秋葉断層

  • 文藝春秋 (2024年11月25日発売)
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本 ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784163919201

作品紹介・あらすじ

27年前の轢き逃げ事案、あれは〈殺し〉だったのか?
電気街・秋葉原に眠る“ある一族の秘密”が、時を経ていま目覚める。

警察小説の巨匠・佐々木譲が描く未解決事件【コールドケース】


◆あらすじ

1997年10月、神田明神下の路地で起こった轢き逃げ事案。被害者は秋葉原【アキバ】に根を下ろす一族経営の電器店の常務だった。
未解決のままだったこの事案に、2024年11月、〈殺し〉の可能性が浮上する。

警視庁捜査一課特命捜査対策室の刑事・水戸部と、地元・万世橋署の“やる気のない年上部下”柿本のバディは、電気街の歴史を搔き分け真実を摑めるのか!?

主演・松重豊でドラマ化も果たした〈特命捜査対策室〉シリーズ、待望の最新刊!


◆シリーズ既刊
『地層捜査』
『代官山コールドケース』
(ともに文春文庫刊)

感想・レビュー・書評

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  • 97年の未解決ひき逃げ事件… 秋葉原の文化や歴史、関わる人々と交流しながら事件を紐解く #秋葉断層

    ■あらすじ
    秋葉原の万世橋署に、97年におこった未解決のひき逃げ事件の情報が入る。当時の被害者は秋葉原電気店の経営者であった。捜査一課特命捜査対策室の水戸部は、所轄交通課の柿本と共にコールドケースの解明に着手する。果たして彼らは30年近くも前の事件を解決できるのか…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    秋葉原は良く行くんですよ。先週もブックオフ秋葉原店に行って、その後で美味しいカレーを食べました^^

    もうかつての電気街ではありませんよね。今やアニメ、ゲーム、エンタメなどオタク文化の象徴のような街で、外国人の皆さんが楽しめる観光地でもあります。

    本作はそんな秋葉原を舞台にした警察小説。街の文化や歴史、街に関わる人々とも交流しながら、30年近く前の未解決事件を少しずつ紐解いていくのです。

    やはりイチ推しポイントは、秋葉原をテーマにしているところでしょう。よく知る人は親近感があるでしょうし、馴染みのない人であればどんな場所か想像して楽しむことができる。

    また呑み屋が少なく酔っ払いが少ないとか、商売人の感度が鋭いとか、勉強になる情報も多くて面白いんすよ。今度秋葉原に行くときは、目的地ばっかりじゃなくて、街並みも楽しみたいと思いました。

    さて物語は未解決事件の捜査がメインなんですが、これぞリアルな警察捜査。手がかりひとつひとつを当たっていく、可能性を確実につぶしていくという、なんとも地味な作業。聞き込みも派手な尋問じゃなくて、淡々と会話が繰り広げられるんですよね。

    しかしその地味な作業の中にプロの警察官としてワザが光るんです。む…怪しいっ と眼光鋭くなる瞬間がカッコイイんすよね~、しびれました。

    また登場人物の水戸部と柿本がいいコンビなんすよ。捜査一課キャリアでバリバリの水戸部と、所轄交通課のまったり公務員の柿本。序盤は互いに距離感を調整しながらの共同捜査なんですが、捜査が進むにあたって関係性に深みが増してくる。特に柿本のやる気の伸び具合が良すぎなのよ、成長って人との出会いがきっかけになるんだよなぁ。

    そして終盤の切れ味ですよ、もはや日本刀よりも鋭かったです。ですよねって展開にはなっていくのですが、しっかりと幕引きをしてもらって読後感もいい。優秀な人はちゃんと覚悟を決めれるんですよ。

    さて特命捜査対策室シリーズ、初めて拝読しました。これまでの作品も気になっちゃうよ! 前作は新宿・荒木町、代官山ですかー。時間見つけて読んでみたいと思いますっ

    ■ぜっさん推しポイント
    刑事は嘘を見抜くプロってことは知ってるんですが、こういった警察小説の会話を見ていると、やたら現実感があるんすよね。ほんの少しの言葉尻を捕えて疑ったり、話題を避けたことから真相を導いていったり、さすが刑事って感じでちょっと怖い。独断の派手な捜査やドンパチなんかなくても、読み応えたっぷり最高でした!

  • 1997年10月に神田明神下の路地で起こった轢き逃げは、犯人の目星もつかずに未解決のまま27年が経っていた。
    この被害者の姉が、亡くなった弟が身につけていた腕時計が出てきたと…
    そこから警視庁捜査一課特命捜査対策室の刑事・水戸部と地元・万世橋署交通課の柿本が、調べることになる。
    電気街である秋葉原に根を下ろす一族経営の電器店の常務は、轢き逃げだったのか…。

    水戸部と柿本の意思疎通は上手くいくのか…?という危うい2人の捜査に気を揉みながらも地道に捜査を続けていくうちに浮かびあがってきたものは、やはりそういうことかとなるのだが、最後の結末はすっきりしなかった。
    最後まで柿本に好感触を抱けなかったせいかも…。

  • 佐々木譲さんの地層捜査シリーズの第3弾「秋葉断層」読了。

    地層捜査シリーズは、過去の未解決事件を扱う「特命捜査対策室」の刑事・水戸部が主人公のシリーズ。第2弾が発売されたのは12年前。私がそれを読んだのも10年前。すっかりシリーズのことは忘れていましたが、続きが出てくれて嬉しい!

    10年以上前に読んだシリーズだし、メモもとっていなかったので、主人公ってどんな人だっけ?っていうのも忘れていましたが、全然問題なく物語にのめり込ませていただきました。


    今回のケースは、27年前に秋葉原で起こったひき逃げ事故。その事故で亡くなった被害者の時計が質屋で見つかったことから、被害者の姉が捜査を依頼してきたのがきっかけ。特命捜査対策室の水戸部と、万世橋署の交通課の刑事がタッグを組んで謎を解明しようと捜査を進める。再開発が進む秋葉原の現状や、街の変化などから、小さな違和感を掘り出していく。

    という物語。

    そう「掘り出していく」と言うのが、このシリーズを表す言葉なのかもしれない(第1弾は「地層捜査」と言うタイトルだったし)。時間という地層に覆われてしまった事実を、少しずつ掘り下げたり横を掘ったりして謎に迫っていく。

    そして、今回の物語は、意外な展開で幕を閉じることに!

    シリーズ、続きが読みたいですね。
    私が設定を忘れないうちに、次を出してほしいーーー。

  • 真相が謎のまま残りページ数が少なくなってきてイヤな予感はしたが、的中してしまった。こういう小説は読者に余韻や謎を残すよりもどんでん返しなどで結論づける方が読後感がよいはず。

  • 読み終わった後思わず悲鳴をあげた。うっそ、こんな終わり方があるんだ、ちょっと酷い。
    コールドケースの地層シリーズ第3段、水戸部さんが主人公で、今回は神田の27年前の轢き逃げ事件を再捜査。相変わらず読ませる文章は流石。読者に投げかける終わり方はちょっと頂けない。

  • 佐々木譲さんの「秋葉断層」読了。秋葉原は再開発の仕事で散々関わった土地だし、その歴史に興味を持って読みました。今週の業務が忙しくて久しぶりの読書は現実逃避的だったかな。おかげで多少寝不足!
    内容としては、刑事もので、27年前に起こった未解決の轢き逃げ事件の真相を追うものでした。この作家さんに馴染みなかったので、他の本を調べたら他にも骨太な警察小説や、歴史小説にも読むべきものがありそうでした。

  • こんな風に終わるパターンもあるのね。
    事故なのか事件なのかわからなく、まぁ刑事事件扱いになるのはそーなんだけど、読み進めるほど、これは刑事事件として殺人を立証するのは難しいんだらうなと読者でもわかるほど。
    ラストも今までとちょっと違う展開で面白いんだけど、なんとなく盛り上がり欠けたような気もする。

  • タイトルの意味不明?27年前のこと思い出そうとしても無理!それ疑問に思ってたら、状況証拠はいっぱいあったんだから、お姉さん行動してたんじゃないかなぁ。

  • 特命捜査対策室シリーズ第3弾。

    27年前秋葉原で起きた轢き逃げ事案に殺人事件の可能性が浮上し、万世橋署の交通課警官と合同捜査をすることになった警視庁特命捜査対策室の水戸部刑事。
    古い轢き逃げ事故を殺人として立件する証拠を上げることができるのか……。

    どことなくチグハグなバディ。やる気があるのかないのかよくわからない柿本と特命のエース水戸部。このページ数でどう決着をつける?と思ったらまさかの……。
    まあ、無理やり決着をつけるよりは現実的なのかもしれないけど、警察小説としてはモヤっとするかな〜。最後に水戸部がつかんだ真実とそれに対する処し方はなかなかにハードボイルドで佐々木譲らしくはあったけどね。

  • 未解決事件を専門に捜査する特命捜査対策室シリーズ11年ぶりの三作。27年前に秋葉原で起きた轢き逃げ事件を水戸部と所轄のやる気のない年上部下柿本コンビが追う。証拠や記憶が風化する中、粘り強い操作の過程で明らかになったのは同族企業を営む被害者家族の複雑な関係だった…。ラストがスッキリ解決ならずでモヤモヤ。

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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