中野京子と読み解く クリムトと黄昏のハプスブルク

  • 文藝春秋 (2024年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784163918600

作品紹介・あらすじ

大王朝が沈みゆく時、人々は美とエロスと死の気配に溺れた――。

19世紀末のウィーンは、黄昏時の美しさに輝いていた。勤勉な皇帝フランツ・ヨーゼフと美貌の皇后エリザベートの人気は高く、街は都会的に改造され、カフェが賑わい、文化芸術が開花。しかし数十年後、大王朝は消滅する。人々は崩壊の予兆に怯えながらそれに目をそむけ、エロスと死の気配に満ちた絵画や小説に傾倒した。そうした時代の申し子であるクリムトと、同時代画家たちの絵画から「良き時代の終末」を読み解く。

クリムト、シーレ、ヴィンターハルターら42点の名画と“ウィーン激動の時代”がスリリングに交錯する絵画エッセイ!
絵画はすべてオールカラー、高品質印刷ですみずみまで美しく。


「本書は、時代の必然のように登場した画家とその地の世相や事件を、できる限り多面的に捉えようとする試みです」(あとがきより)

延命成功/ウィーン大改造/マカルトとクリムト/エリザベート美貌最盛期/エロス/カフェ文化/女性騎手とデザイナー/音楽と市民の娯楽/死の連続性/ユダヤ人/一九〇〇年パリ万博/問題児シーレ/恋愛と結婚/怒濤の時代/終焉

……15の章で「名画」と「歴史」と「人間」を読み解く。

※ハプスブルク家略系図、地図、年表付き。

大好評『中野京子と読み解く フェルメールとオランダ黄金時代』に続く《名画×西洋史シリーズ》最新作!

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

美とエロス、そして死の気配が漂う19世紀末のウィーンを舞台に、クリムトとハプスブルク家の関係を深く掘り下げた作品です。著者は、豪華絢爛な絵画の背後にある時代の流れや社会的背景を多面的に探求し、クリムト...

感想・レビュー・書評

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  • ベルガモットさんのレビューを読んで、すぐに図書館へ。表紙の絵はクリムトの代表作『接吻』。寄りで見ると甘美で煌びやかな作品。けれど「引きで見ると危うい場であることが分かる」と中野氏。「帝国の死を目前にしたウィーンの視覚化であった」と言い切る潔さ。ハプスブルク家の盛衰と共に語られる画家・クリムトの生涯には、伝記を読んでいるような臨場感がありました。

    目次のあとは、ハプスブルク家の略系図。注目すべき人物についてはカラー画像が入っていて魅力的。次のページは、ハプスブルク家の領地が一目でわかる地図、16世紀と19世紀のものそれぞれ一枚。そして、作品中の見開きページには、美しい絵画の数々。豪華な装丁に心を奪われます。

    13世紀から700年にわたって栄えたハプスブルク家。神聖ローマ皇帝位を世襲するほどの勢力があった一族の終焉にいたる過程が描かれていて、映画を観ているようなドキドキ感がありました。実質的な最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ一世は、86歳で亡くなるまで70年近く世を治めた人物。毎日の仕事を規律正しく行う古いタイプの君主だったようです。しかし、そんな彼の母親と妻の個性が強いのです。母親のゾフィーは、自分が生んだ息子、フランツを戴冠させ、実質的な政治的権力をしっかり握ります。そして、フランツが唯一 母親に反抗して妻にしたエリザベートは、窮屈な宮廷生活と威圧的な姑から上手に距離を置き、ちゃっかり自分の人生を楽しみます。ふたりとも、あっぱれ!

    話をクリムトに移します。金が散りばめられたエロティックな作品という印象ですが、初期には市議会の依頼を受けて壮大な劇場の絵を描いていました。記録としての絵画だったため、150人以上の実在の人物をそっくりに描き入れたそうです。これが認められて賞金と評判を得たというのですから、恵まれた船出だったと言っていいのではないでしょうか。仕事の依頼が次々と入ってくるクリムトに転機が訪れたのは、ウィーン大学講堂の天井絵『医学』事件。想像を超えた表現に大学はこれを拒否。これ以降のクリムトは徹底的に自分の作風にこだわるようになります。ただ、ユダヤ人のパトロンの支援で、画家として困ることはなかったようです。そして、1900年のパリ万博では作品が金メダルを取得。ほぼ同時代のゴッホやゴーギャンに比べて日の当たる場所にいた画家だったのですね。

    中野氏は、クリムトの絵に象徴されるような強烈なエロスを、時代が求めたと分析します。600年以上続くハプスブルク王朝の先細りが感じられる中、生き残ることに対する欲求のあらわれだったのではないかと。また、ハプスブルク家の頑なな因習が、第一次世界大戦勃発に繋がったのではないかという見方も。ここはとても興味深く読みました。

    フランツ皇帝が亡くなった一年半後、後を追うかのようにクリムトがこの世を去ります。あとがきに「作品に惜しげもなく使用された金箔は、王朝の黄昏時の美しい金色の輝きそのものだった」とありました。そして、本文の最後に現在のオーストリアの地図が一枚。目次のあとにあった二枚の地図と比べると、700年の盛衰が感じられて、ため息がもれます。表紙は煌びやかな『接吻』だったけれど、裏表紙は、ただただ漆黒…。すとんと腑に落ちました。

    • ☆ベルガモット☆さん
      yyさん、図書館にてすぐにお取り寄せされたんですね♪
      まさしく、伝記を読んでいるような臨場感でしたね!
      なるほど、確かに「日の当たる場所...
      yyさん、図書館にてすぐにお取り寄せされたんですね♪
      まさしく、伝記を読んでいるような臨場感でしたね!
      なるほど、確かに「日の当たる場所にいた画家」というご指摘も納得です。
      裏表紙は見逃しておりました~
      読後感を追体験できありがとうございます!
      2025/11/16
    • yyさん
      ☆ベルガモット☆さん

      ベルガモットさんのお陰で、素敵な本に出合えました♬
      ありがとうございます☆彡
      ☆ベルガモット☆さん

      ベルガモットさんのお陰で、素敵な本に出合えました♬
      ありがとうございます☆彡
      2025/11/16
  • 中野京子シリーズ、今作はクリムトに密接に関係するハプスブルク家である。
    クリムトは豪華絢爛、どこか慈愛に満ちた作品というイメージだったが、その理由がわかるものだった。
    崩壊して行くハプスブルクとその時代の流れ、絵画への影響が中野京子さんの言葉から溢れる。

  • 図書館に早くから予約しておいたので、早目に借りられた。ありがたい。

    私が読む中野京子氏の著書の10冊目。
    内3冊は購入本。
    (その3冊と同時に購入しておきながら未読の1冊は含まない)

    購入するほど氏の著書を好きだったのだが、どうしたことか、本書では氏の表現がクセ強めに感じてならなかった。
    読みやすくはあったのだが、彼女のただの妄想・空想・主観・決めつけに過ぎないのでは?と思うような文章も随所に見られ、そこが気になった。
    以前の著書でもそうだったのに読み手の私の感覚が変わったのか、著者の個性的な表現が増したのかは不明。

    題名のクリムトとハプスブルクとは少し離れた話題も、同時期というだけで取り上げられていたが、いまひとつ。

    それよりも『パラス・アテナ』の詳しい解説・考察が欲しかった。



    『接吻』は2018年に現地で見てきているが、いつかウィーン(オーストリア)とプラハ(チェコ)を再訪したい。
    エリザベートにしろハプスブルクにしろ(その他ヨーロッパの歴史についても)帰国後にやっと勉強し始めたので。
    クリムトの壁画も見てきていないし、本当にもったいないことした。
    事前学習、ホント大事。

  • オーストリア・ウィーン、ハプスブルク王朝の熱狂と終焉を予感させるような黄金を散りばめたクリムトと、その時代背景と空気感をふんだんに語る中野京子さんの解説に、手に汗握る臨場感。
    『旧ブルグ劇場の観客席』華やかさとざわめきの中観客の表情一人一人を眺める。実在の有名人を描いたらしいが150名以上の中からは探しきれない。
    『シェイクスピア劇場』の自画像も、じっくり鑑賞。
    家の経済状況を考え、職人養成機関といわれた博物館付属工芸美術学校にて奨学金を得、学生時代の17歳で弟と友人とで仕事を請け負うのちの「芸術家カンパニー」を立ち上げたプロ意識。
    ウィーンのカフェ文化、社交クラブ的コーヒー文化にため息がでる。
    『エミーリエ・フレーゲの肖像』クリムトの12歳下エミーリエの凛々しいこと。高級オートクチュールを開き成功した実業家、ファッションデザイナーとして自信がみなぎって堂々としている。
    ゲルマン民族は耳のひとなので、ウィーンが今も音楽の都であるという指摘や、ハプスブルグ家の特殊な埋葬法の解説もある。
    『アデーレ・プロッホ=バウアーの肖像Ⅰ』砂糖産業で莫大な富を築いたユダヤ人フェルディナント・プロッホ=バウアーの妻がモデル、製作に3年もかけたとのこと、平面描写及び黄金の渦巻模様が包み込む美しさ。
    歴代万博の入場者数ベスト32010年上海万博 2位1970年大阪万博 3位が1900年パリ万博らしい。そのパリ万博に『パレス・アテナ』を出品。「女神の恐ろしさ、非人間的側面」を描いたとのこと。
    『マフの貴婦人』オリエンタリズムに惹かれ「美しい黒を引き立てるカラフルな背景」
    最後まで、感動を表せきれないくらいのクリムトの絵の素晴らしさを味わう贅沢な時間と同時期の画家や文化人世相を学ぶ盛りだくさんの内容。
    最後のページの現在のオーストラリアを示す地図が小国に落ち着いた様子を静かに示している。世界史が苦手な私でもじっくり見てしまう年表も巻末にある。

    • aoi-soraさん
      あれ?
      アイコン仲間ですよね?٩(ˊᗜˋ*)و
      あれ?
      アイコン仲間ですよね?٩(ˊᗜˋ*)و
      2025/10/30
    • ☆ベルガモット☆さん
      yyさん、凄い、もう読了されたんですね!!!
      私こそ、フェルメールの本を読まなくちゃです。

      aoi-siraさん、(´∀`*)ウフフ
      アイ...
      yyさん、凄い、もう読了されたんですね!!!
      私こそ、フェルメールの本を読まなくちゃです。

      aoi-siraさん、(´∀`*)ウフフ
      アイコン仲間に入れてくださいな
      ちょっと手こずりました
      2025/10/30
    • aoi-soraさん
      わ~い 可愛い♪
      よろしくお願いしま〜す(ӦvӦ。)
      わ~い 可愛い♪
      よろしくお願いしま〜す(ӦvӦ。)
      2025/10/31
  • おもしろかった。
    音声ガイドを使って 「クリムトと黄昏のハプスブルク」展をみているようだった。時代の背景とかいろいろをわかってから見ると 深みがでる。冗談じゃなく ほんとうに同タイトルの 絵画展があったら 絶対に行く!

  • オーストリアを代表する画家、グスタフ・クリムト | オーストリア政府観光局
    https://www.austria.info/jp/service-and-facts/famous-austrian-people/gustav-klimt

    中野京子の「花つむひとの部屋」
    https://blog.goo.ne.jp/hanatumi2006/

    『中野京子と読み解く クリムトと黄昏のハプスブルク』中野京子 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163918600

    ーーーーーーーーーーー
    先日「オーストリアニュースレター2024年5月号」で、クリムトの『パラス・アテナ』をモチーフにしたセセッシオンのトートバッグのプレゼントがあったので、珍しく応募してみた。。。まぁ当たらないだろうけど、、、

  • ベルヴェデーレ宮殿で「接吻」を見ました。
    ウィーンの小学生団体が社会見学できていました。

    エロと芸術の境目ってなんなのでしょう。
    もし日本の小学校で先生がこの絵を実物大で見せて
    社会か図工の授業で説明したら?

    子どもたちが家に帰ってその話をしたら
    お母さまたちはどう思うのでしょうか。

    個人的にクリムトは、
    ウィーン分離派前の作品は好きですが
    以降のは好きではありません。
    後期印象派以降が好みじゃないみたいに。

    でもこの本はとても良かったです。

    ここ数日、日本の天皇ご夫妻がイギリスを訪れているニュースを見ました。
    フランツ・ヨーゼフファミリーも今の時代なら
    こんなふうに穏やかに過ごせたのだろうなと
    やっぱり平和っていいなと改めて思いました。

  • クリムトの出自や経歴だけでなく、彼の生きた時代についても詳しく載っていて彼自身や作品についてよりくわしく知れて、より面白かった。
    特にこの本の中でクリムトとは切っても切れない関係性を示すハプスブルク王朝、特にフランツ・ヨーゼフについての話がすごく印象的だった。
    著者が表した「神話上の悲劇の巨人」という表現があまりに的を得ていてすごい。と同時にすごく物悲しい気持ちになった。
    彼の死をきっかけに終わっていくハプスブルクの歴史の流れが切なかった。

    クリムト作品といえば、金箔の輝く艶やかで特徴的な作品を思い描いていたけど、当然クリムトらしさが生まれる以前、または描き方を模索したり試作したりしてきた時期もあったわけで、そんな作品達についても知れたのが嬉しかった。
    そんな中で特に好きだったのが「旧ブルク劇場の観客席」という作品。一見全くクリムトらしさの見えない作品だけど、ぐわっとくる画面の広がりに一目で心を奪われた。

  • 超新星爆発。星は寿命を終える直前に最もエキサイティングなイベントを起こす。第一次大戦後に消滅したハプスブルク家。19世紀末のウィーンは、黄昏時の美しさに輝いていた。…次々と後継者を亡くし在位が68年に及んだフランツ・ヨーゼフ。嫁ぐはずの姉に付いてきて自らが皇后になっってしまったエリザベート。ウィーン大学の天井画で物議を醸したクリムト。過激な表現で24日間拘留されたシーレ。カフェのコーヒーは包囲したトルコの置き土産。華やかさは運命の儚さを彩るためにあるのか。…カラーの単行本。絵が見開きでも十分見やすい。

  • なかなか興味深い。
    こうやって歴史を追っていくと、
    ゾフィーに同情し始める自分がいる

  • クリムトの絵はよく知っているけれど、画家本人のこと、そして画家の生きた社会のことはよく知らなかった。
    ハプスブルグ家の歴史も、舞台や映画でなんとなくは知っていたし、世界史で第一次世界大戦のことは習ったけれど、それらが全てリンクしていたこと。
    画家の登場と活躍が歴史の必然性であったことがよく理解できる本書。美麗な図版とその解説も楽しい。

  • 大好きな中野京子さんの本。
    今回は1枚の絵画にまつわる話だけでなく、その時代をいろんな角度から切り取って話が進んでいったので理解がとても深まった。
    クリムトってあんな絵上手いんだなあ

  • クリムトあるいはフランツヨーゼフを軸に、世紀末ウィーンの絵画とその時代を描写する。クリムトの顧客が資産を持つ中産階級だった事情は、大帝国末期のひとつの反映のようで興味深い。既存のスタイルを壊す作風も、やがて滅びる超保守主義のハプスブルク体制と対を成しているよう。紹介作品の解説ぶりは著者健在を感じた。

  • 図書館の新着で見つけた、読み解くシリーズ第2弾。前作の『フェルメールとオランダ黄金時代』は図書館に蔵書がなくて未読である。あとがきによれば、「時代の必然のように登場した画家とその地の世相や事件を、できる限り多面的に捉えようとする試み」なんだそうだ。
    本書では、19世紀から20世紀にかけて活躍したクリムトと、その時代のオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世を中心に、様々な出来事が語られている。
    うーん、世界史も地理も苦手なので、興味深く読んだが面白くはなかった。もう少し美術寄りかと思ったのだが。

  • 何年か前に展覧会観に行ったことを思い出しながら読みました。クリムトは大好きです。美しい。『ヌーダ・ヴェリタス』(の絵葉書)部屋に飾ってます。中野京子さんの解説や時代考証と共に見るとまた一味違う。そしてフロイトと同時代と知るとまた深みが増しました。

  • 主役はクリムトなんだろう。前後するマカルトやシーレの話も盛りこまれ、特に前者は今まで知らなかったので勉強になった。
    だが、最も興味を惹かれたのは、ハプスブルグ家の老王フランツ・ヨーゼフ1世の話だ。正直この人を題材にしたものをもっと読んでみたい。

  • 今年はウィーン旅行に行くので、少しでも歴史を勉強しようと手に取った本。世界史が苦手な私でもわかりやすく、面白かった。美術館にも行く予定なので、この絵あの本で読んだな…と思い出せるようにしたい…。

  • 中野京子さんの本は初めてだったが、構成がよく、文章も分かりやすくて、予期せず
    、面白かった。

  • 【Art】クリムトと黄昏のハプスブルク/ 中野京子 / 20250801 / <82/1172> / <216/177662>
    ◆きっかけ
    クリムトアライブに行くための予習

    ◆感想
    ・クリムトが活躍した、プスブルク家の黄昏時という時代背景から生(=性)への固執を、同郷のフロイトの理論も借りつつ展開するのは著者ならでは、面白い。

    ◆引用
    ・英国では同時代オスカーワイルドが同性愛のため作家生命を絶たれたが、秘密の派手な女遊びはウィーンのブルジョワ的流儀の範囲内と黙認され公には非難されなかった
    ・イギリスの紅茶文化に対し、オーストリアはコーヒー文化。前者はインド統治による副産物だか後者は対イスラム戦の置き土産で、時は1683年にまで遡る。この年オスマントルコによる第二次ウィーン包囲を撃退したオーストリアは敵の残留品の中に見慣れる飴の袋を発見それがコーヒー豆であった。このエキゾチックな飲み物はハプスブルク帝国の思考と合致した。人々は美味であれば宿敵の嗜好品でも禁欲に吸収した
    ・同時代は印象派の時代だった。マカルト、ブラウズ、クリムト等いかにフランス印象派の影響とは無縁だったのか
    ・クリムトが存分に才能を生かした19世紀松ウィーンにはハプスブルク王朝がまだ存在しており表向きには昨日に変らぬ経が営まれていた。けれど人々は心のどこかで自分たちの世界が黄昏時に入り武器時代が週末を迎えつつあることを感じていた。なぜならこれほど隠微なエロスに覆われた時代も珍しいから。心理学という分野でフロイトが、小説や戯曲の分野ではシュニツラーが、そして海外の分野ではクリントンやシーレがそれまで隠されてきた性欲を赤裸々に暴き多くの人に受容された。死を目前にした人間が生(=性)へしがみつくのに似て、日没間近の最後の光がエロスの力を借りて必死に延命しようとしたかのよう。

  • ミュージカル『エリザベート』を観ていたのでハプスブルク家の理解はすんなりできた。逆にクリムトに対する知識がまだまだなので他の資料なども読んでみたい。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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