時間の虹 紅雲町珈琲屋こよみ

  • 文藝春秋 (2024年10月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784163919072

作品紹介・あらすじ

小蔵屋、まさかの閉店。

静かな時間が流れる、いつもの小蔵屋。
オーナーシェフだったバクサンが引退し、お祝いをするお草だが、心には一抹の不安が。
一つ、不審な間違い電話が相次いでいる。
もう一つ、久実の婚約者・一ノ瀬が8ヵ月以上も店に顔を出さないのだ――。
小蔵屋に、何が起こっているのか?
止まっていた時間が、動き出す。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

物語は、静かな珈琲屋での出来事を背景に、予想外の展開が繰り広げられます。主人公のお草が抱える不安や、店の閉店を巡る緊張感が巧みに描かれ、読者を引き込む要素が満載です。時系列が行き来する中で、含みを持た...

感想・レビュー・書評

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  • 〈紅雲町珈琲屋こよみ〉シリーズ第十二作。

    レビュアーさん方が書かれているようにあまりに唐突な展開で戸惑うばかりの読書となった。

    第一章では長年の友人であり運送屋・寺田の父でありフレンチレストランのオーナーシェフでもあるバクサンの第二の人生。
    親友・由紀乃は息子の元に引き取られて去っている。
    淋しい一面、新たな一歩を見てホッとする部分もある。

    ところが第二章からはガラッと変わり章のタイトルに『七年後』という文字が。
    こちらは一ノ瀬視点で物語が進む。
    一ノ瀬と久実のその後、何より草と小蔵屋のその後が衝撃的で驚く。
    以前、久実を襲った悲劇の話を読んだ時に、何故久実にこんな試練を与えるのかという感想を書いた記憶があるが、久実の試練はまだまだ続いていた。この作家さんは久実をどこまで追い詰めるのか。
    そして草は何故小蔵屋を突然閉めてしまったのか。

    その後、現在の話と七年後の話が交互に進むのだが、その中で小蔵屋の閉店と久実の試練に共通するある組織が関わっていることが見えてくる。
    数年前から現実世界でニュースになっていることを髣髴とさせる。多分作家さんも意図して書かれているのだろう。

    これまでも自らの年齢も顧みずつかみ合いをしたり、誘拐事件の容疑者として追われたり、びっくりするような行動力を見せてきたお草さんだけに、今回の話も徹底的に闘うのかと思っていたら、それが小蔵屋の閉店だったということか。

    『終えることに意味があるなんて、最高じゃないの』

    この物語も終りなのかと思ったが、出版社の特設サイトにある作家さんのあとがきによると『ピリオドではなくカンマ、あるいは読点といったところ』とのことで、『ひと区切り』ではあるけれど終わりではないということらしい。
    だとしてもここからどう再始動するのか。
    個人的には一ノ瀬と久実のその後はホッとしたが、吉永さんらしいビターな要素満載で大団円とは言えない結末なだけに星の付け方が難しい。
    もう少し緩やかな展開が見たかった。

  • 2024年10月文藝春秋刊、書き下ろし。シリーズ12作目。友とテーブルで、山の頂き,梅の園-七年後-、それぞれの昼下がり、森に眠るサンゴ-七年間,語られなかったこと-、時の虹、の5つの章で構成。この展開はもしかして夢オチか。と思った。しかも悪夢。どうもそうではなく現実のようで、連続性のない展開なのかも。まるで異世界が描かれているようだ。読まなかったことにしようといいたくなる。

  • 何事にも終わりはあるけれど、あまりにも突然。
    お草さんは、その日のことを考えて常に準備をしていたというのは過去作からもうかがえるけれど・・・(でもそれは「終活」の方)
    そして、七年後に飛ぶ。(七年後の章にはスマホあり!)
    いつもながら、時事問題も絡められる。というかメインかもしれない。
    本当に、ただ正直に生きているだけでも、どこに落とし穴がひそんでいるか分からないから恐ろしい。
    一ノ瀬も、久実も、それぞれに離れて歩いてきた道は遠かったけれど、経験は人生に深みを与えてくれたと考えたい。

    お草さんは、ある意味では身軽になったのではないかと思う。
    前作では、駅前までバスで出ても、「着物姿の小蔵屋のお草さん」を知る人がいて、一部では有名な存在でもあったと思う。
    今はもう、日課の河原の散歩もしていないだろうし、亡き息子の寝顔に似ているお地蔵さんに手を合わせることもないのだろう。
    でも、丘陵の観音像には、遠くから眺めて手を合わせているかもしれない。

    『第一章 友とテーブルで』
    『第二章 山の頂、梅の園 ——七年後——』
    『第三章 それぞれの昼下がり』
    『第四章 森に眠るサンゴ——七年間、語られなかったこと——』
    『第五章 時間(とき)の虹』

  • 【目次】
    第一章 友とテーブルで
    第二章 山の頂、梅の園――七年後――
    第三章 それぞれの昼下がり
    第四章 森に眠るサンゴ――七年間、語られなかったこと――
    第五章 時間(トキ)の虹

    あまりにも唐突な小蔵屋閉店……
    こんな終わり方になるとは辛すぎる。

    このシリーズはけっこうビターな読み心地なので覚悟はしていたけれど、改めて表紙とのミスマッチ感がすごい。

    どんどん暗くなっていく現実の世相もかぶって、ディストピア小説の読み心地。
    一ノ瀬一族もほんとに不愉快な人たちで、カルトにのめり込んでいる人たちもほんとに気持ちが悪い。

  • 衝撃的な展開についていくのがなかなか大変だった。時系列も行き来するし、丁寧に説明されるわけでもなく、「書かなくても分かるでしょう?」という感じで、含みを持たせた描写は、何度か読まないと理解することが難しかった。読む力不足なんだと、少しへこむほどに。それでも、ハラハラドキドキの展開とお草さんの魅力に引っ張られて読み終えた。続編を期待します。

  • 紅雲町珈琲屋こよみ第12作目。

    とんでも急展開!今までもお草さんや小蔵屋に危機や災難は降ってかかってきてけど、ここにきてとんでもない事態。
    突然7年後に舞台は飛ぶし、小蔵屋は廃業してるし、一ノ瀬と久美は別れているし…。

    なんか事情でもあってシリーズを急に終わらせたのか?と勘ぐって、出版社の特設HPを覗いてしまったら、シリーズ終了ではなく、あくまで読点(。)とのこと。7年の間を描くのか、小蔵屋以降を描くのか不明だけど、とりあえず一安心。

    ゴシップを正義ツラしてぶっ放して悦に入ってる、文芸春秋という会社はキラいなんで、HP覗きに行かされたのが悔しかった、が、それはまぁ作品には関係のないこと。

  • 今までのは何だったの…というほどの展開
    いきなりの7年後でビックリしました。
    続くの…かな?

  • あらすじ
     草の古い友人、バクサンは人気料理店を人に譲り引退。新人文学賞に応募し受賞する。久美と一ノ瀬は婚約していたものの、どうやら別れたようだった。
     それから7年。一ノ瀬は家族が経営する会社に所属しながら、海外の山に遠征し、自社商品の広告塔になっていた。久美は市役所勤務の男性と結婚し、子供をもうけている。
     草が営んでいた小蔵屋は閉店。突然のことで理由はわからない。一ノ瀬が管理する社員寮に久美母子が住んでいた。夫はカルト集団にのめりこみ、離婚もままならない状況だった。
     そして草が突然姿を消した理由も同じカルト手段であった。

    《感想》
    他の方のレビューと同じく、混乱した。これ、シリーズものだったよね。突然どうしたんだろう。これまで苦みがありつつも、人々の機微を織り込んできたシリーズ。今回は不穏、不満がどろどろ流れ込む作品となっていた。次作があるのかな?出たとして読むかは微妙。

  • シリーズ12弾にして激動。
    序盤である人物の台詞に「ん?」と思った途端
    そっから一気にジェットコースターのよな乱高下。
    時間も場所も人も
    行ったり来たりめまぐるしく揺さぶられる。
    これが結末でないことを切に祈る。

  • このシリーズは好きだが、今回が久しぶりにテンポ良く面白く読めた。
    最後の章の三つ辻のくだりはとても象徴的だった。これまでのシリーズで手を合わせてきた地蔵前の三つ辻を、主人公の選択する道になぞられたあたりがシリーズを読んできた読者に深い納得を与える。
    流石お草さん!生きる見本!くらい感動したさり気ないワンシーンだった。

    これまでのシリーズがややマンネリ気味で、現実的だけどやや強引に政治的な同線の伏線は未だ回収されていない。7年はちょっと無理があるが長生きして欲しい。早く次巻でまた会いたい。

  • 小蔵屋が閉店と知って、何があったのかと寂しい気持ちで読み始めた。
    由紀乃さんも九州に行ってしまい。久美は一ノ瀬と別れる、寺田も移転。
    お草さんの周りの人がどんどん離れていく。
    最初からホラーのような不穏な空気がひしひしと
    漂う。お草さんもなぜか寂しそうな物憂い感じ。
    怖くて読み進めないのだが、いったい急にこのシリーズに何が起こったのか、作者の意図はなんなんだろう。
    読み進めるほどに胸の奥にずしんと鉛のようなものが落ちてくる。
    久美の試練、最後に一ノ瀬によって救われたのは少しでもの明るい希望だった。
    一ノ瀬カッコいいよ。
    お草さんの行く末が心配だったが、やはりお草さんは逞しい。
    小蔵屋を閉めるにあたってのお草さんの矜持、さすがお草さん。
    彼女はいつだって、背筋を伸ばして前に進む人なんだ。
    悲しいような怖いような内容だったが、お草さんの決断に深く頷く結果だった。
    たぶん、彼女はこれからも凛として生きていくことだろう。続きを待望する。

  • 著者は時代と刺し違える覚悟だったんだろうか。

  • 人生のままならなさ、みたいなことがずっと書かれていて、ハッピーエンドでは終わらず、人生が続く。
    ビターな話。それでも草さんは草さん。

  • 3.5

  • 7年の歳月を行き来する形で、語られています。今までのシリーズの雰囲気と違う。人情味あふれるお草さんとのやり取りが好きだったのだけど。最後の決断はお草さんらしいです。
    お話の最後に聞こえてきた、とうが持ち上がる「ありがとう」の声に明かりが差した気持ちです。
    果たして続きは出るのか。明るい展開だといいのですが。

  • もしかしてこれでおしまい? と思う内容 
    小倉屋は閉店し久美は一ノ瀬とわかれる 
    宗教団体と政治の癒着 巻き込まれる草
    それでも一ノ瀬の献身で久美はなんとか離婚出来る
    この続きが見たい

  • 前巻の「雨だれの標本」はいつもと少し違う雰囲気ねぇ(・_・)まぁでも次の巻ではイイお話が聞けるのかしら?(ノ´∀`*)ウフフと思っていただけに、今回はかなりショッキングな内容(;_;)小蔵屋の事、久実ちゃんの事、この巻の全てがパラレルワールドか映画の台本なら良いのに…(T_T)

  • 紅雲町お草さんシリーズ第12弾。

    階段を一段一段くだっていると思ったら、
    いきなり踏み板どころか段そのものがなくなって、すとんと落ちてしまった感じ。
    落ちたのは下の階ではなく、七年後だった。

    一ノ瀬がまた山に登ってるのは良いとしても、
    久美は他の人と結婚してるし、
    小蔵屋は閉店してるし、
    お草さんは行方不明。
    どういうこと?

    最終巻とはわかっていたので、
    事件が起こりながらも静かに小蔵屋を閉める話なのかな、
    久美ちゃんが後を継いでくれると良いな、
    と勝手に妄想していたので、
    大きな落とし穴に落ちたような感じでもあった。
    お笑い芸人がよく落ちてるような。

  • なんでこの世界はこんなにも過酷なんだろう。いきなり七年が経っているのでびっくりしましたが、七年の間にも色々ありすぎる。草さんも心配だし、何が起きているのか気になる。

  • 不穏すぎる今作である。時を行きつ戻りつしながら少しずつ事情が明らかにされていくのはもどかしくもあり、つい先を急かしたくなってしまう。利用されたり騙されたり裏切られたりする様子を見ると、怒りとともに哀しみに溺れそうになる。だがお草さんはきっちり決断を下したのだ。それでも、小蔵屋にとっては後戻りできない結果になり、残念なことこのうえない。久美のことだけが小さな光だが、それもまた前作からは思いも及ばなかった成り行きで驚かされた。

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著者プロフィール

1964年、埼玉県生まれ。群馬県立女子大学文学部美学美術史学科卒業。2004年、「紅雲町のお草」で第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。著書に「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ『誘う森』『蒼い翅』『キッズ・タクシー』がある。

「2018年 『Fの記憶 ―中谷君と私― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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