銀嶺のかなた(一) 利家と利長

  • 文藝春秋 (2024年12月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (392ページ) / ISBN・EAN: 9784163919249

作品紹介・あらすじ

歴史時代小説の第一人者・安部龍太郎の集大成!
戦国末期、前田利家・利長父子の決断こそが日本の流れを決めた――。

織田信長と柴田勝家のもとで手柄を打ち立て、〈槍の又左〉と戦国に名を轟かせた豪傑・前田利家と、その息子で温厚かつ秀才肌で〈上様の近習〉となった利長。世代間ギャップと性格の違いを背景に、父子は時に激しく対立しつつ、乱世の荒波を乗り越えていく。

本書の冒頭は、柴田勝家率いる織田勢と上杉勢が激しく争う「手取川の戦い」。そこで手痛い敗北を喫するも、謙信の急死で形勢を挽回した織田勢は加賀ばかりか能登、越中の大半を支配下に組み込んでゆく。信長の馬揃えのため上洛した利家にもたらされたのは、「能登一国を任せるゆえ励め」との言葉だった。さらに利長は信長の近習、さらに娘婿にまで取り立てられる。

しかし、国持大名として能登一国をどう収めるのか? 越中への侵攻の行方は? 数々の難題に立ち向かう前田利家のもとに、まさかの本能寺における信長の訃報が届けられ……。

感想・レビュー・書評

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  • 加賀100万石の礎を築いた前田利家と利勝の親子の物語。1巻は前田利家・利勝親子が柴田勝家率いる織田軍の一員として上杉謙信軍を攻めた手取川合戦から、本能寺の変を経て権力を掌握した秀吉が勝家と雌雄を決することになる賤ヶ岳の戦いの序盤まで。

    本書の中で、毛利家が本能寺の変の後に秀吉と手を組んで講和を結んだのは、南蛮貿易を仲介しているイエズス会から秀吉方につくように指示があったからという説を取っている。巨万の富を生む石見銀山の銀を南蛮貿易によって輸出し、火薬の原料の硝石や弾の原料の鉛の輸入はイエズス会の仲介がなければできない。

  • なかなかの活劇でした

  • 前田利家、利長親子を軸に描いた戦国物。本能寺の変の後の物語は秀吉、家康、明智光秀などが主人公である事が多いので、前田家から見た景色が面白かった。また、背後に南蛮貿易、キリシタンたちの暗躍があるのもなるほどと感じた。

  • 前田利家と利長を描いた一巻目。
    織田信長の治世から本能寺の変により、織田家臣たちのパワーバランスが崩れて秀吉が台頭する。
    その時代の利家の逡巡や、民を支配するための信長ばりの殺戮の苦悩まで、時代に流されるのに抗う姿はリアルに伝わった。
    信長の娘永と婚姻を結んだ利長へと物語が引き継がれる。
    結末が分かっている歴史小説だけに、リアルに時代を描くこの小説の後編に期待する。

  • 何年か前 北陸を旅した時 高岡で時間があったので何気なく駅近の国宝の寺“瑞龍寺”を訪ねたことがあった。

    山門をくぐった途端 四周を回廊で囲まれた仏殿、法堂、禅堂、大庫裏が。厳粛で整然と建つ伽藍に圧倒され惹きつけられた。京都、奈良の寺院と全く違う雰囲気だった。回廊の小窓の障子の白さが目に染みた。

    その時初めてこの寺院が 加賀二代藩主前田利長の菩提寺だと知った。

    その時から前田利長とは?と気になっていた。
    利家と利長のことが描かれた新書、安部龍太郎が新たに発見した史実も,と言うことで読み始めた。

    一巻めは 利家が能登一国を任せられてから賤が岳の戦いまで。著者らしい緻密に資料を駆使して描かれているが、惜しむらくは(私にとって)利長は15歳からの登場で出番が少ない。

    第二巻を期待。

  • 前田利家について名前を知ってるくらいでその息子については全然知らなかったが、信長や勝家、秀吉との関係や立ち位置が知れて面白かった。各所で話の正当性を過去の文書から引用していて分かりやすかった。

  • 前田利家・利長の視点の戦国時代
    本能寺の変前後の時代
    柴田勝家のもとにいたことや北陸にいたことで時代に乗り切れなかったのは不運
    しかしながら、秀吉との才覚や能力の差は歴然であり、若い頃から同僚であったことから忸怩たる気持ちの表現はとてもいい

    北陸というエリアにスポットがあたっているので、そんなことがあったのかと新しい情報が盛りだくさん

    ど真ん中の歴史小説もいいけど、歴史の流れのなかでニッチな部分を描く歴史小説は知識欲を満足させてくれます

  • 【信長の命で前田利家・利長父子が能登入国!】槍の名手として戦国に名を轟かせた豪傑・前田利家と、温厚かつ秀才肌の息子・利長。信長から能登一国を拝領、国持大名として起つ!

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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