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本 ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784163918969
作品紹介・あらすじ
ファイナル・ウォーズ勃発!
「敵はすぐ近くにいて、
笑顔で仲間を装っているのだ。
内心ではおたがいのことを、
相手ばかりが制度に守られ、
恵まれたポジションで、
有利に暮らしていると憎みあっている」
ネット上で激化する、男女のいがみあい。
女性嫌悪(ミソジニー)の果てに生まれた
「硫酸男」の正体とは。
表題作「男女最終戦争」のほか、
バッテリー盗難ビジネスに巻き込まれた高校生、
愛国ブログに潜む闇、
真面目な会社員女性が嵌ったメンズコンカフェの罠など、
今まさに起こっていること、
明日起こるかもしれない事件を刺激的に描いた短篇4篇を収録。
累計470万部突破。
池袋ウエストゲートパークシリーズ、記念すべき第20弾!
感想・レビュー・書評
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とうとうこのシリーズも20作目まで来たね。
ドラマで見たのは自分が大学生くらいのことだったと思うけど、こんなに続くとは思わなかった。
でもいつも色褪せないと感じさせるのはその時々の世相やカルチャーを題材にしているからなのは間違いないでしょう。
今作もリチウムバッテリーやコンカフェなどを取り上げていたが表題がやはり1番響いてきたかな。
なんか新しい用語次から次へと出てくる昨今だが、憎悪を掻き立てるようなものばかりだと思ってしまうのはいささか偏りすぎだろうか?
次回作も楽しみ^_^詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
時代にあったテーマで、今回も楽しめまし
新刊が出るのが毎回楽しみです
毎回どんなやり方で解決するのか
ドキドキしてます -
安定安心の池袋ウエストゲートパーク。
お決まりの展開に、時事問題が絡んで、誰も死なないのもいい。
マコトのお気に入りの町中華のお店が美味しそうだった。
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感想
時事ネタなので話題に尽きることはないが、パターンが決まってきている。また、マコトのロマンスも遠ざかってるな。
あらすじ
自転車のバッテリー泥棒を始めたマコトの後輩を助けるために元締めをGボーイとしめる。
フェイクニュースを発信しているブロガーの脅迫者を特定して守る。
メンズ・コンセプトカフェにハマる姉を助けるためにマコトに依頼がくる。
男性至上主義と女性至上主義がぶつかり合う。フェミニズムの団体の有名人が硫酸をかけられる事件が起きた。犯人は、お笑い芸人が主催する男性至上主義のクラブに所属していると表明する。マコトたちは犯人を捕まえるために動き出す。 -
マコトとキングが池袋のトラブルを華麗に解決していくのは、やはり読んでいて気持ち良い。もう安定感しかない。
昨今のトラブルはネット社会の繁栄を表すが如く、敵の目的も、カタチも何だか分かりにくい。ネットの闇に巧妙に隠れているから、ゼロワンの働きは今後も欠かせない。
その点、カラーギャング抗争はいま思うと、暴力的だけど分かりやすかったんだな。
現代社会の闇を、的確に読み手に伝えてくれる本作。
また次回作にも期待。 -
少し長く続いていて、愉しんでいるシリーズの小説の新しい作品が登場したのに出くわすと、「遠方の、暫く会っていない友人・知人の近況に触れる」というような、多少嬉しい気分になる場合が在る。
このシリーズについては、シリーズの新作が登場する都度に正しく「遠方の、暫く会っていない友人・知人の近況に触れる」というような、嬉しい気分になる。今般、最近登場した新作に出くわして愉しく読んだ。
4つの篇で1冊という基本的な形は踏襲されている。本作では、秋、冬、春、夏と移ろう季節の中での出来事が描かれているのだが、こういう4つの篇を四季に合わせるという方式もこれまでと同様だ。各篇を1つずつゆっくり愉しもうとするが、頁を繰る手が停め悪くなってしまう。夢中になるのだ。そして1篇ずつ順次進み、あっと言う間に読了してしまう。
このシリーズは初登場から随分と経っている。登場して然程経っていなかった頃に、テレビドラマ化されてなかなかに人気だった。(小説の世界の色々なことが、実写ドラマではかなりアレンジされているのを後から知った。が、テレビドラマで主演した俳優の当時の風貌は、本作の主人公の雰囲気を凄く反映していたと思う。特定の俳優の風貌を思わせるような人物描写は作中には無いが、動き回る主人公の様子が頭の中に思い浮かぶ時、あのテレビドラマの俳優の風貌と重なる場合も在る。)それから随分と年月を経て、アニメ化ということが在った。そのアニメ化を記念して、「傑作選」というのか、アニメ化に際して原案として取上げた篇等を纏めたという文庫本が登場し、それを偶々読んだ。そして凄く気に入って、他の各作品を全部読み、以降は新作登場の都度に読んでいる。シリーズ登場の頃から年月を経て、シリーズの題名に採られている「池袋ウエストゲートパーク」こと、池袋駅西口の公園は様子が変わり続けている。シリーズの作中でその公園の改修工事が進んでいるというような描写が入る場合も在った。アニメ化の頃には現在の様子になっていた。その現在の様子の「池袋ウエストゲートパーク」こと、池袋駅西口の公園について、東京に出た時に眺めに寄ったことも在った。主人公が住んで居るとされているのは、モデルになる何かというモノは見受けられないが「多分、この辺」と推察出来、そこから歩いて公園を眺めたという訳である。
そういうように勝手な思い入れめいたモノも何時の間にか抱いているこのシリーズである。主人公は真島誠という若者だ。池袋駅西口の商店街で、母親が営む小さな果物店を手伝っている。池袋で育って、豊島区内の工業高校を卒業して現在に至っている。果物店の手伝いの他、雑誌にコラムを綴るアルバイトもしていて、こちらも少し好評で長く続けている。他方、街では「トラブルシューター」として少し知られている。困っている人に手を差し伸べたい、相談されると確り聴いて可能な範囲で助言をしたいというような情に厚い人物でもある。独自の人脈や、持ち前の観察力と構想力、話術、機転、胆力を駆使して困っている人達を手助けし、悪辣な者達を懲らしめようとする場合も在る。本作の各篇は、この「マコト」こと真島誠が、経験した出来事を誰かに語る、或いは書き綴って記録して誰かがそれを読むというような雰囲気に纏まっている。「一人称の語り」というスタイルの物語だ。
このシリーズも、最初の方の作品では主人公が明確に「19歳」と称するような場合が在って、次第に明示はしなくなったが、一定程度「年齢を重ねた」というようなことも伺わせるような表現が出ていたと思う。或る時期からそういうのを止めてしまったような気がする。寧ろ、「年齢を重ねた」で到った辺りを度外視しているかのようになっていったように思う。何やら「20歳代後半に差し掛かり、30歳代が見えるかもしれないような年代」という曖昧な感じで、「作品発表時点の、その年代の主人公の若者」という描かれ方になっているうような気がする。最初期の作品で「19歳」と称していたので、「昭和」の終わりの方に産れていると推定出来る。が、後年に「平成産れ」を思わせるような叙述が在る。その辺が、何やら判らないのだが、結局は「時代のテーマに向き合う市井の若者」ということで、その辺を丸めているのだと思っている。そしてそれで構わないと思う。本作は「主人公個人の人生の年月」というようなことではなく、「市井の若者」が「時代」と「社会」を覗く、向き合うという物語で、その物語が作者の「問題提起」でもあるように思う。
今作の4つの篇である。
第1篇は、マコトを訪ねて来た工業高校時代の恩師の相談を受ける。教え子達が、窃盗団に関わってしまったらしい。深みに嵌って行く前に関りを止め、禍根を何とか断ちたいということだった。マコトが奔走する。
第2篇は、マコトの長年の友人でもある「キング」ことタカシから手伝うように声が掛かった事案だ。タカシのグループが付き合いの在る弁護士事務所が受けた相談に纏わることだった。収益化して月々「三桁」という金を得ているというブロガーが在って、脅迫を受けているのだという。フェイクニュースのブログを綴っているという男の自宅が特定されて、脅迫状が直接足を運んだと見受けられる状況で投函されていた。その脅迫者の正体に迫るべく、マコトは動いた。
第3篇は、マコトが女子大生の相談に乗る。女子大生の唯一の親族である姉が、何やら悪質な店に嵌ってしまったのだという。売掛金が80万円にもなっているとして請求されたが、何時の間にかその債権が他の誰かに渡り、請求額が250万円にもなってしまっていた。マコトは女子大生終いを援けようとする。
第4篇が本書の題名にもなっている篇だ。池袋出身のお笑い芸人とマネージャーが、池袋では名が通っている「キング」ことタカシに相談した事案について、マコトが手伝うことになった。「女性嫌い」を「ネタ」にしていた芸人は、それをテーマにしたファンクラブ的なモノを結成していた。飽くまでも笑いの「ネタ」なのだが、ファンクラブ的なモノに集まる人達の中に、本当にオカシイ者が混ざっていた。フェミニスト団体関係者の女性に向かって硫酸を投げつけて大怪我を負わせるという者が現れたが、それを仕出かしたのが件の芸人のファンクラブ的なモノに集まる人達の中に在るという噂が出始めていたのだった。漸く成功への階段を上り始めた芸人は、悪評で機会を喪うということを避けたい。そこでマコトが動くことになった。
というような各篇である。このシリーズ各作品での篇は、以前から発表される時期の巷での問題や話題に絡めた事柄を取上げている。本作でもそれは健在だ。或いは本作の4篇には、何か共通項のようなモノも感じる。「分断」が煽られ、それが先鋭化するような感じや、「普通」な人達が禍々しい何かに巻き込まれて困るような様子が少し目立つような気がするという昨今の傾向を注視しているのではないだろうか。
何れにしても、時代の傾向のようなモノを覗き、その隙間で奔走して困惑する人達を援け、好からぬ連中を懲らしめるような場合も在るというこのシリーズは興味深く、そして愉しい。本作も間違いなく愉しめると思う。広く御薦めしたい。 -
マコトの痛快な解決ぶりはいっつも惚れ惚れするけど、対峙する事件がだんだんと暗ーく陰湿になってくるね。Gのメンバーに片をつけて貰わないでもいいような社会にしてよ、と選挙前に思う。
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毎度のことだが味方陣営が強すぎる。もう少し手応えのあるヒールが出てきて欲しい。表題作は犯人がポッと出でなくて何かしら因縁のある人だったらもっと盛り上がっと思う。
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はや20巻目。
毎年飽きずに読んでます。
今年こそはドラマを見直そうかな。 -
安定のまこちゃん&キング。
たまーに見られるキングの格闘が今回あったので良き。
今回はちょっと過去振り返りタイミングがチラホラでてきて、2人も歳を重ねたのね。。。としみじみすることもありました。
コンカフェのこととか、男女差のこととか、いい塩梅のネタで読みやすい。
205.3.8
53
著者プロフィール
石田衣良の作品





