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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784163919911
作品紹介・あらすじ
著者6年ぶり、世界が待ち望んだ長篇小説400枚。
内気な人々が集まって暮らすその土地は、“アカシアの野辺”と名付けられていた。野辺の人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話した。リリカもまた、言葉を話す前に指言葉を覚えた。たった一つの舌よりも、二つの目と十本の指の方がずっと多くのことを語れるのだ。
やがてリリカは歌うことを覚える。彼女の歌は、どこまでも素直で、これみよがしでなく、いつ始まったかもわからないくらいにもかかわらず、なぜか、鼓膜に深く染み込む生気をたたえていた。この不思議な歌声が、リリカの人生を動かし始める。歌声の力が、さまざまな人と引き合わせ、野辺の外へ連れ出し、そして恋にも巡り合わせる。果たして、リリカの歌はどこへと向かっていくのか?
名手の卓越した筆は、沈黙と歌声を互いに抱き留め合わせる。叙情あふるる静かな傑作。
n-bunaさん(ヨルシカ)絶賛!
<おもちゃから流れる歌声、アシカショーのアシカの歌声、シンガーの為の仮歌、そして夕方に流れる家路。何者でもない、何処にもクレジットされることのない彼女の歌声は、決して聞く人を選ばない。それは誰もが何者かに成ろうとする今の社会において、本当は必要だった優しさなのかもしれない。>
みんなの感想まとめ
静寂と歌声が織りなす物語は、内気な人々が集う共同農園「アカシアの野辺」を舞台にしています。その土地では、言葉の代わりに指言葉でコミュニケーションが交わされ、リリカという少女が特別な歌声を持つことから物...
感想・レビュー・書評
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小川洋子さんの世界からただいま戻りました‥‥
どっぷりと世界観に浸りました。
おばあさんと二人暮らしのリリカ。
家の隣の広大な森を買い取り移り住んできたのは“内気な人の会”と称するグループ。宗教的施設でも、営利目的の会社でもなく、ただただ内気な人たちの集まり。やがて門には“アカシアの野辺”と書かれた看板が掲げられるようになる。
とにかく、“内気な人の会”とか“アカシアの野辺”とか、本を数ページ読んだだけで、小川洋子さんの世界へスーッと引き込まれて行きます。
“内気な人の会”の雑用係として働くことになったおばあさんと、その孫娘のリリカは唯一“アカシアの野辺”に入ることができる二人。
『魂を慰めるのは沈黙である』をモットーに生活している“内気な人の会”のメンバー。
彼らはどんな人生を経て、ここに辿り着いたのか、そこには全く触れられていませんが、こんな場所があったっていいよな、と思う読者は一定数いるのではないかな。
人の記憶に残るものではないが、邪魔にならない歌声を持っているリリカ。
“内気な人の会”とリリカの歌声が呼応して、静かな静かな物語になっています。
声なき声を持っている者も、ここに存在している。大きな声をあげずとも、存在している。静かに存在している、そんな物語だと受け取りました。
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「沈黙」は「静寂」に近くても、決して「無」ではなく、むしろその「静謐さ」をこれほど豊かに言葉で表現できるんですね。小川さんが丁寧に紡いだ日本語はどこまでも美しく、その文章の魅力に惹きつけられ、読み手の感性を刺激します。
沈黙を大切にする"アカシアの野辺"を舞台とし、そこで暮らす人たちとそこで育ったリリカ。彼女は控えめで優しい唯一無二の歌声を身に付け、その声で命なきものへ魂を吹き込み、動物たちを慰め、死にゆく人に寄り添うのでした。
小川さんの卓越した筆は、沈黙と歌声を際立たせ、饒舌の対極に位置付けている気がします。沈黙は、ある種の緊張感と内面感情の深さを生み出し、リリカの歌声がもたらす安寧と見事にバランスが取れています。叙情あふれる静けさが心に沁みます。
物語は長い年月を静かに進み、語られるエピソードも多彩ですが、どの場面も透明なようで鮮やかな色使いの情景が広がり、切なさと温かさが響き合って濃密な詩的空間があります。この中に浸っていることこそが、本書を読む悦びと言えるでしょう。
「もの言わぬもののためだけに歌う」リリカの姿勢は、義務ではなく自分らしさだったのではないかと思います。リリカがいる世界を最後まで全うしたのですね。『家路』の歌と「魂を慰めるのは沈黙である」の言葉の余韻が後を引く物語でした。 -
沈黙を愛する人々が集う共同農園。そこに言葉は無く、指文字での会話が行われている。
門番小屋に幼少期から祖母と住むリリカ。ある日、リリカの歌を聞いた祖母は羊の毛刈りの時に、側でリリカが歌うように取り計らう。羊も聞き惚れる奇跡の歌手が誕生か、と思わされる展開とは真逆。町内で流れる夕方の「家路」が最初の仕事。何十年にも渡って流されるが、誰も気に留めない。沈黙の人々に寄り添うような歌声が持ち味。
祖母が亡くなったり、共同農園の人々も亡くなったり減少して行く中で、どんどん不吉な方向に向かって行く。一時、恋人ができることもあったが、やはり駄目なようだ。全体的にも静謐な中で物語を終えてしまった。重い内容に、本を読むスピードが鈍ってしまった。 -
言葉を必要としない「アカシアの野辺」の人々と接しながら暮らしてきたリリカと祖母。
指言葉で会話する生活は、とても静かで穏やかに時は流れてゆく。
迷子が寂しくないように人形を作り続ける祖母とリリカが歌う「家路」。
情景が目に浮かぶほど。
すべてが、静謐と表現したらいいのだろうか…。
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小川洋子さんの6年ぶりの長編小説は、静謐で透明感を感じる作品でした。
“アカシアの野辺„で暮らすリリカの物語。そこは【魂を沈めるのは沈黙である】という言葉と共に、内気な人々が暮らす場所でした。
目と指で自分の思いを伝えて生きている人達の暮らしは、静寂の中で謙虚さに満ちていました。ここで暮らすリリカの歌によって慰められたり、導かれた出来事、彼女の淡い初恋などが書かれていました。最後までリリカの歌が静寂の中に溶け込むように存在し続けていることが、とても印象的でした。
一番心のこもった“さようなら„が、目を閉じなければできない理由に、とても切なさを感じました。
静けさのなかにある芯のようなものを感じた小説でした。落ち着いてじっくり読むのが、おすすめです。
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2025/11/24
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フリージアさんへ
全然失礼じゃないですよ!
事実だし、オイラ自身が作り上げた現実ですし。
大丈夫ですよ♪フリージアさんへ
全然失礼じゃないですよ!
事実だし、オイラ自身が作り上げた現実ですし。
大丈夫ですよ♪2025/11/24 -
2025/11/24
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実際にリリカの歌声を聴いてみたいと思う気持ちと、あくまで想像の世界で再生すればいいという気持ちがせめぎ合っています。でもやはり聴いてみたいですね。
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沈黙を愛する人々の住む「アカシアの野辺」。この物語を読んでいると、いつの間にかそこに自分がいるような錯覚に陥った。ざわざわと音のする場所で読んでいるのに、ふっと周りが無音になる様な不思議な感覚。
リリカの歌う「家路」はどんな声で歌われているのか想像するのも楽しい。
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内気な人々が暮らす“アカシアの野辺”が舞台。読み終えて“アカシアの野辺”から現実の世界に戻ってきたなと強く思えるくらい抜群の描写で物語の世界に入っていけました。
言葉が少なくても、沈黙であっても伝えられることや慰められることもたくさんあるし、絆を深めることもできるのかなと思いました。
終わり方もリリカの歌は平等に人々に優しく響いているものと感じさせる儚いものでした。
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掬いが好き、の一冊。
出会いも喪失も全てを小さな世界に閉じ込めた世界観は、どこか「ことり」を思わせる。
アカシアの野辺で暮らす人々が愛するのは沈黙、十本の指を駆使した指言葉での静かな会話。
そしてそこに住まうリリカが奏でる誰をもを包み込む歌声。
限られた場所で、ささやかに慎ましく生きる人々も確かにいること。
小さな幸せが確かにあること。
それらをいつだって優しく掬い取る小川さんの描き方が好き。
静けさの中からしか、不完全なものからしか伝わらない、得られない想いや優しさ。
そこに嘘偽りはないこと…全てが静かに心に刻まれる。 -
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読み始めはファンタジー(妖精が出て来そうな)感じでした。
読み進めて何というか違和感、私には
合いませんでした。
思い出したのは、アメリカに暮らす
アーミッシュの存在でした。
馬車に乗り農耕をし文明の力は持たず
集団が黒と白(黒いワンピースに白い
ブラウス、黒いスラックスに白いワイシャツ)おなじ色の洋服を着て日々暮らしている。他の方の感想に作者が金⚪︎教の信者だと書いてありなるほどと思いました。
携帯もなく、環境汚染の心配も無く
アメリカでは観光地として存在している
アーミッシュ達の場所。
究極のミニマリスト達のようです。
途中まで読んでリタイヤしました。 -
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さとるさん、はじめまして。
フォロー、いいねをありがとうございます。
レビューを読んで、この本を再び読んだような感じになりました。小川洋子さ...さとるさん、はじめまして。
フォロー、いいねをありがとうございます。
レビューを読んで、この本を再び読んだような感じになりました。小川洋子さんの静謐さの描写をまた感じることができて、よかったです。これからもレビュー、楽しみにしてます(^^)2025/07/19 -
はじめまして。
フォロー、いいねをありがとうございます。
私たちもちょっとした表情や仕草によって、さまざまな沈黙の形を作れるのかもしれません...はじめまして。
フォロー、いいねをありがとうございます。
私たちもちょっとした表情や仕草によって、さまざまな沈黙の形を作れるのかもしれませんね。
こちらこそフリージアさんのレビューを楽しみにしています。
2025/07/19
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「内気な人たちの会」を称する男の人ばかりの共同生活の場、「アカシアの野辺」で育った女の子リリカの話。リリカは歌を歌う。名もない、後世にも残らない、誰もリリカぎ歌ったとは気づかない空気に溶けていく歌を歌う。おばあさんと、介護人と、羊の毛刈り係と、歌の先生と、羊と人形たちと、料金係さんとリリカの、静謐を旨とする生活の物語。
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沈黙を愛する人々と、その人々が暮らす"アカシアの野辺"で育った少女のお話。
言葉は人間にとって重要なコミュニケーションツールですが、現代では言い過ぎてしまう人がとても多い。
"野辺の人"たちは、必要最低限の会話を指言葉で交わしますが、伝え過ぎないことがむしろ良いこともあると感じました。家族や気心の知れた友人と一緒にいるとき、ふと沈黙が訪れても、自然とその時間を過ごすことができる。言葉を交わさなくても相手が何を思っているのかわかるときがある。
小川さんの静かに心に沁み渡るような美しい表現が、リリカの歌声とリンクしていて、とても癒されました。 -
この本の登場人物たちはみな、どこか生きづらさを感じながらも、その感覚を無視しないで、少しでも楽に生きられる方法を模索していた。
周りから見たら、可哀想とか普通ではないと思うような生活でも、不幸と感じているかどうかは本人しかわからない。
主人公がおしゃべりな人を恋人に選んだけれど、結局は沈黙に還っていったのは呪いなのか、どうなのかなどと考えたりした。
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楽しみにしていた6年ぶりの長編でした。
内気な人が住むアカシアの野辺で育ったリリカに備わった、不思議な力、目立たない歌唱力を使って人のために歌い続ける。
それはただの歌手ではなく、人形やアシカ、死人など言葉を発さない人のために、自分を出さずその人になりきってその人のために歌うという、小川洋子さんらしい、どこまでも静かで内気な物語です。
話すことの代わりに、手話のような手法で会話をするリリカたちは言葉は少なくとも、意思の疎通ができ、言葉が少ないからこそそこに“奥ゆかしさ”を感じられます。
『本当に必要な言葉、なんてほんとわずかですから。』
ありがとうやごめんなさい、そんな必要最低限の手話のみで会話するその世界観に、読んでいて落ち着いてきました。
『目を閉じなければさようならができないのは、去ってゆく人の後ろ姿を追いかけたくなるのを、我慢するためなのだ』
この感性、最高に好きでたまらなかったです。
小川洋子さんの作品に哀しさを感じるにも関わらず、美しさも感じてしまうのは、こういう感性なのではないかと思います。
読んでいる最中こそが最高の時間でした。
やはり小川さんの作品は描写が儚げで美しいです。
特に好きだと感じた部分は
『歌声は休養室に流れるあらゆる涙に染み込んでいった。』
『ー魂を包んだ暗闇ができるだけ空の高みに届くようー』
『唇の奥の暗闇を、透き通った瞳の光が照らしていた』
読書中のこの寂しげで静かな雰囲気は、この小川洋子さんの美しい描写によって出されていると思ってしまいます。
結末も、これぞ小川洋子!と思ってしまう、静かで寂しい雰囲気に包まれます。
儚げで静かな小川洋子さんの作品が好きな方には、期待を裏切らない新刊かと思われます。
今回も美しい描写でした。 -
人に勧められないと絶対に読まなかった。いつの話か、舞台はどこか、ふわっとしか想像できないのが良い。
著者が好きな人は絶賛するが、合わない人にはとことん合わないと思う。でもそんな偶然の出会いがないと、読書の広がりは無くなってしまう。 -
図書館本
弔いを邪魔することなく歌声を届けるリリカ。死者の行く手を遮らない歌声。
その最期。歌えなくなることが恐怖などではなく、
ようやく野辺の沈黙に受け入れられ、魂を慰めてもらえるときが近づいたのだと思える(本文抜粋)
との表現は素敵✨
小川洋子さんの描く、
何か少し違う世界に紛れ込んだような
不確かな気持ちに誘う物語が、
やっぱり好き。 -
内気な人々が集まって暮らす「アカシアの野辺」で雑用係のおばあさんの孫であるリリカは、その沈黙の里で歌を紡いでゆく・・・
内気な人たちが、自発的にコミュニティを形成するのかなという違和感はあったものの、優しい語り口で、童話のようなファンタジーのような小川さんの世界観はとても心地いいです。
リリカには、この物語をうまく成立させなくてもいいから、料金係さんと幸せになってほしかったなぁという思いが残ります。
ドボルザーク「家路」、小学生のころ下校時に放送されていました。 -
『魂を慰めるのは沈黙である』
言葉なしに〝指言葉〟で話しあう人々が集う土地で
リリカは歌う、目立たず影側(シャドウ)から。
沈黙と歌声とが織りなす清らかで哀しい物語。
著者プロフィール
小川洋子の作品
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感想 :

こっとんさんのレビューに全文うなずけます♪
小川さんのいつも小さき声に温かな眼差しを注いでくれる世...
こっとんさんのレビューに全文うなずけます♪
小川さんのいつも小さき声に温かな眼差しを注いでくれる世界観が淋しさ感じながらも好きです。
くるたんさんのおっしゃるように
”限られた場所で、ささやかに慎ましく生きる人々”
”小さな幸せ”
これこそ、小...
くるたんさんのおっしゃるように
”限られた場所で、ささやかに慎ましく生きる人々”
”小さな幸せ”
これこそ、小川洋子さんの世界観ですよね。
なんだか物悲しいのだけれど、確かな幸せを感じます。
『ことり』も本当に大好きな作品。
これこらも少しずつ小川洋子さんの作品を読んでいこうと思っています。