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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784163919164
作品紹介・あらすじ
蔦屋が隠した謎の絵師、写楽の真実とは?
多くの傑作を残し、約10ヵ月で姿を消した「東洲斎写楽」。
この謎多き絵師にふたたび筆をとらせたい老舗版元の主・鶴屋喜右衛門は、「写楽の正体」だと噂される猿楽師、斎藤十郎兵衛のもとを訪れる。
だが、斎藤の口から語られたのは、「東洲斎写楽の名で出た絵のうち、幾枚かは某の絵ではない」「(自分は)本物の写楽には及ばない」という驚愕の事実。さらに斎藤が「描いていない」絵のなかには、写楽の代表作とされる「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」も含まれていた。
写楽はふたりいた――。そう知った喜右衛門は、喜多川歌麿とともにもう一人の写楽探しに乗り出す。しかし、写楽を売り出した張本人である蔦屋重三郎が妨害しはじめ……。果たして、本物の写楽の正体とは。そして、蔦屋重三郎と写楽との関係とは。
大田南畝、山東京伝、歌川豊国など、この時代の文化人たちも次々と登場! 蔦屋重三郎を主人公とする2025年大河ドラマ「べらぼう」と共通する世界で繰り広げられる時代ミステリです。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
歴史ミステリとしての魅力が詰まった本作は、謎の絵師・東洲斎写楽の正体を追う物語です。老舗版元の主、鶴屋喜右衛門が能楽師・斎藤十郎兵衛を訪ねるところから始まり、写楽の作品の中には他の絵師によるものも含ま...
感想・レビュー・書評
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東洲斎写楽モノといえば正体を巡る歴史ミステリだが、その正体は能楽師・斎藤十郎兵衛で決着しジャンルとしては廃れるのかと思っていた。だが本書の谷津矢車氏は、東洲斎写楽の活動期間が10カ月という短い期間にもかかわらず、作風や絵の質が最初期とそれ以降で全く違うという点に着目し、実は別の写楽がいたのではないか?というテーマで抜群に面白い歴史ミステリを作り上げている。
本書は、地本版元の主 鶴屋喜右衛門が、斎藤十郎兵衛のもとを訪ね写楽の「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」を依頼するところから始まる。だが斎藤十郎兵衛はかの有名なこの絵を含む6作の役者絵は別の写楽のものであり、無理だと仄めかす。かくして鶴屋喜右衛門は、ひょんなことから相棒となる喜多川歌麿と共に写楽の正体を探ることになる。
本作の魅力は、やはり東洲斎写楽に縁のある蔦谷重三郎や、山東京伝、大田南畝、十返舎一九ら、また歌舞伎役者達とのかかわりあいであり、その生活の姿である。特に蔦谷重三郎は、写楽の正体を守るため立ちはだかり、写楽のことを「憧れ(あくがれ)」と評する。
写楽の正体は、納得感がありつつ成程と思えるものであった。この作品で面白いのは、本作の寛政年間をまるで現在の写像のようにして書いている点である。これは先代の喜右衛門が活躍した天明年間までを高度成長期からバブル期のように描いている点で対比している。主人公である当代の喜右衛門は、そんな先代の時代に「憧れ」を抱いている姿が特徴的であった。まるで版元、作家、職人の仕事の仕方が、一昔前と今との対比のように書かれている。
学術的には正体が明らかになってしまった写楽だが、まだまだ歴史ミステリの題材としての面白さを感じれる仕事であった。蔦屋の言う「憧れ(あくがれ)」が何なのかはご自身で確認してほしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
写楽の正体とは、なんて魅力的なのだろう。
有力説も腑に落ちて良いが、こちらもロマンチックで最高の説でした。 -
大河ドラマ『べらぼう』ロスのため、写楽の謎を追う小説を読みました。
耕書堂ではなく仙鶴堂の鶴屋さんが主人公で写楽が一体誰なのか、調べ回るミステリーです。斎藤十郎兵衛も存在していて、斎藤様が自分のものではない作品が何枚かあるというところからの話。
べらぼうを引きずりながら、べらぼうキャストを脳内で再生しつつ読みました。
が、細かく人物描写されてて、
斎藤十郎兵衛は生田斗真には合わないし、
鶴屋さんももうちょい若い設定らしい。
歌麿は染谷さんのままいけるな。
読んでるうちに違う世界線でのストーリーを受け入れてちょっとずつロス解消できたかも!
そうか、そうきたか!という種明かしもあり。
楽しめました。
べらぼう観たからこそ、今、読んで良かった〜 -
知らない事も多く、スマホ片手に調べながら読みました
現在、最も有力な説とは異なる話で非常に興味深い内容でした -
なかなか面白かった
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先月出たばかりの最新作で、東洲斎写楽の正体に迫る浮世絵ミステリーである。
いまでは最有力視されている「写楽=斎藤十郎兵衛説」を踏襲しつつ、“実は十郎兵衛以外にもう1人の写楽がいた”という謎を序盤で提示し、その謎を解いていく。
私は浮世絵には門外漢だが、とても面白かった。
終盤で明かされる写楽の正体は、従来取り沙汰されてきた諸説と比べ、かなり意外性が高いのでは? それでいて、細部に至るまで整合性が高く、得心がいく。
作者の初期作『蔦屋』と重なる世界・時代が舞台なので、併読するとよい。蔦重と歌麿が副主人公級で出てくるし。 -
迫っていく感じも、読後感も良かった
結末が少し思い出せないのでもう一度読んでみたい -
主人公は老舗版元の主ニ代目鶴屋喜右衛門。大首絵から2年後、狂歌師の唐衣橘洲に写楽の肉筆画が欲しい、と頼まれた喜右衛門は写楽とされる斎藤十郎兵衛を訪ねるが⋯
この方の「蔦屋」もよかったですが、蔦屋が敵役?のこっちも面白い!写楽の大首絵をじっと眺めたくなります。ことの真偽はともかく、よくこんな筋書き思いつくものですねえ。最初の設定からして伏線だったとは。版元、絵師、役者それぞれの職業人としての業も描かれていて、心を打ちます。 -
老舗版元『仙鶴堂』の店主である喜右衛門。彼には写楽の浮世絵で世を騒がせたいという夢がある。が、当の写楽は憧(あくが)れで…店の経営と己の夢とのジレンマで煩懊する喜右衛門。今も昔も悩みは一緒で親しみやすい。写楽の真相に辿り着くまでのワクワク感や蔦屋重三郎ら江戸ッ子に逢えるのも楽しい。
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べらぼう視聴勢だったので登場人物の顔がもれなく浮かびます。また違った写楽の解釈で楽しめた。
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面白い
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2025.8.7市立図書館
楽しみに見ている大河ドラマ「べらぼう」、いずれ出てくるだろうということで写楽関連本を少し読んでおこうと思って、少し前に予約を入れていいタイミングで順番が回ってきた。
去年の秋に書き下ろしで出たばかりの、写楽の正体をさぐるミステリー仕立ての時代小説。ときは寛政八年、狂歌や黄表紙の栄華も今は昔、松平定信公の厳しい取り締まりで本の世界も芝居の世界も手痛い打撃を受け、萎縮したような不景気な微妙な空気のただよう時期、蔦屋としのぎを削った版元鶴屋の喜右衛門(二代目)の視点で語られる。写楽=猿楽師斎藤十郎兵衛説にのりつつ、そこに残された謎に迫っていく手並みは見事。
べらぼうのお陰で人物関係だいたい頭に入っていてすいすい読めるし、版元と絵師、それにモデルとなった役者たちの暮らしぶりや心にせまっていて、とてもおもしろい謎解きだった。「そうきたか!」とわくわくした。
写楽の謎は大河「べらぼう」最後の山場になるはずだけど、どういう展開になるのかなあ⋯ -
活動期間10ヶ月で消えた謎の絵師東洲斎写楽の正体を巡る歴史ミステリー。
写楽を出版した蔦屋重三郎のライバル仙鶴堂の主人鶴屋喜右衛門が探偵役。
寛政の改革直後、奢侈を忌避する風潮に戯作本や錦絵が売れず、忸怩たる思いを持ちながら教養本である物の本の商売に比重を移す喜右衛門。
狂歌師唐衣橘洲の「斎藤十郎兵衛ではない本物の写楽を探せ」との依頼を受け、写楽の秘密を探り始める。
版元、役者、戯作者、絵師、摺師にあたり、歌麿の助けも借りて細い筋を辿り続ける喜右衛門を続いて襲う障害。
終盤の謎解きは数々の伏線をきちんと回収、史実とどこまで合っているかは知らないが、喜右衛門の版元としての成長、覚悟、蔦重の悔恨、役者、絵師の意地などが絡み合い、読後感は快い。 -
2025.02.16
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大河にあわせて出てきたような作品。
日本史で習った錚々たるメンバーが
名前を連ねております。
正直、蔦屋重三郎ってよく知らないので、
この本読んでも何だかすごい人という印象なんですが、
今年の大河を見終えたら、
少しは詳しくなってると信じて
大河を観ようと決心した一冊でした。 -
なかなか写楽の正体は判明しません。
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鶴喜こと仙鶴堂・鶴屋喜右衛門の目線。
来年の大河ドラマ《べらぼう》とやらのおかげで、蔦重周辺の関連本、増えましたねえ。 -
江戸中期、約1年余りで150作品を世に出し、忽然と消えた絵師・東洲斎写楽
その写楽が2人居た?!
版元や歌舞伎役者、絵師や戯作者、江戸文化の人々もたくさん出てきて面白い
谷津さんの、人の心理を描く筆も冴え渡っている!
著者プロフィール
谷津矢車の作品
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