交番相談員 百目鬼巴

  • 文藝春秋 (2025年4月9日発売)
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感想 : 8
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  • 本 ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163919676

作品紹介・あらすじ

交番相談員が見抜く、警察官たちの闇と罪。
2025年度最注目の連作ミステリ短編集!

警察を定年退職し、非常勤の「交番相談員」として働いている百目鬼巴(どうめき・ともえ)。
見た目は普通のおばさんで、性格も穏やかだが、彼女には妙な噂があった。

「彼女には県警本部の刑事部長でも頭があがらない」

「現役時代には、未解決事件の捜査にあたってほしい、と熱烈なお呼びが掛かっていた」

「なぜか科学捜査の知識も豊富に有している」

半信半疑で一緒に働いていた若手警察官は、
しかしすぐにその噂が真実であることを知る。
彼女は卓越した洞察力で、目の前で起こっていることの
真相・裏側を立ちどころに見抜いてしまうのだ――。

『教場』シリーズの著者であり、
当代きっての短編ミステリの名手による、
新「警察小説」シリーズ、開幕です!

感想・レビュー・書評

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  • 警察を定年退職し、非常勤の交番相談員として働く百目鬼巴は、一見普通のおばさんで性格も穏やかであるが県警上層部では只者でないと知られている。
    そのおばさん相談員が交番で起こった事件について話すのである。

    全6話の短篇集であるが、確かに百目鬼巴は凄いと感じた。
    何を捜査するわけでもないのだが、交番内で少し言葉を交わすだけなのに一瞬にして誰が何をしたのかを当ててしまう。
    それも普通の会話の延長上でさらりと言うのであるから怖い。
    彼女は犯人である人物と短い接点の間に何をどう見て判断したのか、その洞察力に凄いとしか言いようがない。
    それも追い詰めるわけでもなく淡々と会話することで有無を言わさずに幕をひく。

    「曲った残効」は、最後まで自分の思いが良からぬ方向へと走り、死に追いやったと知らずにいた怖さという稀な結末だった。


  • 交番相談員が見抜く、警察官たちの闇と罪。
    2025年度最注目の連作ミステリ短編集!
    警察を定年退職し、非常勤の「交番相談員」として働いている百目鬼巴(どうめき・ともえ)。
    見た目は普通のおばさんで、性格も穏やかだが、彼女には妙な噂があった。
    「彼女には県警本部の刑事部長でも頭があがらない」
    「現役時代には、未解決事件の捜査にあたってほしい、と熱烈なお呼びが掛かっていた」
    「なぜか科学捜査の知識も豊富に有している」
    半信半疑で一緒に働いていた若手警察官は、
    しかしすぐにその噂が真実であることを知る。
    彼女は卓越した洞察力で、目の前で起こっていることの
    真相・裏側を立ちどころに見抜いてしまうのだ――。



    色んな交番に非常勤として働く百目鬼。優しいおばさんなのに推理が冴え渡っていて、過去が気になるばかりでした。
    実際、最後まで読んでも、はっきりとした経歴を明示せずに終わるので、おそらくシリーズありきで描かれているかと思います。
    それにしても、明るく優しそうに見えて、推理を披露する時はズバッと解いていくので、ますます謎が深まるばかりでした。
    別の作品「教場」の風間教官とはまた違った存在感で、ぜひ百目鬼の現役時代の活躍を読んでみたいです。

    さて、事件の方ですが、全6章で、各交番に百目鬼が派遣されます。時系列としてはバラバラで、最初は定年後数か月の時もあれば、数年後のエピソードだったりと飛び飛びです。
    そこで巻き起こる奇妙な事件。それは交番勤務の警察官が絡んでいくのですが、最初のエピソードから度肝を抜かれました。警察官の謎の死から始まり、さらに新たな警察官の死へと発展していくのですが、百目鬼の推理により明らかになる真実にゾワッと寒気がしました。

    そういったものが、次のエピソード以降も最後まで体験していくので、面白かったです。「教場」とは似ているようで、また違った空気感がありました。なんとなく色んな意味での気持ち悪さが残る余韻だったので、今後も読みたくなりました。

    たしかに事件を解決した時の爽快感はあるのですが、真相がわかった時の衝撃が、今迄の優しい雰囲気とはがらりと変えてくれるので、ある意味鳥肌が立ちました。
    犯人が分かった後は、すぐにフェードアウトするかのように終わり、次のエピソードに切り替わるので、その後の展開も気になるばかりでした。

    こんなに交番での奇妙なエピソードを読まされると、読んだ方にしたわからないかと思いますが、警察本当に大丈夫?と思ってしまいました。

    百目鬼さんの今後の活躍、そして謎の過去。どんな人物なのか楽しみです。

  • 以前、アンソロジーで「百目鬼巴」が登場する短編を読んで独立した本になっていないか探したものが単行本になると知って「また読める!」と楽しみにしていた1冊。

    その時に読んだ「噛みついた沼」を含む6篇の連作短編。短編が上手い書き手が好きな人はきっと好き!

    勘が冴え頭脳明晰で穏やか、只者ではない彼女が解き明かす事件とちょっとビターなその結末がこの作品ならではなのかなと思う。

    これシリーズになって続いて欲しいなぁー。

  • 百目鬼さんの推理スゲ〜‼︎ってなった。

    本書は短編小説だけど、次があるなら長編も読んでみたいとワクワクさせる本でした。

  • 【おばさん交番相談員が暴く、警察官たちの闇】交番相談員として嘱託で働く百目鬼。見た目は普通のおばさんなのに、その洞察力は尋常ではなく……切れ味抜群の連作ミステリ短編集。

  • 警察を定年退職後、交番相談員として働く
    百目鬼巴が、さまざまな交番で起こる事件を
    解明していく。

    警察上層部からも、只ものではないと、
    えらく信頼されている彼女だが、
    見た目はどこにでもいるおばさん、いや、
    定年退職しているんだから、おばあさんに近い?

    交番の中で話を聞くだけで真実を見抜いてしまう、
    となると、安楽椅子名探偵?

    事件はすべて、警察内部にかかわるもので、
    この作家さんの「教場」シリーズを思わせる。

    百目鬼の鮮やかな手腕は、気持ちのいいものだが、
    警官の闇に発する事件ばかりのところが…。

  • 警察を定年退職し、非常勤の「交番相談員」として働いている百目鬼巴が見抜く警察官の闇。ビターな味わいの警察小説短編集。サクサク読めて面白かった。

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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