嘘と隣人

  • 文藝春秋 (2025年4月23日発売)
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感想 : 9
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  • 本 ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163919713

感想・レビュー・書評

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  • 定年した刑事を主人公にしたミステリー短編集で、隣人や知り合いの不可解な謎を解決するといった内容でした。

    個人的には好きな作家である芦沢さんの作品であり、最近だと本格からSFものまで手がけている印象でしたが、割と今回は王道寄りな作品でした。

    謎解きに関しては、どうしてその謎が生まれたかを探る「ホワイトダニット」であり、その謎の原因に関しては芦沢さんらしく後味の悪さがあって、イヤミスっぽくて良かったかなと思います。

  • このミステリーはちょっと変わったところがあると思った。定年退職した元刑事が現在起こった事件事故を過去の事件事故に照らし合わせて解決して行くと言う探偵まがいの行いに爽快感を感じました。ラストの元同僚がやっている探偵事務所に入って活躍するんじゃないかと思わせぶりな終わり方をしていました。この主人公正太郎をまた読んで見たくなりシリーズ化またわ続編を希望します。

  • 定年退職した元刑事(『夜の道標』に出てくる)の正太郎が偶然関わる身近な人に起こった「事件」たち。
    誰も、何も、気づかなかったらそのまま終わっていく事件たちの、その裏側にある「嘘」を見つけてしまうのは元刑事ゆえ。
    刑事時代に遭遇した事件との接点、そこから見えてしまう隣人たちの嘘。
    「事実」だけで終わったはずの事件の、その真実があらわになったときの暗い悲しみ。
    知らなければよかった、気づかなければよかった。
    世界はそんな嘘でできている。

  • 元刑事の連作短編集。

    孫の保育園友達の母親に自転車を貸したが帰ってこない。DV夫に刺されて怪我してた。スマホのGPSをママ友がONにしてDV夫がやってきれた。不在時に写真を撮ってあげようとした…説で納得できない老人。ママ友が息子がかくれんぼしてて見失って、自分の過失を隠すためにDV夫を呼び寄せた仮説を思いつくも、心の奥底にしまう。

    元刑事が庭いじりをしたくて一軒家を探しに不動産へ。昔にマンションであった飛び降り自殺事件に思いを馳せる。ストーカー女に病んで女が飛び降りた。言い争ってた目撃証言があったので殺人事件かと思われたが、しばらくして遺書が出てきた。
    だがこれは殺人事件だと思わせれば、家のローン特約でキャンセルができるのでキャンセルしてから遺書を見つけたと言うことでは…!?と思いつく。真相は闇。

    元刑事は引っ越しをする。引っ越し屋の二人組は片方がもう片方をめっちゃ罵倒する。妻はクレーム対策かもという。昔の事件を思い出す。ベトナム人引っ越し屋の縊死体と老人の撲殺死体が遺棄されている。ベトナム人引っ越し屋の相方ベトナム人が重要参考人で探し出されたが、真実はベトナム人は嫌になって自殺し、それを荷台に隠した相方と、現場リーダーの日本人が猛暑の荷台に相方を閉じ込めて、入れ替わった。遺棄現場を目撃された老人を撲殺した。

    電車の中で、痴漢と抱っこ紐のバックル外しが同時に行われる。痴漢はバックル外し犯人にはなり得ない状況なので、痴漢の真犯人を逃したバックル犯人。

    SNSで誇張する母親。迷子を助けて学校に遅刻したウチの娘が素晴らしいとツイート。娘は嘘が拡散されるのが嫌でアンチする。アンチが怖いから探して欲しいと頼まれ娘だった。娘以外にも死ねとコメントしてたアンチを探す。迷子を一緒に助けた妊婦がその後自転車に撥ねられて流産していた。と思ったら、その自転車と思われたが否認した人もアリバイにTwitterを利用してたし、妊婦も息子の為にtwitterを利用していて実は迷子を助けたのとは別人だった。

  • 当人にとってはささいな嘘かもしれない。
    けれどそこから地獄が始まっていく。
    ゾッとしました。

    痴漢をしてしまった?本当にしたの?
    DV夫に居場所がバレた!なぜ?
    自分の娘は素晴らしいんです!←嘘です!

    一度疑問を抱いてしまうともう終わり。
    気づかなければ幸せだったかも知れないのに…
    そう思いました。気づけば余計に苦しむことになるかもしれない。誰も救われない正解もあるのかも知れない。そう思いました。

    どのお話も背筋が凍りますがまさか…!が続いて読み進めずにはいられませんでした。特に「最善」がゾッとしました…。

  • メモ。
    「夜の道標」の刑事の定年退職後の話。

  • 夜の道標の刑事だった正太郎が引退した後の話。今回は短編集で前作と異なり芦沢さんらしい話の展開で楽しく読めた。火のないところに煙はほどの不気味さや展開の面白さがなく、個人的には物足りなかった。3.4

  • 賢くないと難しい。よって私には難しかった。汚れた手をそこで拭かないの方が面白かった。

  • 【背筋が寒くなるどんでん返しの快感】ミステリ・ランキング常連の注目作家による、新境地連作ミステリ。地獄は始まる。あなたの隣の小さな悪意から……。

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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