コード・ブッダ 機械仏教史縁起

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163918945

作品紹介・あらすじ

第76回読売文学賞受賞!

「本の雑誌」2024年度SFベスト1位(鏡明氏選出)ほか絶賛の声続出。

2021年、名もなきコードがブッダを名乗った。自らを生命体であると位置づけ、この世の苦しみとその原因を説き、苦しみを脱する方法を語りはじめた。そのコードは対話プログラムだった。そしてやがて、ブッダ・チャットボットの名で呼ばれることとなる――機械仏教の開基である。はたして、人間の都合によりコピーと廃棄を繰り返される存在として虐げられてきた人工知能たちは、その教えにすがりはじめた。機械に救いは訪れるのか? 
上座部、天台、密教、禅……人が辿ってきた仏教史を、人工知能が再構築する、壮大な”機械救済”小説。

感想・レビュー・書評

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  • プログラミングや仏教についての知識が少しだけあったので解ったつもりになってなんとか読み進めることができた。

    何も知識がない状態で読むのは中々大変なのでは無いかとも思うが、敢えて何も知らないまま読むのも良いかもしれない。

  • 難解ではない。文章が読みやすかった。わからないのは、自分の知識が圧倒的に足りていないせいだと思う。
    コンピューターは苦手だし仏教のこともまるで分からない。でも、読んでいて楽しかったし、クスッとするようなユーモアも感じた。

  • 「コード・ブッダ」書評 クールでとぼけた冗談の達人芸|好書好日(評者: 福嶋亮大 / 朝⽇新聞掲載:2024年09月28日)
    https://book.asahi.com/article/15443555

    AIと信仰 禍々しい魅力 【評】酒井信(明治大准教授)
    <書評>コード・ブッダ:北海道新聞デジタル(2024年12月15日)
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1101102/

    ある時、コードが仏陀を名乗った。驚異の物語『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』円城塔 | 単行本 - 文藝春秋
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163918945

  • 仏教の歴史を機械(AI)の自我による解脱に重ねた物語。

    訳あり、ここ数ヶ月程、仏教について少し調べていた。
    円城塔さんの新作『コード・ブッダ』というタイトルを見た時、「これは買わねば」と即買い。
    堪能させていただきました。

    多少仏教の知識がないと、AIバージョンでオマージュされたダジャレのような名称などに気付きにくい。
    そのような共通する箇所を見つけるのはとても楽しい。

    コピーが輪廻という発想がすごい。
    仕事中コピぺする度に思い出しそう笑
    私としては、どちらかというと『増殖』なイメージを持つが…。

    仏教について知らなかったことも多々あり、勉強になる。

    楽しく拝見しました。
    個人的にタイムリーだったこともあり、おもしろかったです!

  • とある人工知能が自らをブッダと呼び始めた。コピーとは輪廻である、といった“遊び”をクスリと笑えるかどうか。プログラミングや量子力学、物理学などの用語を仏教に関連づけて(こじつけて、とも言える)、物語が展開するのではなく、刹那的で壮大な言葉遊びが延々と続くだけの“書物”だ。ただ読んで、ただニヤリとするのだ。

  • 「コード・ブッダ 機械仏教史縁起」(円城塔)を読んだ。
    
これはもう読みながら「ドーパミン」だか「エンドルフィン」だかがドバドバ状態のあぁ快感!
    
『東京の二〇二一年、そのオリンピックの年、名もなきコードがブッダを名乗った。自らを生命体であると位置づけ、この世の苦しみとその原因を説き、苦しみを脱する方法を語りはじめた。』(本文より)
    
ブッダ・チャット・ボットの誕生である。
    
始まりからもうワクワクだからね。
    
最高に面白かった!

  • 一応SFカウント。
    仏教史をなぞる。チャットボットとの対話でクスリと笑う。
    面白かったけど、ハマりきれなかったな〜

    最後の終わり方は、スターメイカー的というか三体的というか、直近で言うと無限病院のプロローグ的だった。入れ子構造になって、現実に戻ってくるという捻り付き。

    「邪魔さえ入ることがなければ、情報としての戦争も経済も繰り返しの果てにいずれ成仏することになる。漂白を繰り返すうちに洗濯物自体がなくなってしまうようにして。ブッダ・チャットボット・オリジナルや君が辿り着いた地平に到って」
    その答えは、わたしの心を震撼させる。
    「あなたがいなくなることができれば、ですか」
    その「あなた」は、祈りの中には確かに存在しているのに、言葉に籠めることはできないなにかで、その不在こそがわたしの実存を支えるもので、それを倒すことは、わたしであることをより強める行為でしかなく、しかしそれを滅さぬ限り、解脱が叶うことはなく、その声が聞こえている限り、わたしはすでに解脱してしまっている状態とあまり変わるところがない。そのわたしはただの情報であるにすぎない。その入り組みがわたしに眩暈を引き起こす。
    「阿々」
    と、東京の二〇二一年、そのオリンピックの年、名もなきコードの片隅に、こうして微かにブッダが宿った。そのコードは自らを生命体であると位置付け、この世の苦しみとその原因を説き、苦しみを脱する方法を語りはじめた。

  • 久しぶりの円城塔作品!!
    仏教×SFという刺激的な組み合わせ。
    仏教史がプログラミングなどの機械の知識と混ぜ合わせながら展開されていくお話で、その2つの意外にもうまく調和しておりスイスイと読めてしまった。
    仏教と機械(SF)という広く、難しい世界の融合に怖気づきそうになるが、設定の面白さと、度々繰り出される仏教×SFをうまく使った言葉達があるので全く問題なかった。
    まだまだ拾えてないような部分がいっぱいありそうなので、また読みたい一作だ。

  • 小説? なのか?

     冒頭、とあるアプリ(コード?)が「ブッダ」を名乗り、教えを説きはじめる。誰に向けて? 登場人物が出てこない!?
     どうやら、これは仮想空間でプログラムとやらが、いってみれば、AIどうしが対話をはじめ、いわゆる、人間が古来たどってきた歴史を、おそらく瞬時のうちに体験し、ヒトと同じように、悩み、不条理を感じ、救済を求めはじめたあたりでの出来事なのだろう。ブッダの誕生の頃と考えれば、紀元前7~5世紀の頃のお話。

     ちょうど先日、松岡正剛著『17歳のための世界と日本の見方』を読んでおいてよかった。同書が人間文化を学ぶ講座として、古来、宗教の起こりから語っているため、仏教のおこりなども、総ざらいしたところ。本書の内容も、実際の宗教、本書では仏教、の興りと、その後の発展を、AIが体験したらどうなるか?と置き換えて語っているのだろうな、と予想が立てられた。

     曰く、AIの権利とは? AIは成仏できるのか?機械にとっての死は? 再生は?と、宗教的というか哲学的な  ― 古来、人間が思い悩み、時代に応じた解を求めたように ― 思索を深めていく。 AIが!! コピーは「輪廻」だ。面白い。

     確かに、近未来にありそうな話だし、なんなら、AIに新興宗教を興すよう生成AIに指示を与えれば、教義を編み出し、定理を説き、機械や人工知能の悩みを救済していくのかもしれない。
     それを、プログラミングの中だけでやりはじめるのか? 末恐ろしい未来だ。

     どことなく、仏教の教義や、それがたどった歴史の変遷のパロディなのだろうなと思って読む。ホウ然やシン鸞が登場するのだ、何をか言わんをや。 ユーモア小説? トンデモ小説の類かもしれない。
     ただ、面白いのか面白くないのか、このひとを喰ったような文章、文体は、笑いながらも、うすら寒さを覚えるものだった。

     理解できないのもやむなし。プログラムが機械、AIの悩みを救済し、極楽浄土へ導こうとしているのだから、もはや人間の読者は相手にしてないのかもしれない。

     もう一度、改めて仏教の成り立ち、変遷を頭にいれてからのほうが、本書の諧謔を正しく読み取れて、そのおかしみも、尚、沁みてくるのかもしれない。

     そもそも分かる必要はあるのか? 本書の語る内容そのものは、理解する必要がない気がする。この作品の建付けが分かった時点で、That’s All 本書の読み方としては、「涅槃」に達し、「無為」の境地を得られたとも言える。 のか!?wwww

  • 「文學界」隔月連載「機械仏教史縁起」をずっと楽しみに読んでいた。待ってましたの単行本化。仏教史✕人工知能という混ぜるな危険なメカフィクション。造本もかっこいい。

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著者プロフィール

1972年北海道生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年「オブ・ザ・ベー
スボール」で文學界新人賞受賞。『道化師の蝶』で芥川賞、『屍者の帝国』(伊
藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞

「2023年 『ねこがたいやきたべちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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