高宮麻綾の引継書

  • 文藝春秋
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感想 : 11
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163919515

作品紹介・あらすじ

\こんな会社辞めてやる! そう思ったことがある人、全員集合!/

精魂込めて作り上げた新規事業が、親会社に潰された。理由はリスク回避。

「なんであんたたちの意味わかんない論理で、あたしのアイデアが潰されなきゃなんないのよ!」

怒りを爆発させた三年目の社員・高宮麻綾は、社内外を駆けずり回り、〝リスク〟の調査に乗り出す。

私は私の仕事をモノにしてみせる――
だってそういうたまらない瞬間のために生きているんだもの。

忖度、義理、出世……それって昭和の話? いえいえ、いつの時代も会社はややこしくって面白い!

今日の味方は明日の敵――めくるめく令和のサラリーマン小説が爆誕。

★松本清張賞選考会で話題沸騰★

完成度が高いエンターテインメント作品。構成の密度、キャラクター設定ともによく練られていて、著者はエンタメの世界で即戦力の持ち主だと感じた。――辻村深月(作家・松本清張賞選考委員)

勢いに引っ張り込まれた。 非常に良くできた作品で、私などは見事に感情をコントロールされたクチである。私はこの作品を一推しした。――森絵都(作家・松本清張賞選考委員)

★各界から絶賛の声★

仕事が好きな人、仕事の理不尽を知る人にとって間違いなく、心にぶっ刺さる物語。――瀧井朝世(ライター)

仕事ってむかつくけど面白いよな!!!そんな感情を思い出させてくれた痛快・最高・天才の仕事小説です!全員読んでくれ!――三宅香帆(文芸評論家)

引き継がれるのは事業への想い。読むと仕事のやる気が湧いてくる。エナジードリンクみたいなお仕事小説です。――新川帆立(作家)

ただ面白いから仕事を続けてきた。それでも良かったんだと胸を張れました。――安島隆(ディレクター)

会社が憎い。だから今日も働く。会社員の屈折した魂の輝きの全て。――メン獄(『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』)

この疾走感。仕事のフラストレーションも、それを上回る愛と情熱も、全てがここにある。――龍崎翔子(株式会社水星 代表取締役 / ホテルプロデューサー)

感想・レビュー・書評

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  • 私は病院勤めの世間知らずなのか、3年目社会人でこんな人がいたら圧倒されます。でも、いろんな方にお世話になって、支えられて、という部分も垣間見れたので、少しホッとしました。

  • 文藝春秋のPodcast『本の話』で激推しされていたため手に取りました。
    主人公の高宮真綾は、新規事業を“リスク回避"を理由に潰されてしまう。怒りを爆発させた高宮は、会社を駆けずり回り"リスク"の調査に乗り出す。
    高宮真綾はなかなか強烈な人物ですが、関係者(大半は上司)に食ってかかる姿がめちゃくちゃ爽快でした。こんなに思い切って戦えるのは、自分が考えた新規事業が自分の重み(大切なモノ)であるからこそ。この大切なモノとの向き合い方がひしひしと伝わってきて、読んでいる私自身も仕事への向き合い方を考えさせられました。みんながみんな、高宮のように戦えるわけではないけれど、諦めて転職する前に「このクソが!」と叫びながら踏ん張ってみるのもいいなぁと感じました。エネルギッシュな高宮からパワーをもらえる作品です。

  • 毒舌、暴言、舌打ちが過ぎる!?
    いやいや、人生突っ走ったもん勝ち!
    本人まあまあ怒り狂ってるけど、このご時世の真逆をいくような仕事へののめり込みっぷりに、これだけ言いたいこと言って攻められたら、仕事って絶対楽しい!
    ああー、私もとことんやってみたい!!!って、なんだかパワーが湧いてきます!
    (まわりのスタッフには言えないけど、私もほんとはやりたいことありすぎて帰りたくないからわかるー!)

  • いやー、面白かった!
    最高のエンタメお仕事小説。
    主人公の高宮麻綾も展開も最高でした。

    商社勤務トレーディング三課の高宮麻綾。
    自らが作り上げた事業案実現への道が拓けたと思ったら、まさかの親会社都合でその道を阻まれてしまう。
    潰されてなるものかと、無謀とも言えるあの手この手で奮闘。
    そうした中、ある事実に遭遇してしまい……。

    仕事はバリバリこなすが態度はすこぶる悪い。パワフルで血の気が多くて、でも意欲と熱意ににあふれててエネルギッシュ!

    さまざまな思惑が渦巻く新規事業「メーグル」。
    一筋縄ではいかない親会社の面々。
    悔しい!歯がゆい!
    明らかになった事実とは……!?

    お仕事小説ながらミステリー要素もあり、スピード感とスリル、謎も楽しめる。
    面白くて一気読みでした。
    理不尽に立ち向かうヒロインが格好いい。

    昔、池井戸潤さんの作品を初めて読んだときのことを思い出した。あの時のスカッと爽快な読後感は忘れられない。
    松本清張賞は逃したものの、社内で出版を望む声が多かったというのも納得の面白さ。
    今後も追いかけたい作家さんになりました。

  • 「麻薬の麻に言葉の綾で、高宮麻綾です」

    アツい。
    新川帆立さんの『倒産続きの彼女』の熱血版といった印象。
    ビジネスの内容が「酵素」なのは渋いなと思った笑

    桑守さんの人間味がすごい。
    ラストは角田さんも出てきてくれたら嬉しかったな。

    冒頭の引継書はインパクトがあるので、多くの人が手に取ることになりそう!

  • 面白かったです。
    主人公ガッツあるなぁ。

    主人公が最終的に声出していこう、
    を言ってるのがなんだかんだ、伝染してるじゃんと思い面白かった。
    私も使っていこうかな笑。

    ただ、それ以外記憶に残る作品だったかと言われると
    判断難しいところではあります。

  • めちゃくちゃ面白い!!
    ふだんビジネス小説あまり読まない人もぜひ読んでほしい!

    松本清張賞の最終候補に残った作品で、惜しくも受賞は逃したのだけれど、文芸春秋社の編集者さんが「この小説は、今出すべきです」「ものすごく面白かったです。この小説を読んで、麻綾は私だと思いました」と激推しされ出版に至ったそう。

    著者の城戸川さんは商社に勤めるビジネスマンで、新規事業の開発を担当している。主人公、高宮麻綾も営業部にいながら新規事業の社内ビジコンに挑戦するところから物語はスタートするのだけれど、実体験が裏から支えているから体重の乗り方が半端ない。

    新規事業に賭ける意気込み、それが打ち砕かれた時の凹み具合、それでも何とか成立させるために各所を駆けずり回る情熱、どれだけ動いても全く物事が前に進んでいない焦り、全てに血脈とリアリティを感じた。
    この物語は強いよ。

    「なんであんたたちの意味わかんない論理で、あたしのアイデアが潰されなきゃなんないのよ!」と、理不尽で理にかなっていない親会社の意向にブチギレる麻綾。新規事業と怒りが交差して、ものごとがドライブしていく爽快感は半端なかった。

    僕も、漫才も小説も「この一本で売れてやる」と思って作ってきた。絶対みんな自分とリンクする部分があると思う!
    殺してやると思うくらいのエネルギーはいつだって必要だ。

    デビュー作でこのクオリティは、NEXT池井戸潤になり得る作家さんだと思う。

    物語はもちろん、細かい表現も面白かった。
    特に好きなのは
    「受話器からくるくると伸びたコードを指で弄びながら、高宮は朝から元気に恫喝していた」
    「目の前の茹で餃子を箸で思い切り突き刺して、二つ同時に頬張った」
    「次すみません言うたら、てっちりに頭ぶち込んだるからな」

  • 導入部の「引継書」に惹かれて読んでみた。「ビジネス×痛快ミステリー」というのはその通りで、ストーリーは期待を裏切らないだろう。

    ただ、個人的には、機微な心理のようなところまで明確に表現されて過ぎているという印象があり、文学としてのもの足りなさを感じてしまった。しかし、それはそれで「ビジネス的」ともいえることであって、普段は文学を読まないようなビジネスパーソンにリーチするために計算された表現なのだとしたら、すごい。

  • 密度が濃い!
    お仕事小説としてもミステリーとしても、途中で全く飽きが来なかった

  • 痛快お仕事小説と一口で言えてしまうこともあるけれど、それだけではないのは物語の構成の巧さやキャラクターの魅力に違いない。そして、誰が犯人かというミステリーも加わり、毎章終わりごとにすぐ次を読みたくなる疾走感もたまらない。
    何より高宮の悪態つきながら突き進む様はもはやダイ・ハードのマクレーンのようだ。行動力は評価できるが、やり方はエグい。でも、自分に正直で現状を打破しようとする姿には勇気をもらえる。これだけ何かに夢中になれるのは羨ましい。松本清張賞あと一歩だったとのこと。ぜひ次の作品で本屋大賞ノミネートを。

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