婚礼において父親ができることなどほとんどない』。

    そんな風に寂しい思いにも囚われていく健一。私は男性ですのでどうしても健一の抱く思いに強く共感してしまいます。伊吹さんは健一をどこにでもいそうな54歳に設定されています。決して突飛でなく、この年齢に抱くであろう定年を間近に控えた世の中の平均的なお父さん像を見事に描き出していきます。一方の智子は、『最近は常に不機嫌で、ため息をつくことが多い』という健一のことを気遣いつつ、真奈のことを思う、こちらもよくできた53歳のお母さん像を見事に描き出していきます。そんな智子は、娘をかつての自分と重ね合わせていきます。

     『挙式の朝、いつも笑顔で明るく、安らげる家庭を作るようにと、父はとつとつと方言で言った。その隣で母は、身体に気をつけるようにと、何度も繰り返していた』。

    そんな過去を振り返る智子。

     『きっと似たようなことを、自分たちも真奈に伝える。上京して三十五年。父母と暮らした歳月より、夫と暮らした年月のほうが長くなった』。

    智子のこの思いは送り出すのが娘だからこその感情だと思います。このレビューを読んでくださっている方の中で同じようにお母さんでいらっしゃる方は、この智子の思いに触れるだけで共感の中にうるっとされる方もいらっしゃるかもしれません。とにかくよくできた物語だと思います。何度も書きますが、突飛さの全くない極めて中庸な人物を主人公に設定しているからこそ自然と醸し出されてくる味をそこかしこに感じます。そして、結婚することになる当事者が真奈です。会社の総務で働く真奈は『本当は商品開発か広報の仕事』がしたいと願うものの『希望は通らず』という日々を生きています。そんな中に『自分の能力は万事ほどほど』と理解する真奈。

     『ドラマでいえば主役ではなく彼らの友人。それもたいした台詞もなく、うなずいているだけの「友人A」だ』。

    自らをそんな風邪に卑下する真奈の自己認識は、『大学時代の同級生』である優吾に対する引け目としても現れています。

     『優吾は容姿も性格も、ドラマで言えば主役級だ。彼に思いを寄せている人は学内にも多くいた。そんな優吾がどうして「友人A」の自分と一緒にいるのか、ときどき不思議な気分になる』。

    鬱屈とした内面を垣間見せる真奈。物語は、三人三様の思いを見せていきます。そしてそれは、

     『挙式の予定まで半年 ー』

    というタイムリミットへ向けて家族の中に巻き起こるさまざまなドラマを見せていきます。『婚約』をしてから式を挙げるもしくは籍を入れるタイミングまでの日々というものはそれまでの燃え上がるような二人の『愛』だけで進んでいくものでもありません。結婚によって二人の生活が一つになる、その中では、さまざまな擦り合わせが欠かせません。また、今まで見えなかった事ごとに気づきを得ていく日々でもあります。

     ・『ねえ、お母さん、お金のことって、本当に悩むね。話しづらいし、けんかのもとになるし』。

     ・『互いの実家の暮らしぶりや、結婚式への考え方が大きく異なることを知った』。

     ・『男の子一人?女の子は?私は二人欲しいな』。『そんな、ピザの注文を取るみたいに言われても』。

    二人が一緒になる、一緒に暮らす、そして一生を共にする、と未来を見据える中にはお金に対する考え方、お互いの家族への理解、そして、子どもを持つということに対しての考え方の確認は避けて通ることはできません。これは、主人公である真奈だけのことではありません。このレビューを読んでくださっているあなたにも議論を重ねる中で口論になりながらも意見を擦り合わせる過去があったのではないかと思います。その一方で、『結婚』を控えまさにそんな試練を現在進行形で味わっているという方もいらっしゃると思います。そして、この作品は主人公が三人、つまり当事者の真奈だけでなく、両親の健一、智子に巻き起こる試練も描いていきます。物語では想像以上にこの試練の大きさに衝撃を受けます。まさに五十代という人生の中でも悩み多々な時代に巻き起こる夫婦の危機がそこに描かれていくのです。まさに高梨家にとっての一つの試練、一つの区切り、そして新たなる旅立ちを描く物語。単行本392ページという物量が見せるその結末には”誰も避けては通れない”悲喜こもごもの先に見る未来。そこがゴールでもなく、あくまで一つの試練を潜り抜けた家族三人を見る物語が描かれていました。

     『家族で過ごすのもあと三ヶ月。いつかこの夜を、なつかしく思う日が来るだろう』。

    娘の『婚約』の先に巻き起こる家族のさまざまな試練を描き出すこの作品。そこには、人生の大きな分岐点となる真奈の『結婚』に向かう家族三人のさまざまな葛藤が描かれていました。『結婚』に向けた擦り合わせの大切さを懐かしく感じるこの作品。そんな過程を経るからこそ、その先の結婚生活が成り立つことを改めて感じるこの作品。

    「娘が巣立つ朝」という書名に込められた伊吹さんの深い思いを感じる素晴らしい作品でした。

    • きたごやたろうさん
      またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。

      私に子どもはおりませんが、父親の擬似体験がこの本で出来そうですね!
      またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。

      私に子どもはおりませんが、父親の擬似体験がこの本で出来そうですね!
      2024/12/20
    • さてさてさん
      きたごやたろうさん、
      こちらこそいつもありがとうございます。
      娘の『婚約』の先に巻き起こる家族のさまざまな試練が描かれた作品でした。
      きたごやたろうさん、
      こちらこそいつもありがとうございます。
      娘の『婚約』の先に巻き起こる家族のさまざまな試練が描かれた作品でした。
      2024/12/20
    • きたごやたろうさん
      さてさて、さん。

      すみません。
      私の想像より先の世界の物語なのですね。

      失礼しました。
      さてさて、さん。

      すみません。
      私の想像より先の世界の物語なのですね。

      失礼しました。
      2024/12/20
  • 久々の伊吹作品だけに、期待感が高すぎたのかもしれない。経済的格差のある家族の結婚問題がテーマと思いきや、別にもう一つのテーマがあり、ややとっ散らかってしまったかなという感じがする。そこに主テーマがもう少し関わってくれば、また違ったような気も。。話のつながった短編集をまとめてしまったような、そんな作品だった。
    また、結びの最終章までがあまりに展開に動きがなく、それもまたつらかった。よく言えば結果を早く知りたいであり、厳しくいえば退屈とも言えるような。
    発売して間もなく、これから読む方もいるので、あまりネガティブな感想もどうかとは思うが、好きな作家さんだけに、厳しめかつ、あくまでも個人的な感想ということで。 ★3.0

  • 最近好きな伊吹さんの新作
    題名からしてなんだか心温まる話を勝手に想像して手に取りました


    そしたら、、、不穏!!!笑
    結婚って、家庭を築くって本当に難しいと思わせられる作品でした


    娘が婚約者を連れてくるところから物語は始まります


    結婚が決まってから浮き彫りになる価値観の違い。
    結婚式に対する考え方だけでなく、
    育った環境の違い、
    相手の両親とのやりとり、
    お金の貯蓄具合、
    将来の展望、
    そして結婚後のお金のやりくり


    2人の気持ちをすり合わせるだけでも難しいのに両家の意見が入ってくるともっと難しいですよね。


    その葛藤ややり取りがとてもリアル!
    自分のことを思い出して頷きながら読んでました
    他人同士が家族になるって本当に難しい!!



    私事ですが、ウェディングプランナーをしていたことがありまして
    結婚式の準備のあたりは、その当時のことを思い出しました
    特に衣装合わせの様子が!!笑
    本当にリアルでした



    新郎新婦の間で重要にしてることも違うし、感覚も違うし、決めることも多いし、期限も迫ってくるし、個人的には結婚式準備は結婚の最初の試練だと思っています
    そういうことを乗り越えて少しずつ家族になっていくんですね



    その後娘の結婚を期に親の夫婦仲にも問題が発生していきます


    こっちのやりとりも気持ちもすごくリアルなんです
    衝突するところはあるけど
    ふっと緩和される部分もあって
    夫婦を上手に描かれてるなと思いました



    そして、、どうしても言いたいことあるので
    ここからめっちゃネタバレです笑












    最後はなんだかんだ円満な感じで終わるんだろうなと読み進めていたら
    ずっと不穏やん!!!笑


    スッキリしない読了感でした…笑


    熟年夫婦のいく先はあれしかないの、、、?
    今後の参考にしようと読んでたのにー!笑
    共感できるーとか思って読んでた私
    我が家も心配になる、、笑




    不機嫌は立派な暴力という言葉が
    とても残りました


    めっっっっちゃわかる!!!


    我が家も一時期険悪期があって
    夫が不機嫌だったり、
    会話がなかったりしてたことがあって
    智子の気持ちがめっちゃわかりました。。。


    そして自分のことも振り返って反省
    ただ日々に忙殺されて不機嫌になってなかっただろうか。。。
    家族って日常ですからね
    ちょっと気をつけねばと思いました!!



    私は結末至上主義的なところがあるので
    星3にしようかなと思ったけど
    それでもやっぱり伊吹さん好き!
    このリアルさが伊吹さんだなと思います。さすが!
    というところで星4つ


    また読もう〜♪

    • どんぐりさん
      精進しますᕦ(ò_óˇ)ᕤ
      精進しますᕦ(ò_óˇ)ᕤ
      2024/07/02
    • かなさん
      こんにちは~!
      どんぐりさんのレビューが面白かったので
      つい読みたくなりました(*^▽^*)

      どんぐりさん、ウェディングプランナー...
      こんにちは~!
      どんぐりさんのレビューが面白かったので
      つい読みたくなりました(*^▽^*)

      どんぐりさん、ウェディングプランナーだったんですか?
      どんぐりさんのイメージにピッタリな感じがします♪
      2024/07/05
    • どんぐりさん
      かなさん おはようございます♪

      ホントですか(〃ω〃)うふ

      自身の結婚前のことなので結構前なのですが笑
      なので結婚モノとか、結婚式モノの...
      かなさん おはようございます♪

      ホントですか(〃ω〃)うふ

      自身の結婚前のことなので結構前なのですが笑
      なので結婚モノとか、結婚式モノの話はわりと好きです(*゚▽゚*)
      2024/07/06
  • タイトルから若い2人が結婚式を迎えるまでの数々のハードルを乗り越える物語、と、勝手に思い込んで読み始めました。
    読み始め当初は想定通りありきたりな展開で中弛み感を感じながら読んでいたのですが、暫くすると物語の流れに違和感が漂い始めました。
    いつの間にか物語は式を迎える2人ではなく、娘の家族に均等にフォーカスされていて、むしろ子供が成長した後の晩年の親夫婦の在り方に比重を寄せて描いています。
    どうしてどうして。
    さすが伊吹先生。
    なかなかの読み応えがありました。
    一筋縄では行かず、いい意味で裏切られました。

  • 娘の結婚騒動に親夫婦も離婚の危機。身につまされて気が重くなってくる。
    元々口の重い父親が役職定年で会社に居場所が無くなって来て、家庭でも不機嫌でいる。小さなイライラから、妻も爆発寸前。そこに娘の結婚話。相手の家庭との格差にどんどんストレスが溜まる関係者。読んでいて、こちらもストレスが溜まる。
    お互いの爆発で破談へ。親も分裂の危機。最後は半分収まり、半分は中途半端な解決。スッキリとさせて欲しかった。

  • 娘が結婚相手を連れてきた!

    50代半ばの夫婦は、嬉しいと同時に緊張も…
    何故かグダグダの挨拶に終わって、という流れから結婚に向けての準備がスタートするのだが、相手の両親が身近にいないタイプでセレブだった!

    この格差婚は、大丈夫なのか⁉︎と思いつつ、娘の父の不機嫌さや急に始めたギター、朗らかだった母の異変などなど、どうなる結婚?と最後まで目が離せなかった。

    お互いにひとりっ子同士なので親同士の関わり方も相当しんどいだろうなぁ…と。
    結婚は、もちろん親戚関係になる上で親同士の付き合い方もあるだろうが、結婚式・披露宴などはどこまで親が口を出すのか?というのもある。

    いろんな考え方があって当然だが、結婚式までの決め事はひとつひとつ片づけていくしかないのだと。

    さらにこの熟年夫婦のその後も気になった。







  • 久しぶり伊吹作品。数日前に読んだ本でㇷラストレーションが溜まってしまった。モヤモヤは取れたかな?読書ってこうじゃなくっちゃね(^^ 今回夫婦・結婚相手とのの価値観のギャップがメインテーマでした。このギャップが埋まらないといつの間にか取り返しがつかなくなる。自分も結婚前に妻との価値観のズレを感じて喧嘩になった。お互い生きてきた環境や考え方が異なるのに、無理やり落としどころを決めて妥協する。喧嘩になるね。多分この喧嘩と仲直り・反省で折り合いをつけていくのが家族なんでしょう!今日も夜ご飯を一生懸命作ります。⑤

  • この二人は、長続きしないだろうなあ。。いずれは離婚か別居か卒婚か。親夫婦の双方の気持ちも、わかってしまった悲しさよ

  • すっと爽やかな気持ちで終われる作品かなと思っていたのですが、リアルな修羅場って感じがしてとてもモヤっとした感じがありました。

    本作は結婚の準備を進める娘とその家族の物語。物語はそんな娘と彼氏が結婚の挨拶をするところから始まります。そこから、結婚式までの段取りや家族、そして恋人との関係性にバタバタするという物語。

    この作品を読んで1番気になったワードは「話し合う」という言葉でした。何かトラブルがあった時の円満な解決策としての「話し合い」ですが、本作では話し合いによって溝が深まっていく感覚がありました。「話し合う」ことで考え方や価値観のズレが浮き彫りになるだけでなく、話し合っても自分の意見を押し通そうとしたり、そもそも話し合いの論点がズレていたりというような場面が多々見受けられ、「話し合う」ことの難しさが感じられました。

    正直、個人的には読み始めてからずっと険悪なムード漂う感じがあり、あまり読む手が進まなかった作品でした。

  • 自分の過去を思い出し、これから起こりうる未来を想像しながら読み進めた。

    結婚ってしてみなきゃわからないけど、恋愛の延長とはまた違ったもので、恋愛は二人だけの世界だけど、結婚となると両親、親族まで繋がっていく。

    これが本当に面倒で、難しい。まるっきり同じ環境で育つカップルなんていないから、価値観の違いは出てくるし、自分の親のような義両親なんているわけない。

    共感の連続だった。

    そして、結婚30年の倦怠期夫婦。これも共感だらけ。

    最後はこういう感じ終わり方でいいんだろうな。

  • 娘の格差婚、役職定年の近づいた夫の不機嫌、妻の体調不良…こういう家族の問題は、タイミングが重なってしまうもの。
    テーマに引っ張られて、ちょっと重たい気分になった。伊吹さんの作品では珍しいパターンかも。
    特に気になったのは、「家族の不機嫌」。DVみたいに直接的ではないけど、ジャブのようにじわじわ効いてくる種の暴力なんだという言葉。たしかに!
    私も外で頑張って疲れた時、家ではちょっと不機嫌モードになってる時がある。気をつけなくては。
    本題からそれるけど…真奈の家族に優吾が挨拶にくる場面。優吾の潔癖症や偏食っぷりが、何かの小説と酷似しているんだけど、それがなんだか思い出せなくて気持ち悪いのです。
    なんだったかな~?

  • タイトルから、娘が嫁ぐまでのハートフルな物語を想像していたが、良い意味で裏切られた。

    【あらすじ】
    高梨家の一人娘の真奈が、婚約者の渡辺優吾を連れてくる。結婚の話が具体的に進むに連れ、次第に明らかになる両家の格差婚。

    真奈と優吾の若い2人においては、避けては通れない
    家族や親戚との付き合い、結婚後の家計、将来の子どもの有無や、マイホームの計画など、先行きの不安が次々と押し寄せる。
    果たして、このまま夫婦になるのが2人にとって幸せなのだろうか。

    一方で、真奈の心に寄り添い、母として妻として、
    正しくあろうと奮闘するのが、高梨家の母 智子。
    両親の想いを胸に嫁いでから、大切に愛しみ手入れをしてきた着物がその象徴となって描かれている。
    着付け教室の講師をしている智子だが、手に職という意味で、新しい女性の生き方を予感させる。

    また、高梨家の父 健一は、役職定年を前に人生の岐路でひとり悩んでいた。これまで、家族を養い、真面目に計画的に人生を歩んで来た健一。父親の役目として理解はするものの、身の回りで起こるのは、お金の話ばかりで辟易していた。
    そんな折、遠方にある母の介護施設を見舞った健一にある出会いが訪れる。


    【レビュー】
    冒頭は、時々クスッとする場面もあり、垣谷美雨さんのような現実的な家族小説だと思った。
    しかし、結婚する若い2人目線だけでなく、次第に両親に目線が移っていき、夫婦のあり方や、結婚そのものの意味について考えさせられるのが、本作の面白いところ。

    これから結婚を控えている方はもちろん、結婚をされた方は、既視感を時々感じながら、否応なく自分の時と比較して読み進めるだろう。

    特に、智子目線と健一目線には、それぞれ共感する部分もあり、長年連れ添った夫婦だからこそ抱える問題や、時代背景の影響もあり、他人事とは思えない。

    ラストの智子と健一の其々の今後を予感させる章は、読み手によって賛否ありそうだ。私は、中性的でバランス感の優れた伊吹有喜さんらしい結末だと感じた。
    タイトルの『娘が巣立つ朝』の本当の意味は、ラストの一文に託されているのが意義深い。


  • えぇ〜っとこれはハッピーエンドなのか?
    私的にスッキリした終わり方ではなかったです。仮面夫婦という言葉もあるぐらいだから仕方のないことですが、なんだかなぁって感じです。

    お話しは、挙式を上げるまでの父、母、娘の3人の視点が描かれているストーリー。夫サイド、妻サイドが結構リアルなのでちょっと読むのが辛かった(;_;)
    結婚式の諸々決めるのって本当に大変…こんなことあったなぁなど懐かしい思いで読みました。
    優吾さんいい子なのに親が嫌すぎて私だったら耐えられないかも笑 

  • 娘が結婚をする話だと、
    「娘が嫁ぐ朝」とタイトルになりそうだが、
    「巣立つ」というのには、深い意味があったんだ!

    両親がなくなっている智子とその娘の真奈、
    二人の娘の巣立つ物語だと思う。

    娘が結婚を控えた夫婦にとっては、
    それも一人娘であれば、人生の大イベントだろう。
    できるだけのことは何でもしてあげたいだろう。
    でも、結婚は相手の家庭、親類、色々なものが絡み合ってくる。
    まして、格差婚で、あまりにも金銭感覚が違いすぎる場合は、苦悩するばかりだ。

    智子、健一、真奈、
    それぞれの心のうちを読まされる読者としては、
    どうにかしてあげたいけど、どうしようもないジレンマに襲われる。

    夫婦は長年連れ添って「空気のような存在」というけれど、不満や不安のため息ばかりの空気では息がつまるのが当たり前。
    「不機嫌は暴力」とは、その通り!
    言いたいことも言い合えなければ、伝わるものも伝わらない!
    もどかしかった~!

    セレブの強烈なキャラの両親に育てられた優吾が、
    たくさんのアクシデントの中、成長していくところは好感が持てた。

    人との関係は、いつまでも最初と同じではいられない、
    夫婦も家族も、変化しつつも心を通わせあって、一番いい居心地の中でほんとの自分が自分でいられるのが幸せなことだと思う。

  • ひとごとではない夫婦の話。
    身に覚えが必ずあり笑えない話。
    絶妙な匙加減で描いている物語でした。
    でも、50代半ばって、もっと若いハズですよ。
    そこだけが違和感。

  • 我が子が婚約者を連れてくる時
    それは見知らぬ誰かと唐突に親族になるということ
    自分とかけ離れた価値観の人たちだったら
    折しも親は思うところがいろいろな熟年期…
    これはそんなお話

    短章が娘、母、父と細切れに入れ替わる
    それぞれの思いや状況が細やかに綴られてるから、客観的にこの家族の経過を見守っている気分になるよね

    このストーリーは娘の結婚についてのみならず、年頃の子を持つ夫婦の在り方や葛藤、そしてすれ違いにも大きく焦点を当てている

    同年代として熟年の男女の心の機微が刺さる作品

  • 「娘が巣立つ朝」なんて想像しただけで泣いちゃいそうじゃないですか、そういう本なのかなっておもうじゃないですか?



    疲れた
    _(:0」∠)_

    え、結婚するってこんなに大変だったっけ?

    いや、大変だよね
    生まれも育ちも違う相手と その親きょうだいと
    親族になるって大変だよね

    でもこんなん独身の方が読んだら、結婚したくなくなりそう笑 それとも心構えになるのかな?

    結婚後のやりくり、子どもやマイホーム、親戚付き合い…etc
    結婚前にこれだけバトルし合えたなら良かったのか

    しかし、結婚して数十年 旦那さんと生活を共にしてきた私は、一人娘が巣立った後に2人きりの生活を送ることになる智子 健一夫婦の方が読んでいて辛かった。

    健一とリコの関係はどう見たって好き合ってるのに
    「妻はなぜ誤解するのか?」と本気で思ってる健一のイタさと、智子に対してサラっと健一との関係を仄めかすリコの狡さ。めちゃくちゃ気持ち悪い2人に最後の最後までイライラさせられた…。

    『なでしこ物語』では魅力的な登場人物たちの恋模様にキュンキュンさせてくれた伊吹有喜さん。
    こちらの作品では登場人物たちの言動にこんなにイライラさせられるとは!おそるべし!メンタル弱っている時だったから 何度も読むの断念しようと思ったけれど、ようやく回ってきた予約本だったから「最後まで読んでやる」という謎の闘志が…笑

    娘の結婚式では号泣しそうだなぁと思うけれど、うちの子ども達はなんだかみんな結婚しなさそうだし、結婚式を挙げるとも限らないし。それはそれで楽しく生きてくれればいいけどね。

    でもさぁ 孫とか絶対可愛いんだろうなぁ
    ( ´͈ ᵕ `͈ )♡


    • ゆーき本さん
      HさんやIさんはもう悟りをひらいていそう
      HさんやIさんはもう悟りをひらいていそう
      2024/08/20
    • yukimisakeさん
      ですよね!なんだかんだ師匠も兄弟子も幸せそうだし(*ˊ˘ˋ*)
      女修行!!笑
      誰かさせてー!!笑
      ですよね!なんだかんだ師匠も兄弟子も幸せそうだし(*ˊ˘ˋ*)
      女修行!!笑
      誰かさせてー!!笑
      2024/08/20
    • ゆーき本さん
      煩悩を捨てなさい (-∧-)合掌・・・
      煩悩を捨てなさい (-∧-)合掌・・・
      2024/08/20
  • 伊吹有喜さんの過去作、『注文の多い料理小説集』の短編で『夏も近づく』が、とても読後感の良い作品だったのを思い出した。
    そしてこのタイトルから、娘の結婚までの紆余曲折を描いた、ほのぼの系かと思って読んだ。
    途中までは、そうだね~あるよね~と。
    でも、何か違和感が…。
    子供の結婚に、双方の親たちが関わりすぎじゃないのか?
    資金援助が多い方に、より主導権があるみたいな感じ?

    そのうち、熟年夫婦に亀裂が。
    「不機嫌は暴力」それは確かにそうだと思う。
    でも、智子さんも何かズレてるような気がする。
    本当にあの決断でいいのかな。

    あと、「人が握ったおにぎりNG」と「鍋の直箸NG」だけで、娘の彼氏が潔癖性??
    どちらもイヤだと思うけどな。

  • 高校生の娘がいますが、どんな目にあっても毅然と立ち向かえるか自信がなくなりました。
    ただそれ以上に、心はゆっくり殺されるには、ゾクってしてダメージ大きいです。

  • 見送る側、見送られる側、どちらの立場にもなったことがないので参考になった。ちょうど最近の悩みと被る内容だった。自分が結婚で一番懸念しているのは、生活の違い、考えの相違よりも、双方の親との関係だと気付いた。毎日関わるわけではないけど、切り離せない。良くも悪くもそれだけ親の目を気にしてしまう自分なんだろうな。
    そこから派生して登場人物と重ね合わせ、いろんなことを考えてしまった。結果、未来のことは分からないから、いま自分がどうしたいか少し時間をかけて向き合おうと思った。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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